[レポーター紹介] 矢崎 秀(やざき しゅう)
2012年 3月 日本大学医学部 卒業 2012年 4月 聖路加国際病院 初期研修医 2014年 4月 聖路加国際病院 内科専門研修医 2015年 4月 聖路加国際病院 内科チーフレジデント 2016年 4月 聖路加国際病院 腫瘍内科フェロー 2019年 4月 国立がん研究センター中央病院 腫瘍内科・先端医療科 がん専門修練医 2021年 4月 国立がん研究センター中央病院 国際開発部門・腫瘍内科 研究員 2023年 6月 Memorial Sloan Kettering Cancer Center, Department of Radiation Oncology, Research Fellow
こちらでは3月初旬にサマータイムに切り替わり、長い冬が明けました。ニューヨークでは桜も満開を迎え、春の到来を感じています。日本でも、いよいよ新年度の始まりですね。
このコラムも最終回になりますが、最後に留学後のキャリアについて考えてみたいと思います。
留学後のキャリア、どうやって選択していくか
留学後のキャリアは、大きく分けて「日本に戻るか海外に残るか」「アカデミアに残るかインダストリーに進むか」という軸で語られることが多いように思います。日本に帰国してアカデミアに就職する方が多い印象ですが、製薬企業などインダストリーに進む方も一定数います。また、帰国せず海外で就職活動を行う方もいます。
海外での就職はアカデミア・インダストリーを問わず、ポスドク採用よりもさらにハードルが高いのが現実ですが、現地にいるからこそ挑戦できるチャンスでもあります。とくにアメリカでの就職を目指す場合は、永住権がないと不利になることもあるため、早めの準備が必要となるそうです。
自身のキャリアを振り返ると、初期研修、専門研修、博士課程と、あまり悩むことなく一気に駆け抜けてきました。ポスドク採用のインタビューでも留学後のキャリアについて聞かれるため、漠然とした目標を描いていましたが、留学生活も2年近くが経過し、いよいよ本格的に考える時期にさしかかっています。これまでは(ほぼ)自分のことだけを考えてキャリアを選択してきましたが、年齢を重ね、子供も成長し、家族との時間もより大切にしたい、という思いが強くなってきました。
さらに、留学期間が長くなるほど、日本で医師研究者としての生活に戻れるかという不安も大きくなります。研究成果を患者さんに直接還元できるアカデミアに魅力を感じる一方、現在は研究に専念しているからこそ、日々の臨床業務や夜間休日の当番をこなしながら研究を継続することの難しさも実感しています。「自分のコアバリューは何か」「残りの人生をかけて何を成し遂げたいのか」といった問いに改めて向き合い、後悔のないキャリアを歩んでいきたいと思います。
New York MetsのホームスタジアムのCiti Field。 野球観戦にはまっています。
留学を考えている先生方へのメッセージ
海外留学は間違いなく人生を豊かにしてくれます。もちろん、日本にいても素晴らしい研究を行うことはできますし、キャリアの連続性も保てます。今は円安、インフレなど経済的負担も大きく、日本の常識が通じないことも多くありますが、新しい土地で世界中から集まった仲間と共に研究に打ち込む経験は非常に刺激的です。また、家族や友人との海外での思い出は何ものにも代えがたく、日本の良さを再認識する機会にもなります。もし今、迷っている方がいらっしゃいましたら、ぜひ挑戦してみてください。
NYではミュージカル鑑賞も外せません。
ダイカーハイツのクリスマスイルミネーション。 個人宅というのが驚き。
バックナンバー
4 海外研修留学便り【米国留学記(矢崎 秀氏)】第4回
3 海外研修留学便り【米国留学記(矢崎 秀氏)】第3回
2 海外研修留学便り【米国留学記(矢崎 秀氏)】第2回
1 海外研修留学便り【米国留学記(矢崎 秀氏)】第1回