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エストロゲン受容体(ER)陽性/HER2陰性乳がん患者における術後内分泌療法の長期有益性は、閉経状態によって異なることが示唆された。スウェーデン・カロリンスカ研究所のAnnelie Johansson氏らは、20年の追跡調査を完了しているSTO試験(stockholm tamoxifen randomized trial)の2次解析結果を、Journal of the National Cancer Institute誌オンライン版2024年12月4日号で報告した。
STO試験(STO-2、STO-3、STO-5)では、1976~97年に浸潤性乳がんと診断された 3,930例の女性が登録された。今回の2次解析では、2~5年間のタモキシフェン40mgの術後補助療法群または対照群(内分泌療法なし)に無作為に割り付けられた、ER陽性/HER2陰性乳がん患者1,242例(閉経前:381例、閉経後:861例)が対象。カプランマイヤー解析、多変量Cox比例ハザード回帰、時間依存性解析により、無遠隔再発期間(DRFI)を評価した。同試験では、標準的な腫瘍特性のほか、70遺伝子シグネチャーによる遺伝学的リスク(低リスク/高リスク)のデータが収集されている。
主な結果は以下のとおり。
・閉経前の場合、リンパ節転移陰性(調整ハザード比[aHR]:0.46、95%信頼区間[CI]:0.24~0.87)、プロゲステロン受容体(PR)陽性(aHR:0.61、95%CI:0.41~0.91)、遺伝学的低リスク(aHR:0.47、95%CI:0.26~0.85)の患者で統計学的に有意なタモキシフェンの有益性が確認され、遺伝学的低リスク患者でのみ10年以上維持された。
・閉経後の場合、低悪性度(aHR:0.55、95%CI:0.41~0.73)、リンパ節転移陰性(aHR:0.44、95%CI:0.30~0.64)、PR陽性(aHR:0.60、95%CI:0.44~0.80)、Ki-67低値(aHR:0.51、95%CI:0.38~0.68)、遺伝学的低リスク(aHR:0.53、95%CI:0.37~0.74)などすべての予後良好マーカーを有する患者で長期的有益性が示され、腫瘍サイズによる影響はみられなかった(≦20mmのaHR:0.55、95%CI:0.39~0.77、>20mmのaHR:0.64、95%CI:0.44~0.94)。
・予後不良の腫瘍特性を持たない(clinical marker score=0)患者において、閉経前では5年までの早期の有益性が確認された一方、閉経後では少なくとも20年までの長期的有益性が示された。
著者らは、標準的な腫瘍特性では閉経前患者における術後内分泌療法の10年以降の有益性を予測できないため、長期的有益性の予測においては分子バイオマーカーが必要になる可能性があるとしている。
(ケアネット 遊佐 なつみ)
【原著論文はこちら】
Johansson A, et al. J Natl Cancer Inst. 2024 Dec 4. [Epub ahead of print]