早期乳がん術前化学療法、pCRは代替エンドポイントには役不足/BMJ

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 病理学的完全奏効(pCR)は、無病生存期間(DFS)および全生存期間(OS)のいずれについても、臨床試験の代替エンドポイントとして不十分であることが、イタリア・European Institute of Oncology(IEO)のFabio Conforti氏らが実施した、早期乳がんを対象とする術前化学療法の無作為化臨床試験に関するシステマティックレビューおよびメタ解析で確認された。米国食品医薬品局(FDA)は、早期乳がんの術前化学療法を検証する無作為化臨床試験において、pCRをDFSおよびOSの代替エンドポイントとすることを承認している。しかし、先行のメタ解析(試験数に限界があった)で認められたpCRとDFSおよびOSとの間の強い相関関係は、患者レベルであり試験レベルではなく、pCRを代替エンドポイントとすることについては議論の的となっていた。著者は、「今回示された結果は、pCRを早期乳がん術前化学療法の主要エンドポイントとして規定すべきではないことを示すものである」とまとめている。BMJ誌2021年12月21日号掲載の報告。

54件のRCTをメタ解析、試験レベルで検証

 研究グループは、Medline、EmbaseおよびScopusを用い、2020年12月1日までに発表された、術前化学療法の単独または他の治療(抗HER2薬、標的治療薬、抗血管薬、ビスホスホネート、免疫チェックポイント阻害薬など)との併用を検証した無作為化臨床試験を特定し、pCRとDFSまたはOSの試験レベルでの関連性を解析した。

 治療効果推定値(DFSおよびOSのハザード比、pCRの相対リスク)を対数変換した後、加重回帰解析を実施し、決定係数(R2)を用いて関連性を定量化した。また、実験群における治療法の種類、pCRの定義(乳房およびリンパ節vs.乳房のみ)、疾患の生物学的特性(HER2陽性またはトリプルネガティブ乳がん)によって試験を層別化し、事前に計画されたサブグループ解析の結果の異質性を検証するとともに、DFS/OSのハザード比に関する代替閾値効果についても評価した。

 無作為化臨床試験54件(計3万2,611例)が本解析に組み込まれた。

DFSおよびOSとの関連は弱く、OSの代替エンドポイントとはならず

 pCRの対数(相対リスク)と、DFS(R2=0.14、95%信頼区間[CI]:0.00~0.29)およびOS(0.08、0.00~0.22)の対数(ハザード比)との間に観察された関連性は弱いものであった。全サブグループ解析において、pCRの定義、実験群における治療法の種類、疾患の生物学的特性にかかわらず、同様の結果が得られた。

 代替閾値効果は、DFSに関しては5.19であったが、OSについては推定できなかった。

 3つの感度解析(登録患者200例未満の小規模試験を除外、追跡期間中央値24ヵ月未満の試験を除外、pCRの相対リスクを治療群間のpCR率の絶対差に置き換え)の結果、一貫した結果が確認された。

(医学ライター 吉尾 幸恵)


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Conforti F, et al. BMJ. 2021;375:e066381.

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男性乳がんの予後不良因子は?

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 男性乳がんは稀な疾患であるものの、近年増加傾向がみられている。認知度の低さなどから進行期になってから診断されるケースが多く、生存に寄与する因子や適切な治療戦略については明確になっていない部分が多い。韓国・忠北大学校病院のSungmin Park氏らは、国民健康保険データベースを用いた男性乳がん患者の転帰に関する後ろ向き解析結果を、Journal of Breast Cancer誌オンライン版2021年12月24日号に報告した。

 本研究では、韓国の健康保険データベースを使用して、該当の請求コードをもつ男性乳がん患者を特定、男性乳がんの発生率、生存転帰、およびその予後因子が評価された。最初の請求から1年以内の手術と放射線療法の種類を含む、医療記録と死亡記録がレビューされた。その他、経済状況(≧20パーセンタイル、<20パーセンタイル)、地域(都市部、地方)、チャールソン併存疾患指数(0、1、≧2)、およびBRCA1/2(乳がん遺伝子)テストの実施について情報が収集された。

 主な結果は以下のとおり。

・2005~16年の間に、新たに男性乳がんと診断された患者838例が特定された。
・男性乳がんの診断が最も多かった年齢層は70~74歳で、60〜64歳、65〜69歳が続いた。
・患者の約80%が診断後に乳がんの外科手術を受け、50%以上が化学療法、約68%がタモキシフェンの投与を受けており、トラスツズマブは2008年以降約9%が投与を受けていた。
・追跡期間中央値約5年間(1,769日)において、268例の死亡が確認され、5年生存率は73.7%だった。
・65歳以上の男性は65歳未満の男性よりも全生存期間が短かった(ハザード比:2.454、95%信頼区間:1.909~3.154、p<0.001)。そのほか、併存疾患2つ以上、外科的治療なし、タモキシフェンの投与なし、低所得が、予後不良と関連していた。
・多変量解析の結果、予後不良に関連する最も重要な因子は、併存疾患2つ以上だった(HR:4.439、95%CI:2.084~9.453、p=0.001)。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


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Park SY,et al. J Breast Cancer. 2021 Dec;24:561-568. [Epub ahead of print]

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2021年、がん専門医に読まれた記事は?「Doctors’Picks」ランキング

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 ケアネットが運営する、オンコロジーを中心とした医療情報キュレーションサイト「Doctors’Picks」(医師会員限定)は、2021年にがん専門医によく読まれた記事ランキングを発表した。がん横断的なトピックスやCOVID-19とがんに関連する記事のほか、米国腫瘍学会(ASCO)関連の話題が多くランクインしている。

【1位】おーちゃん先生のASCO2021肺がん領域・オーラルセッション/Doctors’Picks
 6月に行われた米国臨床腫瘍学会(ASCO)。4,500を超える演題から注目すべきものをエキスパート医師がピックアップして紹介。肺がん分野は山口 央氏(埼玉医科大学国際医療センター)が「CheckMate-9LA試験の2年アップデート」「IMpower130、IMpower132、IMpower150 の免疫関連の有害事象を分析」などを選定した。

【2位】がん関連3学会、がん患者への新型コロナワクチン接種のQ&A公開/CareNet.com
 3月末、がん関連3学会(日本癌学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会)は合同で「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とがん診療についてQ&A―患者さんと医療従事者向け ワクチン編 第1版―」を公開した。

【3位】ASCO 乳がん 注目演題まとめ(1)オーラル/周術期/Doctors’Picks
 ASCO注目演題、乳がん分野は寺田 満雄氏(名古屋市立大学)が全オーラル演題をチェックしたうえで注目すべき10演題を選定、サマリーと共に紹介した。

【4位】リキッドバイオプシーを用いたがん遺伝子パネル検査が国内で初承認/日経メディカル
 3月、中外製薬は血液検体を用いて固形がんに対する包括的ゲノムプロファイリングを行う検査「FoundationOne Liquid CDx がんゲノムプロファイル」の承認獲得を発表。リキッドバイオプシーを用いたがん遺伝子パネル検査は国内初承認となる。進行固形がん患者を対象に、血液中の循環腫瘍 DNA(ctDNA)を用いて324個のがん関連遺伝子を解析する。

【5位】免疫チェックポイント阻害薬の免疫関連有害事象…メカニズムと緩和戦略/Nature Reviews Drug Discovery
 チェックポイント阻害薬(ICI)治療に関連した免疫関連有害事象(irAE)の発生と、発生を予測するバイオマーカーを特定し、発症を抑制するメカニズムを解説する論文がNature Reviews Drug Discovery誌に掲載された。

6~10位は以下のとおり。
【6位】ASCO 消化器がん 注目演題まとめ/Doctors’Picks
【7位】固形がん患者における新型コロナワクチン接種後の抗体価/Annals of Oncology
【8位】がん免疫療法患者に対するCOVID-19ワクチン接種/SITC
【9位】IMpower150試験、EGFR陽性・肝/脳メタ解析の最終報告/Journal of Thoracic Oncology
【10位】「オンコタイプDX乳がん再発スコアプログラム」の保険適用を了承/中医協

(ケアネット 杉崎 真名)


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リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー  CONNECTED PAPERSの活用 その1【「実践的」臨床研究入門】第15回

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本連載は、臨床研究のノウハウを身につけたいけれど、メンター不在の臨床現場で悩める医療者のための、「実践的」臨床研究入門講座です。臨床研究の実践や論文執筆に必要な臨床疫学や生物統計の基本について、架空の臨床シナリオに基づいた仮想データ・セットや、実際に英語論文化した臨床研究の実例を用いて、解説していきます。

 

CONNECTED PAPERS―関連研究のネットワークを可視化する

 これまで、関連研究レビューのための質の高い2次情報源(連載第3回参照)として、診療ガイドライン、UpToDate®、コクラン・ライブラリーの活用法を解説してきました。今回はその他の有用な情報源として”CONNECTED PAPERS”を紹介します。

 ”CONNECTED PAPERS”は「Key論文」(連載第8回参照)と内容の「類似性」の高い論文をネットワーク化して図示する無料のオンラインツールです。”CONNECTED PAPERS”のホームページのヘッダーにある”About”をクリックすると”How does it work?”とあり、このツールの「からくり」についての説明があります。それによると、ここで言う論文の「類似性」とは、互いに引用している関係に限らないようです。それぞれの論文の引用文献の多くが重複していると関連したトピックを扱っている可能性が高い、と推定するなどして関連研究のネットワークを可視化しているそうです。

 それでは、実際の論文を用いて“CONNECTED PAPERS”を使ってみたいと思います。

 前回読み込んだコクラン・フル・レビュー論文1)ですが、出版年は2007年と10年以上前です。コクラン・ライブラリーで”Version history”を確認すると(連載第13回参照)、このトピックに関する初版のフル・レビュー論文2)は1997年に出版され、現行の2007年版1)はその「アップデート論文」でした。この2つのフル・レビュー論文のコクラン・ライブラリーでの固有IDは”CD002181”と同じですが、筆頭著者が違います1, 2)

 一方、Digital Object Identifier(DOI)は個別のコンテンツ(ここでは論文)の電子データに与えられる恒久的な識別子です。コクラン・ライブラリーでもPubMedでも論文タイトルの直下にDOIが示されています。1997年版2)と2007年版1)のフル・レビュー論文のDOIを比較してみます。

・DOI: 10.1002/14651858.CD002181.pub2(2007年版)1)
・DOI: 10.1002/14651858.CD002181.(1997年版)2)

 「アップデート論文」1)のDOIの末尾には”.pub2”が追記されており、個別の論文ごとの識別子であることがわかります。

 コクラン・ライブラリーを見る限り、2007年版のフル・レビュー論文1)以降はアップデートされていないようです。そこで、このトピックに関して2007年以降に新たなエビデンスが出版されているかを”CONNECTED PAPERS”で調べてみましょう。

 ”CONNECTED PAPERS”の使い方は簡単です。そのホームページを開くと”To start, enter a paper identifier”と注釈のついた検索窓が出てきます。そこに、「Key論文」のタイトルもしくはDOIをコピー&ペーストするだけです。

実際に2007年版のコクラン・フル・レビュー論文1)を「Key論文」として、そのDOIを検索窓にコピー&ペーストしてみます。すると、「Key論文」を中心とした関連研究との関係性がリンクのように可視化されます。 類似の論文は矢印で結ばれ、個々の論文は円型の節点(ノード)で示されます。ノードの大きさは被引用回数の多さを、色は出版年を表しています(色が濃いほど新しい論文)。”CONNECTED PAPERS”を使えば、関連研究の見逃しが減るかもしれません。


【 引用文献 】

講師紹介

harasense

長谷川 毅 ( はせがわ たけし ) 氏
昭和大学統括研究推進センター研究推進部門 教授
昭和大学医学部内科学講座腎臓内科学部門/衛生学公衆衛生学講座 兼担教授
福島県立医科大学臨床研究イノベーションセンター 特任教授

[略歴]
1996年昭和大学医学部卒業。
2007年京都大学大学院医学研究科臨床情報疫学分野(臨床研究者養成コース)修了。
都市型および地方型の地域中核病院で一般内科から腎臓内科専門診療、三次救急から亜急性期リハビリテーション診療まで臨床経験を積む。その臨床経験の中で生じた「臨床上の疑問」を科学的に可視化したいという思いが募り、京都の公衆衛生大学院で臨床疫学を学び、米国留学を経て現在に至る。

バックナンバー

14 リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー コクラン・ライブラリーの活用 その3【「実践的」臨床研究入門】第14回

13 リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー コクラン・ライブラリーの活用 その2【「実践的」臨床研究入門】第13回

12 リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー コクラン・ライブラリーの活用 その1
【「実践的」臨床研究入門】第12回

11 リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー UpToDateの活用 その2
【「実践的」臨床研究入門】第11回

10 リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー UpToDateの活用 その1
【「実践的」臨床研究入門】第10回

9 リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 文献管理 その3
【「実践的」臨床研究入門】第9回

8 リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 文献管理 その2
【「実践的」臨床研究入門】第8回

7 リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 文献管理 その1
【「実践的」臨床研究入門】第7回

6 リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 診療ガイドラインの活用 その3
【「実践的」臨床研究入門】第6回

5 リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 診療ガイドラインの活用 その2
【「実践的」臨床研究入門】第5回

4 リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 診療ガイドラインの活用 その1
【「実践的」臨床研究入門】第4回

3 リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー その2
【「実践的」臨床研究入門】第3回

2 リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー その1
【「実践的」臨床研究入門】第2回

1 臨床上の疑問とリサーチ・クエスチョン
【「実践的」臨床研究入門】第1回


 

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HER2+進行乳がん2次治療、T-DXdが脳転移例にも良好な結果(DESTINY-Breast03)/SABCS2021

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 HER2陽性の切除不能または転移を有する乳がん(mBC)患者に対する2次治療として、脳転移の有無にかかわらずトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)がトラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)と比較し高い有効性を示した。米国・カリフォルニア大学のSara A. Hurvitz氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS 2021)で第III相DESTINY-Breast03試験のサブグループ解析結果を発表した。

 DESTINY-Breast03試験については、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で中間解析結果が発表され、主要評価項目のPFS中央値は、T-Dxd群NR(95%信頼区間[CI]:18.5~NE) vs.T-DM1群6.8ヵ月(95%CI:5.6~8.2)、ハザード比(HR):0.28(95%CI:0.22~0.37、p=7.8×10-22)でT-Dxd群の有意な延長が報告されている。

・対象:トラスツズマブとタキサンによる治療歴のあるHER2+mBC患者
・試験群:以下の2群に1対1の割合で無作為に割り付け
T-DXd群:3週間間隔で5.4mg/kg投与 261例
T-DM1群:3週間間隔で3.6mg/kg投与 263例
・層別化因子:ホルモン受容体の状態、ペルツズマブ治療歴、内臓転移の有無、治療ライン数(0~1、≧2)、脳転移の有無
・評価項目:
[主要評価項目]盲検化独立中央評価委員会(BICR)による無増悪生存期間(PFS)
[副次評価項目]OS、BICRおよび治験実施医師評価による客観的奏効率(ORR)、BICR評価による奏効期間(DOR)、治験実施医師評価によるPFS、安全性

 主な結果は以下のとおり。

・データカットオフは2021年5月21日、追跡期間中央値は15.9ヵ月。
・ベースライン時点で、脳転移を有する患者はT-DXd群43例(16.5%)vs. T-DM1群39例(14.8%)だった。
・ホルモン受容体の状態、ペルツズマブ治療歴、内臓転移の有無、治療ライン数、脳転移の有無別のいずれのサブグループにおいても、T-DM1群と比較してT-DXd群ではPFS中央値とORRが大きく改善していた。
・ベースライン時点で脳転移を有する症例でのPFS中央値はT-Dxd群15.0ヵ月(95%CI:12.5~22.2) vs.T-DM1群3.0ヵ月(95%CI:2.8~5.8)、HR:0.25(95%CI:0.13~0.45)。脳転移のない症例でのPFS中央値はNE(95%CI:22.2~NE)vs. 7.1ヵ月(95%CI:5.6~9.7)、HR:0.30(95%CI:0.22~0.40)だった。
・ベースライン時点で脳転移を有する症例でのORRはT-Dxd群67.4% vs.T-DM1群20.5%。CRは4.7% vs.0%、PRは62.8% vs.20.5%。脳転移のない症例でのORRは82.1% vs. 36.6%。CRは18.3% vs.10.3%、PRは63.8% vs.26.3%だった。
・ベースライン時点で脳転移を有する症例での頭蓋内奏効は、CRがT-Dxd群27.8% vs. T-DM1群2.8%、PRは36.1% vs.30.6%だった。
・中間解析において治療中止に関連した有害事象としてT-Dxd群で最も多かったのはILD/肺炎であったが、Grade4以上の報告はなく、またアジア人サブグループと非アジア人サブグループの間で差は認められなかった(10.9% vs.10.0%)。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


【 参考文献・参考サイトはこちら 】

DESTINY-Breast03試験(Clinical Trials.gov)

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早期乳がん術後化療中の遠隔ケア、予防的電話介入の効果は?/BMJ

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 早期乳がんの外来化学療法中の毒性管理について、プロアクティブに電話で介入する方法は、救急部門の受診や入院の減少に結び付かなかったことが、カナダ・University Health NetworkのMonika K. Krzyzanowska氏らが行った検討で示された。がん化学療法中は、救急部門の受診や入院は一般的であり、外来で適切にサポートすれば予防できる可能性が示唆されているが、これまで遠隔管理の大規模な検討は限定的であった。結果を踏まえて著者は、「COVID-19パンデミックにより遠隔ケアが急速に増加しており、がん治療中の患者の遠隔管理について、実践可能な戦略を確立することはとくに重要な課題である」と述べている。BMJ誌2021年12月8日号掲載の報告。

介入群vs.通常ケア、化学療法中の救急部門受診/入院回数を検証

 研究グループは、早期乳がんの化学療法中の毒性管理について、プロアクティブな遠隔管理の効果を評価する、プラグマティックなクラスター無作為化試験を行った。

 カナダ、オンタリオ州の20のがんセンターを、共変量制限付き無作為化法にて、毒性の遠隔管理を行う(介入)群または通常ケアを行う(対照)群に割り付けた。被験者は、各センターで早期乳がんによりアジュバント化学療法またはネオアジュバント化学療法を受けた全患者。また、各センターで25例に、アウトカムの質問票に回答してもらった。

 介入群には、各化学療法サイクル後の2つの時点で、看護師によるプロアクティブかつ標準化された一般的な毒性の管理が電話にて行われた。

 主要評価項目は、化学療法全コース中の、クラスターレベルでみた患者1人当たりの救急部門受診回数または入院回数の平均値で、ルーチンに利用可能な健康管理データを用いて評価した。また、患者の自己申告によるアウトカムには、毒性、自己効力感、QOLなどが含まれていた。

両群間で有意差なし

 被験者のベースライン特性は、介入群(944例)、対照群(1,214例)で類似していた。65歳超の被験者は22%で、占有率(各センターで介入を受けた患者の割合)は、50~86%であった。

 患者1人当たりの救急部門受診/入院回数の平均値は、介入群0.91(標準偏差[SD] 0.28)、対照群0.94(0.40)だった(p=0.94)。47%(1,014/2,158例)が、化学療法中に1回以上、救急部門受診/入院を経験した。

 患者が自己申告するアウトカム質問票に回答した580例において、Grade3の毒性を1回以上経験したと報告したのは、介入群48%(134/278例)、対照群58%(163/283例)であった。自己効力感、不安、うつ症状について差は認められなかった。また、ベースラインと比較した、がん治療試験の機能評価のアウトカム指数の低下は、介入群6.1ポイント、対照群9.0ポイントであった。

(ケアネット)


【原著論文はこちら】
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Krzyzanowska MK, et al. BMJ. 2021 Dec 8. [Epub ahead of print]

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早期乳がん、タキサンへのアントラサイクリン追加のベネフィットとリスク~メタ解析/SABCS2021

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 早期乳がんに対するタキサンとアントラサイクリンをベースとした化学療法は、アントラサイクリンによる心毒性と白血病リスク増加の懸念から、アントラサイクリンを含まないレジメン、とくにドセタキセル+シクロホスファミド(DC)が広く使用されている。アントラサイクリン併用のベネフィットとリスクは複数の無作為化試験で検討されているが、結果が一致していない。今回、Early Breast Cancer Trialists Collaborative Group(EBCTCG)が、2012年以前に開始された16件の無作為化比較試験から約1万8,200例のデータのメタ解析を実施した。その結果、アントラサイクリン併用で、乳がん再発リスクが相対的に15%減少し、また同時投与レジメンで最大の減少がみられたことを、英国・オックスフォード大学のJeremy Braybrooke氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS 2021)で発表した。

・比較試験の種類:
(A)アントラサイクリン+DC同時投与6サイクル vs. DC 6サイクル(タキサン累積投与量が両群で同じ)3試験
(B)アントラサイクリン/タキサン逐次投与 vs. DC 6サイクル(タキサン累積投与量が併用群で少ない)8試験
(C)タキサン+アントラサイクリン vs. タキサン±カペシタビン3試験
(D)タキサン+アントラサイクリン vs. タキサン+カルボプラチン2試験
・主要評価項目:再発率、乳がんによる死亡率

 主な結果は以下のとおり。

・全試験でのメタ解析では、タキサンに対するタキサン+アントラサイクリンでの再発リスクの相対的減少は15%(RR:0.85、95%CI:0.78~0.93、2p=0.0003)、10年での絶対的減少は2.5%(95%CI:0.9~4.2)だった。乳がん死亡リスクの相対的減少は13%(RR:0.87、95%CI:0.78~0.98、2p=0.02)、10年での絶対的減少は1.6%(95%CI:0.1~3.1)だった。
・再発リスクの相対的減少は、アントラサイクリン同時投与の有無による比較(A)で42%(RR:0.58、95%CI:0.43~0.79)と最大だった。一方、アントラサイクリン/ドセタキセル逐次投与とDCの比較(B、ドセタキセル累積投与量が併用群で少ない)では、アントラサイクリン併用による有意なベネフィットはなかった(RR:0.92、95%CI:0.78~1.09)。
・再発率の相対的減少について、エストロゲン受容体の発現状況やリンパ節転移の個数による違いはなかった。
・心血管疾患や白血病による死亡の有意な増加は示されなかった(長期フォローアップが必要)。

(ケアネット 金沢 浩子)


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ESR1変異を有するHR+進行乳がん、フルベストラント+パルボシクリブへの早期切り替えでPFS改善(PADA-1)/SABCS2021

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 ホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陰性(HER2-)進行乳がんに対する一次治療として、アロマターゼ阻害薬(AI)とパルボシクリブの併用療法で治療中の患者のうち、疾患進行前に血液中で検出されたESR1変異を有する患者は、フルベストラントとパルボシクリブの併用療法に早期に切り替えることで、無増悪生存期間(PFS)の改善がみられた。第III相PADA-1試験の結果を、フランス・Institut Curie and Paris-Saclay UniversityのFrancois-Clement Bidard氏が発表した。

・対象:アロマターゼ阻害薬とパルボシクリブの併用による一次治療中の転移を有するHR+/ HER2-乳がん患者(ECOG PS 0~2) 1,017例
・試験の構成:
[STEP1]組み入れ時、一ヵ月後、その後2ヵ月後おきにリキッドバイオプシーで採取した血中循環腫瘍DNA(ctDNA)からdroplet digital PCR(ddPCR)を用いてESR1変異の状況を確認
[STEP2]ESR1変異が確認され、その時点で疾患進行のみられない患者(172例)を無作為化:
AI+パルボシクリブ(Pal)併用群 84例
フルベストラント(Ful)+パルボシクリブ(Pal)併用群 88例
[STEP3]AI+パルボシクリブ併用群において疾患増悪後、フルベストラント+パルボシクリブへのクロスオーバーが認められた
・評価項目:
[主要評価項目]STEP2における治験担当医師評価による無増悪生存期間(PFS)、安全性(Grade3以上の血液毒性)
[副次評価項目]クロスオーバー後のPFS、安全性(Grade3以上の非血液毒性、SAE)など

 主な結果は以下のとおり。

・データカットオフは2021年7月31日で、追跡期間中央値は34.5ヵ月(STEP1~3まで0~52ヵ月)。
・STEP2での両群の患者特性は、年齢中央値がAI+Pal群60歳vs. Ful+Pal群62歳、術後AI療法歴を有する患者が37% vs. 34%、ESR1変異発現までの期間12ヵ月以上が65% vs. 61%と両群でバランスがとれていた。
・STEP2の追跡期間中央値は26ヵ月。PFS中央値はAI+Pal群5.7ヵ月に対しFul+Pal群11.9ヵ月とFul+Pal群で有意な改善がみられた(層別ハザード比:0.61、95%信頼区間[CI]:0.43~0.86、p=0.005)。
・安全性について、Grade3以上の血液毒性/非血液毒性いずれも両群で差はみられず、新たな安全性上の懸念も認められなかった。
・STEP2のAI+Pal群のうち、69例がPDとなり、うち47例がクロスオーバーコホートとしてFul+Pal併用療法へ切り替えた(STEP3)。
・STEP3の追跡期間中央値は14.7ヵ月。PFS中央値は3.5ヵ月(95%CI:2.7~5.1)だった。

 Bidard氏はctDNAによるESR1変異のモニタリングはCDK4/6阻害薬との併用療法を最適化するために有用とし、治療中にオプションとしてこの戦略を取り入れていくことがベネフィットにつながる可能性があるとした。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


【 参考文献・参考サイトはこちら 】

PADA-1試験(ClinicalTrials.gov)

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21遺伝子アッセイ、リンパ節転移陽性乳がんの術後化学療法の効果予測は?/NEJM

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 21遺伝子乳がんアッセイ(Oncotype DX、Exact Sciences製)による再発スコアは、ホルモン受容体陽性、HER2陰性、腋窩リンパ節転移陰性の乳がんにおける化学療法の効果の予測に有用であることが確認されている。米国・エモリー大学Winshipがん研究所のKevin Kalinsky氏らは、今回、リンパ節転移陽性乳がんにおける21遺伝子アッセイの有用性を検討し、再発スコアが25点以下の閉経前女性では、術後の化学療法+内分泌療法(化学内分泌療法)は内分泌療法単独と比較して、無浸潤病変生存と無遠隔再発生存の期間を延長する一方で、同様の病態の閉経後女性では化学療法の利益はないことを示した(RxPONDER試験)。研究の詳細は、NEJM誌オンライン版2021年12月1日号で報告された。

9ヵ国632施設の無作為化試験

 研究グループは、21遺伝子アッセイはリンパ節転移陽性乳がん女性における術後化学療法の利益を予測可能かの検証を目的に、前向き無作為化臨床試験を行った(米国国立がん研究所[NCI]などの助成を受けた)。本試験では、2011年2月~2017年9月の期間に、9ヵ国632施設で参加者の無作為化が行われた。

 対象は、年齢18歳以上で、ホルモン受容体陽性、HER2陰性、1~3個の腋窩リンパ節転移(Stage N1)を有し、再発スコア(0~100点、点数が高いほど予後不良)が25点以下の遠隔転移のない非炎症性乳がんで、初回手術としてセンチネルリンパ節生検または腋窩リンパ節郭清を受けており、タキサン、アントラサイクリンあるいはこれら双方を含む化学療法レジメンが適応となる女性であった。

 被験者は、化学内分泌療法または内分泌療法のみを受ける群に無作為に割り付けられ、15年間追跡された。

 この試験の主要な目標は、無浸潤病変生存期間に及ぼす化学療法の効果を評価することであり、再発スコアと化学療法の効果の関連が検討された。無浸潤病変生存期間は、無作為化の日から、浸潤病変の初回再発(局所、領域、遠隔)、初発の新規浸潤がん(乳がん、他の種類のがん)、全死因死亡が発生するまでの期間と定義された。副次エンドポイントは無遠隔再発生存などであった。

閉経後女性では術後化学療法を安全に回避可能

 5,018例(年齢中央値57.5歳[IQR:18.3~87.6]、閉経前33.2%、閉経後66.8%)が解析に含まれた。化学内分泌療法群が2,511例、内分泌療法単独群は2,507例であった。事前に規定された3回目の中間解析で、無浸潤病変生存期間に及ぼす化学療法の利益は閉経状況によって異なること(p=0.008)が明らかとなったため、閉経前と閉経後に分けて解析が行われた。

 閉経後女性では、5年無浸潤病変生存率は化学内分泌療法群が91.3%、内分泌療法単独群は91.9%であり、化学療法の利益は示されなかった(ハザード比[HR]:1.02、95%信頼区間[CI]:0.82~1.26、p=0.89)。また、5年無遠隔再発生存率にも、両群間に差は認められなかった(94.4% vs.94.4%、HR:1.05、95%CI:0.81~1.37、p=0.70)。

 これに対し、閉経前女性の5年無浸潤病変生存率は、化学内分泌療法群が93.9%と、内分泌療法単独群の89.0%に比べ有意に良好であった(HR:0.60、95%CI:0.43~0.83、p=0.002)。5年無遠隔再発生存率も同様に、化学内分泌療法群で高かった(96.1% vs.92.8%、HR:0.58、95%CI:0.39~0.87、p=0.009)。閉経前女性では、再発スコアの上昇に伴って、化学療法の相対的な利益が増加することはなかった。

 著者は、「1~3個の腋窩リンパ節転移を有し、再発スコアが0~25点の閉経後乳がん女性では、無浸潤病変生存や無遠隔再発生存を損なわずに、術後化学療法を安全に回避可能であることが示された。対照的に、1~3個の腋窩リンパ節転移を有する閉経前乳がん女性では、再発スコアがかなり低い患者であっても、化学療法の利益が大きいことがわかった」としている。

(医学ライター 菅野 守)


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Kalinsky K, et al. N Eng J Med. 2021 Dec 1. [Epub ahead of print]

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抗TROP2抗体薬物複合体Dato-DXd、TN乳がんでの第I相試験最新データ(TROPION-PanTumor01)/SABCS2021

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 抗TROP2抗体薬物複合体datopotamab deruxtecan(Dato-DXd、DS-1062)の固形がんを対象とした第I相TROPION-PanTumor01試験のうち、切除不能なトリプルネガティブ(TN)乳がんにおける安全性と有効性に関する最新データについて、米国・Dana-Farber Cancer InstituteのIan Krop氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS 2021)で発表した。本データから、Dato-DXdが管理可能な安全性プロファイルと有望な抗腫瘍活性を示すことが示唆された。

 本試験は進行中の多施設非盲検第I相試験で、進行/転移乳がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、その他のがんを対象に安全性と有効性が評価されている。今回、TN乳がんコホートにおける更新結果を発表した。

・対象:標準治療後に病勢進行した切除不能なTN乳がん(ECOG PS 0~1)44例
・投与スケジュール:42例はDato-DXd 6mg/kgを3週間ごとに静脈内投与、2例は8mg/kgを投与
・評価項目:
[主要評価項目]安全性、忍容性
[副次評価項目]有効性(盲検下独立中央評価[BICR]による奏効率)、薬物動態など

 主な結果は以下のとおり。

・データカットオフ(2021年7月30日)時点で、44例中13例(30%)が治療を継続し、30例(68%)が病勢進行、1例(2%)が有害事象により治療を中止していた。
・年齢中央値は53歳(範囲:32〜82歳)で、30例(68%)が前治療を2ライン以上受けていた。前治療は、19例(43%)が免疫療法、13例(30%)は別のトポイソメラーゼ阻害薬が結合した抗体薬物複合体(うち10例はsacituzumab govitecan)が投与されていた。
・BICRによる奏効率は34%(確定したCR/PR:14例、確定前のCR/PR:1例)で、病勢コントロール率(DCR)は77%だった。
・別のトポイソメラーゼI阻害薬が結合した抗体薬物複合体による治療歴のない27例のサブグループ解析において、奏効率は52%(確定したCR/PR:13例、確定前のCR/PR:1例)で、DCRは81%だった。
・奏効期間中央値は未到達(範囲:2.7〜7.4+ヵ月)だった。
・治療中の有害事象(TEAE)は、全Gradeが98%、Grade3以上が45%に発現し、治療関連TEAEは全Gradeが98%、Grade3以上が23%に発現した。重篤な治療関連TEAEは5%に発現し、死亡例はなかった。
・発現の多かった有害事象は、悪心、口内炎、嘔吐、倦怠感、脱毛症で、血液毒性と下痢の頻度は低かった。薬物関連の間質性肺疾患は報告されていない。

 なお、本試験におけるHR+/HER2-乳がんコホートについては登録が完了している。ほかにも、TN乳がんに対してDato-DXd+デュルバルマブの有効性と安全性を評価するBEGONIA試験が進行中である。また、HR+/HER2-乳がんに対する第III相TROPION-Breast01試験が開始されており、今後、TN乳がんに対する第III相試験も予定されている。

(ケアネット 金沢 浩子)


【 参考文献・参考サイトはこちら 】

TROPION-PanTumor01試験(ClinicalTrials.gov)

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