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ホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陰性(HER2-)進行乳がんに対する1次および2次治療として、CDK4/6阻害薬と内分泌療法の併用療法は標準治療となっている。パルボシクリブ、ribociclib、アベマシクリブの3種類のCDK4/6阻害薬について、内分泌療法との併用におけるリアルワールドでの生存ベネフィットを比較した多施設共同後ろ向きPOLiCDK試験の結果を、ポーランド・Military Institute of Medicine-National Research InstituteのRenata Duchnowska氏がBreast誌オンライン版2025年11月24日号で報告した。
POLiCDK試験では、2017年9月~2025年1月にポーランドの16施設において、1次または2次治療として内分泌療法との併用でパルボシクリブ、ribociclib、またはアベマシクリブによる治療を受けたHR+/HER2-進行乳がん患者の、無増悪生存期間(PFS)、PFS2(CDK4/6阻害薬開始から後続治療後の病勢進行/死亡までの期間として定義)、および全生存期間(OS)を比較した。内分泌療法感受性/抵抗性により層別化し、ベースライン特性の不均衡を調整するため逆確率重み付け法(IPTW)を用いて解析を行った。
主な結果は以下のとおり。
・2,063例(パルボシクリブ701例、ribociclib 968例、アベマシクリブ394例)のうち、1,583例(76.7%)が1次治療、480例(23.3%)が2次治療でCDK4/6阻害薬の投与を受けた。
・927例(44.9%)がde novo症例、819例(39.7%)が内分泌療法歴なし、158例(8.9%)がprimary resistant、808例(39.2%)がsecondary resistantであった。
・追跡期間中央値は、パルボシクリブ群35.9ヵ月vs.ribociclib群24.1ヵ月vs.アベマシクリブ群21.4ヵ月であった。
・1次治療としてCDK4/6阻害薬とアロマターゼ阻害薬の併用療法を受けた患者において、PFS中央値はパルボシクリブ群30.3ヵ月vs.ribociclib群36.6ヵ月vs.アベマシクリブ群33.4ヵ月、PFS2中央値は45.0ヵ月vs.43.0ヵ月vs.39.3ヵ月、OS中央値は46.8ヵ月vs.64.7ヵ月vs.NRであり、3つの評価項目(PFS、PFS2、OS)すべてにおいて、薬剤間で有意な差は認められなかった。内分泌療法歴のない症例でも同様だったが、secondary resistantの症例ではアベマシクリブとribociclibがパルボシクリブよりも良好な転帰を示した。
・1次治療としてCDK4/6阻害薬とフルベストラントの併用療法を受けた患者において、PFS中央値は、パルボシクリブ群14.4ヵ月vs.ribociclib群26.1ヵ月vs.アベマシクリブ群15.8ヵ月、PFS2中央値は19.8ヵ月vs.35.7ヵ月vs.24.1カ月、OS中央値は27.7ヵ月vs.39.7ヵ月vs.34.5ヵ月であり、ribociclibは3つの評価項目すべてでパルボシクリブと比較し良好な転帰を示した。内分泌療法歴のない症例でも同様だったが、secondary resistantの症例では3剤間の差はみられなかった。
・2次治療においては、3剤間の差はみられなかった。
・調整ハザード比においても同様の傾向が示されたが、いずれか1剤の一貫した優越性は示されなかった。
著者らは、HR+/HER2-進行乳がんにおけるCDK4/6阻害薬と内分泌療法による併用療法の転帰と関連する主要な因子として、内分泌療法感受性/抵抗性および内分泌療法の種類が挙げられるとまとめている。
(ケアネット 遊佐 なつみ)
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