通院費増で遺伝子変異に関連した治験への参加率が低下、制度拡充が必要/国立がん研究センター

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 がんの臨床試験(治験)では、地域の医療機関が参加条件に該当した患者を治験実施施設に紹介することが一般的だ。患者は自宅から離れた治験実施施設に通わねばならないケースも多く、時間的・経済的負担が生じる。国立がん研究センター中央病院 先端医療科の上原 悠治氏、小山 隆文氏らは、施設までの通院費と治験の参加可能性が関連するかを検討する後ろ向きコホート研究を行った。

 2020~22年に、がん遺伝子パネル検査後に国立がん研究センター中央病院に治験目的で紹介された進行固形腫瘍患者1,127例を対象に、通院費と治験参加状況の関連を調査した。主要評価項目は遺伝子変異に関連した治験への参加、副次評価項目は遺伝子変異とは関連しない治験への参加だった。多変量ロジスティック回帰分析により、移動費用と治験参加率との関連を評価した。本研究の結果はESMO Real World Data and Digital Oncology誌オンライン版2025年2月25日号に掲載された。

 主な結果は以下のとおり。

・1,127例のうち、127例(11%)は遺伝子変異に関連した治験に参加し、114例(10%)は遺伝子変異とは関連しない治験に参加した。
・通院費(公共交通機関の往復料金)の中央値は17ドル(約2,000円:2022年、研究開始時の為替レート[1ドル=120円]で計算)だった。多変量解析の結果、通院費が100ドル(約1万2,000円)以上の患者は、100ドル未満の患者と比較して、遺伝子変異に関連する治験に参加する割合が有意に低いことが示された(7%vs.13%、オッズ比[OR]:0.51、95%信頼区間[CI]:0.30~0.88)。
・遺伝子変異に関連する治験への参加する割合は、通院費が100ドル未満、100~200ドル未満、200ドル以上と増加するにつれ低下した(13%vs.9%vs.6%、OR:0.70、95%CI:0.28~1.52、OR:0.46、95%CI:0.22~0.85)。
・通院費は遺伝子変異とは関連しない治験へ参加する割合には影響を与えなかった。遺伝子変異に関連する治験の参加者は初回診察予約から治験参加までの期間の中央値が、遺伝子変異とは関連しない治験の参加者よりも短かった(21日vs.31日、p=0.006)。

 この結果を受けた上原氏のコメントは以下のとおり。

 「現在、国立がん研究センターでは、治験参加者への『被験者負担軽減費』として通院の負担を軽減する制度がある。しかし、当制度は参加者の居住地にかかわらず一律で、遠方に住む参加者は交通費の負担が重くなる傾向にある。本邦で治験を実施している多くのがんセンターや大学病院でも、こうした負担軽減費の相場は1回の通院あたり7,000~1万円程度となっており、通院費が遠方から治験を検討している患者の大きな負担となっていることが予想された。

 米国の場合、2018年に出た米国食品医薬品局(FDA)のガイダンス1)で、通院費、宿泊費等の合理的な費用を支給することは治験参加者に対して不当な影響を及ばさない(=治験に参加する強い誘引にならない)旨が示されており、全額支給を行う医療機関も増えてきている。同様の制度を本邦で検討する際、実際に高額な通院費が治験に入る際の障壁になっていないかどうか検討するために計画したのが本研究だ。

 結果として、がんの遺伝子変異に関連する一治験において、通院費負担が大きくなるほど参加する割合が低下することが確認された。遺伝子変異とは関連しない一治験では傾向が見出されなかったのは、遺伝子変異に関連する治験に比べて治験参加までの期間が長く、その間に病態が進行して参加できなくなる、などの背景があったと考察している。

 本邦における治験へのアクセスの地域格差を解消するため、この結果をもとに、参加者の居住地に応じた被験者負担を軽減する制度の必要性が感じられた。今後は、患者個々の社会的因子を考慮した通院費の負担感など、より詳細な因子を調査することも検討している。また、オンライン診療などを活用する分散型臨床試験(DCT)の導入が別のアプローチの解決策となる可能性がある。」

(ケアネット 杉崎 真名)


【参考文献・参考サイトはこちら】

1)Payment and Reimbursement to Research Subjects/FDA

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カピバセルチブ使用時の高血糖・糖尿病ケトアシドーシス発現についての注意喚起/日本糖尿病学会

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 「内分泌療法後に増悪したPIK3CAAKT1またはPTEN遺伝子変異を有するホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん」を適応症として2024年5月に発売された経口AKT阻害薬カピバセルチブについて、日本糖尿病学会では2025年4月15日、高血糖・糖尿病ケトアシドーシス(DKA)発現についての注意喚起1)を発出した。以下に抜粋するとともに、これを受けて同日発表された日本乳癌学会からの見解2)についても紹介する。

 インスリンシグナル伝達のマスターレギュレーターであるAKTを阻害するカピバセルチブにより、インスリン抵抗性が誘導され高血糖を発現するリスクが想定される。実際に臨床試験(CAPItello-291試験)3)では有害事象として16.9%に高血糖を認めており、わが国における市販直後調査(2024月5月22日~2024年11月21日)でも高血糖関連事象が33例報告され、そのうち1例がDKAにより死亡している(推定使用患者数約350例)。

 臨床成績を踏まえ、適正使用ガイド4)においては、投与開始後1ヵ月間は2週間ごと、その後も1ヵ月ごとの空腹時血糖値の測定、3ヵ月ごとのHbA1cの測定が推奨されていた。しかしながらとくに注意すべき点として、投与開始1日目から高血糖の発現の可能性があること(高血糖発現の中央値:15日、範囲:1~367日)、一部の症例でDKAを発症すること、また、国内市販後ではもともと非糖尿病者であったにもかかわらず、カピバセルチブ投与を開始後、DKAを発症し、大量のインスリン(100単位/時間)投与によっても血糖マネジメントが不十分で死亡に至った症例が報告されていることが挙げられる

 CAPItello-291試験では、1型糖尿病またはインスリンの投与を必要とする2型糖尿病患者およびHbA1c 8.0%以上の患者は除外されていたことから、インスリン分泌が高度に低下した症例へのカピバセルチブ投与の際には、投与初日からのより綿密な血糖値などのモニタリング、食欲不振などの消化器症状を含めた問診および診察、ならびに原疾患治療にあたる医師と糖尿病を専門とする医師(不在の場合は担当内科医)の適切な連携が重要であると思われる。急激な血糖値上昇のリスクや大量のインスリン投与を要する可能性も想定し、診療にあたっていただきたい。

 日本糖尿病学会からの注意喚起発出を受け、日本乳癌学会からも補足事項として見解が発表された。補足事項では、上記下線部分の症例に加え、同様にDKAを発症した症例がもう1症例あるとし、これらの症例はそれぞれ再発病変に対する10次治療、8次治療としてカピバセルチブが投与されているとした。乳がん診療医においては、CAPItello-291試験の適応基準(主に2次治療から3次治療での使用)に沿った治療を行うよう注意喚起するとともに、以下の見解を示している。

・CAPItello-291試験の適応基準を守った場合でも高血糖やDKAが発生する可能性はあり、注意深い経過観察が必要であることには変わりないが、その場合の検査スケジュールは推奨されているものでよいと思われる。
・やむを得ずCAPItello-291試験の適応基準外の投与となった場合には、検査や診察を含め厳重な経過観察が必要。
・また、高血糖に関してGrade2以上の有害事象が発生した場合は、関係各科と緊密に連絡をとりながら厳重な経過観察が必要。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


【参考文献・参考サイトはこちら】

1)日本糖尿病学会:AKT阻害薬カピバセルチブ使用時の高血糖・糖尿病ケトアシドーシス発現についての注意喚起

2)日本乳癌学会:日本糖尿病学会からの注意喚起「AKT 阻害薬カピバセルチブ使用時の高血糖・糖尿病ケトアシドーシス発現について」

3)CAPItello-291試験(ClinicalTrials.gov)

4)アストラゼネカ医療関係者向けサイト「安全性情報(トルカプ)」

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日本の男性乳がんの生存率、女性乳がんと比較~12府県のがん登録データ

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 男性乳がんと女性乳がんの予後を比較した研究の結果は一貫しておらず、わが国において男性乳がんと女性乳がんの予後を大規模集団で比較した研究はほとんどない。今回、愛知県がんセンターのDaisy Sibale Mojoo氏らが12府県のがん登録データを用いて検討した結果、男女の乳がんの純生存率が同程度であることが示された。Cancer Science誌オンライン版2025年3月3日号に掲載。

 本研究では、宮城県、山形県、栃木県、新潟県、福井県、愛知県、滋賀県、大阪府、鳥取県、山口県、長崎県、熊本県において1993~2011年に診断された乳がん18万1,540例(うち男性1,058例、0.6%)を解析した。5年および10年の純生存率(net survival:がん以外の死亡がなかったと仮定した場合の生存率)を推定し、性別、期間(1993〜97年、1998〜2002年、2003〜06年、2007〜11年)、年齢(50歳未満、50〜69歳、70〜99歳)、病期、組織型で層別化した。過剰ハザード比(EHR)は、期間、年齢、病期、組織型で調整した。これらの因子間の異質性の評価にはコクランのQ検定を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・男性乳がん全体の5年および10年純生存率推定値はそれぞれ90.7%(95%信頼区間[CI]:86.3~93.7)および83.7%(同:72.2~90.8)、女性乳がん全体ではそれぞれ88.3%(同:88.1~88.5)および79.1%(同:78.7~79.4)であった。
・男性乳がんの生存は女性乳がんと同程度であり、EHRは5年生存で0.88(95%CI:0.70~1.09)、10年生存で0.86(同:0.69~1.07)であった。
・異質性の分析では、これらの層において生存率に有意な性差は認められなかった。

(ケアネット 金沢 浩子)


【原著論文はこちら】

Sibale Mojoo D, et al. Cancer Sci. 2025 Mar 31. [Epub ahead of print]

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StageII/IIIのHR+HER2-乳がんの術後内分泌療法後、リアルワールドでの再発リスクと治療成績

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 術後内分泌療法を受けたStageII/IIIのHR+HER2-早期乳がん患者における再発リスクをリアルワールドで検討した米国・Sarah Cannon Research InstituteのJoyce O’Shaughnessy氏らの後ろ向き研究の結果、リンパ節転移陰性患者も含め、再発リスクが依然として高いままであることが示された。Breast誌2025年6月号に掲載。

 本研究では、ConcertAI Patient360データベース(1995年1月~2021年4月)を用いて、手術を受け術後内分泌療法を受けた18歳以上のStageII/IIIのHR+HER2-早期乳がん患者を後ろ向きに解析した。再発リスクは、改良されたSTEEP基準による無浸潤疾患生存(iDFS)を用いて評価した。サブ解析で、術後内分泌療法として非ステロイド性アロマターゼ阻害薬(NSAI)を投与された患者とタモキシフェンを投与された患者のiDFS、遠隔無病生存、全生存を評価した。なお、CDK4/6阻害薬については、アベマシクリブが術後補助療法に承認されたのが2021年10月であり、本解析のデータベースのカットオフ日以後のため、投与された患者はいなかった。

 主な結果は以下のとおり。

・全解析コホート(3,133例)において、iDFSイベントリスクは5年時点で26.1%であり、10年時点で45.0%に上昇した。
・StageIIの患者の5年時点および10年時点のiDFSイベントリスクは22.7%および40.5%、StageIIIの患者では40.4%および62.9%であった。また、リンパ節転移陰性患者では22.1%および36.9%、リンパ節転移陽性患者では28.9%および49.4%であった。
・サブ解析において、NSAI±卵巣機能抑制療法がタモキシフェン±卵巣機能抑制療法に比べてiDFSの改善が認められ(ハザード比:0.83、95%信頼区間:0.69~0.98、p=0.031)、この傾向は閉経状態に関係なくみられた。

 著者らは、「このリアルワールドエビデンス研究は、StageIIまたはIIIのHR+HER2-早期乳がん患者の再発リスクが、標準的な術後補助全身療法にもかかわらず、リンパ節転移陰性患者を含めて容認できないほど高いままであることを示しており、この患者集団に対する新たな治療戦略の開発を正当化する」と結論している。

(ケアネット 金沢 浩子)


【原著論文はこちら】

O’Shaughnessy J, et al. Breast. 2025;81:104437.

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乳がん患者と医師の間に治験情報に関する認識ギャップ/ケアネット・イシュラン共同調査

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 ケアネットとイシュランが共同で実施した、乳がん患者(134人)と乳がん治療に携わる乳腺外科医(62人)を対象にした「治験に関する意識調査(インターネット調査)」の結果、患者側は医師からの治験の提案を期待している一方で、医師は日本国内の治験情報を十分に入手できていないと認識していることが明らかになった。患者の約6割が自身の主治医が国内の治験情報をよく知っていると思うと回答したのに対し、治験情報をよく知っていると回答した医師は1割未満にとどまった。

【調査概要】
患者調査
調査期間:2025年1月31日〜2月8日
調査対象:イシュランメルマガ会員の乳がん患者
回答数:134人
医師調査
調査期間:2025年1月22日〜1月28日
調査対象:ケアネット会員医師(200床以上の医療機関に所属している乳腺外科医)
回答数:62人

 主な結果は以下のとおり。

患者調査
・治験とは何か知っているかを聞いた質問に対し、約74%が知っていると回答した(「よく知っている」が9.0%、「少し知っている」が64.9%)。
・「治験への参加経験」について聞いた質問では、「実際に治験に参加したことがある」が3.7%、「実際に参加しようとしたが、条件が合わずできなかった」が6.0%、「参加を検討するために、医療者に相談したことはある」が2.2%、「参加を考えたが、医療者に相談したことはない」が9.7%であった。
・「日本で行われている乳がんの治験に関する情報」について、自身の主治医がどの程度知っていると思うか聞いた質問では、約63%が主治医はよく知っていると思うと回答した(「ほぼすべて知っていると思う」が37.3%、「3/4くらいは知っていると思う」が25.4%)。
・「治験情報を主治医経由で知った場合の治験への参加意向」を聞いた質問では、約78%が検討すると回答した(「必ず検討する」が30.6%、「まあ検討する」が47.8%)。
・日本で行われている治験に関する情報へのニーズについて聞いた質問では、約81%が情報が欲しいと回答した(「ぜひ欲しい」が46.3%、「まあ欲しい」が34.3%)。

医師調査
・治験への参加経験を聞いた質問では、「治験責任医師として参加したことがある」が11.3%、「治験分担医師として参加したことがある」が61.3%、「協力施設として患者リクルーティングを行ったことがある」が29.0%であった。
・「日本で行われている乳がんの治験に関する情報」について、どの程度知っているか聞いた質問では、よく知っていると回答した医師は約5%にとどまった(「ほぼすべて知っている」が0%、「3/4くらいは知っている」が4.8%)。一方で、「ほぼ知らない」と答えた医師が41.9%と最も多かった。
・自身が診療している患者の病状に合いそうな治験が行われていることを知った場合、患者に提案するかを聞いた質問では、約84%が提案すると回答した(「必ず提案をする」が17.7%、「まあ提案をする」が66.1%)。
・日本で行われている治験情報についてどの程度知りたいと思うか聞いた質問では、「全国の治験情報が知りたい」という回答が62.9%と最も多く、「自分の都道府県の治験情報は知りたい」が22.6%と続いた。
・(治験実施施設が自身の所属施設とは別の場合を前提として)患者から治験参加について相談があった場合にどのように対応するか聞いた質問では、約90%が前向きに対応すると回答した(「必ず前向きに対応する」が43.5%、「まあ前向きに対応する」が46.8%)。

(ケアネット)


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HR+早期乳がんにおける年齢と内分泌療法の中断期間、再発リスクの関係/JCO

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 ホルモン受容体陽性(HR+)早期乳がんにおいて、内分泌療法(ET)のアドヒアランス欠如は、若年患者の生存率の低さの潜在的な原因の1つと考えられるが、ETのアドヒアランス改善が生存にもたらすベネフィットは明確ではない。フランス・パリ・シテ大学のElise Dumas氏らによるフランスの全国コホート研究の結果、とくに34歳以下の患者において厳格なET継続戦略によって得られる生存ベネフィットが示され、ETのアドヒアランス改善のための個別化戦略の必要性が示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2025年3月5日号への報告。

 本研究では、フランス国民健康データシステムからのデータとtarget trial emulationの手法を用いて、3つのET継続戦略(治療中断期間として30日、90日、または180日以下を許容)について、5年無病生存率(DFS)を観察された(自然な)ET継続群と比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・計12万1,601例のHR+早期乳がん患者が解析に含まれ、うち29.8%が診断時に50歳未満であった。
・若年患者は高齢患者よりも DFS が低く、ETを中断する可能性が高かった。
・34歳以下の患者では、厳格な ET継続戦略(中断≦30日)により、観察されたET継続群と比較して 5 年 DFS 率が 74.5% から 78.8%に改善した(4.3%ポイント[95%信頼区間[CI]:2.6 ~7.2])。
・≦90日および≦180日の中断を許容するET継続戦略では、34歳以下の患者における5年DFSベネフィットはそれぞれ1.3%ポイント(95%CI:0.2~3.7)および1.0%ポイント(95%CI:-0.2~3.4)であった。
・対照的に、50歳以上の患者におけるET継続戦略によるDFSベネフィットは、その中断期間にかかわらず、観察されたET継続群と比較して1.9%ポイント以下であった。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


【原著論文はこちら】

Dumas E, et al. J Clin Oncol. 2025 Mar 5. [Epub ahead of print]

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乳がんサバイバーは多くの非がん疾患リスクが上昇/筑波大

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 日本の乳がんサバイバーと年齢をマッチさせた一般集団における、がん以外の疾患の発症リスクを調査した結果、乳がんサバイバーは心不全、心房細動、骨折、消化管出血、肺炎、尿路感染症、不安・うつの発症リスクが高く、それらの疾患の多くは乳がんの診断から1年以内に発症するリスクが高いことを、筑波大学の河村 千登星氏らが明らかにした。Lancet Regional Health-Western Pacific誌2025年3月号掲載の報告。

 近年、乳がんの生存率は向上しており、乳がんサバイバーの数も世界的に増加している。乳がんそのものの治療や経過観察に加え、乳がん以外の全般的な健康状態に対する関心も高まっており、欧米の研究では、乳がんサバイバーは心不全や骨折、不安・うつなどを発症するリスクが高いことが報告されている。しかし、日本を含むアジアからの研究は少なく、消化管出血や感染症などの頻度が比較的高くて生命に関連する疾患については世界的にも研究されていない。そこで研究グループは、日本の乳がんサバイバーと一般集団を比較して、がん以外の12種類の代表的な疾患の発症リスクを調査した。

 日本国内の企業の従業員とその家族を対象とするJMDCデータベースを用いて、2005年1月~2019年12月に登録された18~74歳の女性の乳がんサバイバーと、同年齢の乳がんではない対照者を1:4の割合でマッチングさせた。乳がんサバイバーは上記期間に乳がんと診断され、1年以内に手術を受けた患者であった。転移/再発乳がん、肉腫、悪性葉状腫瘍の患者は除外した。2つのグループ間で、6つの心血管系疾患(心筋梗塞、心不全、心房細動、脳梗塞、頭蓋内出血、肺塞栓症)と6つの非心血管系疾患(骨粗鬆症性骨折、その他の骨折[肋骨骨折など]、消化管出血、肺炎、尿路感染症、不安・うつ)の発症リスクを比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・解析対象は、乳がんサバイバー2万4,017例と、乳がんではない同年齢の女性9万6,068例(対照群)であった。平均年齢は両群ともに50.5(SD 8.7)歳であった。
・乳がんサバイバー群は、対照群と比較して、心不全(調整ハザード比[aHR]:3.99[95%信頼区間[CI]:2.58~6.16])、消化管出血(3.55[3.10〜4.06])、不安・うつ(3.06[2.86〜3.28])、肺炎(2.69[2.47~2.94])、心房細動(1.83[1.40~2.40])、その他の骨折(1.82[1.65~2.01])、尿路感染症(1.68[1.60~1.77])、骨粗鬆症性骨折(1.63[1.38~1.93])の発症リスクが高かった。
・多くの疾患の発症リスクは、乳がんの診断から1年未満のほうが1年以降(1~10年)よりも高かった。とくに不安・うつは顕著で、1年未満のaHRが5.98(95%CI:5.43~6.60)、1年以降のaHRが1.48(1.34~1.63)であった。骨折リスクは診断から1年以降のほうが高かった。
・初期治療のレジメン別では、アントラサイクリン系およびタキサン系で治療したグループでは、骨粗鬆症性骨折、その他の骨折、消化管出血、肺炎、不安・うつの発症リスクが高い傾向にあり、アントラサイクリン系および抗HER2薬で治療したグループでは心不全のリスクが高い傾向にあった。アロマターゼ阻害薬で治療したグループでは骨粗鬆症性骨折、消化管出血の発症リスクが高い傾向にあった。

 これらの結果より、研究グループは「医療者と患者双方がこれらの疾患のリスクを理解し、検診、予防、早期治療につなげることが重要である」とまとめた。

(ケアネット 森)


【原著論文はこちら】

Kawamura C, et al. Lancet Reg Health West Pac. 2025;56:101519.

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がん術前1ヵ月間の禁煙で合併症が減少~メタ解析

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 がん手術の前に4週間禁煙した患者では、手術が近づいても喫煙していた患者よりも術後合併症が有意に少なかったことを、オーストラリア・ディーキン大学のClement Wong氏らが明らかにした。JAMA Network Open誌2025年3月7日号掲載の報告。

 喫煙は術後合併症のよく知られた危険因子であり、喫煙する患者では合併症リスク増大の懸念から外科手術の延期を検討することもある。しかし、がん患者の手術が延期された場合、患者が禁煙している間に病勢が進行するリスクがある。今回、研究グループはがん患者の喫煙状態や禁煙期間とがん手術後の合併症との関連を調べるために、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。

 Embase、CINAHL、Medline Complete、Cochrane Libraryを2000年1月1日~2023年8月10日に体系的に検索し、喫煙しているがん患者と喫煙していないがん患者の術後合併症を調査した介入研究と観察研究を抽出した。評価項目は、がんの手術前の4週間も喫煙していた患者と4週間は禁煙した患者、手術前の4週間も喫煙していた患者と生涯で一度も喫煙したことがない患者などにおける、あらゆる術後合併症のオッズ比(OR)であった。

●24件のランダム化比較試験の3万9,499例が解析対象となった。肺がんは最も多く研究されたがん種であった。
●手術前の4週間も喫煙していた群は、4週間は禁煙した群および生涯で一度も喫煙したことがない群と比較して、術後合併症のORが高かった。
 -術前4週間も喫煙群vs.4週間は禁煙群のOR:1.31、95%信頼区間(CI):1.10~1.55、1万4,547例(17研究)
 -術前4週間も喫煙群vs.非喫煙群のOR:2.83、95%CI:2.06~3.88、9,726例(14研究)
●手術前の2週間も喫煙していた群と、最後に喫煙したのが2週間~1ヵ月前および2週間~3ヵ月前であった群の術後合併症のORに有意な差はなかったが、点推定では禁煙期間が長いほうが有利であった。
 -術前2週間も喫煙群vs.2週間~1ヵ月前に禁煙群のOR:1.20、95%CI:0.73~1.96、n=3,408(5研究)
 -術前2週間も喫群煙vs.2週間~3ヵ月前に禁煙群のOR:1.19、95%CI:0.89~1.59、n=5,341(10研究)
●手術前の1年間に喫煙していた群の術後合併症のORは、少なくとも1年前に禁煙した群よりも高かった(OR:1.13、95%CI:1.00~1.29、3万1,238例[13研究])。

 研究グループは、手術前の2週間も喫煙していた群と2週間~1ヵ月前および2週間~3ヵ月前に禁煙した群のORに有意差がなかった点について、「短い禁煙期間を比較した研究が少ないことや出版バイアスの可能性により、長い禁煙期間よりも短い禁煙期間を支持する研究が過小評価されている可能性がある」と言及したうえで、「禁煙とがんの術後合併症に関するこのシステマティックレビューおよびメタ解析では、手術の4週間前から禁煙していたがん患者は、手術が近づいても喫煙していた患者よりも術後合併症が少なかった。最適な禁煙期間を特定し、がん手術延期と病勢進行リスクとのトレードオフについての情報を臨床医に提供するためには、さらに質の高いエビデンスが必要である」とまとめた。

(ケアネット 森)


【原著論文はこちら】

Wong C, et al. JAMA Netw Open. 2025;8:e250295.

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化学療法誘発性末梢神経障害の克服に向けた包括的マネジメントの最前線/日本臨床腫瘍学会

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 2025年3月6~8日に第22回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催され、8日の緩和ケアに関するシンポジウムでは、「化学療法誘発性末梢神経障害のマネジメント」をテーマに5つの講演が行われた。化学療法誘発性末梢神経障害(chemotherapy-induced peripheral neuropathy:CIPN)は、抗がん剤投与中から投与終了後、長期にわたって患者のQOLに影響を及ぼすものの、いまだ有効な治療の確立に至っていない。そこで、司会の柳原 一広氏(関西電力病院 腫瘍内科)と乾 友浩氏(徳島大学病院 がん診療連携センター)の進行の下、患者のサバイバーシップ支援につなげることを目的としたトピックスが紹介された。

CIPN予防戦略の現状と今後の研究開発への期待

 まず、CIPNの予防に関する最新エビデンスが、華井 明子氏(千葉大学大学院 情報学研究院)より紹介された。『がん薬物療法に伴う末梢神経障害診療ガイドライン2023年版』には、CIPNを誘起する化学療法薬の使用に際し、予防として推奨できるものはないと記載されている。また、抗がん剤の種類によっては投与しないことを推奨する薬剤もあり、状況に応じて運動や冷却の実施が推奨されるものの、強く推奨できる治療法はない。そのため、多くの患者が苦しんでいる現状が指摘された。

 こうした中、手足を冷却または圧迫して局所の循環血流量を低下させることで、抗がん剤をがん細胞に到達させつつ、手足には到達させない戦略がCIPN予防に有効とのエビデンスが散見されており、冷却がやや優位との成績が最近示された。「ただし、冷却の効果は抗がん剤投与中に最大限発揮されるので、投与後数時間経過して出現する症状には効果がない」と、同氏は説明した。

 なお、がん治療中の運動は、心肺機能や筋力、患者報告アウトカムなどを改善するとのエビデンスが確立しているため、有酸素運動や筋力トレーニングが推奨されている。一方、CIPN予防における運動の実施は、本ガイドラインでは推奨の強さ・エビデンスの確実性ともに弱い。同氏は、「それでも治療前のプレハビリテーションにより体力・予備力を高めておくことは有効」とした。また、予防ではなく、CIPN発現例に対する治療であるが、バランス運動、筋力トレーニングおよびストレッチは、いずれも長期的には実施のメリットが大きいとの研究成果が紹介された。

 「CIPNの頻度は抗がん剤の種類はもちろん、評価の時期・指標によっても異なり、患者の生活状況や主観が大きく影響する。そのため、評価方法の標準化がCIPN予防/治療戦略の開発につながるだろう。また、運動プログラムのエビデンスは増え続けていることから、ガイドラインの次期改訂では推奨が変わる可能性もある」と、同氏は期待を示した。

CIPN治療戦略と実臨床への橋渡しに向けた取り組み

 次に、CIPNの治療に関する動向が吉田 陽一郎氏(福岡大学病院 医療情報・データサイエンスセンター 消化器外科)より解説された。『がん薬物療法に伴う末梢神経障害診療ガイドライン 2023年版』で薬物療法として推奨されている薬剤は1剤のみであり、予防ではなく治療のみでの使用が可能となっている。同氏はその根拠となった論文と共に、最新のシステマティックレビュー論文に触れ、「エビデンスが不十分で、本ガイドラインにおける推奨の強さは弱い。CIPNの予防や治療の領域では、プラセボが心理的な影響だけでなく、生理的な変化をもたらすことが知られているため、プラセボ効果を含めたデザインの下で臨床試験を実施することが望まれる」と述べた。

 こうした中、わが国ではCIPN症状が出現した際に投与する薬剤のアンケート調査が、『がん薬物療法に伴う末梢神経障害マネジメントの手引き 2017年版』の公表前後(2015年および2019年)に実施され、使用薬剤の変化が報告されている。近く再調査が行われる予定で、より現実的なマネジメントの理解につながるとのことである。さらに同氏は、わが国の臨床試験の状況や課題点などを説明するとともに、日本がんサポーティブケア学会 神経障害部会が取り組んでいるCIPNに関する教育動画について、「詳細は日本がんサポーティブケア学会のホームページに近日掲載予定で、2025年5月に開催される同学会の学術集会でも告知予定」と紹介した。

がんサバイバーのCIPNに対する鍼灸治療の可能性

 わが国では年間100万例ががんに罹患し、治療後も慢性疼痛、とくにCIPNを訴える患者が増えている。石木 寛人氏(国立がん研究センター中央病院 緩和医療科)は、「乳がんの場合、年間9万例の発症者のうち、5年生存率が90%で、その半数が痛みを抱えているとすれば、毎年約4万例の慢性疼痛患者が発生する。現状では各種鎮痛薬による薬物療法が推奨されているが、痛みの原因を根本的に解決する治療ではないため、非薬物療法のニーズは高まっている」と指摘。

 このような背景もあり、同氏が所属する診療科では1980年代から鍼灸治療を緩和ケアの一環として提供してきた。治療は刺入鍼、非刺入鍼、台座灸、ホットパックを組み合わせ、標治法(症状部位の循環改善を促す局所治療)と本治法(体力賦活を図る全身調整)により、CIPNでは週1回30分、3ヵ月間の施術を基本とし、施術後に患者が自宅で行うセルフケア指導も治療に含まれる。

 同院では、こうした鍼灸治療の乳がん患者における有用性を検証する前向き介入試験を2022年より実施しており、「結果は2025年6月の米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表予定」と、同氏は紹介した。さらに現在、多施設ランダム化比較試験を準備中で、乳がん診療科と鍼灸治療提供施設とのネットワーク作りとして、各施設や学会、企業などと月1回のオンラインミーティングを実施。「円滑な共同研究のためには、まずは互いの人となりや専門性を理解し、強固な連携体制を築いていくことが重要」と強調した。また、鍼灸師が医療機関に出向いて技術交流を行うなど、現場レベルでの連携も進んでいるという。

 これに加え、学会やWebセミナーでの交流会、学術団体同士の相互理解を深める取り組みなど、さまざまな普及活動を進めており、「CIPNに苦しむ患者への新たな治療選択肢を提供できる日は近づいている」と、同氏は意欲を示した。

CIPNマネジメントにおける医療機器の現状と課題

 久保 絵美氏(国立がんセンター東病院 緩和医療科)によると、CIPNのマネジメントには医療機器の活用が重要になるという。ただし、「日・米・欧のガイドラインでCIPN予防/治療における冷却療法や圧迫療法、その他治療法の推奨の強さやエビデンスの質は異なる」と指摘。米国食品医薬品局(FDA)に承認されている機器が紹介されるも一定の評価は得られず、今後も引き続き検証が必要とされた。

 一方、内因性疼痛抑制系の賦活や神経成長因子の調整、抗炎症作用などにより複合的に鎮痛をもたらす交番磁界治療器の有効性が、前臨床試験と共に、同氏が研究責任医師として担当した臨床試験で検討されている。それによると、CIPNの原因となる抗がん剤投与終了後1年以上経過した症状固定患者のtingling(ピリピリ・チクチク)やnumbness(感覚の低下)に関して、一定の効果が示唆され保険収載に至っている。

 同氏は、「医療機器によるCIPNマネジメントは発展途上で、エビデンス不足が課題である。そのため、前臨床データの拡充と共に、治療効果のさらなる検証は必須」と強調した。

脳の神経回路の変化に起因する“痛覚変調性疼痛”の理解と治療戦略

 痛みには侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛に加え、これまで心因性疼痛や非器質的疼痛と呼ばれていた痛覚変調性疼痛がある。川居 利有氏(がん研究会 有明病院 腫瘍精神科)は、「痛覚変調性疼痛はCIPNに付随するものである。たとえば、3ヵ月を超えるような抗がん剤投与後からの手足のしびれ、強い倦怠感、浅眠、めまい・耳鳴り、食欲低下や、抗がん剤投与終了後も症状が改善せずに遷延・悪化すること、また、不安が強くなり、症状に執着し訴えが執拗になることがある。このような患者に遭遇したことはないだろうか」と問い掛けた。

 これは脳神経の可塑的変化により発症、維持される慢性痛で、痛み過敏、睡眠障害、疲労、集中困難、破局思考などを伴う。神経可塑性とは、脳の神経が外部刺激により伝達効率を変化させる能力で、学習や記憶に深く関わる一方、慢性痛では脳の感覚-識別系が抑制され、情動-報酬系、認知-制御系が活性化する。この状態が進むと痛みに対する不安や苦痛が増すばかりか、痛みを軽減する下行性制御系、いわゆるプラセボ回路の機能が低下し、痛みへの自己調節が困難となる。これが不安症や強迫症、治療への期待感の喪失、医療への不信感などにつながるという。

 同氏は、「CIPNは長期間に持続し、そこに神経の可塑的変化による痛覚変調性疼痛が追加されることで、痛みはもとより、うつ病や不安症、自律神経症状も加わり、感情調節機能不全に陥る」と説明。また、「CIPNの慢性化では過敏症状の併発に注意し、急激な症状変化の有無についての詳細な問診が大切である。この状態は単なる“気のせい”ではなく、長期間の心理社会的問題などの蓄積による機能障害が原因」とし、「治療には患者との信頼関係の構築が不可欠で、とくに慢性化したケースでは患者の背景や過去の経験に配慮する必要がある。睡眠や心理的ケアは治療上重要なため、心療内科や精神科への適切な紹介が推奨される。CIPNそのものは治らないが、QOL改善には過敏症状のマネジメントが大切」と結んだ。

(ケアネット)


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HER2陽性転移乳がん、術後放射線療法でOS改善~SEERデータ

提供元:CareNet.com

 HER2陽性転移乳がん(MBC)において、抗HER2療法の下での術後放射線療法(PORT)の役割をリアルワールドデータで検討したところ、PORTが全生存期間(OS)をさらに改善していたことがわかった。また、サブグループ解析では、局所進行(T3~4、N2~3)、Grade3、ホルモン受容体(HR)陽性、骨・内臓転移あり、乳房切除を受けた患者において、有意にベネフィットがあることが示唆された。中国・The First Affiliated Hospital of Bengbu Medical UniversityのLing-Xiao Xie氏らがBreast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2025年3月14日号で報告した。

 本研究は、2016~20年のSEERデータベースからHER2陽性MBC女性の臨床データについて包含基準および除外基準に従って収集した。PORTが患者の生存に与える影響を評価し、サブグループ解析によりPORTからベネフィットが得られる可能性のある集団を特定した。

 主な結果は以下のとおり。

・SEERデータベースから計541例を解析に組み入れた。
・PORT群の3年OS率は86.7%と、非PORT群の80.2%より有意に高かった(p=0.011)。
・多変量解析では、黒人患者とPORTを受けた患者はOSが長く(p<0.05)、人種とPORTが独立した予後因子であることがわかった。
・サブグループ解析では、乳房切除、局所進行、高悪性度、HR陽性、多臓器転移ありの患者において、PORTがOSをさらに改善することが示唆された(p<0.05)。

(ケアネット 金沢 浩子)


【原著論文はこちら】

Xie LX, et al. Breast Cancer Res Treat. 2025 Mar 14. [Epub ahead of print]

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