乳がん放射線療法の有効性、1980年代以前vs.以降/Lancet

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 放射線治療は1980年代以降、よりターゲットを絞れるようになり、安全性と有効性が改善されている。英国・オックスフォード大学のCarolyn Taylor氏らEarly Breast Cancer Trialists’ Collaborative Group(EBCTCG)は、1980年代以前と以後に行われた乳がん患者に対する局所リンパ節放射線療法の無作為化試験における有効性を評価し、1980年代以降に行われた試験では、乳がんの死亡率および全死因死亡率が有意に低下していたが、1980年代以前の試験では有意な低下はみられなかったことを示した。Lancet誌オンライン版2023年11月3日号掲載の報告。

2008年末までに開始した無作為化比較試験の被験者データをメタ解析

 研究グループは、早期乳がん女性患者に対する局所リンパ節放射線療法と非局所リンパ節放射線療法を比較した、2009年1月1日以前に開始したすべての無作為化比較試験からデータを収集し、被験者個別データを用いたメタ解析を行った。

 試験は、MEDLINE、Embase、Cochrane Libraryおよび学術会議アブストラクトを含むデータベースを用いた、EBCTCGの定期的で体系的な検索により特定された(右側乳房がんの場合のみリンパ節放射線療法を行った試験が1件含まれた)。

 各試験の治療の相違点は、具体的な局所リンパ節放射線療法(内側乳房鎖、鎖骨上窩、または腋窩まで、もしくはこれらの組み合わせ)だけだった。

 主要評価項目は、あらゆる部位の再発、乳がん死、非乳がん死、全死因死亡だった。

 データは試験担当医によって提供され、解析に適したフォーマットに標準化。そのデータの概要は検証担当医に戻された。log-rank解析で初回イベント発生率比(RR)と信頼区間(CI)を求めた。

新しい試験では、乳がん死亡率は0.87倍、総死亡率は0.90倍に

 17試験が特定され、データが入手できた16試験(被験者総数1万4,324例)を解析対象とした(被験者165例の1試験はデータが入手できず除外)。

 1989~2008年に開始された、より新しい8試験(被験者総数1万2,167例)では、局所リンパ節放射線療法は再発を有意に減少した(RR:0.88、95%CI:0.81~0.95、p=0.0008)。主に遠隔再発が減少しており、局所リンパ節再発はほとんど報告されていなかった。

 放射線療法は乳がん死を有意に減少し(RR:0.87、95%CI:0.80~0.94、p=0.0010)、非乳がん死への効果はみられなかった(0.97、0.84~1.11、p=0.63)が、結果として全死因死亡を有意に減少した(0.90、0.84~0.96、p=0.0022)。

 試算例では、15年乳がん死の推定絶対減少率は、腋窩リンパ節転移のない女性では1.6%、同リンパ節転移1~3個では2.7%、同4個以上では4.5%だった。

 一方、1961~78年に開始したより古い8試験(被験者総数2,157例)では、局所リンパ節放射線療法の乳がん死への影響はほとんどみられず(RR:1.04、95%CI:0.91~1.20、p=0.55)、非乳がん死は有意に増加していた(1.42、1.18~1.71、p=0.00023)。同リスクは主に20年後以降に現れ、全死因死亡も有意に増加していた(1.17、1.04~1.31、p=0.0067)。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)


【原著論文はこちら】

Early Breast Cancer Trialists’ Collaborative Group (EBCTCG). Lancet. 2023 Nov 3. [Epub ahead of print]

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HER2陽性転移のある乳がんの1次治療、pyrotinib併用でPFS改善/BMJ

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 未治療のHER2陽性転移のある乳がんの治療において、pyrotinib(不可逆汎HERチロシンキナーゼ阻害薬)+トラスツズマブ+ドセタキセルは、プラセボ+トラスツズマブ+ドセタキセルと比較して、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善し、毒性は管理可能であることが、中国医学科学院北京協和医学院癌研究所のFei Ma氏らが実施した「PHILA試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年10月31日号で報告された。

中国の無作為化プラセボ対照第III相試験

 PHILA試験は、中国の40施設で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2019年5月~2022年1月に患者のスクリーニングを行った(中国・Jiangsu Hengrui Pharmaceuticalsなどの助成を受けた)。

 年齢18~75歳、HER2陽性の再発または転移のある乳がんで、全身療法を受けていない女性患者を、トラスツズマブ+ドセタキセル(21日を1サイクルとして1日目に静脈内投与)に加え、pyrotinibまたはプラセボを1日1回経口投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。

 主要評価項目は、担当医判定によるPFS(無作為化から、画像上での最初の病勢進行または全死因死亡のうち先に発生したイベントまでの期間)とした。

 590例を登録し、pyrotinib群に297例(年齢中央値52歳[四分位範囲[IQR]:46~58])、プラセボ群に293例(52歳[46~57])を割り付けた。今回の中間解析のデータカットオフ日(2022年5月25日)の時点で、追跡期間中央値は15.5ヵ月だった。

二重のHER2阻害の有効性を示唆

 担当医判定によるPFS中央値は、プラセボ群が10.4ヵ月(95%信頼区間[CI]:9.3~12.3)であったのに対し、pyrotinib群は24.3ヵ月(19.1~33.0)と有意に延長した(ハザード比[HR]:0.41、95%CI:0.32~0.53、片側p<0.001)。

 12ヵ月の時点での推定無増悪生存率は、pyrotinib群が74.3%(95%CI:68.1~79.5)、プラセボ群が44.0%(37.5~50.3)、24ヵ月時はそれぞれ50.3%(41.9~58.1)、16.6%(10.7~23.7)であった。

 また、独立審査委員会判定によるPFS中央値は、プラセボ群の10.4ヵ月(95%CI:10.2~12.2)に比べ、pyrotinib群は33.0ヵ月(19.4~未到達)と有意に優れた(HR:0.35、95%CI:0.27~0.46、片側p<0.001)。

 客観的奏効は、プラセボ群では207例(71%、95%CI:65~76)で得られたのに対し、pyrotinib群では246例(83%、78~87)で達成され、有意差を認めた(群間差:12.2%、95%CI:5.4~18.9、層別片側p<0.001)。完全奏効は、pyrotinib群19例(6%)、プラセボ群8例(3%)であった。

 Grade3以上の治療関連有害事象は、pyrotinib群で267例(90%)、プラセボ群で224例(76%)に発現し、好中球数の減少(pyrotinib群63%、プラセボ群65%)、白血球数の減少(53%、51%)、下痢(46%、3%)の頻度が高かった。治療関連死は、pyrotinib群では発生しなかったが、プラセボ群で1例(<1%、糖尿病性高浸透圧性昏睡)に認めた。

 著者は、「これらの知見は、モノクローナル抗体と低分子チロシンキナーゼ阻害薬による二重のHER2阻害が、HER2陽性転移のある乳がんの1次治療の選択肢となる可能性を支持するものである」としている。

(医学ライター 菅野 守)


【原著論文はこちら】

Ma F, et al. BMJ. 2023;383:e076065.

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非浸潤性乳管がんの腫瘍径と断端、進展リスクとの関連は?/BMJ

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 非浸潤性乳管がん(DCIS)の腫瘍径および切除断端の状態と、同側浸潤性乳がんおよび同側DCISのリスクとの関連は小さく、これら2つの因子を他の既知のリスク因子に加えた多変量モデルでは、臨床病理学的リスク因子だけでは低リスクDCISと高リスクDCISを区別することに限界があるという。オランダがん研究所(NKI)のRenee S. J. M. Schmitz氏らGrand Challenge PRECISION consortiumの研究グループが、国際統合コホート研究の結果を報告した。どのようなDCISで、その後のイベントリスクが高いかを明らかにする必要があるが、現在の臨床的特徴がどの程度役立つかは不明であった。BMJ誌2023年10月30日号掲載の報告。

4つの大規模コホート約4万8千人のデータを統合解析

 研究グループは、DCISの腫瘍径および切除断端の状態と、治療後の同側浸潤性乳がんおよび同側DCISへの進展リスク、ならびに同側浸潤性乳がんのステージおよびサブタイプとの関連性を検討する目的で、オランダ、英国、米国で行われた4つの大規模コホート研究を統合解析した。対象被験者は、1999~2017年に純型の原発性DCISと診断され、乳房温存術または乳房切除術のいずれかを受け、術後に放射線療法または内分泌療法あるいはその両方が実施された4万7,695例の女性患者。解析には、患者個々のデータを用いた。

 主要評価項目は、同側浸潤性乳がんおよび同側DCISの10年累積発生率で、DCISの腫瘍径と切除断端の状態との関連について、多変量Cox比例ハザードモデルを用いて評価した。

腫瘍径は同側DCISと、切除断端陽性は同側浸潤性乳がん・同側DCISと関連

 同側浸潤性乳がんの10年累積発生率は3.2%であった。放射線療法の有無にかかわらず乳房温存術を受けた女性において、腫瘍径がより大きいDCIS(20~49mm)は20mm未満のDCISと比較し、同側DCISの補正後リスクのみ有意に増加した(ハザード比[HR]:1.38、95%信頼区間[CI]:1.11~1.72)。同側浸潤性乳がんおよび同側DCISのリスクは、切除断端陰性と比較して陽性で有意に高かった(浸潤性乳がんのHR:1.40[95%CI:1.07~1.83]、DCISのHR:1.39[1.04~1.87])。

 術後内分泌療法は、乳房温存術のみの治療と比較して、同側浸潤性乳がんのリスク低下と有意な関連は認められなかった(HR:0.86、95%CI:0.62~1.21)。放射線療法の有無にかかわらず、乳房温存術を受けた女性では、DCISのグレードの大きさは同側浸潤性乳がんと有意に関連しなかったが、同側DCISのリスクは高かった(Grade1でのHR:1.42[95%CI:1.08~1.87]、Grade3でのHR:2.17[1.66~2.83])。

 診断時の年齢が高いほど、同側DCISの1年当たりのリスクは低く(HR:0.98、95%CI:0.97~0.99)、同側浸潤性乳がんのリスクとの関連はみられなかった(HR:1.00、95%CI:0.99~1.00)。

 腫瘍径が大きいDCIS(≧50mm)は小さいDCIS(<20mm)と比較し、StageIIIおよびIVの同側浸潤性乳がんを発症する割合が高かったが、切除断端陽性と陰性の比較では同様の関連性はみられなかった。

 また、DCISの腫瘍径とホルモン受容体陰性HER2陽性同側浸潤性乳がん、ならびに切除断端陽性とホルモン受容体陰性同側浸潤性乳がんとの関連が確認された。

(医学ライター 吉尾 幸恵)


【原著論文はこちら】

Schmitz RSJM, et al. BMJ. 2023;383:e076022.

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日本人乳がん患者におけるHER2低発現の割合・特徴(RetroBC-HER2L)/日本癌治療学会

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 HER2低発現(IHC 1+またはIHC 2+/ISH-)の乳がん患者に対する治療薬の臨床的ベネフィットが示され、その割合や治療パターン、転帰などについて理解を深めることが求められる。HER2陰性転移乳がんにおけるHER2低発現患者の割合を10ヵ国13施設で評価したRetroBC-HER2L試験の日本人解析結果を、昭和大学病院の林 直輝氏が第61回日本癌治療学会学術集会(10月19~21日)で発表した。日本からは3施設が参加している。

・対象:2014年1月~2017年12月に切除不能および/または転移を有するHER2陰性(IHC 0、1+、2+/ISH-)乳がんと診断され治療を受けた患者
・評価項目:
[主要評価項目]過去のHER2固定組織スライドを実施医療機関の検査室で(ベンタナ4B5または他の検査法を用いて)再評価した結果に基づくHER2低発現の割合、ベースライン特性、治療パターン、アウトカム(治療成功期間[TTF]、最初の後治療開始または死亡までの期間[TFST]、全生存期間[OS])
[副次評価項目]HER2低発現の病理組織学的・臨床病理学的特徴、過去のHER2検査と再検査結果の一致状況など

 主な結果は以下のとおり。

・日本人サブセットには155例が組み入れられ、ホルモン受容体陽性(HR+)が120例/陰性(HR-)が35例、HER2再検査にベンタナ4B5が用いられたのが130例/その他の検査法が25例だった。
・再評価の結果、過去にHER2陰性と評価された患者におけるHER2低発現の患者の割合は61.3%(155例中95例)だった(全体集団では67.2%)。ホルモン受容体の状態ごとにみると、HR+患者の68.3%(120例中82例)、HR-患者の37.1%(35例中13例)が該当した。なお検査法別にみると、ベンタナ4B5で63.8%(130例中83例)、その他の検査法で48.0%(25例中12例)だった。
・HER2低発現とHER2 IHC 0の患者の間で、年齢中央値(HR+:56.5歳vs.55.0歳、HR-:50.0歳vs.47.0歳)、閉経状態(閉経後がHR+:63.4% vs.65.8%、HR-:53.8% vs.40.9%)のほか、ベースラインでの転移箇所や転移個数について有意な差はみられなかった。
・治療パターンについては、一次治療としてHR+では内分泌療法単独が53.4% vs.66.7%、HR-では単剤化学療法が45.5% vs.38.9%用いられていた。
・アウトカムについて、TTF中央値(HR+:5.6ヵ月vs.6.0ヵ月、HR-:3.7ヵ月vs.3.8ヵ月)およびTFST中央値(HR+:8.3ヵ月vs.6.0ヵ月、HR-:4.1ヵ月vs.5.0ヵ月)はホルモン受容体の状況によらずHER2発現による顕著な差はみられなかったが、OS中央値はHER2 IHC 0かつHR-(トリプルネガティブ乳がん)で短い傾向がみられた(HR+:38.7ヵ月vs.32.4ヵ月、HR-:29.8ヵ月vs.14.4ヵ月)。
・過去のHER2検査と再検査結果の一致率は82.6%(κ=0.636)。過去にHER2 IHC 0と診断された症例の陽性一致率は76.2%(63例中48例)、過去にHER2低発現と診断された症例の陽性一致率は87.0%(92例中80例)となり、IHC 0がHER2低発現と再評価される頻度よりもHER2低発現がIHC 0と再評価される頻度のほうが低いという点で、全体集団と同様の傾向がみられた。
・ベンタナ4B5が用いられた症例についてみると、過去にHER2 IHC 0と診断された症例の陽性一致率は72.4%(54例中39例)、過去にHER2低発現と診断された症例の陽性一致率は89.5%(76例中68例)となり、過去にHER2 IHC0と診断された約3人に1人がトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)の治療適応になりうるHER2低発現と再評価される可能性があり、適切な治療選択のためにHER2発現の再評価を考慮すべきことが示された。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


【参考文献・参考サイトはこちら】

RetroBC-HER2L試験(ClinicalTrials.gov)

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AI耐性HR+進行乳がんへのフルベストラント+capivasertib、日本人解析結果(CAPItello-291)/日本癌治療学会

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 アロマターゼ阻害薬(AI)耐性のホルモン受容体陽性(HR+)HER2陰性(HER2-)進行乳がん(切除不能の局所進行もしくは転移・再発乳がん)に対するフルベストラントへのAKT阻害薬capivasertibの上乗せ効果を検討した第III相CAPItello-291試験の日本人サブグループ解析結果を、九州がんセンターの徳永 えり子氏が第61回日本癌治療学会学術集会(10月19~21日)で発表した。

・対象:閉経前/後の女性もしくは男性のHR+/HER2-の進行乳がん患者(AI投与中/後に再発・進行、進行がんに対して2ライン以下の内分泌療法・1ライン以下の化学療法、CDK4/6阻害薬治療歴ありも許容、SERD・mTOR阻害薬・PI3K阻害薬・AKT阻害薬の治療歴は不可、HbA1c 8.0%未満)
・試験群(capi群):capivasertib(400mg1日2回、4日間投与、3日間休薬)+フルベストラント(500mg) 37例(グローバル:355例)
・対照群(プラセボ群):プラセボ+フルベストラント 41例(353例)
・評価項目:
[主要評価項目]全体集団およびAKT経路(PIK3CAAKT1PTENのいずれか1つ以上)に変異のある患者集団における無増悪生存期間(PFS)
[副次評価項目]全体集団およびAKT経路に変異のある患者集団における全生存期間(OS)、奏効率(ORR)など
[層別化因子]CDK4/6阻害薬治療歴の有無、肝転移の有無など

 主な結果は以下のとおり。

・ベースライン特性は両群でバランスがとれており、年齢中央値は両群で61歳、閉経後患者はcapi群78.4% vs.プラセボ群70.7%だった。肝転移ありが29.7% vs.31.7%でグローバル(43.9% vs.42.5%)と比較すると少なく、ECOG PS 0が94.6% vs.85.4%と多かった(63.1% vs.68.3%)。
・ベースラインで進行がんに対して1ラインの内分泌療法歴のある患者は51.4% vs.43.9%、CDK4/6阻害薬治療歴のある患者は13.5% vs.19.5%とそれぞれグローバル(80.8% vs.71.4%、69.0% vs.69.1%)と比較すると少なかった。
・AKT経路に変異のある患者は51.4% vs.46.3%とグローバル(43.7% vs.38.0%)と比較してやや多かった。
・全体集団におけるPFS中央値は、Capi群13.9ヵ月vs.プラセボ群7.6ヵ月(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.40~1.28)となり、Capi群で臨床的に意義のある改善が認められた(グローバルでは7.2ヵ月vs.3.6ヵ月、HR:0.60、95%CI:0.51~0.71、両側p<0.001)。
・AKT経路に変異のある患者集団におけるPFS中央値は、Capi群13.9ヵ月vs.プラセボ群9.1ヵ月(HR:0.65、95%CI:0.29~1.39)となり、Capi群で臨床的に意義のある改善が認められた(グローバルでは7.3ヵ月vs.3.1ヵ月、HR:0.50、95%CI:0.38~0.65、両側p<0.001)。
・ORRは全体集団でCapi群29.4% vs.プラセボ群22.0%(グローバルでは22.9% vs.12.2%)、AKT経路に変異のある患者集団で27.8% vs.15.8%(28.8% vs.9.7%)で、グローバルと同様の傾向がみられた。
・重篤な有害事象(SAE)はCapi群で13.5%に認められ、グローバル(16.1%)と同様だったが、AEによる試験薬の中止(日本人サブグループ56.8%、グローバル34.9%)およびAEによる試験薬の減量(27.0%、19.7%)は日本人集団で多い傾向がみられた。
・Capi群の安全性プロファイルはグローバルと同様で、多く認められたAEは下痢(73.0%)、皮疹(48.6%)、口内炎(29.7%)など。皮疹と口内炎は日本人サブグループで多い傾向がみられた。

 徳永氏は日本人サブグループにおけるPFS中央値がグローバルより長いのは、ベースラインでECOG PS 0の患者の割合が多く、肝転移のある患者が少なく、進行がんに対する内分泌/化学療法歴あるいはCDK4/6阻害薬による治療歴のある患者が少なかったことによる可能性があると考察。グローバルでの結果と同様に、日本の患者におけるcapivasertib+フルベストラント併用療法のベネフィットとリスクのプロファイルは良好であり、将来の治療選択肢となる可能性があるとまとめている。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


【参考文献・参考サイトはこちら】

CAPItello-291試験(ClinicalTrials.gov)

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HER2+乳がん脳転移例、T-DXdで高い頭蓋内奏効率とCNS-PFS改善(DESTINY-Breast01、02、03プール解析)/ESMO2023

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 トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)のDESTINY-Breast01、02、03試験において、ベースライン時に脳転移のあったHER2陽性乳がん患者の探索的プール解析の結果、既治療で安定した脳転移患者および未治療で活動性の脳転移患者で高い頭蓋内奏効率(ORR)が示された。また、中枢神経系無増悪生存期間(CNS-PFS)は、とくに未治療で活動性の脳転移患者において顕著な改善がみられた。米国・Fred Hutchinson Cancer Center, University of WashingtonのSara A. Hurvitz氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表した。

・対象:DESTINY-Breast01、02試験(トラスツズマブ エムタンシンに抵抗性または不応例)およびDESTINY-Breast03試験(トラスツズマブおよびタキサン系抗がん剤による既治療例)で、ベースライン時に脳転移のあったHER2陽性乳がん患者
・方法:ベースライン時に既治療で安定した脳転移患者と未治療で活動性脳転移患者に分け、T-DXd群と対照薬群で比較
・評価項目:盲検下独立中央判定(BICR)による頭蓋内ORR(頭蓋内完全奏効[CR]/部分奏効[PR])、頭蓋内奏効期間(DOR)、BICRによるCNS-PFS、安全性

 主な結果は以下のとおり。

・ベースライン時に脳転移のあった患者はT-DXd群148例、対照薬群83例、そのうち再発乳がんがそれぞれ85例、51例だった。脳転移患者での前治療歴の中央値は3レジメン(範囲:1.0~14.0)だった。
・頭蓋内ORRは、既治療で安定した脳転移患者においてT-DXd群が45.2%(CR:17例/PR:30例)、対照薬群が27.6%(CR:2例/PR:14例)、未治療の活動性脳転移患者においてT-DXd群が45.5%(CR:7例/PR:13例)、対照薬群が12.0%(CR:0例/PR:3例)と、どちらもT-DXd群が高かった。
・頭蓋内DOR中央値は、既治療で安定した脳転移患者において、T-DXd群12.3ヵ月vs.対照薬群11.0ヵ月、未治療の活動性転移患者ではT-DXd群17.5ヵ月vs.対照薬群NAだった。
・CNS-PFS中央値は、既治療で安定した脳転移患者ではT-DXd群12.3ヵ月vs.対照薬群8.7ヵ月(ハザード比[HR]:0.5905、95%信頼区間[CI]:0.3921~0.8895)、未治療の活動性脳転移患者で18.5ヵ月vs.4.0ヵ月(HR:0.1919、95%CI:0.1060~0.3473)と、どちらもT-DXd群で延長し、とくに未治療の活動性脳転移患者で顕著だった。
・脳転移患者におけるT-DXdの安全性プロファイルは認容可能で管理可能であり、全患者集団と同等であった。

 Hurvitz氏は「T-DXdは、HER2陽性で既治療で安定した脳転移患者および未治療で活動性脳転移患者に対して有効で、許容可能で管理可能な安全性プロファイルを持つ治療オプションである」と結論した。

(ケアネット 金沢 浩子)


【参考文献・参考サイトはこちら】

DESTINY-Breast01試験(Clinical Trials.gov)

DESTINY-Breast02試験(Clinical Trials.gov)

DESTINY-Breast03試験(Clinical Trials.gov)

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転移乳がんのエリブリン2投2休、後治療のPFSを有意に延長/日本癌治療学会

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 転移を有する乳がん患者にエリブリンを標準スケジュールである21日周期(21日ごとに1・8日目に投与:2投1休)で投与する場合と比較して、28日周期(28日ごとに1・8日目に投与:2投2休)の投与は後治療の無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、全生存期間(OS)は有意差はなかったものの延長傾向にあったことを、市立四日市病院の水野 豊氏が第61回日本癌治療学会学術集会(10月19~21日)で発表した。

 エリブリンは腫瘍免疫微小環境の改善効果により、後治療の良好な効果が推測されている。しかし、血液毒性などの有害事象のため標準の21日周期では治療の中断・中止を余儀なくされることがある。これまでエリブリンを1・15日目に投与する28日周期の投与スケジュールにおけるPFSはすでに報告されているが、異なる投与スケジュールが後治療の効果に与える影響を調べた研究はなかった。そこで水野氏らは、エリブリンの異なる治療スケジュールと後治療のPFSの関連を評価するために研究を実施した。

 エリブリン治療はまず標準スケジュールである21日周期の1・8日目投与で開始し、2サイクル目の1日目に好中球数が1,500mm3以上であれば標準スケジュールを継続し(2投1休群)、1,500mm3未満であった場合は28日周期の1・8日目投与に変更してその後も28日周期を継続した(2投2休群)。3サイクル目以降も同様に1日目の好中球数が1,500mm3以上かどうかでスケジュールを検討した。

 対象は、転移を有する乳がん患者81例(うちde novo StageIVが23例[28%])で、年齢中央値は67歳(範囲:39~90歳)であった。主な転移部位は骨(48%)、肝臓(40%)、所属リンパ節(38%)、肺(32%)。ER/PgR陽性が63%、トリプルネガティブが37%。前治療の化学療法歴なしが31%、1ラインが44%、2ライン以上が25%であった。

 主な結果は以下のとおり。

<エリブリン治療>
・奏効率は9%、病勢コントロール率は30%、臨床的有用率は56%であった。
・全体のPFS中央値は6.3ヵ月(95%信頼区間[CI]:5.5~8.6)であった。治療スケジュール別のPFS中央値は、2投1休群(49例)が6.1ヵ月(95%CI:3.4~8.4)、2投2休群(32例)が8.6ヵ月(95%CI:5.1~13.0)で有意差は認められなかったものの延長傾向にあった(p=0.149)。
・全体のOS中央値は20.6ヵ月(95%CI:14.6~27.1)であった。2投1休群は17.1ヵ月(95%CI:10.2~21.1)、2投2休群は27.1ヵ月(95%CI:14.6~30.9)で、PFSと同様に有意差は認められなかったものの延長傾向にあった(p=0.0833)。

<後治療>
・後治療を行ったのは47例で、多かったレジメンはパクリタキセル+ベバシズマブ(32%)、AC/EC療法(19%)、カペシタビン±シクロホスファミド(13%)、S-1(11%)、内分泌療法(11%)などであった。
・全体のPFS中央値は4.9ヵ月(95%CI:3.0~8.1)であった。2投1休群は3.3ヵ月(95%CI:2.8~5.6)であった一方、2投2休群では10.4ヵ月(95%CI:2.1~14.5)で有意に改善した(p=0.0195)。
・OS中央値は2投1休群17.1ヵ月(95%CI:10.9~21.1)、2投2休群28.5ヵ月(95%CI:14.6~53.5)で延長傾向にあった(p=0.0965)。

 これらの結果より、水野氏は「エリブリンの標準とは異なる2投2休の投与スケジュールはPFSおよびOSを延長させ、さらに後治療にも好影響をもたらす」とまとめるとともに、質疑応答で「十分に血球を回復させるために2週間休薬することが重要だと考える。好中球数が減少していたとしてもしっかりと回復させる期間が得られ、それによって後治療に好影響をもたらすのではないか」と見解を述べた。

(ケアネット 森 幸子)


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進行/転移TN乳がん1次治療でのDato-DXd+デュルバルマブ、11.7ヵ月時点で奏効率79%(BEGONIA)/ESMO2023

提供元:CareNet.com

 進行/転移トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の1次治療として、抗TROP2抗体薬物複合体datopotamab deruxtecan(Dato-DXd)と抗PD-L1抗体デュルバルマブの併用を検討するBEGONIA試験のArm7では、追跡期間中央値7.2ヵ月で74%の奏効率(ORR)が得られている。今回、追跡期間中央値11.7ヵ月の解析でORRが79%であったことを、英国・Barts Cancer Institute, Queen Mary University of LondonのPeter Schmid氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で報告した。

 BEGONIA試験は、進行/転移TNBCの1次治療として、デュルバルマブと他の薬剤との併用による新たな治療を検討するために、2つのPartで構成された第Ib/II相試験である。

・対象:StageIVに対する治療歴のない切除不能な進行/転移TN乳がん
・方法:Dato-DXd 6mg/kg+デュルバルマブ1,120mg(3週ごと、静脈内投与)を病勢進行もしくは許容できない毒性発現まで投与
・評価項目:
[主要評価項目]安全性、忍容性
[副次評価項目]ORR、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間

 主な結果は以下のとおり。

・2023年2月2日のデータカットオフ時点で、Dato-DXd+デュルバルマブの治療を受けた62例中29例(47%)が治療継続中で、追跡期間中央値は11.7ヵ月(範囲:2~20ヵ月)であった。ベースライン時の年齢中央値は53歳、60%に内臓転移があり、PD-L1低値が87%であった。
・ORRは79%(95%信頼区間[CI]:66.8~88.3)で、完全奏効6例、部分奏効43例だった。抗腫瘍効果はPD-L1レベルにかかわらず認められた。
・DOR中央値は15.5ヵ月(95%CI:9.92~NC)、PFS中央値は13.8ヵ月(同:11.0~NC)であった。
・最も多くみられた有害事象(AE)は消化管系で概してGradeは低かった。
・Dato-DXd減量の原因となるAEは口内炎(65%)が最も多かった。
・治療関連間質性肺疾患/肺炎が3例(5%)に発現した(Grade2が2例、Grade1が1例)。
・下痢(13%)、好中球減少症(5%)の発現率は低かった。

 Schmid氏は「進行/転移TNBCの1次治療におけるDato-DXdとデュルバルマブの併用は、追跡期間中央値11.7ヵ月時点で、PD-L1発現にかかわらず引き続き強固で持続的な奏効を示した。新たな安全性シグナルはみられず、管理可能な安全性プロファイルを示した」と結論した。現在、PD-L1高値集団を対象としたArm8(Dato-DXd+デュルバルマブ)の登録を行っている。

(ケアネット 金沢 浩子)


【参考文献・参考サイトはこちら】

BEGONIA試験(Clinical Trials.gov)

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HER2低発現乳がんへのT-DXd、32ヵ月でのOS・PFS・安全性(DESTINY-Breast04)/ESMO2023

提供元:CareNet.com

 化学療法歴を有するHER2低発現の切除不能または転移のある乳がん患者に対して、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)と治験医師選択による化学療法(TPC)を比較した第III相DESTINY-Breast04試験において、より長い追跡期間(中央値32ヵ月)で評価した全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、安全性を、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのShanu Modi氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表した。

・対象:HER2低発現(IHC 1+またはIHC 2+/ISH-)で、1~2ラインの化学療法歴のある切除不能および/または転移を有する乳がん患者(HR+の場合は内分泌療法抵抗性)557例
・試験群(T-DXd群):T-DXdを3週間間隔で5.4mg/kg投与 373例
・対照群(TPC群):治験医師選択の化学療法(カペシタビン、エリブリン、ゲムシタビン、パクリタキセル、ナブパクリタキセルのいずれか)184例
・評価項目:
[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)によるHR+例のPFS
[副次評価項目]BICRによる全例のPFS、治験医師によるHR+例および全例のPFS、HR+例および全例のOS、安全性など

 主な結果は以下のとおり。

・今回のデータカットオフ(2023年3月1日)時点での追跡期間中央値は32.0ヵ月だった。
・OS中央値は、HR+例でT-DXd群23.9ヵ月vs.TPC群17.6ヵ月でHRが0.69(95%信頼区間[CI]:0.55~0.87)、全例で22.9ヵ月vs.16.8ヵ月でHRは0.69(95%CI:0.55~0.86)と、共にT-Dxd群で有意に改善した。
・治験医師によるPFS中央値は、HR+例でT-DXd群9.6ヵ月vs.TPC群4.2ヵ月でHRが0.37(95%CI:0.30~0.46)、全例で8.8ヵ月vs.4.2ヵ月でHRは0.36(95%CI:0.29~0.45)と、共にT-DXd群で有意に改善した。
・HR-例におけるOS中央値は、T-DXd群17.1ヵ月vs.TPC群8.3ヵ月でHRが0.58(95%CI:0.31~1.08)、治験医師によるPFS中央値は6.3ヵ月vs.2.9ヵ月でHRは0.29(95%CI:0.15~0.57)だった(探索的解析)。
・Grade3以上の治療下での有害事象(TEAE)の発現率は、T-DXd群54.4%、TPC群67.4%だった。
・治療中止関連のTEAEで多くみられたのは、T-DXd群で間質性肺疾患/肺臓炎(10.2%)、TPC群で末梢感覚神経障害(2.3%)だった。
・減量関連のTEAEで多くみられたのは、T-DXd群では悪心(4.6%)および血小板数減少(3.0%)、TPC群で好中球数減少(10.5%)および手足症候群(5.2%)だった。
・全GradeのTEAEの曝露調整後発現率は、T-DXd群1.2%、TPC群2.6%だった。
・安全性プロファイルは初回解析結果と同様であり、薬物関連間質性肺疾患/肺臓炎は初回解析以降の新たな報告はなかった。

 Modi氏は「今回の結果から、HR発現の有無にかかわらず、これまでに示されているHER2低発現の転移乳がんに対するT-DXdの持続的で臨床的に意義のある改善が確認された。治療期間が長くなっても、全体的な安全性プロファイルは忍容可能でおおむね管理可能だった」とまとめた。

(ケアネット 金沢 浩子)


【参考文献・参考サイトはこちら】

DESTINY-Breast04試験(Clinical Trials.gov)

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AYA世代ER+/HER2-乳がんの臨床学的・病理学的特徴/日本癌治療学会

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 15~39歳の思春期・若年成人(adolescent and young adult:AYA)世代のがんは、ほかの世代のがんと比べて予後不良であることが多く、異なる特性を有することが指摘されている。そこで、横浜市立大学附属病院の押 正徳氏は、AYA世代のER陽性HER2陰性乳がん患者の特徴を検討し、その結果を第61回日本癌治療学会学術集会(10月19~21日)で発表した。なお、本演題は同学会の優秀演題に選定されている。

 AYA世代の乳がんの特徴として、ホルモン受容体陰性やHER2陽性、トリプルネガティブの割合が高いこと、浸潤やリンパ節転移を伴っている場合が多いことなどが挙げられている。しかし、年齢別の臨床学的・病理学的特徴については依然として不明な点が多い。そこで押氏らは、乳がん患者をAYA世代(40歳未満)、閉経期世代(40~55歳未満)、更年期世代(55~65歳未満)、高齢世代(65歳以上)の4つの年齢群に分類し、その特徴を分析した。

 本研究では、独立した3つの大規模コホートを使用した。
・YCUコホート:横浜市立大学附属病院の2施設で2014~20年に手術を受けた4,562例(うちAYA世代316例[6.9%])
・METABRICコホート:1,903例(うちAYA世代116例[6.1%])
・GSE96058コホート:3,273例(うちAYA世代123例[4.0%])

 臨床病理学的因子の検討にはYCUコホートとMETABRICコホートを用い、生物学的特徴の解析にはMETABRICコホートとGSE96058コホートを用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・臨床病理学的因子の検討において、AYA世代はプロゲステロン受容体(PgR)陽性、pN≧1の割合が高かった。
・AYA世代は、がん特異的生存率だけでなく全生存率も不良であった。YCUコホートにおいては、AYA世代のがん特異的生存率は、閉経期世代や更年期世代だけでなく、高齢世代よりも不良であった(p=0.012)。
・生物学的特徴の解析では、エストロゲンの活性度は高齢になるほど低くなった。
・AYA世代ではほかの世代に比べて有意にG2Mチェックポイント、E2Fターゲット、MYCターゲット、mTORC1、小胞体ストレス応答、PI3K/ACT/MTORシグナルなどの細胞増殖や発がんに関連するシグナル経路の活性度が高かった。そのほかの3群は同程度であった。
・AYA世代はDNA修復シグナルやBRCAnessスコアがほかの世代よりも有意に高かった。
・腫瘍微小環境における各免疫細胞の浸潤割合は、各年齢群で異なった。

 これらの結果より、押氏は「AYA世代のER陽性HER2陰性乳がんは、ほかの世代の乳がんと比較して生物学的特徴が異なり、それが予後に影響している可能性がある。その特徴を理解し、AYA世代に特化した治療戦略の開発・検討が必要である」とまとめた。

(ケアネット 森 幸子)


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