提供元:CareNet.com

ビタミンA摂取とがんリスクの関連について、メタ解析では食事性ビタミンA摂取量が多いほど乳がんや卵巣がんの罹患率が低いと報告された一方、臨床試験ではビタミンAが肺がんや前立腺がんの死亡リスクを高めることが報告され、一貫していない。今回、病院ベースの症例対照研究の結果、食事性ビタミンA摂取量とがんリスクにU字型の関係がみられたことを、国際医療福祉大学の池田 俊也氏らが報告した。Nutrients誌2025年8月25日号に掲載。
本研究は、ベトナム科学技術省と日本政府の支援を受けて実施されたプロジェクトにおける症例対照研究で、参加者をベトナム・ハノイの主要な4つの大学病院で募集した。症例は新規がん患者で、食道がん(195例)、胃がん(1,182例)、結腸がん(567例)、直腸がん(482例)、肺がん(225例)、乳がん(281例)、その他のがん(826例)の3,758例、対照はがんを罹患していない患者で、外傷、尿路結石、胆石症、ヘルニア、多汗症、良性前立腺肥大症、痔核、甲状腺結節などの非がん性疾患のための手術で新規に入院した患者2,995例であった。食事性ビタミンA摂取量は半定量食物摂取頻度調査票を用いて調査した。ビタミンA摂取量とがんリスクとの関連は、オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出して評価した。制限付き3次スプライン曲線により、母集団のビタミンA摂取量の中央値(86.6μg/日)および平均値(108.4μg/日)に近い四分位である85.3~104.0μg/日が安全な範囲であると示唆され、この四分位を基準とした。
主な結果は以下のとおり。
・ビタミンA摂取量とがん罹患率の間に、基準と比較してU字型の関連が認められた。
・最低摂取量と最高摂取量の両方ががんリスク上昇と関連しており、OR(95%CI)値はそれぞれ1.98(1.57~2.49)と2.06(1.66~2.56)であった。
・このU字型パターンは、性別、肥満度、喫煙の有無、飲酒の有無、血液型A型、食道がん、胃がん、乳がん、直腸がんで定義されたサブグループで一貫してみられたが、肺がんと結腸がんではみられなかった。
(ケアネット 金沢 浩子)
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