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SERENA-6試験は、ER+/HER2-の進行乳がんに対して1次治療のアロマターゼ阻害薬(AI)+CDK4/6阻害薬併用療法中、病勢進行する前にctDNA検査でESR1変異が検出された患者において、CDK4/6阻害薬を継続しAIを経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)camizestrantに切り替えることの有用性を検討した国際共同第III相二重盲検試験である。すでに中間解析(データカットオフ:2024年11月28日)で、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の有意な改善(ハザード比[HR]:0.44、p<0.0001)が報告されている。今回、日本人集団の結果(データカットオフ:2025年6月30日)について、名古屋市立大学の岩田 広治氏が第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)で発表した。
本試験では、1次治療としてAI+CDK4/6阻害薬を6ヵ月以上投与されたER+/HER2-進行乳がん患者に、定期的な画像検査に合わせて2~3ヵ月ごとにctDNA検査を行い、ESR1変異の有無を評価した。ESR1変異出現時に病勢進行が認められない患者を、camizestrant(75mg、1日1回経口投与)+CDK4/6阻害薬(種類・用量を継続)+AIのプラセボ、およびAI+CDK4/6阻害薬+camizestrantのプラセボの2群に1:1に無作為に割り付けた。主要評価項目は治験責任医師判定によるPFS、副次評価項目はPFS2と全生存期間(OS)であった。
主な結果は以下のとおり。
・315例中20例が日本人患者であった(camizestrant+CDK4/6阻害薬群:11例、AI+CDK4/6阻害薬群:9例)。患者の背景因子は全体集団ではバランスがとれていたが、日本人集団は少数のためバランスがとれておらず、初回検査でのESR1変異検出例は、camizestrant+CDK4/6阻害薬群が73%とAI+CDK4/6阻害薬群の33%より多く、早期進行例もcamizestrant+CDK4/6阻害薬群で多かった。
・PFS中央値は、camizestrant+CDK4/6阻害薬群が19.4ヵ月、AI+CDK4/6阻害薬群が9.3ヵ月、HRは0.42(95%信頼区間[CI]:0.08~0.93)で有意な改善がみられた。
・PFS2中央値は、camizestrant+CDK4/6阻害薬群が35.5ヵ月、AI+CDK4/6阻害薬群が19.4ヵ月、HRは0.38(95%CI:0.10~1.36)で全体集団と同様の傾向であった。
・最初の後続治療までの期間(TFST)の中央値は、camizestrant+CDK4/6阻害薬群が20.4ヵ月、AI+CDK4/6阻害薬群が7.7ヵ月、HRは0.30(95%CI:0.09~0.92)で全体集団と同様の傾向であった。2回目の後治療までの期間(TSST)も同様の傾向であった。
・化学療法もしくはADC(抗体薬物複合体)フリー生存期間の中央値は、全体集団でcamizestrant+CDK4/6阻害薬群が22.7ヵ月、AI+CDK4/6阻害薬群が18.7ヵ月、HRは0.69(95%CI:0.49~0.97)であり、日本人集団でも同様の傾向であった。
・全体集団において、camizestrant+CDK4/6阻害薬群では8週以内にESR1変異のアレル頻度が大幅に減少したが、AI+CDK4/6阻害薬群ではほとんどの患者で増加した。
・camizestrant+CDK4/6阻害薬群は、日本人患者において良好な忍容性を示し、Grade3以上の有害事象は27.3%で、有害事象プロファイルは全体集団と同様であった。
・日本人集団では、camizestrant+CDK4/6阻害薬群での好中球数減少症は全Gradeが27.3%、Grade3以上が18.2%であり、曝露期間を調整した発現割合はcamizestrant+CDK4/6阻害薬群のほうが低かった。
・camizestrantによる光視症は全体集団では20.6%に報告されたが、日本人集団では2例のみでどちらもGrade1であった。
これらの結果から、岩田氏は「1次治療の内分泌療法を、CDK4/6阻害薬を継続しながらcamizestrantに切り替えることは、病勢進行を遅らせ、化学療法/ADCフリー生存期間を延長させるだけでなく、ESR1変異のアレル頻度を大幅かつ迅速に減少させることにより、治療上のベネフィットを大幅に高める」とまとめた。
(ケアネット 金沢 浩子)







