中程度の運動で乳がん患者の死亡リスクが60%減!?

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 乳がん患者における日常動作以上の身体活動レベルと全死因死亡リスクの関連を評価した結果、中程度の身体活動であっても死亡リスクが60%低いことを、米国・カイザーパーマネンテ南カリフォルニアのLie Hong Chen氏らが明らかにした。身体活動による乳がんの発症リスク低減効果は知られているが、乳がんと診断された後の身体活動の効果に関する評価はまだ不十分であった。JAMA Netw Open誌2022年11月17日リサーチレター掲載の報告。

 研究グループは、2年以上前に乳がんの診断を受け(生存期間中央値6年)、カリフォルニア州のヘルスケアプランのメンバーであった閉経後乳がん患者のコホート研究を実施した。対象は、1996~2012年に初期の乳がん(TNM分類0~II期)と診断された患者で、調査は2013年8月1日~2015年3月31日に行われ、2022年4月30日または患者死亡まで追跡された。

 身体活動レベルと疲労度は、ゴーディン式余暇運動調査票(GSLTPAQ)およびFatigue Severity Inventory(簡易倦怠感尺度)の2つのアンケートによって聞き取った。身体活動レベルと全死因死亡リスクの関連を、年齢、乳がんの病期、疲労度、併存疾患、診断からの年数、人種・民族、不眠症とうつ病の既往、がん治療の種類(内分泌療法、化学療法、放射線治療)によって調整し、Cox比例ハザードモデルを用いて評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・参加者315例の平均年齢は71歳(57~86歳)で、68.9%が非ヒスパニック系白人であった。
・最長追跡期間8.7年(中央値7.8年[四分位範囲:7.3~8.3年])において、45例(14.3%)が死亡した。うち5例が乳がんによる死亡であった。
・死亡率は、身体活動レベルが高い群(高強度[ランニング、ジョギングなど]または高頻度)では12.9/1,000人年、身体活動レベルが中程度の群(中強度[早歩き、ゆっくりとしたサイクリングなど])では13.4/1,000人年、身体活動レベルが低い群(低強度[ヨガ、アーチェリーなど]または低頻度)では32.9/1,000人年であった。
・多変量解析において、身体活動レベルが低い群と比較して、身体活動レベルが高い群の死亡のハザード比(HR)は0.42(95%信頼区間[CI]:0.21~0.85)、身体活動レベルが中程度の死亡のHRは0.40(同:0.17~0.95)であった。

 これらの結果より、研究グループは「本研究は食事情報と客観的な身体活動の評価を欠いているという限界がある」としたうえで、「身体活動レベルが高い参加者と中程度の参加者の死亡リスクは同程度であり、がん患者のケアにおいて身体活動の取り組みを検討する必要がある」とまとめた。

(ケアネット 森 幸子)


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Chen LH, et al. JAMA Netw Open. 2022;5:e2242660.

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乳がん内分泌療法中のホットフラッシュに有効な新規薬剤/Lancet

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 新規非ホルモン性小分子化合物Q-122は、乳がん後に経口内分泌療法中の女性患者において、ホットフラッシュや発汗など血管運動神経症状の改善に有効で忍容性は良好であることが、オーストラリア・QUE OncologyのAmanda Vrselja氏らが、オーストラリア、ニュージーランド、米国の18施設で実施した第II相無作為化二重盲検プラセボ対照概念実証試験の結果、示された。血管運動神経症状は、経口内分泌療法中の乳がん女性の3分の2以上にみられるが、安全で有効な治療法はない。Q-122は、視床下部にあるエストロゲンに反応するKNDyニューロンの活性化を減少することにより、血管運動神経症状を抑制する可能性が示唆されていた。著者は、「今回の結果は、Q-122の大規模かつ長期的な試験の実施を支持するものであり、更年期のホルモン療法に代わる治療を必要としている閉経後女性にも使用できる可能性もある」とまとめている。Lancet誌2022年11月12日号掲載の報告。

中等度~重度の血管運動神経症状に対するQ-122の有効性と安全性をプラセボと比較

 研究グループは、乳がん後にタモキシフェンまたはアロマターゼ阻害薬を30日以上服用しており、中等度~重度の血管運動神経症状(ホットフラッシュおよび発汗)が週50回以上発現している18~70歳の女性患者を、Q-122群(100mgを1日2回)またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け(BMI値[≦30または>30]、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、選択的ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ガバペンチン、プレガバリンのいずれかの使用で層別化)、28日間経口投与した。

 血管運動神経症状の重症度は、血管運動神経症状重症度スコア(VMS-SS、スコア1[軽度:発汗を伴わない熱感]、スコア2[中等度:発汗を伴う熱感があるが、活動を継続できる]、スコア3[重度:発汗を伴う熱感があり、活動が停止])で患者に評価してもらった。

 主要評価項目は、中等度および重度VMS-SS(msVMS-SS)のベースラインから28日目までの平均変化率であった。msVMS-SSは、(2×中等度血管運動神経症状数)+(3×重度血管運動神経症状数)として算出した。

 少なくとも1回試験薬を服用し、試験開始後に1回以上有効性の評価を行った修正intention-to-treat集団を有効性解析対象集団とし、少なくとも1回試験薬を服用した全患者を安全性解析対象集団とした。

Q-122群でmsVMS-SSが有意に改善

 2018年10月24日~2020年9月9日の期間に、243例がスクリーニングされ、そのうち131例が無作為化された(Q-122群65例、プラセボ群66例)。

 msVMS-SSのベースラインから投与28日目までの平均変化率(最小二乗平均値)は、Q-122群が-39%(95%信頼区間[CI]:-46~-31)、プラセボ群が-26%(95%CI:-33~-18)であり、プラセボ群と比較してQ-122群で有意に低下した(p=0.018)。

 試験薬投与下で発現した有害事象は多くが軽症から中等症であり、両群間で類似していた。治療関連有害事象の発現率は、Q-122群17%(11/65例)、プラセボ群14%(9/66例)で、重篤な有害事象はQ-122群ではみられず、プラセボ群でのみ2例に認められた。

(医学ライター 吉尾 幸恵)


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Vrselja A, et al. Lancet. 2022;400:1704-1711.

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ドキソルビシン、乳がん併用療法での休薬期間短縮可能に/サンドファーマ

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 サンドファーマ株式会社は2022年11月24日、ドキソルビシン(一般名:アドリアシン注用10、同注用50)について、乳癌(手術可能例における術前、あるいは術後化学療法)に対する他の抗悪性腫瘍薬との併用療法の場合、シクロホスファミド水和物との併用において、用法及び用量の医薬品製造販売承認事項一部変更承認を受けたことを発表した。

<製品概要>
・販売名:
アドリアシン注用10
アドリアシン注用50
・一般名:ドキソルビシン塩酸塩
・効能・効果:変更なし
・用法及び用量:
<乳癌(手術可能例における術前、あるいは術後化学療法)に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法>
シクロホスファミド水和物との併用において、標準的なドキソルビシン塩酸塩の投与量及び投与方法は、1日量、ドキソルビシン塩酸塩として60mg(力価)/m2(体表面積)を日局注射用水又は日局生理食塩液に溶解し、1日1回静脈内投与後、13日間又は20日間休薬する。
この方法を1クールとし、4クール繰り返す。
なお、年齢、症状により適宜減量する。またドキソルビシン塩酸塩の総投与量は500mg(力価)/m2(体表面積)以下とする。
・用法及び用量に関連する注意:
<乳癌(手術可能例における術前、あるいは術後化学療法)に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法>
本剤の投与スケジュールの選択、G-CSF製剤の使用等について、国内外の最新のガイドライン等を参考にすること。
・承認取得日:2022年11月24日

(ケアネット 遊佐 なつみ)


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TS-1、ER+HER2-乳がん術後療法に適応拡大/大鵬

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 大鵬薬品工業は2022年11月24日、経口抗がん薬TS-1(一般名:テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム、商品名:ティーエスワン配合カプセルT20・T25/ティーエスワン配合顆粒T20・T25/ティーエスワン配合OD錠T20・T25)について、新たな適応として「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法」の承認を、厚生労働省より取得したことを発表した。

 今回の承認は、医師主導臨床試験である「エストロゲン受容体陽性HER2陰性乳癌に対するTS-1術後療法」(POTENT試験)の結果に基づく。同試験では、エストロゲン受容体陽性HER2陰性乳がんに対する術後補助療法において、標準的な治療法である内分泌療法(5年間)を対照群とし、この内分泌療法(5年間)とTS-1(1年間)を併用する治療法を試験群として、再発抑制効果が高まることを無作為化比較第III相試験により検証することが目的とされた。主な評価項目は、浸潤性疾患のない生存期間、全生存期間および安全性などで、2012年2月~2016年2月の症例登録期間中に全国の乳がん専門施設139施設から1,959例が登録された。

 POTENT試験の結果より、TS-1と内分泌療法の併用は、再発中間リスク以上のエストロゲン受容体陽性かつHER2陰性の原発性乳がん患者に対し、臨床的に意義のある浸潤性疾患のない生存期間(Invasive Disease Free Survival:iDFS)の延長を認めた。また、安全性はこれまでにTS-1で報告されているプロファイルと同様であり、POTENT試験で新たな懸念は確認されなかった。

<製品概要>
・販売名:
ティーエスワン配合カプセルT20・T25
ティーエスワン配合顆粒T20・T25
ティーエスワン配合OD錠T20・T25
・一般名:テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム
・効能・効果:
胃癌、結腸・直腸癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、手術不能又は再発乳癌、膵癌、胆道癌、ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法
・用法・用量:
<ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法>
内分泌療法剤との併用において、通常、成人には次の投与量を朝食後および夕食後の1日2回、14日間連日経口投与し、その後7日間休薬する。これを1クールとして最長1年間、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜増減する。初回基準量を超える増量は行わないこと。
体表面積1.25m2未満:40mg/回*
体表面積1.25m2以上1.5m2未満:50mg/回
体表面積1.5m2以上:60mg/回
*初回基準量(テガフール相当量)
・承認取得日:2022年11月24日

(ケアネット 遊佐 なつみ)


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T-DXd、HER2陽性乳がん2次治療に適応拡大/第一三共

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 第一三共株式会社は2022年11月24日、HER2に対する抗体薬物複合体(ADC)トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd、商品名:エンハーツ)について、「化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌」の効能又は効果に係る国内製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。

 本適応は、HER2陽性の再発・転移乳がん患者への2次治療を対象としたグローバル第III相臨床試験(DESTINY-Breast03)の結果に基づくもので、2021年12月に国内製造販売承認事項一部変更承認申請を行っていた。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


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「G-CSF適正使用ガイドライン 2022年版」海外ガイドラインの模倣ではなく、科学的な手法を徹底/日本癌治療学会

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 がん薬物療法はさまざまな有害事象を伴うが、好中球減少は多くの薬剤で頻発する有害事象であり、時に重篤な感染症を引き起こし死に至ることもある。好中球減少と同時に発熱が生じる「発熱性好中球減少症(FN:Febrile Neutropenia)」を防ぐために使用されるのがG-CSF製剤である。

 G-CSF製剤の適正使用に関しては、1994年にASCO(米国臨床腫瘍学会)がガイドラインを作成し、以来、改訂を重ねて、世界中で参照されている。2013年に刊行された「G-CSF適正使用ガイドライン第1版」は、ASCOのガイドラインと歩調を合わせる形で作成され、FNのリスクが高い場合には、G-CSFの「予防投与」を行うことが強く推奨された。日本では、G-CSFの予防投与は一部のがんを除いて保険適用となっておらず、FNが起きてから使う「治療投与」が主流であったが、そんな医療現場に一石を投じることになった。

 そして2022年10月、大幅に改訂された「G-CSF適正使用ガイドライン 第2版」(日本癌治療学会・編)が刊行された。Web版としては4年ぶり、書籍版としては7年ぶりの改訂となる。4年に及ぶ改訂作業を率いた、G-CSF適正使用ガイドライン改訂ワーキンググループ(WG)委員長の高野 利実氏(がん研有明病院 院長補佐)に改訂のポイントを聞いた。

 「今回の改訂における最大の変更点は、『Minds診療ガイドライン作成の手引き』に準拠し、エビデンスに基づく評価を徹底したことです。世界的な潮流であり当然の決断ではあったのですが、がん種によっては、G-CSFのありなしを比較する研究があまりなく、推奨の決定に苦慮しました。『FN発症率20%を基準にG-CSF使用の是非を判断する』という前提が、ASCOのガイドライン等で採用されているのですが、このカットオフに明確な根拠はないため、私たちは、この前提から離れた上で、G-CSFの有用性を評価するために、がん種別にシステマティックレビューを行いました」

 「作業は苦難の連続でしたが、WG委員とシステマティックレビューチームの総勢42名の4年間にわたる努力で、完成させることができました。推奨の強さが1(強い)となったクリニカル・クエスチョン(CQ)は少なく、『弱く推奨する』『有用性は明らかでない』という記述が多くなってしまいましたが、解説文では、G-CSFを使用することの益と害についてのレビュー結果を記載し、現場での判断に役立つように工夫しました」

 「刊行前のパブリックコメントでは『ASCOやNCCNのガイドラインに倣うべきでは』『20%のカットオフの方が使いやすい』といった意見も寄せられましたが、『海外の権威』や『使いやすさ』に安易になびくよりも、科学的に妥当であることを重視しました。結果として、世界に類を見ない新しいガイドラインになりました。疾患によってはエビデンスが乏しいことも明らかになりましたので、これからは、新たなエビデンスを創出していく必要があると認識しています」

『G-CSF適正使用ガイドライン 2022年10月改訂 第2版』
編集/日本癌治療学会
発行/金原出版
B5判 208ページ
定価 3,520円(税込)

(ケアネット 杉崎 真名)


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乳がん治療におけるタキサン3剤の末梢神経障害を比較

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 乳がん治療におけるnab-パクリタキセル、パクリタキセル、ドセタキセルによる化学療法誘発性末梢神経障害の患者報告を比較したコホート研究の結果を、中国・Chinese Academy of Medical Sciences and Peking Union Medical CollegeのHongnan Mo氏らが報告した。化学療法誘発性末梢神経障害はnab-パクリタキセル群よりパクリタキセル群およびドセタキセル群で有意に少なく、nab-パクリタキセルでは主に感覚神経障害である手足のしびれ、パクリタキセルおよびドセタキセルでは主に運動神経障害および自律神経障害が報告された。また、感覚神経障害よりも運動神経障害のほうが早く報告されていた。JAMA Network Open誌2022年11月2日号に掲載。

 本研究は、2019~21年に中国全土の9つの医療センターで実施された前向きコホート研究である。対象は、nab-パクリタキセル、パクリタキセル、ドセタキセルベースのレジメンで治療を受けた入院中の浸潤性乳がん女性1,234例で、overlap propensity score weightingによる重み付けで評価した。2021年12月~2022年5月のデータを解析し、主要評価項目は欧州がん研究治療機関(ERT)のQOL調査票(感覚神経、運動神経、自律神経スケールの20項目)を用いた患者報告による化学療法誘発性末梢神経障害とした。解析には、ベースラインの患者、腫瘍、治療の特性で調整した重回帰モデルを用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・1,234例の平均(SD)年齢は50.9(10.4)歳で、nab-パクリタキセルが295例(23.9%)、パクリタキセルが514例(41.7%)、ドセタキセルが425例(34.4%)だった。
・主な症状は、nab-パクリタキセル群では感覚神経に関連する手足のしびれ(81.4%)が多く、パクリタキセル群およびドセタキセル群では運動神経障害(例として、脚力低下はパクリタキセル群47.2%、ドセタキセル群44.4%)、自律神経障害(例として、目のかすみはパクリタキセル群45.7%、ドセタキセル群43.6%)が報告された。
・運動神経障害は、感覚神経障害より早い時期に報告され、症状発現までの中央値はnab-パクリタキセル群0.4週間(95%信頼区間[CI]:0.4~2.3)、パクリタキセル群2.7週間(同:1.7~3.4)、ドセタキセル群5.6週間(同:3.1~6.1)であった。
・患者報告による化学療法誘発性末梢神経障害のリスクは、nab-パクリタキセル群に比べてパクリタキセル群(ハザード比[HR]:0.59、95%CI:0.41~0.87、p=0.008)とドセタキセル群(HR:0.65、95%CI:0.45~0.94、p=0.02)で低く、感覚的不快感も、nab-パクリタキセル群と比べて、パクリタキセル群(HR:0.44、95%CI:0.30~0.64、p<0.001)およびドセタキセル群(HR:0.52、95%CI:0.36~0.75、p<0.001)で低かった。しかし、運動神経障害や自律神経障害を報告するリスクは、nab-パクリタキセル群に比べ、パクリタキセル群、ドセタキセル群が低くはなかった。

(ケアネット 金沢 浩子)


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Mo H, et al. JAMA Netw Open. 2022;5:e2239788.

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新経口薬camizestrant、ER+進行乳がんでフルベストラントに対しPFS延長/AZ

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 アストラゼネカは2022年11月8日、次世代経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)であるcamizestrantが、進行乳がんに対して内分泌療法による治療歴があり、エストロゲン受容体(ER)陽性の局所進行または転移乳がんを有する閉経後の患者を対象に、フルベストラント500mgと比較して、75mgおよび150mgの両用量で主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)において、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示したと発表した。なお、camizestrantの忍容性は良好であり、安全性プロファイルは過去の試験で認められたものと一貫しており、新たな安全性上の懸念は確認されていない。

 camizestrantは、強力で経口投与可能なSERDかつERへの完全拮抗薬であり、ER活性型変異を含む幅広い前臨床モデルで抗がん活性を示している。第I相臨床試験(SERENA-1試験)では、camizestrantの忍容性が良好であり、単剤療法またはCDK4/6阻害薬パルボシクリブとの併用療法として投与したときに有望な抗腫瘍プロファイルを有することが示されている。

 今回結果が発表されたSERENA-2試験は、ER陽性HER2陰性の進行乳がん患者を対象に、複数の用量のcamizestrantをフルベストラントと比較して評価する、無作為化非盲検並行群間多施設共同第II相臨床試験。主要評価項目は、フルベストラント(500mg)との比較によるcamizestrant(75mg)のPFS、およびフルベストラントとの比較によるcamizestrant(150mg)のPFSであり、Response Evaluation Criteria In Solid Tumours(RECIST)ガイドライン第1.1版の定義に従い評価される。240例をcamizestrant群またはフルベストラント群に無作為に割り付け、病勢進行が認められるまで治療を実施した。副次評価項目は、24週目の安全性、客観的奏効率および臨床的ベネフィット率(CBR)など。本試験の詳しい結果は、今後の医学学会で発表される予定となっている。

 また、一次治療中にESR1遺伝子変異が検出されたHR陽性の転移乳がん患者を対象にcamizestrantとCDK4/6阻害剤(パルボシクリブまたはアベマシクリブ)の併用療法を評価する検証的第III相臨床試験であるSERENA-6試験や、HR陽性の局所進行または転移乳がんへの一次治療におけるcamizestrantとパルボシクリブの併用療法を評価する第III相SERENA-4試験などが実施されており、SERENA-6試験の適応症は米国食品医薬品局(FDA)よりファストトラック指定を付与されている。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


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乳がんの再発恐怖を認知行動療法アプリが軽減/名古屋市⽴⼤学ほか

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 患者⾃⾝で認知⾏動療法を実施できるスマートフォンアプリを⽤いることで、乳がん患者の再発に対する恐怖が軽減したことを、名古屋市⽴⼤学⼤学院精神・認知・⾏動医学分野の明智 ⿓男氏らの共同研究グループが発表した。スマートフォンのアプリを用いることで通院などの負担を⼤きく軽減でき、場所や時間を選ばずに苦痛を和らげるための医療を受けられるようになることが期待される。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版11月2日掲載の報告。

 先⾏研究において、問題解決療法アプリ「解決アプリ」と⾏動活性化療法アプリ「元気アプリ」(下欄参照)を京都⼤学、国立精神・神経医療研究センターが共同で開発し、乳がん患者の再発に対する恐怖を和らげる可能性があることが⼩規模の臨床試験で⽰されていた。本研究では、乳がん患者を、通常の治療に加えて上記2つのアプリを使⽤する群と使⽤しない群に無作為に割り付け、8週後に再発に対する恐怖が和らぐかどうかを検討した。

 参加対象は20~49歳の女性で、⼿術後1年以上再発のない乳がん患者。主要評価項目は8週までの再発恐怖で、副次的評価項目は24週までの抑うつと心理的ニード(⼼理的側⾯に関するケアの必要性)、外傷後成長などであった。

 主な結果は以下のとおり。

・447例が研究に参加し、アプリ使⽤群223例とアプリを使⽤しない群224例に割り付けられた。年齢の中央値は45歳で、約半数はフルタイムで就労していた。
・アプリを使用しない群に比べ、アプリ使⽤群では、開始から4週時点で再発に対する恐怖が統計学的に有意に下がり、その効果は8週時点においても継続した(p<0.001)。8週と24週における再発恐怖に差はみられなかったことから、その効果は24週時点も継続している可能性がある。
・抑うつと⼼理的ニードもアプリ使用群では有意に改善し、24週まで継続した(それぞれp<0.05)。外傷後成長では有意差はみられなかった。
・⼀部の参加者に聞き取り調査を⾏った結果、副作⽤はみられなかった。

 研究グループは、「分散型臨床試験という新たな研究基盤を開発して研究を行った結果、多くのフルタイムで就労されている方に参加いただくことができた。これは、がんの治療のみならず、患者さんの生活の質の向上に必要な支持療法を受けながら、仕事も両立させることを可能とすることを意味する。今後、分散型臨床試験の基盤を広く社会に実装していくことで、患者さんの負担を、体力的な側面のみならず、時間的にも経済的にも軽減しながら、支持療法の開発を加速することが可能である」とコメントした。

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<解決アプリ>7つのセッション(1つの導入セッション、4つの問題解決療法の5段階を学習するセッション、1つのトレーニングセッション、1つのエピローグセッション)から構成される。最短で4週間で完了でき、各セッションに要する時間は30分程度。患者の日常生活上の問題を分類し、具体的に達成可能な目標を定め、解決策をブレインストーミングし、解決策のメリットとデメリットを比較して、最終的に実際にやってみたい解決策を選ぶ方法を習得していく。
<元気アプリ>2セッション(行わなくなった行動に気づき再挑戦するセッションと新たな行動に挑戦するセッション)から構成される。終了までに最短で2週間、標準で8週間を要する。各セッションに要する時間は週30分程度。「行動が変われば気分も変わる」という原理に基づき、喜びや達成感のある活動をすることの重要性についての学習を行い、やめてしまった楽しい活動や今までやったことのない楽しそう/新しそうな活動を実際にやってみて、その結果を評価するということを繰り返す。
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(ケアネット 森 幸子)


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Akechi T, et al. J Clin Oncol. 2022 Nov 2. [Epub ahead of print]

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ガーダントヘルスジャパン、Guardant360 CDxでエスアールエルと業務提携

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 ガーダントヘルスジャパンとエスアールエルは、固形がん患者を対象とした包括的がんゲノムプロファイリング(CGP)用リキッドバイオプシー検査Guardant360 CDx がん遺伝子パネル(Guardant360CDx)のサービス提供のために業務提携契約を締結した。

 ガーダントヘルスジャパンは、今回の業務提携によりSRLの遺伝子検査領域におけるロジスティックスならびにネットワーク、サービスを活用することが可能となる。SRLが医療機関から検体を受理してから14日を目途に、国立がん研究センター、がんゲノム情報管理センター(C-CAT)およびGuardant360 CDxがん遺伝子パネル検査ポータルに解析結果を提供する。

 Guardant360 CDxは、米国食品医薬品局(FDA)から2020年8月、日本では2022年3月10日に、すべての固形がんに対する包括的リキッドバイオプシーとして承認を取得している。また、わが国のコンパニオン診断としては、2021年12月にKRAS G12C阻害薬ソトラシブの切除不能非小細胞肺がん、2022年3月にペムブロリズマブのMSI-High固形がんおよびニボルマブのMSI-High結腸・直腸がんに承認されている。

(ケアネット 細田 雅之)


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