早期TN乳がんへの術後アテゾリズマブ、iDFSを改善せず(ALEXANDRA/IMpassion030)/JAMA

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 StageII/IIIのトリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者において、術後化学療法へのアテゾリズマブ上乗せは、ベネフィットが示されなかった。ベルギー・Institut Jules BordetのMichail Ignatiadis氏らが無作為化試験「ALEXANDRA/IMpassion030試験」の結果を報告した。TNBC患者は、転移のリスクが高く、若年女性や非ヒスパニック系の黒人女性に多いことで知られている。さらにStageII/IIIのTNBC患者は、最適な化学療法を受けても約3分の1が早期診断後2~3年に転移再発を経験し、平均余命は12~18ヵ月である。そのため、化学療法の革新にもかかわらずアンメットニーズが存在する。直近では、TNBC患者の早期治療戦略の1つは術後化学療法であったが、免疫療法を上乗せすることのベネフィットについては明らかになっていなかった。JAMA誌オンライン版2025年1月30日号掲載の報告。

31ヵ国330施設超で行われた第III相国際非盲検無作為化試験、iDFSを評価

 ALEXANDRA/IMpassion030試験は、31ヵ国330施設超で行われた第III相の国際非盲検無作為化試験であり、初回治療として手術を受けた18歳以上のStageII/IIIのTNBC患者を対象とした。被験者登録は2018年8月2日~2022年11月11日、最終フォローアップは2023年8月18日であった。

 被験者は1対1の割合で、標準化学療法(20週間)に加えアテゾリズマブの投与(最長1年間)を受ける群(アテゾリズマブ群、1,101例)または標準化学療法のみを受ける群(化学療法群、1,098例)に無作為化された。標準化学療法は、パクリタキセル80mg/m2を週1回12サイクルに続き、アントラサイクリン(エピルビシン90mg/m2またはドキソルビシン60mg/m2)+シクロホスファミド600mg/m2を2週間ごと4サイクル投与した。アテゾリズマブは、840mgを2週ごと10サイクル、その後1,200mgを3週間ごととし、最長で計1年間投与した。

 主要評価項目は、無浸潤疾患生存期間(iDFS)で、無作為化から同側または対側乳房の浸潤乳がん発生、遠隔転移、またはあらゆる原因による死亡までの期間と定義した。

 予定被験者登録数は2,300例であったが、独立データモニタリング委員会の勧告に基づき2,199例で登録は中止となった。全患者が、計画された早期中間解析および無益性解析の後にアテゾリズマブの投与を中止された。試験は、前倒しされた最終解析まで継続した。

iDFSイベント発生、アテゾリズマブ群12.8%、化学療法群11.4%

 登録被験者の年齢中央値は53歳で、自己申告に基づく人種/民族は、ほとんどがアジア人または白人であり、ラテン系またはヒスパニックはわずかであった。

 iDFSイベントが発生したのは、アテゾリズマブ群141例(12.8%)、化学療法群125例(11.4%)であり(追跡期間中央値32ヵ月)、最終的なiDFSの層別化ハザード比は1.11であった(95%信頼区間:0.87~1.42、p=0.38)。

 化学療法群と比較して、アテゾリズマブ群ではGrade3または4の治療関連有害事象が多かったが(54% vs.44%)、死亡に至った有害事象(0.8% vs.0.6%)および試験中止に至った有害事象の発現は同程度であった。化学療法曝露は両群で同等であった。

(ケアネット)


【原著論文はこちら】

Ignatiadis M, et al. JAMA. 2025 Jan 30. [Epub ahead of print]

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免疫チェックポイント阻害薬関連の1型糖尿病、生存率との関連~日本人2万例を解析

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 免疫チェックポイント阻害薬に関連した1型糖尿病(ICI-T1DM)の発現割合、危険因子、生存率への影響について、奈良県立医科大学の紙谷 史夏氏らが後ろ向き大規模コホートで調査した結果、ICI-T1DMは0.48%に発現し、他の免疫関連有害事象(irAE)と同様、ICI-T1DM発現が高い生存率に関連していることが示唆された。Journal of Diabetes Investigation誌2025年2月号に掲載。

 本研究は、わが国の診療報酬請求データベースの1つであるDeSCデータベースを用いた後ろ向き大規模コホート研究で、2014~22年にICIを投与された2万1,121例が登録された。ICI-T1DM発現の危険因子とその特徴をロジスティック回帰分析で評価し、ICI初回投与の翌日以降の新たなirAEの発現をアウトカムとした。

 主な結果は以下のとおり。

・ICI投与開始後、2万1,121例中102例(0.48%)にICI-T1DMが認められた。
・PD-(L)1阻害薬とCTLA-4阻害薬の併用は、PD-1阻害薬単独と比較してICI-T1DMのリスクが高かった(オッズ比[OR]:2.36、95%信頼区間[CI]:1.21~4.58、p=0.01)。
・過去に糖尿病(OR:1.59、95%CI:1.03~2.46、p=0.04)または甲状腺機能低下症(OR:2.48、95%CI:1.39~4.43、p<0.01)と診断された患者はICI-T1DMリスクが高かった。
・Kaplan-Meier解析では、ICI-T1DM患者はそうでない患者よりも生存率が高かった(log-lank検定p<0.01)。
・多変量Cox回帰分析では、ICI-T1DM発現は低い死亡率と関連していた(ハザード比:0.60、95%CI:0.37~0.99、p=0.04)。

(ケアネット 金沢 浩子)

【原著論文はこちら】

Kamitani F, et al. J Diabetes Investig. 2025;16:334-342.

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日本人HER2+進行乳がんへのペルツズマブ再投与、OS最終解析結果(PRECIOUS)/JCO

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 ペルツズマブ治療歴のある、HER2陽性局所進行/転移乳がんに対し、ペルツズマブ再投与(ペルツズマブ+トラスツズマブ+主治医選択による化学療法)はトラスツズマブ+主治医選択による化学療法と比較して治験責任医師評価による無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことが、第III相PRECIOUS試験の主要解析結果として報告されている。今回、熊本大学の山本 豊氏らは、同試験の全生存期間(OS)の最終解析結果をJournal of Clinical Oncology誌オンライン版2025年1月24日号で報告した。

 PRECIOUS試験では、局所進行/転移乳がんに対する1次または2次治療としてペルツズマブを含む治療歴を有する患者を、ペルツズマブ再投与群(PTC群)とトラスツズマブ+主治医選択による化学療法群(TC群)に1:1の割合で無作為に割り付けた(PTC群110例、TC群109例)。主要評価項目は治験責任医師評価によるPFS、重要な副次評価項目はOS、独立中央評価によるPFSであった。

 主な結果は以下のとおり。

・追跡期間中央値25.8ヵ月において、PTC群ではTC群と比較してOS中央値を延長した(36.2ヵ月vs.26.5ヵ月、ハザード比[HR]:0.73、片側95%信頼区間[CI]上限:0.97)。
・治験責任医師評価によるPFS中央値のアップデート解析結果についても、PTC群で良好であった(5.5ヵ月vs.4.2ヵ月、HR:0.81、片側95%CI上限:1.02)。
・独立中央評価によるPFS中央値については、両群間で差はみられなかった(4.4ヵ月vs. 4.4ヵ月、HR:1.03、片側95%CI上限:1.36)。

 著者らは、ペルツズマブ+トラスツズマブによる二重HER2阻害療法が、ペルツズマブを含むレジメンによる治療歴を有するHER2陽性局所進行/転移乳がん患者においてOS改善に寄与する可能性が示唆されたと結論付けている。独立中央評価によるPFS中央値の改善が認められなかったことについては、解析対象集団やPFSイベントの評価方法の違いによる影響を指摘している。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


【原著論文はこちら】

Yamamoto Y, et al. J Clin Oncol. 2025 Jan 24. [Epub ahead of print]

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T-DXd治療後のHER2発現の変化

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 転移のある乳がん患者におけるトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)の治療後のHER2発現状況の変化について、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのMohamed A. Gouda氏らが後ろ向きに検討したところ、約半数の患者でHER2の消失や低下がみられたという。Clinical Cancer Research誌オンライン版2025年1月22日号に掲載。

 本研究では、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターでT-DXd治療を受けた転移乳がん患者を後ろ向きに検討した。T-DXd治療の前後で生検を実施しIHC染色を用いてHER2発現を評価した患者を対象とした。

 本研究の結果、対象患者41例のうち、T-DXdによる治療後に11例(治療前にIHCスコアが1+、2+、3+だった34例のうち32.4%)でHER2の消失がみられた。さらに、10例(34例中29.4%)でHER2スコアの減少がみられた。

 著者らは「T-DXdによる治療を受けている転移乳がん患者において、HER2の消失および低下が多く見られる。T-DXdの治療後にHER2過剰発現が必要なHER2標的療法を実施する際は、HER2の再評価を考慮すべき」としている。

(ケアネット 金沢 浩子)


【原著論文はこちら】

Gouda MA, et al. Clin Cancer Res. 2025 Jan 22. [Epub ahead of print]

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T-DXd、米国で化学療法未治療のHER2低発現/超低発現の乳がんに承認取得/第一三共

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 トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd、商品名:エンハーツ)が、米国食品医薬品局(FDA)より、1つ以上の内分泌療法を受けた化学療法未治療のホルモン受容体(HR)陽性かつHER2低発現(IHC 1+またはIHC 2+/ISH-)またはHER2超低発現(膜染色を認めるIHC 0)の転移/再発乳がんに承認されたことを、2025年1月28日、第一三共が発表した。

 本適応は2024年10月にFDAより承認申請が受理され、画期的治療薬(Breakthrough Therapy)指定および優先審査のもとで承認された。この承認は、2024年6月に開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO2024)で発表された、化学療法未治療のHR陽性かつHER2低発現またはHER2超低発現の転移/再発乳がん患者を対象とした国際第III相試験(DESTINY-Breast06)の結果に基づくもの。

※日本における効能・効果は、以下のとおり(2025年1月現在)。
◯化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌
◯化学療法歴のあるHER2低発現の手術不能又は再発乳癌
◯がん化学療法後に増悪したHER2ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
◯がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌

(ケアネット 金沢 浩子)


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T1cN0M0のHER2+乳がんへの術前vs.術後補助療法、OSに差は?

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 T1cN0M0のHER2+乳がん患者において、術前補助療法は術後補助療法と同等の全生存期間(OS)および乳がん特異的生存期間(BCSS)を示したことを、中国・ハルビン医科大学のXuelian Wang氏らが明らかにした。これまで、腫瘍径が小さく、リンパ節転移のないHER2+乳がん患者おける術前補助療法の術後補助療法に対する優位性については議論が続いていた。Cancer誌2025年1月1日号掲載の報告。

 研究グループは、米国・Surveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)データベースから、2010~20年に化学療法と手術を受けたT1cN0M0のHER2+乳がん患者のデータを抽出した。傾向スコアマッチングにより、術前補助療法群と術後補助療法群の背景因子が一致するコホートを作成した。術前補助療法群と術後補助療法群のOSとBCSSを、カプランマイヤー法とCox比例ハザードモデルによって解析した。さらに、ロジスティック回帰モデルを使用して、術前補助療法に対する病理学的完全奏効(pCR)の予測因子を探索した。

 主な結果は以下のとおり。

●バランスのとれた2,140組が傾向スコアマッチングした。
●術前補助療法群と術後補助療法群のOSおよびBCSSは同等であった。
●術前補助療法後にpCRを達成した場合、術後補助療法群よりもOSおよびBCSSが有意に良好であった。
 ・OSのハザード比(HR):0.52、95%信頼区間(CI):0.35~0.77、p<0.001
 ・BCSSのHR:0.60、95%CI:0.37~0.98、p=0.041
●白人患者およびHR-が独立したpCR予測因子であることが明らかになった。

(ケアネット 森)


【原著論文はこちら】

Wang X, et al. Cancer. 2025;131:e35581.

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HER2+早期乳がんへの術後T-DM1、iDFS改善を長期維持しOS有意に延長/NEJM

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 トラスツズマブを含む術前化学療法後に浸潤がんの残存が認められたHER2陽性(HER2+)早期乳がん患者において、トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)はトラスツズマブと比較して、全生存期間(OS)を延長し、無浸潤疾患生存期間(iDFS)の改善が維持されていた。米国・National Surgical Adjuvant Breast and Bowel Project (NSABP) FoundationのCharles E. Geyer Jr氏らが、第III相無作為化非盲検比較試験「KATHERINE試験」のiDFSの最終解析およびOSの2回目の中間解析の結果を報告した。術前化学療法後に浸潤がんが残存するHER2+早期乳がん患者は、再発および死亡のリスクが高い。KATHERINE試験では、iDFSの1回目の中間解析においてT-DM1のトラスツズマブに対する優越性が検証され(非層別ハザード比[HR]:0.50、95%信頼区間[CI]:0.39~0.64、p<0.001)、この結果に基づき「HER2+の乳がんにおける術後療法」の適応追加が承認されていた。NEJM誌2025年1月16日号掲載の報告。

術前療法で浸潤がん残存HER2+早期乳がん、T-DM1 vs.トラスツズマブを比較

 研究グループは、タキサン系化学療法およびトラスツズマブを含む術前薬物療法を受け、手術後、乳房または腋窩リンパ節に浸潤がんの残存が認められたHER2+早期乳がん患者を、T-DM1群またはトラスツズマブ群に1対1の割合で無作為に割り付け、14サイクル投与した。

 主要評価項目はiDFSとし、重要な副次評価項目はOSなどであった。iDFSの定義は、同側浸潤性乳がん再発、同側局所の浸潤性乳がんの再発、遠隔再発、対側乳房の浸潤性乳がん、全死因死亡のいずれかが無作為化から最初に認められた日までの期間とされた。

 有効性の解析はITT解析とし、iDFSの最終解析およびOSの2回目の中間解析は、iDFSのイベントが384件発生後に行うことと規定された。

 ITT集団には各群743例の患者が組み込まれた。

中央値8.4年追跡後もiDFSの改善は維持、OSの有意な改善を認める

 追跡期間中央値8.4年において、iDFSのイベントはT-DM1群で146例(19.7%)、トラスツズマブ群で239例(32.2%)に報告された。浸潤性疾患または死亡の非層別HRは0.54(95%CI:0.44~0.66)であり、iDFSの改善が維持されていた。

 7年iDFS率は、T-DM1群80.8%、トラスツズマブ群67.1%であった(群間差:13.7%ポイント)。

 死亡は、T-DM1群89例(12.0%)、トラスツズマブ群126例(17.0%)が報告された。死亡のHRは0.66(95%CI:0.51~0.87、p=0.003)で、事前に規定された有意水準(p<0.0263、HR:0.739に相当)を超えており、T-DM1群はトラスツズマブ群より死亡リスクが有意に低いことが認められた。推定7年OS率はT-DM1群89.1%、トラスツズマブ群84.4%であった(群間差4.7%ポイント)。

 Grade3以上の有害事象は、T-DM1群で26.1%、トラスツズマブ群で15.7%に報告された。

(医学ライター 吉尾 幸恵)


【原著論文はこちら】

Geyer CE Jr, et al. N Engl J Med. 2025;392:249-257.

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乳がん診断後の手術遅延、サブタイプ別の死亡リスクへの影響

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 乳がん診断後の手術遅延による乳がん特異的死亡率(BCSM)への影響はサブタイプにより異なり、ホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陰性(HER2-)患者でBCSMリスクの最も顕著な増加がみられたことが明らかになった。これまで、手術の遅れが死亡リスク増加と関連することが報告されていたが、サブタイプによる違いがあるかどうかは明らかになっていなかった。米国・Stephenson Cancer CenterのMacall Leslie Salewon氏らが実施した後ろ向きコホート研究の結果が、Breast Cancer Research誌2024年12月30日号に掲載された。

 研究グループは、米国国立がん研究所(NCI)のSurveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)データベースを用いて、2010~17年に初回治療として手術を受けた局所乳がん患者において、手術の延期が生存率に与える影響がサブタイプ(HR+/HER2-、HR-/HER2-、およびHER2+)によって異なるかどうかを評価した。手術までの時間(TTS)は、診断のための生検日から手術日までの日数として定義され、TTS=30日を対照とした。BCSMは、サブタイプ別にそれぞれFine-Gray回帰モデルを使用してTTSに応じて評価され、TTSに影響を与える人口統計学的・臨床的変数、治療変数が傾向スコアによる逆数重み付け法を用いて調整された。

 主な結果は以下のとおり。

・調整後のBCSMリスクは、すべてのサブタイプにおいてTTSの増加とともに増加したが、その関連パターンと範囲は異なっていた。
・HR+/HER2-患者において、TTSに関連するBCSMリスクは最も顕著な増加を示した。BCSMリスクはTTS=42日以降にほぼ指数関数的に増加し、調整後の部分分布ハザード比(sHR)は、TTS=60日で1.21(95%信頼区間[CI]:1.06~1.37)、TTS=90日で1.79(95%CI:1.40~2.29)、TTS=120日で2.83(95%CI:1.76~4.55)であった。
・HER2+患者では、sHRはほぼ直線的な増加を示し、TTS=60日で1.34(95%CI:1.02〜1.76)、TTS=90日で1.78(95%CI:0.92〜3.44)、TTS=120日で2.29(95%CI:0.63〜8.31)であった。
・HR-/HER2-患者では、sHRはほぼ直線的な増加を示したものの推定値に有意差はみられなかった。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


【原著論文はこちら】

Leslie Salewon M, et al. Breast Cancer Res. 2024;26:191.

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乳腺密度の経時的な上昇や高濃度の持続、乳がんリスクと関連/BMJ

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 韓国・漢陽大学のBoyoung Park氏らは、40歳以上の女性において乳腺密度の経時的変化が異なる5つのグループを特定し、各グループの乳がんリスクが異なること、乳腺密度の上昇や、高濃度状態の持続が乳がんリスクの上昇と関連することを明らかにした。結果を踏まえて著者は、「乳腺密度の経時的な変化を、乳がんのリスク分類において慎重に検討すべきであり、今後リスクモデルに組み込むべきである」と述べている。先行研究により、乳腺密度は乳がんリスクの増加と関連することが知られており、また定期的にマンモグラフィスクリーニングを受けている大規模集団における、乳腺密度の縦断的変化についての研究報告は限られている。BMJ誌2024年12月30日号掲載の報告。

40歳以上の韓国女性、乳腺密度の変化の軌跡と乳がんアウトカムとの関連を評価

 研究グループは、韓国の国民健康保険サービスのデータベースに組み込まれている全国乳がんスクリーニングプログラムのデータを用いて、4回の縦断的評価で類似の乳腺密度の変化を示す女性の集団を特定し、それらの変化とその後の乳がんリスクとの関連を調べる後ろ向きコホート研究を行った。

 対象としたのは、2009~16年に隔年で4回のマンモグラフィスクリーニングを受けた40歳以上の女性。Breast Imaging Reporting and Data System(BI-RADS)の4つのカテゴリー(1:脂肪性、2:乳房散在、3:不均一高濃度、4:きわめて高濃度)を用いて乳腺密度を評価。2021年12月31日までに判定された乳がん発症を調べ、Cox比例ハザードモデルを用いて、交絡因子を補正後、乳腺密度の変化の軌跡と乳がんアウトカムとの関連を評価した。

グループ1と比べてグループ2~5の乳がんリスクは1.60~3.07倍

 174万7,507例(平均年齢61.4歳)の女性コホートにおいて、5つの乳腺密度の変化の軌跡を特定した。グループ1には「一貫してBI-RADSカテゴリー1~2であった女性」が包含され、グループ2には「ベースラインでBI-RADSカテゴリー1~2であったが、時間の経過とともに乳腺密度が上昇した女性」が包含された。グループ3には「ベースラインでBI-RADSカテゴリー2~3であったが、時間の経過とともに乳腺密度が減少した女性」が、グループ4には「ベースラインでBI-RADSカテゴリー2~3であり、その後も同レベルが持続していた女性」が、グループ5には「一貫してBI-RADSカテゴリー3~4であった女性」が包含された。

 グループ2の女性はグループ1の女性と比べて、乳がんリスクが1.60倍(95%信頼区間[CI]:1.49~1.72)であった。グループ3~5の女性もグループ1の女性と比べて乳がんリスクは高く、補正後ハザード比はそれぞれ1.86(95%CI:1.74~1.98)、2.49(2.33~2.65)、3.07(2.87~3.28)であった。

 同様の結果は、いずれの年齢群でも、また閉経状態やBMIの違いに関係なく確認された。

(ケアネット)


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Park B, et al. BMJ. 2024;387:e079575.

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HR+乳がん、dose-dense術後補助化学療法が有益な患者の同定/JCO

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 リンパ節転移陽性のエストロゲン受容体陽性(ER+)乳がん患者の一部は化学療法による効果が小さいことを示すエビデンスが増えてきている。米国・ダナファーバーがん研究所のOtto Metzger Filho氏らは、術後補助化学療法におけるdose-dense化学療法の有用性を検討したCALGB 9741試験において、12年間のアウトカムおよび内分泌療法への感受性を示すSET2,3スコアによりdose-dense化学療法が最も有益と考えられる患者を同定した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2025年1月2日号に掲載。

 CALGB 9741試験は1,973例がdose-dense化学療法群と通常化学療法群に無作為に割り付けられた。化学療法スケジュールと予後および効果予測の交互作用のハザード比(HR)は、長期の無病生存期間(DFS)と全生存期間(OS)のCoxモデルから推定した。内分泌転写活性を示すバイオマーカーであるSET2,3の検査はER+乳がん女性のRNAサンプル682個に実施した。

 主な結果は以下のとおり。

・dose-dense化学療法は、全集団においてDFSを23%改善し(HR:0.77、95%信頼区間[CI]:0.66~0.90)、OSを20%改善した(HR:0.80、95%CI:0.67~0.95)。
・dose-dense化学療法の有益性はER+およびER-のサブセットで認められ、治療群とERの状態との間に有意な交互作用は認められなかった。
・SET2,3スコアが低いと予後不良だったが、閉経状態に関係なくdose-dense化学療法による予後は改善した(交互作用のp:DFS 0.0998、OS 0.027)。具体的には、内分泌転写活性が低いことがdose-dense化学療法の有益性を予測した。しかし、分子サブタイプによる腫瘍負荷および増殖によるシグネチャーは予測しなかった。

 本研究の結果、SET2,3スコアがdose-dense化学療法の有益な患者を同定し、具体的には、腫瘍負荷、分子サブタイプ、閉経状態よりも、内分泌転写活性の低さでその有益性が予測されることが示唆された。

(ケアネット 金沢 浩子)


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Metzger Filho O, et al. J Clin Oncol. 2025 Jan 2. [Epub ahead of print]

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