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センチネルリンパ節(SLN)転移陽性の乳がん患者に対しては、これまで腋窩リンパ節郭清(ALND)が推奨されてきたが、乳房温存術(BCS)を受ける患者でSLN転移が限局的な患者に対しては、Z0011試験などの結果を踏まえALND省略が考慮されるようになっている。しかし、乳房全切除術(TM)を受ける患者に関しては、エビデンスが限られ、結果も一貫していない。中国・Qilu Hospital of Shandong UniversityのJinyi Xie氏らは、1〜2個のSLN転移陽性早期乳がん患者において、ALND群とセンチネルリンパ節生検(SLNB)単独群の生存アウトカムを比較することを目的としてメタ解析を実施。BCSを受ける患者とTMを受ける患者におけるサブグループ解析も行い、結果をOncologist誌オンライン版11月14日号で報告した。
PubMed、Embase、Cochrane Library、Web of Scienceを対象に2024年12月までに発表された文献を系統的に検索し、計29件の研究(うち6件は無作為化比較試験、23件は観察研究)を特定した。これらの研究には計14万6,407例の患者が含まれる。全生存期間(OS)、無病生存期間(DFS)、無再発生存期間(RFS)などの生存アウトカムをランダム効果モデルまたは固定効果モデルを用いて統合解析し、異質性と出版バイアスはI2統計量、Begg検定およびEgger検定を用いて評価した。さらに、研究デザイン、手術の種類(TM vs.BCS)、T分類に基づくサブグループ解析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・ALND群とSLNB単独群の間でOS(オッズ比[OR]:0.93、95%信頼区間[CI]:0.83~1.04)、DFS(OR:1.02、95%CI:0.87~1.20)、RFS(OR:1.08、95%CI:0.89~1.30)に有意な差は認められなかった。
・しかしTMサブグループにおいては、ALND群でOSの改善と関連していた(OR:0.75、95%CI:0.62~0.90)。同様に、T3~T4の患者ではALND群でOSアウトカムが良好な傾向がみられた。
・DFSとRFSについては、サブグループ間で有意な差は認められなかった。
著者らは、今回の結果は1~2個のSLN転移陽性早期乳がん患者において、SLNB単独はALNDと同等の生存成績を示し、BCSを受ける患者における安全性を支持するものとした。一方、TMを受ける患者やT3~T4の患者においてALNDが生存利益と関連する可能性が示唆された。しかし、選択バイアスや交絡による影響を受けている可能性があるため、現時点でこれらのサブグループ解析結果が治療方針を変更する根拠とはならないとし、質の高い前向き研究による検討が求められると結んでいる。
(ケアネット 遊佐 なつみ)
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Xie J, et al. Oncologist. 2025 Nov 14. [Epub ahead of print]








