乳がんでの免疫チェックポイント阻害薬の臨床開発はかなり複雑/日本癌治療学会

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 2020年の乳がん診療におけるトピックスの1つとして、トリプルネガティブ(TN)乳がんに対する免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の第III相試験の結果が多く発表されたことが挙げられる。しかし、これらの結果にはまだまだ未知の要因が関係しており、その理解はかなり複雑である。福島県立医科大学の佐治 重衡氏は、これらの試験結果によるディスカッションポイントについて、第58回日本癌治療学会学術集会(10月22~24日)の会長企画シンポジウムにおける「乳癌診療の新たな構築 2020」で解説した。

 乳がんでは腫瘍遺伝子変異量(TMB)が少ないとされ、ICIへの期待は高くはなかった。しかし、2019年にPD-L1陽性進行/再発TN乳がんに対するアテゾリズマブ+nabパクリタキセルが承認され、今後、ペムブロリズマブもKEYNOTE-355試験の結果を基にPD-L1陽性進行/再発TN乳がんに承認される可能性が高い。今回、佐治氏は、乳がんにおけるICI治療でのディスカッションポイントとして、早期乳がんと進行/再発乳がんでICIの効果が異なる点、ICIと組み合わせる化学療法によって異なる点を挙げ、それぞれ解説した。

早期乳がんと進行/再発乳がんでICIの効果が異なるのは?

 早期(Stage II~III)TN乳がんの術前治療としてのアテゾリズマブを検討した第III相試験であるIMpassion031試験がESMO2020で発表された。本試験では、術前治療としてnabパクリタキセルを12週投与後、ドキソルビシン+シクロホスファミド8週投与する群とアテゾリズマブ追加群を比較した結果、術後の病理学的完全奏効(pCR)がアテゾリズマブ追加群で57.6%とプラセボ群(41.1%)より16.5%上乗せされたことが示された。また、この上乗せはPD-L1発現状況にかかわらずみられた。

 ESMO2019で発表されたKEYNOTE-522試験においても、IMpassion031試験とは化学療法(カルボプラチン+パクリタキセルを4サイクル後、ドキソルビシン/エピルビシン+シクロホスファミドを4サイクル)は異なるが、早期TN乳がんの術前治療にペムブロリズマブを追加することによりpCRの上乗せが示された。また、IMpassion031試験と同様に、PD-L1発現状況にかかわらず15%前後の上乗せが示された。どちらもリンパ節転移陽性例のほうが陰性例より上乗せ効果が高かった。

 佐治氏は、この2つの試験結果から、なぜ早期乳がんではPD-L1陰性でも効果があるのか、また、なぜリンパ節転移陽性だとpCRの上乗せが顕著なのか、疑問を呈した。

 まず前者について、佐治氏はESMO2020で発表されたNeoTRIP試験(早期TN乳がんに術前治療としてカルボプラチン+nabパクリタキセルにアテゾリズマブを追加)の結果を提示した。本試験では、術前治療前と途中のペア組織生検からPD-L1の発現変化を調べた結果、アテゾリズマブ併用群では、治療前にPD-L1陰性だった患者のうち64.3%が治療の途中で陽性となったのに対して、プラセボ群では17.7%しか陽性にならなかった。この結果から、佐治氏は、抗PD-L1抗体の併用により原発腫瘍のPD-L1の発現が誘導される可能性を言及した。

リンパ節転移のICIの効果への影響は?

 後者については、治療する時点でリンパ節転移がある場合にICIの効果が顕著であるとするなら、リンパ節転移陽性の患者さんが乳房切除+リンパ節郭清といった手術後にICIを受けるときの効果はどうなるのか、という疑問が生じる。

 これまで術前治療と術後治療は効果が同じという前提で治療を行ってきているが、治療時にリンパ節転移があるほうがICIの効果が高いという仮説が正しいのであれば、術前治療と術後治療においてICIの利益には差があることになってしまう。佐治氏は「もしそうであれば、ICIを使用する時代になったときに手術を含めた治療戦略そのものを変えなければいけない」と述べ、「今後、術後治療でのICIの結果が出てきたとき、リンパ節転移の有無が本当に大事なのかどうかは重要なポイントとなる」と指摘した。

ICIと組み合わせる化学療法の違いで異なる結果

 ICIと組み合わせる化学療法については、これまで、何を選んでもある程度の上乗せを期待できると考えられてきた。しかし、ESMO2020で発表されたIMpassion131試験は、対象が同じ未治療のPD-L1陽性進行/再発TN乳がんであるにもかかわらず、IMpassion130試験と異なる結果であった。すなわち、アテゾリズマブにnabパクリタキセルを組み合わせたIMpassion130試験では、無増悪生存期間(PFS)の上乗せ効果があったのに対し、パクリタキセルを組み合わせたIMpassion131試験では上乗せ効果がなかった。

 この理由として、パクリタキセルの場合はステロイドを投与するためという意見もあるが、KEYNOTE-355試験など、ステロイドを必要とする化学療法との組み合わせがある他の試験では効果がみられているため、よくわかっていないという。佐治氏は、「今後、サブセット解析や細かいデータを見直した結果が発表されたときに、化学療法のペアの問題がどれくらい重要なのかがわかるだろう」と述べた。

 最後に佐治氏は、「進行/再発乳がんではPD-L1陽性例にしか効果がないのに、なぜ早期乳がんではPD-L1の発現によらず効果があるのか。また、早期乳がんにおいてリンパ節転移が治療効果に影響している結果をどう解釈すればよいのか。さらに、どの化学療法を組み合わせて開発していくのか。乳がんにおけるICIの臨床開発は簡単ではなく、やるべきことが多いことがわかった」と課題を述べ、講演を締めくくった。

(ケアネット 金沢 浩子)


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がん診療病院でのCOVID-19クラスター、その教訓は/日本癌治療学会

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 市中感染が広がる状況下では、感染者が院内に入り込む可能性や院内感染発生のリスクが常にある。リスクをいかに減らし、万が一予期せぬ感染者が発覚した場合にどのような対応が必要か、がん診療をどのように維持していけばよいのか。第58回日本癌治療学会学術集会(10月22~24日)で、「COVID-19蔓延期の癌治療―体験と教訓―」と題した会長企画シンポジウムが開かれ、がん診療を担う病院での今春からの経験、実施している対策が相互に共有された。本稿では、加藤 秀則氏(北海道がんセンター)、佐藤 悠城氏(神戸市立医療センター中央市民病院)による発表内容を中心に紹介する。

がんセンターでクラスター発生、背景に何があったか

 北海道がんセンターでは、4月13日に消化器内科病棟で看護師1名と患者1名が発熱、翌日には同病棟勤務の看護師2名も発熱した。当時院内ではPCR検査が実施できなかったため、保健所を通じPCR検査を実施したところ、16日に4名で新型コロナウイルス陽性を確認。これを契機に、同病棟および隣接する泌尿器科(同フロア)の患者、勤務する看護師、医師らの間で集団感染が発生した。厚生労働省クラスター班による調査・指導等を経て、5月16日に看護師1名の感染が確認されたのを最後に、6月13日の終息宣言に至った。

 加藤氏は、クラスターが発生してしまった原因として下記を挙げている:
・病院の収益を確保するため、病床稼働率を上げなければならず病棟は密な状態であった
・がん患者はさまざまな病態で熱発していることも多く、最初からコロナ肺炎を疑わない症例も多い
・がん患者はPSの悪いことも多く、看護師が密着せざるを得ない看護も多い
・築40年程度経過した病院で全体にスペースも狭く、空調も悪く、陰圧室もない
・PCR検査は市の保健所でしか実施できず、疑い症例を自由に、迅速に行える状況ではなかった

 端緒となったと考えられる患者は感染発覚前に、消化器内科から泌尿器科の病室に移っており、その隣室患者および看護した看護師へと伝播していった。加藤氏は、「進行がんで看護必要度の高い患者さんが多く、主に看護師を通して伝播したと考えられる」と話した。感染者の中には清掃やリネン、放射線技師といった病棟横断的に業務を行う者も含まれており、院内感染防止の観点から注意が必要な部分と振り返った。

 また、消化器内科病棟勤務で感染した看護師19名のうち、1回目のPCR検査で陽性となったのは13名。2回目が5名で、症状だけが続き4回目ではじめて陽性となった者も1名いたという。加藤氏は、PCR検査の感度、タイミングの問題も考えていかなければいけないと話した。

外来・病棟それぞれにおける感染対策の改善点

 同センターでは、外来・病棟それぞれにおいて、下記を中心とした感染対策の改善を行っている。

[外来での改善点]
・待合室の3密対策
・入口を1ヵ所にしてサーモグラフィチェック
・発熱者の隔離部屋を用意
・採血室、外来化学療法室の増設
・過密回避、外来診察室の医師と患者の間にスクリーンの設置
・各受付にスクリーンの設置
・CTなどの検査機器、X線照射装置、胃カメラ、ベッドなどは毎回消毒
・電カル、キーボード、マウスのアルコールペーパーでの消毒など職員の衛生意識改善

[病棟での改善点]
・定期入院はすべて事前にPCRと肺CT検査を行い陰性者のみ入院
・PCRは自院の装置、検査会社との契約により件数拡充
・臨時入院は個室隔離し、PCR結果が出るまではPPE対応
・病室は過密対策で稼働を50%にコントロール
・看護師休憩室の増設
・面会の全面禁止

 また、復帰した医療者のメンタルケアの重要性を感じたと加藤氏。感染症から回復して復帰しても、精神的に回復するまでには時間を要したという。「プライバシー保護にも配慮が必要であるし、回復には時間がかかる。専門の心理療法士に依頼し、病院全体を挙げてのケアの必要性を感じた」と話した。

COVID-19患者の在院日数の長さ、ゾーニングの盲点、強い感染力が背景因子に?

 神戸市立医療センター中央市民病院は、地域がん診療拠点病院であるとともに第一種感染症指定医療機関で、神戸市でCOVID-19が初発した3月上旬より、約200例のCOVID-19患者を受け入れている。うち、7例が院内感染によるもの。佐藤氏は、院内感染発生の原因として、1)COVID-19患者の在院日数の長さ、2)ゾーニングの問題、3)強い感染力を挙げて考察した。

 1)については、酸素投与を要した患者における在院日数の中央値は31日、ICU在室日数の中央値は9日と長く、病床がひっ迫していた状況があった。2)10床の感染症病床(陰圧個室)を有し、専門看護師が感染者の看護に従事していたが、ナースステーションと休憩室は一般病床を担当する看護師と共通で、ここで医療従事者間での感染が起こったと推測される。3)同院での院内感染の伝播において重要な役割を果たしたと考えられる患者は、透析患者で当初感染が疑われておらず、せん妄があったことなどからナースステーションでの大声での発話などがあり、PCRでは高ウイルス量が検出されるなどの因子が重なって、複数の医療従事者の感染につながったことが推測される。

多いCOVID-19疑似症、対策はあるのか

 同院では、ビニールシートによる職員の保護等ゾーニングの徹底や、全例PCRを実施する入院前検査のほか、COVID-19合同診療チームを立ち上げて対策にあたっている。重症例はICUで一括管理できるものの、軽症~中等症例はICUを出た後各科の持ち回りになるため、1人の医師が感染者と非感染者の診療を行うことに対するリスクを減らすため、このチームが立ち上げられた。全科から選抜、各科業務を完全に外れ、2週間勤務後1週間の自宅待機を経て復帰する。

 2月はじめから院内感染により病院が機能停止した4月中旬までの約2ヵ月半で、救急外来と感染症外来を受診したCOVID-19疑似症患者は286例に及ぶ。そこで同院では、感染拡大期には感染疑い病棟を設置。PCR検査が陰性であっても、類似症状や胸部異常影がある患者についてはいったん同病棟に収容し、担当医も分ける形をとるようにした。感染対策解除基準のフローを作り、どうしても臨床的な疑いが解除できない患者においては何度でもPCR検査を行い、それまで感染症対応を解除しないという方法をとっている。

「今後のがん診療では、COVID-19疑似症の対応は必須になるのではないかと考えている」と佐藤氏。胸部CTにおいて、一見器質化肺炎が疑われた患者でCOVID-19陽性であった例や、末梢側のすりガラス影がみられる患者で薬剤性肺障害であった例など、いくつか自験例を示して解説した。

 自院の症例約100例でCOVID-19と薬剤性肺障害の背景因子を後ろ向きに比較した結果では、COVID-19症例では陰影のある肺葉数が多いという傾向はみられたものの、大きな臨床所見の差はみられなかった。呼吸器内科医としては、今後これらの鑑別をしっかり行っていかなければならないと話し、またCOVID-19後遺症として罹患後に間質陰影を呈した肺がん症例での治療再開の判断の難しさにも触れ、後遺症に関してもエビデンスの蓄積が待たれるとした。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


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ER+HER-早期乳がんの長期予後予測、治療前18F-FDG PET/CTのSUVmaxが有用/日本癌治療学会

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 乳がんで最も頻度の高いER陽性HER陰性早期乳がんは、10年以上の長期にわたって再発を来すことが知られており、近年は遺伝子検査などによる予後予測が行われている。今回、東京女子医科大学の塚田 弘子氏らによる研究で、治療前18F-FDG PET/CT (以下、PET/CT)での原発巣SUVmax値(maximum standardized uptake values)およびリンパ節転移個数が長期無再発生存期間(RFS)の予測因子であり、原発巣SUVmax値は長期全生存期間(OS)の単独予測因子であることが示唆された。第58回日本癌治療学会学術集会(10月22~24日)で報告された。

 PET/CTは乳がん診療において2~5年程度の短期予後予測には有用との報告があるが、10年以上のRFSやOSとの相関は示されていない。本研究は、2007年1月~2010年5月に東京女子医科大学病院で治療が開始された原発性乳がんのうちcStage II以下かつER陽性HER陰性浸潤性乳管がん340例を対象とし、患者/腫瘍背景、治療前PET/CTのFDG集積がRFSおよびOSに与える影響をCox回帰比例ハザードモデルで評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・観察期間中央値121ヵ月(16~159ヵ月)、再発は32例(9.4%)、死亡は17例(5.0%)であった。
・単変量解析から、RFS予測因子の候補としてBMI、原発巣SUVmax値、浸潤径、pStage、深達度、リンパ管侵襲、核異型度、リンパ節転移個数、術後化学療法の有無が挙がり、OSの予測因子の候補としてBMI、原発巣SUVmax値、pStage、脈管侵襲、核異型度、リンパ節転移個数が挙がった。
・多変量解析の結果、RFSについては原発巣SUVmax値(ハザード比[HR]:1.47、95%CI:1.29~1.67、p<0.001)およびリンパ節転移個数(HR:1.30、95%CI:1.06~1.60、p=0.011)が独立した予測因子で、OSについては原発巣SUVmax値(HR:1.38、95%CI:1.18~1.61、p<0.001)が独立した予測因子となった。

 塚田氏は、「PET/CTにおけるSUVmax値は腫瘍活動性や増殖能との相関が報告されており、高値を示す腫瘍は増殖速度が高いことから再発を来しやすく、OSにも影響を与えているものと考えられる」とし、さらに本研究の結果から「SUVmax値は5年以降の生存率にも強く関連する」と考察している。

(ケアネット 金沢 浩子)


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進行TN乳がん1次治療へのペムブロリズマブ+化療、日本人解析結果(KEYNOTE-355)/日本乳癌学会

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 手術不能な局所再発または転移を有するトリプルネガティブ(TN)乳がんの1次治療として、化学療法とペムブロリズマブ併用の有効性を評価するKEYNOTE-355試験の全体集団における中間解析結果が2020年のASCOで発表され、PD-L1陽性(CPS≧10)患者でPFSの有意な改善が示されている。今回その日本人集団解析の結果を、国立病院機構大阪医療センターの八十島 宏行氏が第28回日本乳癌学会学術総会で発表した。

・対象:18歳以上の手術不能な局所再発または転移を有するPD-L1陽性のTN乳がん(ECOG PS 0/1)847例(日本人87例)
・試験群:ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと)+化学療法(ナブパクリタキセル、パクリタキセル、ゲムシタビン/カルボプラチンの3種類のうちいずれか)566例(61例)
・対照群:プラセボ+化学療法 281例(26例)
・評価項目:
[主要評価項目]PD-L1陽性患者(CPS≧10およびCPS≧1)およびITT集団におけるPFSとOS
[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、病勢コントロール率(DCR)、安全性

 日本人サブグループ解析の主な結果は以下のとおり。

・2019年12月11日データカットオフ時点で、国内26施設から日本人87例が組み入れられ、ペムブロリズマブ群に61例、化学療法単独群に26例が無作為に割り付けられた。
・使用された化学療法のレジメンはタキサン(23%)、ゲムシタビン/カルボプラチン(77%)、であった。
・カットオフ値CPS≧10のPD-L1陽性患者における28例のPFS中央値は、化学療法単独群5.6ヵ月に対してペムブロリズマブ併用群11.7ヵ月、ハザード比(HR)が0.52(95%CI:0.20~1.34)で、1年後無増悪生存率も44%とペムブロリズマブ群で有意な延長を認めた全体集団と大きな乖離のない結果であった。
・カットオフ値CPS≧1のPD-L1陽性患者における66例のPFS中央値は、化学療法単独群5.6ヵ月に対してペムブロリズマブ併用群7.6ヵ月、ハザード比(HR)が0.62(95%CI:0.35~1.09)であった。
・ITT集団における87例のPFS中央値は、化学療法単独群5.6ヵ月に対してペムブロリズマブ併用群7.7ヵ月、ハザード比(HR)が0.64(95%CI:0.38~1.07)と全体集団と大きな乖離は認めなかった。
・Grade3以上の治療関連有害事象(TRAE)は、ペムブロリズマブ併用群では85.2%、化学療法単独群では84.6%に発現。これは全体集団(68.1% vs. 66.9%)と比較すると高い傾向であったが、化学療法単独群でも同頻度で発現していることから、日本人集団では化学療法による影響が強くでているのではないかと推察された。
・Grade3以上の免疫関連有害事象(irAE)は、ペムブロリズマブ併用群の4.9%に発現し、化学療法単独群では発現していなかった。有害事象・頻度ともに全体集団と同様であり、日本人特有のirAEは発現していない。

 なお、米国・FDAでは現在審査中であり、本邦においても、2020年10月12日に承認申請が行われている。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


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乳がん術前/術後化学療法時の頭皮冷却が毛髪回復を早める/日本乳癌学会

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 乳がんの術前/術後化学療法時に脱毛抑制のためにPaxman Scalp Coolingシステムで頭皮冷却した後の毛髪回復状況を長期間、前向きに調査した結果から、化学療法時の頭皮冷却は脱毛を軽減するだけでなく、毛髪の回復を早め、さらに永久脱毛をほとんどなくす可能性が示唆された。国立病院機構四国がんセンターの大住 省三氏が第28回日本乳癌学会学術総会で発表した。

 本研究の対象は、Paxman Scalp Coolingシステムによる術前/術後化学療法時の脱毛研究に参加し、頭皮冷却を1回以上受け、予定していた化学療法を完遂し、脱毛状況の評価が可能だった乳がん患者122例。最後の化学療法後1、4、7、10、13ヵ月時の頭髪状況について、客観的評価(5方向からの撮影写真を医師と看護師2名で評価)でのGrade(0:まったく脱毛なし、1:1~25%脱毛、2:26~50%脱毛、3:>50%脱毛)および主観的評価(患者にかつらまたは帽子の使用を質問)でのGrade(0:まったく使っていない、1:時々使用、2:ほとんど常に使用)で分類した。全例での評価のほか、頭皮冷却を全サイクルで完遂した患者79例(A群)と、途中で頭皮冷却を中止した43例(ほとんどは1サイクルで中止)(B群)の結果を比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・122例での客観的評価における各時点でのGradeは10ヵ月時までは改善がみられたが、その後は改善がみられなかった。13ヵ月時に回復していない症例(永久脱毛と定義)は9例(7.8%)であった。
・122例での主観的評価における各時点でのGradeは、客観的評価と異なり10ヵ月時と13ヵ月時の間でも改善がみられた。しかし、13ヵ月時でも19例(16.5%)はかつらあるいは帽子を使用していた。
・A群とB群を客観的評価で比較すると、観察期間中、終始A群の脱毛の程度が有意に軽く、また回復も早かった。13ヵ月時に永久脱毛がみられた症例はA群で2例(2.6%)に対し、B群では7例(18.4%)と有意差が認められた。
・主観的評価の比較でも、A群のほうが終始、かつらあるいは帽子を使用していた症例の割合が低く、頻度も低かった(4ヵ月時と7ヵ月時で有意差あり)。
・1ヵ月時点で客観的評価がGrade3だった症例のみに限定しても、A群はB群より回復が速い傾向にあり(4ヵ月時と10ヵ月時で有意差あり)、化学療法中に脱毛が起こっても頭皮冷却を続ける意義は大きいと考えられる。一方、同じ症例(1ヵ月時点で客観的評価がGrade3)で主観的評価の経時的な結果を比較した場合、両群間で差はみられなかった。

(ケアネット 金沢 浩子)


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HER2+進行乳がんへのT-DXd、第I相/第II相試験の併合解析と日本人解析/日本乳癌学会

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 抗体薬物複合体であるトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd、DS-8201)のFirst-in-human第I相試験であるJ101試験および非盲検国際多施設共同第II相試験であるDESTINY-Breast01試験において、承認用量で投与されたHER2陽性乳がん患者での併合解析と日本人集団におけるサブセット解析を行った結果、奏効率(ORR)は全体で58.3%、日本人集団で64.7%と日本人で高い一方、血液毒性の頻度が日本人で高い傾向であったことが示された。島根大学医学部附属病院 先端がん治療センターの田村 研治氏が第28回日本乳癌学会学術総会で発表した。

 第I相J101試験でのORRは59.5%(95%CI:49.7~68.7)、第II相DESTINY-Breast01試験では60.9%(同:53.4~68.0)と高い値が報告されている。今回、これらの試験において、HER2陽性進行乳がん(T-DM1に抵抗性あるいは耐容不可)で承認用量(5.4 mg/kg、3週ごと)を投与された患者の併合解析を行い、さらに日本人集団におけるサブセット解析を実施した。

 主な結果は以下のとおり。

・併合解析の対象患者は235例(第I相:51例、第II相:184例)、年齢中央値は56.0(範囲:28~96)歳、人種はアジア人と白人がほぼ半数ずつであった。
・前治療レジメン数の中央値は6コース(範囲:2~27)で、そのうち69.8%にペルツズマブの前治療歴があった。データカットオフ(第I相:2019年2月1日、第II相:2019年3月21日)時点で120例(51.3%)が治療継続中で、投与期間中央値は7.4ヵ月(範囲:0.7~30.4)であった。
・中央判定によるORRは、全体で58.3%(95% CI:51.7~64.7)であり、DOR中央値は16.9ヵ月(同:9.5~NE)、CRは4.3%、無増悪生存期間中央値は13.9ヵ月(同:10.9~NE)であった。
・日本人(51例)のサブセット解析では、ORRは64.7%(95% CI:50.1~77.6)、CRは5.9%であった。
・治療下で発現した有害事象(TEAE)は日本人で100%、全体で99.6%にみられた。日本人では薬剤関連の中止・中断例が多く、肺炎が4例、間質性肺疾患(ILD)が3例にみられた。
・主な有害事象を日本人と全体で比較すると、日本人で好中球減少症(全Grade:60.8%)、貧血(同:58.8%)が高い傾向がみられたが、多くはGrade2以下でマネジメント可能であった。
・ILDは、全体では9.4%(22例)に発症し、2.1%(5例)が死亡した。日本人では発症が19.6%(10例)と頻度は高かったが、Grade3以上はいなかった。

 田村氏は、「T-DXdはHER2陽性乳がんにおいて高い治療効果がある一方で、ILDなどの有害事象については重要なリスクと理解し、注意深いモニタリングと適切な治療が必要」と述べた。

(ケアネット 金沢 浩子)


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アバター活用など、がんチーム医療教育に新たな取り組み/J-TOP

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 一般社団法人オンコロジー教育推進プロジェクトによるジャパンチームオンコロジープログラム(J-TOP) は、The 4th Team Science Oncology Workshopとして、従来3日間で行ってきたオンサイト・ワークショップを、オンラインに変更し、Part 1からPart 3までの3つの期間に分けて実施する。

 がん医療で、専門分野に加え必要なスキル、リーダーとして求められる資質、患者満足度の高い医療を提供するためのチームの有機的な動きなどを学ぶ。

日時および内容
・Part 1:2020年11月21日(土)、22日(日)(AM 8:00〜)4時間程度
ICE breaking skill、MBTI、コアバリューなどチーム医療において必要なスキルセットの知識習得。 加えて、項目ごとの小グループワーク。

・Part 2:2021年1月23日(土)(AM 8:00〜)4時間程度
チームが出来上がる過程、どの段階で何をしなければならないのかを“Tuckman model” の理論に基づいて学習。

・Part 3:2021年3月27日(土)(東京にて開催)Avatarを使用したオンライン・オンサイト融合ワークショップ
Avatarin社の協力で同社が開発した「avatar MICE」を活用し、オンラインとオンサイトの融合したハイブリットなワークショップ。

(ケアネット 細田 雅之)


【参考文献・参考サイトはこちら】

The 4th Team Science Oncology Workshop

参加申し込みはこちら

Avatarin ワークショップ

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進行乳がんにおける内分泌療法+BVへの切り替え、患者報告アウトカムの結果(JBCRG-M04)/ESMO2020

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 進行・再発乳がんに対する標準的化学療法は、病勢進行まで同レジメンを継続することだが、化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)や倦怠感などの用量依存的な影響が問題になる場合がある。今回、エストロゲン受容体(ER)陽性HER2陰性進行・再発乳がん患者に対して、1次化学療法のパクリタキセル(wPTX)+ベバシズマブ(BV)療法から、内分泌療法(ET)+BVの維持療法に切り替えた場合の患者報告アウトカム(PRO)について、化学療法継続と比較したところ、身体的健康状態(PWB)と倦怠感を有意に改善し、重度のCIPNを防いだことが示された。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で、福島県立医科大学の佐治 重衡氏が報告した。

 本試験は、わが国における多施設共同非盲検無作為化比較第II相試験のJBCRG-M04(BOOSTER)試験。主要評価項目である無作為化から治療戦略遂行不能までの期間(time to failure of strategy:TFS)については、wPTX+BV群8.87ヵ月、ET+BV群16.82ヵ月で有意に延長した(ハザード比:0.51、95%信頼区間:0.34~0.75、p<0.001)ことを、2019年のサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2019)で同氏が報告している。

・対象:ER陽性HER2陰性進行・再発乳がん患者に対して、1次化学療法としてwPTX+BV療法を4~6サイクル施行後、SD以上の効果が認められた患者
・介入群:wPTXを休薬しET+BVに置き換え、規定イベント後にwPTX+BVを再導入する群(ET+BV群)
・対照群:wPTX+BV継続治療群(wPTX+BV群)
・評価項目
[主要評価項目]TFS
[副次評価項目]全生存期間、無増悪生存期間、安全性、PROなど
※PROの評価は、無作為化時および無作為化後2ヵ月、4ヵ月、1年、2年に、FACT-B、EQ-5D、患者用末梢神経障害質問票(PNQ)、HADS、cancer fatigue scale(CFS)を使用

 主な結果は以下のとおり。

・1次化学療法が奏効した125例について、wPTX+BV群63例、ET+BV群62例に割り付けた。
・mixed-effect models for repeated measures(MMRM)を用いた解析では、FACT-Bのtrial outcome indexに有意差が認められ(p=0.004)、PWBの平均変化は2ヵ月後(p=0.015)および4ヵ月後(p=0.028)に、ET+BV群がPTX+BV群より有意に優れていた。
・CIPNについては、1年後における重度の運動神経障害の割合がET+BV群でwPTX+BV群よりも低かった(5.1% vs. 26.1%、p=0.017)。
・CFSでも有意差が認められ(p=0.048)、そのうち精神的倦怠感のスコアの平均変化は、2ヵ月後(p=0.006)および4ヵ月後(p=0.010)でET+BV群がwPTX+BV群より有意に優れていた。

 佐治氏は、「化学療法継続で蓄積毒性が懸念される症例において、ET+BVの維持療法は健康関連QOLの点で1つの選択肢となるだろう」と結論した。

(ケアネット 金沢 浩子)


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9日から開催の日本乳癌学会学術総会、注目トピック

提供元:CareNet.com

 COVID-19感染拡大の影響により延期されていた第28回日本乳癌学会学術総会が、10月9日(金)~31日(土)にWEB開催される。9月17日にプレスセミナーが開催され、総会会長を務める岩田 広治氏(愛知県がんセンター 副院長・乳腺科部長)、事務局長を務める澤木 正孝氏(同乳腺科医長)らが見どころについて紹介した。

開催スケジュール
10月9日(金)~31日(土) 完全WEB開催(共催セミナーのほか、パネルディスカッションや教育講演のオンデマンド配信などが期間を通じて閲覧可能)
10月9日(金)~18日(日) LIVE配信
10月13日(火)~15日(木) 厳選口演(LIVE)

厳選口演の注目トピック

 厳選口演では、応募総数1,938演題の中から採用された51題(2.6%)が発表される。それぞれLIVE配信後に、後日オンデマンド配信が行われる予定。澤木氏は、全13セッションの注目トピックについて解説した。ここでは、外科/薬物/放射線療法の各トピックを抜粋して紹介する。

・厳選口演1:外科療法[10月13日(火)9:30~10:30]
 全乳房切除から部分切除、腋窩郭清からセンチネルリンパ節生検へとさらなる手術縮小を目指した研究成果が発表予定。

・厳選口演2:オンコプラスティックサージェリー・乳房再建[10月13日(火)11:00~11:45]
 両側同時再建、部分再建、内視鏡手術での再建の工夫やNSMの新たな適応基準など。

・厳選口演6:薬物療法1[10月14日(水)9:30~10:45]
 進行乳がんに対するwPTX+BV導入療法後のホルモン維持療法の有用性(JBCRG BOOSTER試験)
 転移再発乳癌におけるパクリタキセル+ベバシズマブ導入化学療法後のホルモン療法+カペシタビン併用維持療法
 乳癌周術期化学療法時の脱毛軽減目的での頭皮冷却後の毛髪回復状況を調べた前向き研究結果

・厳選口演7:薬物療法2[10月14日(水)11:00~12:00]
 HER2陽性転移性乳癌におけるT-DM1治療直後の薬物療法の有効性:KBCSG-TR1917観察研究
 転移性HER2陽性乳癌に対するT-DM1後の治療の臨床効果に関する多施設共同コホート研究(WJOG12519B)
 HER2陽性進行乳癌患者を対象としたDS-8201のfirst-in-human第1相試験及び第2相試験(DESTINY-Breast01)における併合解析及び日本人サブセット解析

・厳選口演8:薬物療法3[10月14日(水)13:00~13:45]
 ホルモン受容体陽性乳癌の術後内分泌療法におけるS-1の併用効果(POTENT試験)
 Pembrolizumab+Chemotherapy vs Chemotherapy in Metastatic TNBC:KEYNOTE-355 Japanese Subgroup Data
 NTRK fusion陽性乳がんにおけるエヌトレクチニブ:3つの国際共同第1/2相試験の統合解析

・厳選口演13:放射線療法[10月15日(木)14:15~15:30]
 本邦乳癌患者に対する小線源を用いた乳房部分照射における観察期間中央値5年の治療成績と再発形式の特徴
 早期乳癌に対する乳房温存手術+術中放射線部分照射:10年の結果
 早期乳癌に対する炭素イオン線治療の臨床試験の経過

今年のESMOでの発表を徹底議論

 10月12日(月)16:00~18:00には、9月に開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)での乳がん領域の注目トピックについて議論する緊急特別企画がLIVE配信される(後日オンデマンド配信予定)。
・セッション1
 1)Impassion 131:TN 1st line, PD-L1+でAtezo+Nab paclitaxelのfinal OS
 2)Impassion 130:TN 1st lineでAtezo+weekly Pがnegative data
 3)ASCENT study:TN late lineで、Satizumab govitecan(SG)のP3 dataの発表
・セッション2
 4)Impassion 031:TN neoadjuvantで、Atezoを加えて、pCRが有意にアップ
 5)PALLAS study:Palboのadjuvant study negative data
 6)MONARCH E study:Abemaのadjuvant positive data

WEB上で“直接議論できる場”複数、ZOOMでオフ会も

 本来、本総会はAichi Sky Expoにおいて7月に開催予定であった。医師だけでなく、患者さんも含め全員で最新情報を共有・議論したいという意図から、通常のようにいくつもの会場を設けず、「2つのメイン会場を中心に、できるだけ仕切りを設けず、広い場所のいたるところで人が集まり議論をするというイメージで計画していた」と岩田氏。完全WEB開催となったが、その利点を生かして、演者や海外の先生方と直接議論・交流ができるような場がいくつか設けられている。

・Meet the Expert[10月14日(水)、15日(木)8:00~9:00、16:00~17:00]
 7名の先生と学会参加者が少人数で直接交流できる。※9月23日より若干名の追加登録開始。締切の可能性あり。

・ポスターツアー[10月14日(水)、15日(木)9:00~11:00]
 68名の先生が“ツアーコンダクター”となり、各6演題を厳選し、参加者とともにポスターの閲覧・演者との議論を行う初の企画。※9月23日より若干名の追加登録開始。締切の可能性あり。

・オフ会(ZOOMで飲み会)[10月12日(月)~15日(木)20:30~22:00]
 岩田会長は毎日参加予定。MC数名は毎日交代で行われる。

第28回日本乳癌学会学術総会

(ケアネット 遊佐 なつみ)


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パルボシクリブ+フルベストラント、内分泌療法感受性のHR+/HER2-進行乳がんでPFS延長(FLIPPER)/ESMO2020

提供元:CareNet.com

 ホルモン受容体陽性/HER2陰性(HR+/HER2-)、内分泌療法感受性の閉経後進行乳がん患者に対する一次治療として、CDK4/6阻害薬パルボシクリブとフルベストラントの併用療法が、フルベストラント単剤療法と比較し無増悪生存期間(PFS)を有意に延長した。スペイン・Hospital del MarのJoan Albanell氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で第II相FLIPPER試験の早期解析結果を発表した。

 第III相PALOMA-3試験において、内分泌療法抵抗性の患者に対するパルボシクリブ併用療法の有効性が示され、標準治療となっている。FLIPPER試験は、de novo症例または5年以上の術後内分泌療法を完了してから>12ヵ月後に再発した閉経後HR+/HER2-進行乳がん患者を対象とした、国際多施設共同無作為化二重盲検並行群間比較試験。

・対象:de novo症例または5年以上の術後内分泌療法を完了してから>12ヵ月後に再発した、HR+/HER2-乳がん患者(閉経後女性、再発後の治療歴なし、ECOG PS≦2)
・試験群:以下の2群に1対1の割合で無作為に割り付け
パルボシクリブ併用群:28日を1サイクルとし、パルボシクリブ(125mgを3週投与、1週休薬)+フルベストラント(500mgを1サイクル目のみ1日目と15日目、以降1サイクル毎1回投与) 94例
プラセボ群:28日を1サイクルとし、プラセボ+フルベストラント(500mgを1サイクル目のみ1日目と15日目、以降1サイクル毎1回投与) 95例
・層別化因子:内臓 vs.非内臓転移、de novo vs.再発転移
・評価項目:
[主要評価項目]1年時のPFS率(RECIST1.1による治験責任医師評価)
[副次評価項目]PFS中央値、OS、客観的奏効率(ORR)、クリニカルベネフィット率(CBR)、安全性など

 主な結果は以下のとおり。

・2016年2月~2019年1月、189例が無作為化された。
・年齢中央値は64歳、60.3%が内臓転移を有し、45.5%がde novo症例。両群のベースライン特性はバランスがとれていた。
・主要評価項目である1年時のPFS率(追跡期間中央値28.6ヵ月)は併用群83.5%(80%信頼区間[CI]:78.5~88.5) vs.プラセボ群71.9%(80%CI:65.8~77.9)。ハザード比[HR]:0.55、80%CI:0.36~0.83、p=0.064で、事前に設定された境界値(HR:0.6、検出力:80%、両側検定α=0.2)を満たした。
・副次評価項目であるPFS中央値は、併用群31.8ヵ月(80%CI:30.3~33.4) vs.プラセボ群22ヵ月(80%CI:18.5~25.1)であった(HR:0.52、80%CI:0.39~0.68、p=0.002)。
・1年時のPFS率を層別化因子ごとに解析した結果、内臓転移を有する患者(併用群81.8% vs.プラセボ群69.6%[HR:0.55、p=0.1397])およびde novo症例(90.5% vs.60.2%[HR:0.20、p=0.004])において併用群で有意な改善がみられた。
・ORRは、併用群68.3% vs.プラセボ群42.2%[オッズ比[OR]:2.9、p=0.004])。CBRは、90.4% vs.80.0%[OR:2.3、p=0.048])であった。
・頻度の高いGrade2/4の非血液毒性は、倦怠感(併用群12.8% vs.プラセボ群5.3%)、下痢(併用群3.2% vs. 2.1%)であった。
・頻度の高いGrade3/4の血液毒性は、好中球減少症(併用群68.1% vs.プラセボ群0%)、白血球減少症(26.6%vs.0%)およびリンパ球減少症(14.9% vs.2.1%)であった。好中球減少症や治療に関連した死亡例の報告はなかった。

(ケアネット)


【参考文献・参考サイトはこちら】

FLIPPER試験(Clinical Trials.gov)

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