がんの既往歴/家族歴のある女性、原発性肺がんリスク高い

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 喫煙歴にかかわらず、がんの既往歴や家族歴を有する成人女性では、新規に原発性肺がんを発症するリスクが有意に高まることが、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)East BayのCarissa A. Villanueva氏らによる大規模後ろ向き研究で明らかになった。JTCVS Open誌2026年8月号に掲載。

 本研究は、Kaiser Permanente Northern Californiaの2010年1月1日〜2022年12月31日の電子健康記録データを用いた。研究開始時点で肺がんの既往がない18歳以上の成人女性で、期間中に1年以上の加入歴を有する約280万例を抽出。喫煙状況、人種/民族、年齢、Charlson併存疾患指数、近隣困窮指数で調整したターゲット最大尤度推定法を用い、がん既往歴または家族歴を有する患者における新規原発性肺がんの有病率比(PR)を算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・選択基準を満たした成人女性280万例が解析に組み入れられた。
・何らかのがん既往歴がある女性では、原発性肺がんの有病率が88%増加した(PR:1.88、95%信頼区間[CI]:1.84〜1.92)。
・がんの家族歴がある女性においても、原発性肺がんの有病率増加が認められた(PR:1.23、95%CI:1.20〜1.26)。
・とくに、乳がん、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんの既往歴がある女性において、その後の原発性肺がん有病率増加と有意な関連が示された。

 著者らは、「がんの既往歴および家族歴は、将来の原発性肺がん発症リスク上昇と強い関連を示したことから、今回の対象集団においては、喫煙歴だけでは新規原発性肺がんの臨床的疑いを判断するには不十分であることが示唆される。肺がんスクリーニングツールの適用に関するガイドラインの再評価および拡充が賢明だろう」と提言している。

(ケアネット 金沢 浩子)


【原著論文はこちら】

Villanueva CA, et al. JTCVS Open. 2026;32:101823.

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gBRCA病的バリアントを有する若年早期乳がん、周術期化学療法の種類と生存アウトカムの関係

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 生殖細胞系列BRCA1/2病的バリアントを有する40歳以下のHER2陰性(HER2-)早期乳がん患者において、周術期化学療法のレジメン間で生存アウトカムに統計学的な有意差はみられないことが、国際多施設共同後ろ向きコホート研究(BRCA BCY Collaboration研究)の結果で示された。イスラエル・Sheba Medical CenterのRinat Bernstein-Molho氏らが、European Journal of Cancer誌オンライン版2026年8月11日号に報告した。

 本研究では、2000~2020年にStageI~IIIのHER2-乳がんと診断された40歳以下のBRCA1/2病的バリアント保持者を対象に、アントラサイクリン+タキサン系、アントラサイクリン系(タキサンなし)、非アントラサイクリン系の各術前/術後化学療法による無病生存期間(DFS)および全生存期間(OS)を評価した。また、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)においてはプラチナ製剤の使用とアウトカムとの関連も評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・109施設から4,200例が解析対象となり、うち58.7%がTNBCであった。
・追跡期間中央値は8.1年(四分位範囲:4.7~12.6年)であった。
・使用された化学療法レジメンの割合は、アントラサイクリン+タキサン系が74.4%、アントラサイクリン系(タキサンなし)が19.3%、非アントラサイクリン系が6.3%であった。また、TNBCでは19.8%でプラチナ製剤が投与されていた。
・多変量調整後、アントラサイクリン系(タキサンなし)とアントラサイクリン+タキサン系との間で、DFS(調整ハザード比[aHR]:0.88、95%信頼区間[CI]:0.73~1.05)およびOS(aHR:1.20、95%CI:0.87~1.67)に有意差は認められなかった。
・同様に、アントラサイクリン系(タキサンなし)と非アントラサイクリン系の比較においても、DFS(aHR:1.07、95%CI:0.82~1.38)およびOS(aHR:1.16、95%CI:0.68~2.00)に有意差は認められなかった。
・TNBC症例において、プラチナ製剤の使用とアウトカム改善の間に関連はみられなかった。

 著者らは今回の結果について、同患者集団における化学療法のde-escalation戦略を評価する今後の前向き研究に有益な情報をもたらすものとしている。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


【参考文献・参考サイトはこちら】

Bernstein-Molho R, et al. Eur J Cancer. 2026 Aug 11. [Epub ahead of print]

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日本人の乳がん検診の障壁は「痛み・恐怖・予約」~Xの投稿を解析

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 乳がん検診の受診率が米国(70%超)と比較して日本(50%未満)で停滞している現状を背景に、SNS投稿の言葉から異文化間における検診の障壁を比較評価したインフォデミオロジー(情報疫学)研究のデータを、名古屋市立大学の寺田 満雄氏らが報告した。解析の結果、英語圏では主に制度的・経済的負担を反映している一方、日本では「痛み」「恐怖」「予約」が密接に関連する心理的・身体的障壁が支配的であることが示唆された。Journal of Medical Internet Research誌2026年7月31日号に掲載。

 本研究は、2025年にX(旧Twitter)から収集された4万6,823件の乳がん検診に関する投稿(日本語3万27件、英語1万6,796件)を対象とした。大規模言語モデルを用いた感情極性スコアリングや共起ネットワーク解析などを統合した自動化自然言語処理パイプラインを開発し、障壁のインフォマティクスプロファイルを比較・評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・全体的な感情の分布において、実質的に意味のある文化的な差異は認められなかった。
・英語コホートでは、制度的障壁に対する中等度のネガティブな感情が集中しており、「費用」が主な障壁(7.4%)であったのに対し、「痛み」への言及は比較的低かった(5.0%)。また、一般人の意識の高まりから「高濃度」乳房に関する話題が重要な臨床トピックとして浮上した。
・日本語コホートでは心身の障壁がボトルネックとなっており、「痛み」「恐怖」「予約」が密接に関連するネットワークを形成し、中でも「痛み」が圧倒的に支配的な障壁(19.3%)であった。
・日本のサブグループ解析では、検診前の心理的不安(「恐怖」19.4%)や物理的な懸念(「予約」40.9%)から、検診後は「痛み」という不快な記憶の強い持続(15.6%)へと経時的な移行が確認された。
・マンモグラフィに対する感情スコアは超音波検査単独よりも有意に低く(ネガティブ)、超音波検査における痛み言及は、マンモグラフィと同時施行された場合に5.0%から18.2%へと急増した。

 著者らは、「日本における受診率向上には、個別最適化した疼痛軽減の圧迫プロトコルとマンモグラフィの不快感を併用検査から切り離す動線設計が必要であり、それによって痛みに関連した防御的回避を防ぎ、さらにアクセス改善のために予約プロセスといったロジスティクス上の障害を減らす必要がある」と指摘している。

(ケアネット 金沢 浩子)


【原著論文はこちら】

Terada M, et al. J Med Internet Res. 2026;28:e97772.

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乳がんのsBRCA変異とgBRCA変異、生物学的特徴と治療反応が異なる/ESMO Open

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 BRCA変異のうち、生殖細胞系列(g)BRCA変異は生物学的および臨床的な重要性が十分に確立されているが、体細胞(s)BRCA変異の意義については不明な点が多い。今回、横浜市立大学の押 正徳氏らが、日本全国のがんゲノム医療データベース(C-CAT)を用いて大規模な乳がんゲノム解析を実施した結果、sBRCAのみ変異ありは、gBRCAとsBRCAの両方変異ありより多くみられ、sBRCA変異はgBRCA変異の有無によって明確なゲノムパターンが示された。また、gBRCAのみ、変異ありがCDK4/6阻害薬の治療継続期間の短縮と関連していた。ESMO Open誌2026年7月23日号に掲載。

 本研究では、C-CATに登録された乳がん患者のうちgBRCA変異およびsBRCA変異の有無が判明している2,978例を解析対象とし、「両方変異あり」「gBRCAのみ変異あり」「sBRCAのみ変異あり」「両方変異なし」の4群に分けた。エストロゲン受容体陽性(ER+)/HER2陰性(HER2-)乳がんおよびトリプルネガティブ乳がん(TNBC)に焦点を当て、変異の全体像、相同組み換え欠損(HRD)に関連する変異、検体の由来、治療継続期間(TTD)を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・「sBRCAのみ変異あり」は「両方変異あり」よりも多かった。
・sBRCA変異は転移巣で多く検出された。
・ゲノム的には、「sBRCAのみ変異あり」ではPIK3CATP53を含む発がん性シグナル伝達経路の変異が多かったのに対し、「両方変異あり」ではBRCA変異が優勢なHRD関連の特徴を示した。
BRCA以外のHRD関連変異は、「sBRCAのみ変異あり」で最も頻度が高かった(52%、p=0.004)。
・ER+/HER2-乳がんに対するCDK4/6阻害薬治療における解析では、gBRCAに変異があるとTTDが短く、「両方変異あり」ではTTD短縮と独立して関連していた(ハザード比:1.3、p<0.001)。一方、「sBRCAのみ変異あり」は「両方変異なし」とTTDが同程度だった。
・TNBCにおいては、免疫チェックポイント阻害薬の治療成績はBRCA変異の有無と関連がみられなかった。

 著者らは「sBRCA変異は単独で解釈すべきではなく、gBRCA変異の有無やより広範なゲノム的文脈と統合して検討する必要がある」としている。

(ケアネット 金沢 浩子)


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Oshi M, et al. ESMO Open. 2026;11:108311.

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HER2+局所進行/転移乳がんへの二重HER2阻害療法と併用の1次化学療法、エリブリンvs.タキサンの最終OS解析(JBCRG-M06/EMERALD)/ESMO Open

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 HER2陽性(HER2+)局所進行/転移乳がんに対して、二重HER2阻害療法(トラスツズマブ+ペルツズマブ)と併用する1次化学療法として、エリブリンと医師選択のタキサンを比較した第III相JBCRG-M06/EMERALD試験の最終解析の結果、全生存期間(OS)中央値が6年を超え、2群間に有意差は認められなかったことが示された。福島県立医科大学の佐治 重衡氏らがESMO Open誌8月号に報告した。本試験ではすでに、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)においてエリブリンがタキサンに非劣性を示したことが報告されている。

 本試験では、HER2+局所進行/転移乳がん患者をエリブリン群または医師選択のタキサン(ドセタキセルまたはパクリタキセル)群に無作為に1:1の割合で割り付け、1次化学療法としてトラスツズマブ+ペルツズマブと併用した。PFSは2023年6月30日まで、OSは2024年12月31日まで評価した。生存アウトカムは、エリブリン群とタキサン群で比較し、循環腫瘍DNA(ctDNA)によるPIK3CA変異(E542K、E545K、H1047R、N345Kの単一ヌクレオチド変異)またはHER2増幅(ERBB2コピー数>2.5)の検出状況に応じて比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・OS中央値は、エリブリン群が78.5ヵ月(95%信頼区間[CI]:64.3~未到達)、タキサン群が未到達で、ハザード比は1.25(95%CI:0.92~1.71、p=0.19)であった。
・60ヵ月OS率は、エリブリン群が59.7%、タキサン群が65.2%であった。
・患者全体および治療群ごとのいずれにおいても、ctDNA PIK3CA変異陽性例ではOS中央値および60ヵ月OS率が数値的に低く、ctDNA HER2増幅陽性例では高かった。
・治療群とctDNA PIK3CA変異またはctDNA HER2増幅の状態との間に統計学的に有意な相互作用は認められなかった。
・PFSについても同様の傾向が観察された。

(ケアネット 金沢 浩子)


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Saji S, et al. ESMO Open. 2026;11:108325.

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高齢の転移TN乳がん患者におけるSGの有用性~国際共同リアルワールド研究

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 転移を有するトリプルネガティブ乳がん(TNBC)の高齢患者に対するサシツズマブ ゴビテカン(SG)の臨床成績を評価した国際共同リアルワールド研究の結果を、ポーランド・Maria Sklodowska-Curie National Research Institute of OncologyのAleksandra Konieczna氏らが報告した。このリアルワールド集団において、SGを投与された65歳以上の患者のアウトカムは若年患者と同等以上であり、重篤な有害事象の明らかな増加は認められなかった。Oncologist誌オンライン版2026年7月20日号に掲載。

 本研究は、2021年8月~2025年5月に中央ヨーロッパの18の腫瘍センターにおいて、SGを投与された転移TNBC患者を対象とした後ろ向き国際共同研究である。SG開始時年齢によって65歳未満と65歳以上に層別化した。主要評価項目は全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目は奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、治療変更、および安全性などであった。

 主な結果は以下のとおり。

・303例中76例(25.1%)が65歳以上であった。高齢患者では併存疾患や緩和治療ラインが多く、ECOG PS 1以上が多かった。
・調整前の解析では、65歳以上でOS中央値が長く(12.8ヵ月vs.10.9ヵ月、ハザード比[HR]:0.70、95%信頼区間[CI]:0.49~0.99、p=0.045)、PFS中央値も長かった(5.4ヵ月vs.4.1ヵ月、HR:0.73、95%CI:0.54~0.97、p=0.031)。一方、多変量解析においては、年齢はOSまたはPFSと独立して関連していなかった。
・ORR、DCR、治療の変更、Grade3以上の好中球減少症については、両群間で差は認められなかった。

 著者らは「調整後の生存率については、年齢が独立した関連因子とはならなかったことから、治療方針の決定は暦年齢のみに基づいて行うべきではないことが示唆される。高齢患者におけるSGの使用はベースライン時の疾患特性、併存疾患、PS、患者の希望、可能であれば老年医学的評価を総合的に考慮すべき」とした。

(ケアネット 金沢 浩子)


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Konieczna A, et al. The Oncologist. 2026 Jul 20. [Epub ahead of print]

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抗TROP-2 ADCはTROP-2発現レベルで効果が変わるか

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 抗TROP-2抗体薬物複合体(ADC)は、転移乳がんの治療薬として有効性を示しているが、患者のTROP-2の発現レベルによって効果がどの程度異なるかは明らかではなかった。今回、イタリア・Istituto Nazionale Tumori, IRCCS Fondazione G. PascaleのRoberto Buonaiuto氏らのシステマティックレビューおよびメタ解析により、抗TROP-2 ADCは転移乳がんの無増悪生存期間(PFS)を有意に改善するが、その治療効果はTROP-2発現レベルが高い患者でより顕著であることが示された。Journal of the National Cancer Institute誌オンライン版2026年7月10日号掲載の報告。

 研究グループは、転移乳がん患者を対象に抗TROP-2 ADCによる治療を行った第II~III相試験(2015年1月~2025年9月)のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施し、TROP-2発現レベルと抗TROP-2 ADCの有効性との関係を評価した。対象は、ASCENT試験(サシツズマブ ゴビテカン)、TROPiCS-02試験(サシツズマブ ゴビテカン)、EVER-132-002試験(サシツズマブ ゴビテカン)、OptiTROP-Breast01試験(sacituzumab tirumotecan)、TROPION-Breast01試験(ダトポタマブ デルクステカン)の5試験の参加者であった。

 各試験が独自に設定したTROP-2発現レベルごとに、PFSのハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)のデータを抽出した。さらに、試験間のデータの異質性を考慮したうえで、固定効果モデルあるいはランダム効果モデルを用いて統合ハザード比を推定した。

 主な結果は以下のとおり。

・解析には、抗TROP-2 ADCまたは化学療法が実施された1,879例が含まれた。
・抗TROP-2 ADCは、全体のサブグループとトリプルネガティブ乳がん(TNBC)のサブグループにおいて、TROP-2発現レベルにかかわらず化学療法と比較してPFSを有意に改善した。
 -全体集団のTROP-2高発現群 HR:0.34、95%CI:0.20~0.57
 -全体集団のTROP-2低発現群 HR:0.63、95%CI:0.50~0.79
 -TNBCのTROP-2高発現群 HR:0.27、95%CI:0.20~0.37
 -TNBCのTROP-2低発現群 HR:0.46、95%CI:0.33~0.64
・HR+/HER2-乳がんにおいては、PFSの有意な改善はTROP-2高発現群でのみ確認された(HR:0.56、95%CI:0.47~0.68)。
・すべてのサブタイプにおいて、PFSの改善はTROP-2高発現群でより顕著であった。

 研究グループは「これらの知見は、患者の選択と治療方針の決定を最適化するために、標準化され、臨床的に意義のあるTROP-2検査の重要性を浮き彫りにしている」とまとめた。

(ケアネット 森)


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Buonaiuto R, et al. J Natl Cancer Inst. 2026 Jul 10. [Epub ahead of print]

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患者説明に使う資料や情報源は?~がん専門医500人に聞く

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 情報過多の現代、医療情報も多種多様なレベルのものが世の中にあふれている。数十年前と比べ医師と患者の立場がフラットになりつつある昨今、患者自身の学習意欲もあいまって、診療時間中のコミュニケーションに費やす時間は増加傾向にある。診療の効率化が求められる中でも、医師にとっては患者に対し、患者自身の疾患に関する正しい知識を端的に提供したいというニーズは根強いのではないだろうか。

 患者の視点に立った情報発信については、若尾 文彦氏(国立がん研究センターがん対策情報センター本部)率いる研究班*や「がん情報の均てん化を目指す会」**をはじめとする多くの団体が検証を重ねている。後者の団体が2024年11月5日に公表したディスカッション・ペーパー『がん情報の均てん化に向けて~がん患者がオンライン上でがん情報を入手・活用する際の課題と提言~』では、がん患者がオンライン上で情報を入手・活用する際の課題が示された。とくに注目すべきは、患者が情報を入手・精査する際の相談先として、8割が「主治医」を挙げていた点である。
*「厚生労働科学研究費補助金 がん対策推進総合研究事業 _科学的根拠に基づくがん情報の提供及び均てん化に向けた 体制整備に資する研究」
**がん患者が適切なタイミングで適切な情報にアクセスすることで、治療や周辺情報に関する知識を高め、適切に治療を受け、がんと共生できる環境を目指すことを目的に2024年4月に発足

 そこでCareNet.comでは、患者から相談を受ける医師側が、日常診療でどのような情報源を案内しているかを明らかにするため、日常診療でがん患者の診察を行っている200床以上の施設に勤務する会員医師501人(呼吸器科、消化器科、外科、乳腺外科、血液内科、泌尿器科、腫瘍科)に対し、「医師のがん患者への情報提供方法」に関するアンケートを実施。患者への情報提供資料やその情報源、および活用理由について調査した。

告知時の相談内容と使用媒体

 まず、回答者の「勤務先施設の区分」(Q1)について、「地域がん診療連携拠点病院」所属の医師が最も多く、「都道府県がん診療連携拠点病院」「いずれも該当しない」と続いた。また、年代別では30~50代が多く、30~40代では「都道府県がん診療連携拠点病院」、その他の年代では「地域がん診療連携拠点病院」に所属する医師の割合が高かった。

 「患者や家族への告知時、またはその後の診察で受けることが多い質問・相談」(Q2)については、「病気に関する情報」「病期と治療の選択肢」「予後・余命」が上位を占め、次いで「副作用や対処法」「検査・診断方法」となった。これらは施設区分による大きな差異はみられなかった。なお、前述のディスカッション・ペーパーにおいても、患者側が「十分な情報があった」と回答した項目とほぼ一致しており、患者自身の検索行動だけでなく、医師からの情報提供が一定の影響を与えている可能性が示唆される。

 これらの相談に対し「利用する媒体やツール」(Q3)を尋ねたところ、「製薬企業が作成している患者向け資料説明」「自施設で作成している患者向け説明資料」「各学会発行のガイドライン(患者向け含む)」の利用率が高かった。一方で、回答者の約1/3が「手書きの図やメモ」を用いた説明を行っていると回答し、Web媒体系資料の活用頻度は総じて低い傾向にあった。診療科別では、血液内科において製薬企業作成資料の利用が突出しているほか、外科ではガイドラインの利用率が高いという特徴がみられた。

 なお、Q3で「患者向けWeb媒体の資料」と回答した医師が利用するサイト(Q4)については、国立がん研究センターの「がん情報サービス」が最多であり、厚生労働省のホームページ、がん関連学会のサイトがそれに続いた。

患者の情報収集への意識、医師による「相談支援センター」の活用実態

 「病態や治療内容を調べる方法について患者から尋ねられた経験」(Q5)については、全体の60%が「ある」と回答しており、患者側から能動的に調べ方を問うケースは、やはり一定数存在することが伺える。

 一方、無料・匿名で利用できる「がん相談支援センターの認知と活用」(Q6)については、ギャップが生じる結果となった。半数以上の医師が存在を認知しているものの、実際に自ら活用を促したことがある医師は2割弱にとどまった。この傾向は診療科や年代によってばらつきがみられ、とくに若年発症が多くサバイバー層も厚い血液内科において、医師からの利用勧奨が少ない結果となっている。これについては、医師による直接の勧奨ではなく、院内の医療連携を通じて看護師やメディカルソーシャルワーカーらが役割を担っている背景も推測される。また年代別では、20〜30代の若手医師の間で認知が浸透している一方、40代以降ではやや認知度が下がる傾向が確認された。

 今回の調査では、このほかに自由記入として「患者への説明時に不安を感じること」「説明時に困っていること」「説明時に意識していること」についても回答を得ている。臨床現場におけるコミュニケーションの標準化やリソースの最適化に向け、示唆に富む具体的な声が集まったため、詳細はぜひアンケート結果のデータを参照されたい。

アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。

がん患者への情報提供方法

(ケアネット 土井 舞子)


【参考文献・参考サイトはこちら】

がん対策研究紹介サイト:正しいがん情報の提供

がん情報の均てん化を目指す会:ディスカッション・ペーパー_がん情報の均てん化に向けて~がん患者がオンライン上でがん情報を入手・活用する際の課題と提言~

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転移TN乳がんに対するSG、大規模リアルワールドの成績/ESMO Open

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 転移を有するトリプルネガティブ乳がん(mTNBC)に対するサシツズマブ ゴビテカン(SG)のリアルワールドにおける有効性および安全性に関するエビデンスは限られている。今回、イタリア・Istituto Nazionale Tumori, IRCCS Fondazione G. PascaleのRoberta Caputo氏らは、mTNBC患者を対象としたSG治療のリアルワールドコホートとしては欧州では最大規模、世界でも2番目に大きい規模の多施設共同研究を実施した。その結果、SGはmTNBC患者において持続的な臨床的効果と管理可能な毒性を示し、有害事象の最適な管理の重要性が示唆された。ESMO Open誌2026年7月号に掲載。

 本解析の対象は、イタリアの17の腫瘍センターでSG治療を受けたmTNBC女性256例で、217例は後ろ向きに特定され、39例は前向きに登録された。効果と安全性は、RECIST v1.1およびNCI-CTCAE v5.0に従って評価された。

 主な結果は以下のとおり。

・患者の年齢中央値は54歳(範囲:26~80歳)であり、70.7%が初回診断時にTNBCと診断されていた。転移の診断からSG開始までの期間の中央値は16ヵ月(範囲:0~115ヵ月)で、治療ライン数の中央値は2ライン(範囲:0~7ライン)であった。転移部位は多い順にリンパ節(60.9%)、骨(43.0%)、肺(42.6%)、肝臓(33.2%)、脳(26.2%)であった。
・全体として、37.5%が完全奏効または部分奏効を達成し、27.7%が安定、31.2%が進行を認めた。追跡期間中央値17.4ヵ月時点で、202例に病勢進行が認められ、139例が死亡した。
・無増悪生存期間中央値は6.4ヵ月(95%信頼区間[CI]:5.3~7.3)、全生存期間中央値は13.6ヵ月(95%CI:11.5~15.5)であった。
・主な治療関連有害事象は、脱毛(69.1%)、好中球減少症(57.0%)、悪心(49.6%)、貧血(46.9%)、下痢(36.7%)であった。好中球減少症はGrade3が18.0%、Grade4が5.9%に認められた。減量が36.5%、治療中止が2.7%にみられた。

(ケアネット 金沢 浩子)


【原著論文はこちら】

Caputo R, et al. ESMO Open. 2026;11:108251.

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早期HR+/HER2-乳がん、術後アベマシクリブ初回用量漸増後24週時点での忍容性(TRADE)/ESMO Open

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 高リスクの早期ホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陰性(HER2-)乳がんにおけるアベマシクリブ術後療法は再発率を低下させ、全生存期間を改善するが、毒性、とくに下痢で減量や早期の中止をせざるをえない場合がある。TRADE試験においてはすでに、アベマシクリブの早期用量漸増により12週までに目標用量である1日2回150mgに到達し、維持できることが報告されている。今回、米国・Dana-Farber Cancer InstituteのIlana Schlam氏らが本試験の24週時点での臨床アウトカムに関する解析結果について、ESMO Open誌2026年7月6日号で報告した。

 TRADE試験は、アベマシクリブ術後療法の適応となる早期リンパ節転移陽性HR+/HER2-乳がんを対象とした医師主導の前向き単群第II相試験である。アベマシクリブを50mg1日2回で2週間投与後、100mg1日2回で2週間投与し、その後、計画された2年間にわたり150mg1日2回に増量した。主要評価項目は、12週時点での複合エンドポイント(あらゆる理由によるアベマシクリブの投与中止率および/または目標標準用量である150mg1日2回投与に到達または維持できなかった割合)で、今回は24週時点での主要評価項目を報告。

 主な結果は以下のとおり。

・評価可能な89例中、治療開始24週時点で16例(18.0%)がアベマシクリブの投与を中止しており、うち7例(7.9%)が有害事象により中止した。
・24週時点でアベマシクリブの投与を継続していた73例(82.0%)のうち、47例(64.4%)が150mg1日2回、18例(24.7%)が100mg1日2回、8例(11.0%)が50mg1日2回の投与を受けていた。
・89例中29例(32.6%)が少なくとも1回のアベマシクリブの減量が必要であり、そのうち22例(24.7%)は当初150mg1日2回の用量に達した後、減量された。
・患者報告アウトカムによると、治療開始時から5ヵ月目まで、QOLに臨床的に有意な変化は認められなかった。

 著者らは「24週の追跡調査における結果は、術後療法としてのアベマシクリブ開始時の早期用量漸増戦略が治療継続率および忍容性を最適化するうえで有用であることを引き続き示している。計画された2年間の治療期間にわたる治療アウトカムを評価するため、追跡調査を継続する」としている。

(ケアネット 金沢 浩子)


【原著論文はこちら】

Schlam I, et al. ESMO Open. 2026;11:108247.

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