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HR+/HER2-の進行乳がんに対するCDK4/6阻害薬と内分泌療法の併用療法は、内分泌療法単独よりも無増悪生存期間(PFS)や全生存期間(OS)を有意に延長したことが報告されている。3剤のCDK4/6阻害薬はそれぞれ薬理作用や安全性が異なるが、有効性を直接比較した大規模な試験は実施されていないため、特定の状況においてどのCDK4/6阻害薬がより効果的であるかは臨床的に重要な課題である。そこで、イタリア・IRCCS財団国立がん研究所のLeonardo Provenzano氏らは、パルボシクリブ、アベマシクリブ、ribociclibを内分泌療法と併用した場合の有効性を比較する多施設共同観察研究「PALMARES-2試験」を実施した。 対象は、2016年1月~2023年9月にイタリアのがんセンター18施設で治療を開始したHR+/HER2-の進行乳がん患者であった。本研究は観察研究であるため、CDK4/6阻害薬および内分泌療法は担当医が選択して処方した。主要評価項目はリアルワールドにおけるPFS(rwPFS)であった。多変量Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、個々のCDK4/6阻害薬とrwPFSの関連性を解析した(データカットオフ:2024年1月31日)。 主な結果は以下のとおり。 ・1,982例の患者が本試験に組み入れられた。パルボシクリブが投与されたのは789例(39.8%)、アベマシクリブは457例(23.1%)、ribociclibは736例(37.1%)であった。年齢中央値は63歳、内分泌療法抵抗性が33%、閉経前が18%、de novo StageIVが29%であった。 ・全体におけるrwPFS中央値は34.1ヵ月であった。アベマシクリブとribociclibは、パルボシクリブと比較してrwPFSが良好であった。調整ハザード比(aHR)と95%信頼区間(CI)は下記のとおり。 -アベマシクリブvs.パルボシクリブのaHR:0.76(95%CI:0.63~0.92)、p=0.004 -ribociclib vs.パルボシクリブのaHR:0.83(95%CI:0.73~0.95)、p=0.007 -アベマシクリブvs.ribociclibのaHR:0.91(95%CI:0.73~1.14)、p=0.425 ・アベマシクリブは、パルボシクリブよりも、内分泌療法感受性、内分泌療法抵抗性、Luminal B-like(PgR<1%および/またはKi67>20%と定義)、閉経前、ECOG PS不良、de novo StageIVの患者においてrwPFSが良好であった。 ・アベマシクリブは、ribociclibよりも、de novo StageIVの患者においてrwPFSが良好であった。 ・ribociclibは、パルボシクリブよりも、内分泌療法抵抗性、Luminal B-like、閉経前、de novo StageIV、肝転移の患者においてrwPFSが良好であったが、高齢患者においてはパルボシクリブよりも不良であった。 ・骨転移のみを有する患者においては、3剤ともに同等の有効性を示した。
(ケアネット 森)
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Provenzano L, et al. Ann Oncol. 2025 Apr 7. [Epub ahead of print]
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