乳がん検診、超音波併用で長期罹患率低下(J-START)/Lancet

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 日本人女性における乳がん罹患率は40歳以降に著しく増加する。マンモグラフィは死亡率の低下が証明されている唯一の乳がん検診の方法だが、高濃度乳房の女性では、病変が乳腺に隠れマンモグラフィの感度が低下するとされ、40~49歳の日本人女性の約60~70%が高濃度乳房組織を有するという。一方、補助的超音波検査は高濃度乳房でも病変を描出する可能性があり、検診の感度とがん検出率を向上させることが示されている。東北大学大学院の原田 成美氏らJ-START investigatorsは「J-START試験」において、マンモグラフィ単独と比較してマンモグラフィ+乳房超音波検査の併用による検診が、40~49歳の日本人女性における進行乳がんの累積罹患率を低下させることを示した。研究の成果は、Lancet誌2026年2月21日号に掲載された。

7万2,000例超の女性で超音波併用検診vs.マンモ単独、累積罹患率を評価

 J-START試験は、日本の42施設で実施した無作為化対照比較試験であり、2007年8月~2011年3月に、年齢40~49歳で、過去5年間に乳がんの既往がなく、5年以上の余命が期待でき、症状がみられない女性7万2,661例(平均年齢44.0歳、閉経前75.6%)を登録した(厚生労働省および日本医療研究開発機構の助成を受けた)。

 被験者を、マンモグラフィ+乳房超音波検査の併用による検診を受ける群(介入群:3万6,723例)、またはマンモグラフィ単独による検診を受ける群(対照群:3万5,938例)に無作為化した。これらの参加者は、初回検診から2年後に2回目の検診を受けるよう要請された。

 今回の事前に規定された2回目の解析では、データカットオフ日(2024年10月4日)の時点における、進行乳がん(TNM分類のステージ2以上[リンパ節転移陽性、T2以上、またはこれら両方])の累積罹患率を評価した。ステージ0または1は早期がんと定義した。

進行乳がん罹患率、4年目ごろから有意な差

 追跡期間中央値は、介入群で11.4年(範囲:0.0~16.1、四分位範囲[IQR]:9.3~12.9)、対照群で11.3年(0.0~16.1、8.9~12.9)であった。

 初回検診からデータカットオフ日までに、介入群の894例で乳がんが検出され、このうち234例(26.2%)が進行乳がんであった。同様に、対照群の843例で乳がんが検出され、277例(32.9%)が進行乳がんだった。進行乳がんの累積罹患率は、対照群に比べ介入群で有意に低かった(ハザード比[HR]:0.83、95.6%信頼区間[CI]:0.70~0.98、p=0.026)。

 Kaplan-Meier曲線を用いた解析では、進行乳がん罹患率の両群間の有意差は、初回検診後4年目(48ヵ月)ごろに現れ、8年目(96ヵ月)まで差の拡大が続き、それ以降はほぼ一定であった。

 また、進行乳がんの10年累積罹患率は、介入群で0.64%(95%CI:0.56~0.73、イベント発生数:246件)、対照群で0.79%(0.69~0.89、286)だった。

乳がん全体では差がない

 介入群では646/894例(72.3%)が早期乳がんであったのに対し、対照群では551/843例(65.4%)が早期乳がんと診断された。
 1回目と2回目の検診の間に診断された中間期乳がんは、介入群で36例に認め、このうち19例(52.7%)が早期乳がんであった。対照群では、中間期乳がんの49例中32例(65.4%)が早期乳がんだった。
 また、追跡期間中に、介入群で297例、対照群で280例の死亡が確認され、このうち各群21例ずつが乳がんによる死亡であった。

 乳がん全体の累積罹患率については両群間に差を認めなかった(HR:1.02、95%CI:0.93~1.13)。介入群における乳がん全体の5年間累積罹患率は1.33%(95%CI:1.21~1.46、イベント発生数902件)、対照群では1.20%(1.09~1.33、848件)であった。

検診への超音波検査導入の価値を強調する知見

 著者は、「初回検診後49~96ヵ月における介入群での進行がんの減少は、2年間隔の補助的超音波検査が、将来進行がん化する症例を検出したことを示唆する可能性がある」「これらの知見は、とくにアジア人集団において、高濃度乳房組織を有する女性の検診プログラムへの補助的超音波検査導入の潜在的価値を強調するものであり、将来の乳がん検診ガイドラインの策定に資する可能性がある」としている。

 また、「がん検診の試験では死亡率低下の検証が重要となるが、本研究の知見は進行乳がん罹患率を死亡率の潜在的な代替指標として使用する一助となりうる。補助的超音波検査が乳がん死亡率を低下させるか否かを確認するには、継続的な追跡調査が必要である」と指摘している。

(医学ライター 菅野 守)


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Harada-Shoji N, et al. Lancet. 2026;407:784-793.

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若年成人のがん、唯一死亡率が増えているのは?

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 若年成人におけるがん罹患率の増加を報告する研究は多数存在するが、検出バイアスの影響を受けにくい死亡率ではどうか。50歳未満の人々における主要5大がんの死亡率の変化を検証した研究結果が、JAMA誌2026年2月17日号「Research Letter」に掲載された。

 米国がん協会(アトランタ)のRebecca L. Siegel氏らは、米国健康統計センター(NCHS)の死亡証明データから、1990〜2023年に50歳未満でがん死に至った約約127万例を解析した。主要5大がん(大腸がん、肺がん、乳がん、白血病、脳腫瘍)を中心に、年間死亡数および10万人当たりの年齢調整死亡率の推移を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・1990~2023年に、米国における50歳未満のがん死亡数は計126万7,520例(女性53%)で、年齢調整死亡率は10万人当たり25.5から14.2へと、44%減少した。
・2014~23年の年間平均死亡率増減の平均は、脳腫瘍-0.3%(95%信頼区間[CI]:-0.6%~0.0%)、乳がん-1.4%(-1.7%~-1.1%)、白血病-2.3%(-2.3%~-2.2%)、肺がん-5.7%(-7.2%~-4.2%)であった。
・大腸がん死亡率のみが2005年以降、年率1.1%(95%CI:0.9%~1.3%)増加しており、1990~94年のがん死因の5位から、2023年には1位となった。
・一方、肺がんは1位から4位、白血病は3位から5位に順位を下げた。乳がんは全体では2位、女性では1位のままであった。子宮頸がんは研究期間を通じて減少を続けたものの、1990年と2023年ともに女性のがん死因の3位であった。
・男性の順位は全体の傾向を反映していたが、乳がんに代わって1990年には非ホジキンリンパ腫(4位)、2023年には膵臓がん(5位)が入った。

 研究者らは、「米国における50歳未満の人々のがん関連死因の上位では、大腸がんを除くすべてのがんで死亡率が低下した。乳がんと白血病は罹患率が増加しているにもかかわらず、死亡率は減少した。大腸がんのみ死亡率が増加している原因はさらなる研究が必要だが、過去の大腸がん検診の推奨開始年齢が50歳だったため、若年者の受診率が低いことは問題だ。若年発症大腸がんは約4分の3が進行期で診断されており、早期発見の重要性が一段と高まっている。現在、検診の推奨開始年齢は45歳に引き下げられたが、遺伝などのリスク要因がある場合や、血便や腹痛などの自覚症状がある場合は、さらに若い年齢からの受診を考慮すべきだ」としている。

(ケアネット 杉崎 真名)


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Siegel RL, et al. JAMA. 2026;335:632-634.

第23回日本臨床腫瘍学会の注目演題/JSMO2026

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 日本臨床腫瘍学会は、2026年2月28日にプレスセミナーを開催し、3月26~28日に横浜で開催される第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)の注目演題などを紹介した。

 今回のテーマは「Medical Oncologists for Cancer Patients」。これは、2025年9月19日に「がん薬物療法」領域が日本専門医機構によりサブスペシャルティ領域として正式に承認されたことを受けて、もう一度学会としてどのようにメディカルオンコロジスト(腫瘍内科医)を育成すべきかを考えるという意図が込められている。なお、がん薬物療法専門医は2025年4月1日時点で1,825人が認定されている。

 今年の演題数は計1,482題で過去最多となる。本学会はアジアにおける国際学会に近づけることを目指しており、約半数の738題は海外からで、インドネシア、インド、中国、フィリピン、台湾、ベトナムなど多くの国から寄せられている。

プレジデンシャルセッション・全19演題

Presidential Session 1「血液」
3月26日(木)08:30~10:30
1)MOSUNETUZUMAB PLUS POLATUZUMAB VEDOTIN IS SUPERIOR TO R-GEMOX IN PATIENTS WITH R/R LBCL: THE PHASE III SUNMO TRIAL
2)EFFICACY OF RITUXIMAB-BENDAMUSTINE +/- ACALABRUTINIB IN PATIENTS WITH MANTLE CELL LYMPHOMA: THE PHASE 3 ECHO TRIAL
3)EPCORE FL-1:再発・難治性濾胞性リンパ腫に対するエプコリタマブ+リツキシマブ・レナリドミド(R2)併用療法の第III相非盲検試験
4)Improved long-term tolerability with asciminib (ASC) vs IS-TKIs in newly diagnosed CML-CP: ASC4FIRST week 96 analysis

Presidential Session 2「消化器/肝」
3月26日(木)14:00~16:00
1)胃癌/食道胃接合部癌に対するデュルバルマブとFLOT化学療法の術前術後補助療法(MATTERHORN)
2)SKYSCRAPER-07:根治的化学放射線療法後の切除不能食道扁平上皮癌におけるアテゾリズマブ±チラゴルマブの第III相試験の日本部分集団解析結果
3)Precemtabart tocentecan (Precem-TcT, M9140): Results from PROCEADE-CRC-01 and post-hoc analysis in Japanese patients
4)TALENTACE:肝細胞癌患者を対象としたTACE及びアテゾリズマブ+ベバシズマブ併用による第III相試験

Presidential Session 3「呼吸器」
3月27日(金)9:50~11:50
1)EGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺癌における一次治療オシメルチニブ ± プラチナ製剤-ペメトレキセド併用療法の全生存期間:FLAURA2日本コホート
2)MARIPOSA試験(未治療EGFR変異陽性非小細胞肺がんアミバンタマブ+ラゼルチニブ併用療法vsオシメルチニブ)全生存期間アジア人解析
3)EGFR変異陽性進行非小細胞肺癌に対するラゼルチニブ併用療法におけるアミバンタマブの皮下投与と静脈注射の比較:PALOMA-3日本人サブセット解析
4)進展型小細胞肺がんを対象としたイフィナタマブ デルクステカン(I-DXd)の第II相試験(IDeate-Lung01試験):日本人サブグループ解析結果の報告

Presidential Session 4「乳癌」
3月28日(土)8:20~10:20
1)ESR1遺伝子変異が出現した進行乳癌におけるカミゼストラントによる一次治療:SERENA-6試験の日本人サブグループ解析
2)Pooled safety analysis of sacituzumab govitecan in metastatic breast cancer (mBC), including patients in NA/EU and Asia
3)Sacituzumab govitecan + pembrolizumab vs chemo + pembrolizumab in untreated PD-L1+ advanced TNBC: ASCENT-04/KEYNOTE-D19
4)術前療法後に浸潤性残存病変を有する再発高リスクHER2陽性乳がん患者を対象に、T-DXdとT-DM1を比較したDESTINY-Breast05の中間解析

Presidential Session 5「TR/第I相試験」
3月28日(土)10:30~12:00
1)WGSに基づく個別化ctDNAパネルによるMRDの検出: MONSTAR-SCREEN-3プロジェクトにおける乳癌コホート
2)固形がんにおけるチロシンキナーゼ阻害薬の有効性と標的遺伝子mRNA発現の関連:SCRUM-Japan MONSTAR-SCREEN-2
3)DAREON-7: phase I study of obrixtamig plus chemotherapy in patients with DLL3-positive neuroendocrine carcinomas

注目の演題

会長企画シンポジウム9 がん患者が求める専門医とは
3月28日(土)10:30~12:00
 腫瘍内科医にはエビデンスを重視した医療だけでなく、対話を重視した医療も求められている。本シンポジウムでは、「がん患者が求める専門医とは」をテーマに、現在のがん治療が抱える問題について、3つのテーマで患者会側および専門医側が講演する。総合討論では、「がん患者が求める専門医」と「専門医の認識」についてすり合わせ、ディスカッションを深める。

会長企画シンポジウム4 希少がんや希少フラクションの医薬品開発~戦略・デザイン・金・ゴール~
3月26日(木)16:05~17:35
 希少がん・希少フラクションなどを含む患者数の少ない集団では、開発や戦略の困難さ・事業計画の予見可能性・市場性の観点などさまざまなハードルがある。今後の運用や方向性を策定することで、バランスのとれた希少疾病指定医薬品の開発を促進し、医薬品開発力・科学性・先進性においてどのように世界をリードしていけるのかを議論する。

委員会企画5 希少がんに対するエビデンスのある抗悪性腫瘍薬の供給問題
3月27日(金)10:20~11:50
 希少がんであっても、エビデンスの高い標準治療を滞りなくがん患者に届けるにはどうしたらよいのかを、アカデミア、製薬メーカー、がん患者、厚生労働省の立場より議論し、今後に必要なアクションについて考える。

(ケアネット 森)


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複数のがん種で診断後の運動量とがん死亡リスク低下が関連

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 これまでの研究で、一部のがん種では身体活動ががんの発症や再発・死亡リスク低下と関連することが報告されている。しかし、乳がん、大腸がん、前立腺がん以外のがん種における身体活動とがん死亡に関するエビデンスは限られている。今回、米国がん協会のErika Rees-Punia氏らは、身体活動とがん死亡との関連が十分に検討されてこなかった7種のがん(膀胱がん、子宮体がん、腎がん、肺がん、口腔がん、卵巣がん、直腸がん)の患者を対象に、診断後の身体活動量、および診断前後の身体活動量の変化とがん死亡リスクとの関連を検討する観察研究を実施した。結果はJAMA Network Open誌2026年2月17日号に掲載された。

 本研究では、6つの大規模前向きコホートの統合データを用いた。対象は上記7がん種の患者で、ベースラインデータは1976~97年に収集した。1週間当たりの余暇時間の中高強度身体活動量をMET・時/週で評価し、診断後少なくとも1年を経過した時点(平均2.8年後)の中高強度身体活動量とがん死亡との関連を解析した。主要アウトカムはがん死亡で、平均追跡期間は10.9年であった。
※Cancer Prevention Study-II Nutrition Cohort、Health Professionals Follow-Up Study、NIH-AARP Diet and Health Study、Nurses’ Health Study、Nurses’ Health Study II、Women’s Health Study

 主な結果は以下のとおり。

・統合解析には、1万7,141例のがん患者が含まれた(平均年齢67歳、女性60%)。多いがん種は膀胱がん(24%)、子宮体がん(22%)、肺がん(18%)であった。
・膀胱がん、子宮体がん、肺がん、卵巣がん患者において、診断後の身体活動レベルが高い群では、身体活動を行っていない群と比較してがん死亡リスクの低下が認められた。
・膀胱がん、子宮体がん、肺がん患者では、推奨量(7.5MET・時/週以上)を下回る身体活動レベルであっても、身体活動を行っていない群と比較して死亡リスクの低下が認められた。
・口腔がんおよび直腸がんでは、一部の高い身体活動レベルにおいてがん死亡リスクの低下が示唆された。
・腎がんでは、推奨量を満たす群でリスク低下の傾向がみられたものの、有意差は認められなかった。
・診断前後の身体活動の変化を検討した解析では、肺がんおよび直腸がん患者において、診断前後ともに推奨量を満たさなかった群と比較して、診断前は推奨量を満たさなくても診断後に満たした群ではがん死亡リスクが低かった。ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)は以下のとおり。
 -肺がん HR:0.58(95%CI:0.47~0.71)
 -直腸がん HR:0.51(95%CI:0.32~0.83)

 研究グループは「本研究は、身体活動量の低下が全身状態の悪化や死期が近いことを反映している逆因果の可能性、アンケートに回答できる健康な患者が対象となっている選択バイアス、喫煙による残余交絡の影響を完全には排除できない」と指摘したうえで、「これらの結果は、がんとともに生きる人々とがんを乗り越えた人々の寿命と全体的な健康のために身体活動を促進することが重要であることを示唆している」とまとめた。

(ケアネット 森)


【原著論文はこちら】

Rees-Punia E, et al. JAMA Netw Open. 2026;9:e2556971.

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乳がん診断後の飲酒、予後との関係~メタ解析

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 飲酒は乳がん罹患率に影響を及ぼすと考えられる一方で、乳がん診断後の予後との関連については十分に確立されていない。イタリア・University of GenovaのLuca Arecco氏らによる、約250万例を対象としたシステマティックレビューおよびメタ解析の結果、飲酒は用量依存的な乳がんリスク増加と関連していた一方で、乳がん診断歴を有する患者においては飲酒と予後悪化の間に関連はみられなかった。Breast誌オンライン版2026年2月5日号に掲載の報告。

 2025年5月1日までの文献が系統的に検索され、飲酒歴のある女性における乳がんの罹患率、再発率、および生存転帰を報告した、前向きおよび後ろ向き研究が対象とされた。アルコール摂取レベル(少量[≦10g/日または最小摂取群]、中程度[軽度と重度の閾値間の値]、多量[>20g/日または最大摂取群])に応じて解析が行われた。主要評価項目は、乳がんの罹患率、再発率、乳がん特異的生存期間(BCSS)、および全生存期間(OS)とした。統合相対リスク(RR)およびハザード比(HR)を、95%信頼区間(CI)とともに算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・スクリーニングされた5,208件の文献のうち、256万5,920例の女性を含む37件の研究が解析対象とされた。
・乳がん罹患率について報告した17件の研究において、摂取レベルを問わず飲酒は乳がん罹患率の増加と関連していた(RR:1.17、95%CI:1.09~1.26、p<0.001)。
・乳がん罹患率はアルコール摂取レベルに比例して増加し、少量でRR:1.13(95%CI:1.05~1.23、p=0.002)、中程度でRR:1.28(95%CI:1.18~1.39、p<0.001)、多量でRR:1.52(95%CI:1.38~1.67、p<0.001)であった。
・乳がんの転帰について評価した20件の研究において、飲酒と乳がん再発率(RR:1.02、95%CI:0.93~1.11)およびBCSS(HR:0.93、95%CI:0.87~1.00)との間に関連は認められなかった。
・少量および中程度の飲酒は、わずかにOSの改善と関連していた(それぞれHR:0.85[95%CI:0.78~0.92、p<0.001]およびHR:0.84[95%CI:0.75~0.94、p=0.002])。ただし、この結果について著者らは、残余交絡因子やその他のバイアスが影響している可能性があるとし、慎重な解釈が必要と考察している。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


【原著論文はこちら】

Arecco L, et al. Breast. 2026;86:104719.

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更年期のホルモン補充療法、死亡は増加せず/BMJ

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 45歳以降に初めて更年期ホルモン補充療法を受けた女性は、受けなかった女性と比較して死亡リスクは増加しないことが、デンマーク・Copenhagen University Hospital HerlevのAnders Pretzmann Mikkelsen氏らの調査で示された。これまでの研究では、更年期ホルモン補充療法後の死亡率は減少または変化なしと報告されていたが、方法論的な限界が指摘されていた。BMJ誌2026年2月18日号掲載の報告。

デンマークの45歳以上の約88万例について追跡調査

 研究グループは、デンマークに在住し、45歳時点で生存している1950~77年生まれのデンマーク人女性を、45歳の誕生日から2023年7月31日まで追跡した。デンマーク処方箋登録から、更年期ホルモン補充療法の情報が収集された。

 主要アウトカムは、デンマークの中央個人登録簿(Central Persons Register)に記録された死亡、副次アウトカムは死因登録簿(Cause of Death Register)より特定した死因に基づく死因別死亡率(心血管疾患、がん、その他)であった。

 更年期ホルモン補充療法が死亡リスクに及ぼす影響について、年齢、暦年、分娩回数、学歴、所得分類(四分位に基づく)、出生国、糖尿病、高コレステロール血症、高血圧、心房細動、弁膜症、心不全および44~45歳時の3回以上の医療機関利用歴で調整したCox回帰分析によりハザード比(HR)を推定し評価した。

 1950~77年に生まれ45歳時点で生存していたデンマーク人女性は96万9,424例で、このうち、追跡開始前にホルモン補充療法の禁忌(血栓症素因、肝疾患、脳卒中や心筋梗塞を含む動脈血栓症、静脈血栓症、乳がん、子宮内膜がん、卵巣がん)を有していた女性、45歳以前の更年期ホルモン補充療法または両側卵巣摘出の既往歴がある9万2,619例が除外され、適格基準を満たした87万6,805例を対象に解析した。

更年期ホルモン補充療法非曝露に対する曝露の死亡の補正後HRは0.96

 追跡期間中央値14.3年(四分位範囲[IQR]:7.9~21.0)において、87万6,805例のうち追跡終了日までに更年期ホルモン補充療法を少なくとも1回処方された女性は10万4,086例(11.9%)、死亡は4万7,594例(5.4%)であった。

 更年期ホルモン補充療法曝露群の死亡発生率は1万人年当たり54.9に対し、非曝露群は35.5で、補正後HRは0.96(95%信頼区間[CI]:0.93~0.98)であった。更年期ホルモン補充療法の累積使用期間で層別化した場合の補正後HRは、1年未満で1.01(95%CI:0.98~1.05)、1~2.9年で0.94(0.89~0.98)、3~4.9年で0.90(0.84~0.95)、5~9.9年で0.89(0.84~0.95)、10年以上で0.98(0.90~1.07)であった。

 死因別死亡率(心血管疾患、がん、その他)について、曝露群と非曝露群で明確な差は認められなかった。

 45~54歳で両側卵巣摘出術を受け、追跡期間中に死亡した703例においては、更年期ホルモン補充療法曝露は非曝露と比較し死亡の補正後HRが27~34%低く、死亡時年齢の中央値は曝露群60.9歳(IQR:55.3~66.6)vs.非曝露群56.6歳(52.9~62.0)であった。

(ケアネット)


【原著論文はこちら】

Mikkelsen AP, et al. BMJ. 2026;392:e085998.

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転移のあるTNおよびHR+/HER2-乳がんへのSG、最大規模のリアルワールドでのOS解析

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 転移を有するトリプルネガティブ乳がん(mTNBC)および転移を有するホルモン受容体陽性/HER2陰性乳がん(HR+/HER2- mBC)の3次治療でのサシツズマブ ゴビテカン(SG)のリアルワールドにおける生存アウトカムを、フランス・National Agency for Medicine and Health Product Safety(ANSM)/National Health Insurance Center(CNAM)のAya Elhusseiny Shaaban氏らが過去最大規模のリアルワールド研究で評価した。本研究では、全生存期間(OS)中央値はmTNBCで11.0ヵ月、HR+/HER2- mBCで11.4ヵ月であった。British Journal of Cancer誌オンライン版2026年2月5日号に掲載。

 本研究はフランス国民健康データシステム(National Health Data System)を用いて、2021年7月1日~2023年12月31日にSGを開始した全患者の人口統計学的情報、併存疾患、前治療歴を記録し、2024年6月30日まで追跡調査した。た。OSおよび治療中止までの期間(TTD)はカプランマイヤー法を用いて推定し、多変量Coxモデルを用いてOSの予後因子を調べた。

 主な結果は以下のとおり。

・3,653例が対象となり、うちmTNBCは2,527例、HR+/HER2- mBCは1,126例で、年齢中央値はそれぞれ58歳、61.5歳であった。
・OS中央値は、mTNBCで11.0ヵ月(95%信頼区間[CI]:10.4~11.7)、HR+/HER2- mBCで11.4ヵ月(95%CI:10.7~12.4)であった。
・1年生存率はそれぞれ47%、48%、TTD中央値はそれぞれ4.3ヵ月、3.5ヵ月であった。
・OSの不良は、入院SG治療および肝/消化管転移と独立して関連していた。mTNBCでは、脳転移、呼吸器疾患、喫煙関連の入院、複数の転移部位、前治療歴が加わった。

(ケアネット 金沢 浩子)


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Shaaban AE, et al. Br J Cancer. 2026 Feb 5. [Epub ahead of print]

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日本の高齢進行乳がん患者へのパルボシクリブ+内分泌療法、RWでの転帰

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 日本の65歳以上のホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陰性(HER2-)進行乳がん患者において、パルボシクリブと内分泌療法併用の有効性は、65歳未満と同等であることがリアルワールドデータで示された。昭和医科大学の増田 紘子氏らは、P-BRIDGE試験の年齢群別サブグループ解析結果を、Breast Cancer誌オンライン版2月11日号に報告した。

 P-BRIDGE試験は、日本国内で2017~20年に1次または2次治療としてパルボシクリブ+内分泌療法を開始したHR+/HER2-進行乳がん患者693例が組み入れられた多施設共同観察研究。治療転帰および治療パターンを年齢群別(65歳未満、65歳以上75歳未満、75歳以上)に評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・1次治療としてパルボシクリブ+内分泌療法を受けた426例のうち、65歳未満、65歳以上75歳未満、および75歳以上の患者はそれぞれ266例、118例、および42例であった。
・パルボシクリブを125mgで開始した患者の割合は、65歳未満(95.5%)および65歳以上75歳未満(88.1%)の患者と比較して、75歳以上の患者で低かった(64.3%)。
・75歳以上の患者では、ほかの年齢層と比較して、有害事象によりパルボシクリブを投与中止した患者が多かった。
・リアルワールドにおける無増悪生存期間(PFS)の中央値(95%信頼区間)は、65歳未満、65歳以上75歳未満、および75歳以上の年齢群でそれぞれ24.5ヵ月(18.2~30.4)、25.7ヵ月(16.8~36.7)、および45.4ヵ月(20.4~52.4)であった。
・リアルワールドにおける全生存期間の中央値(95%信頼区間)は、それぞれ68.2ヵ月(65.0~NR)、NR(56.3~NR)、および68.0ヵ月(45.8~NR)であった。

 著者らは今回の結果について、高齢者を含むすべての患者にとってパルボシクリブと内分泌療法の併用が有用な治療選択肢であることを支持する一方で、とくに高齢患者においては、綿密なモニタリングと個別化された治療戦略の必要性を強調するものとしている。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


【原著論文はこちら】

Masuda H, et al. Breast Cancer. 2026 Feb 11. [Epub ahead of print]

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BRCA1/2病的バリアント保持者におけるリスク低減乳房切除術、生存率を改善するか/JCO

提供元:CareNet.com

 BRCA1およびBRCA2遺伝子の病的バリアント(pvBRCA1/2)を保持する女性において、両側リスク低減乳房切除術(BRRM)により生存率は改善するのだろうか。今回、英国・マンチェスター大学のAshu Gandhi氏らが、pvBRCA1/2保持女性においてBRRMを選択した群と画像検査によるサーベイランスを選択した群の長期アウトカムを前向きコホート研究で比較したところ、生存率に差はなかったが、乳がん発症率はBRRM選択群が有意に低かったことが示された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2026年2月4日号に掲載。

 本研究は、地域の家族歴・遺伝学サービスを受診しpvBRCA1/2遺伝子検査を受け、pvBRCA1/2を保持していた女性を対象とした前向きコホート研究である。参加者は英国のガイドラインに基づき、BRRMまたはサーベイランスのいずれかを選択した。評価項目は全生存期間、乳がん死亡率、乳がん発症率であった。

 主な結果は以下のとおり。

・460例がBRRM、745例がサーベイランスを選択し(年齢中央値:37.2歳/38.5歳、p=0.06)、BRRM後の追跡期間は計4,652人年であった。
・乳がん年間発症率は全体で2.4%であったが、BRRM後は0.15%に減少し、サーベイランス単独と比較して94%低かった(log-rank検定 χ2=86.1、p<0.001)。
・BRRMで診断された潜在性乳がんは9例(2%)であった。
・乳がん死亡率はBRRM群とサーベイランス群で同等であった(死亡:2例/4例、p=0.36、追跡期間:4,634人年/5,419人年)。
・両群において、乳がん死亡率は卵巣がん死亡率と同程度であった。

 著者らは「本結果は、サーベイランスを選択した女性において生存期間が損なわれる可能性が低いことを示唆し、安心感を与えるかもしれない。ただし、BRRM群の乳がん発症率がサーベイランス群より有意に低いことは、BRRMを検討する女性に重要な情報となりうる」としている。

(ケアネット 金沢 浩子)


【原著論文はこちら】

Gandhi A, et al. J Clin Oncol. 2026 Feb 4. [Epub ahead of print]

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乳がん生存率、アジア系と白人を比較

提供元:CareNet.com

 乳がん生存率についてアジア系米国人と白人を比較した研究はほとんどない。今回、中国・Qinghai UniversityのYongxin Li氏らがSEERデータを用いて検討したところ、アジア系米国人の乳がん患者は白人の乳がん患者より全生存期間(OS)が有意に良好で、すべてのサブグループにおいても一貫していた。Clinical Breast Cancer誌2026年3月号に掲載。

 本研究はSEERデータベース(2010~21年)のデータを用いて、アジア系米国人と白人の乳がん患者を対象とした後ろ向きコホート研究である。年齢、Stage、分子サブタイプ、治療法などのベースライン特性を調整するため、傾向スコアマッチングを適用した。評価項目はOSおよび乳がん特異的生存期間(BCSS)とした。

 主な結果は以下のとおり。

・乳がん患者37万4,930例(アジア系米国人:4万4,092例、白人:33万838例)が対象となった。
・ベースライン特性の調整後、アジア系米国人は白人と比較して有意に良好なOS(ハザード比[HR]:0.78、95%信頼区間[CI]:0.75~0.81)およびBCSS(HR:0.88、95%CI:0.84~0.93)を示した。
・アジア系米国人の白人に対する優位性は、すべての臨床的・人口統計学的サブグループで一貫してみられた。また、Stage、年齢、治療法などの主要な予後因子の調整後も、アジア系米国人は独立して有意にOS(HR:0.77)およびBCSS(HR:0.86)が良好であった。

 著者らは「これらの結果は、固有の生物学的因子または生活習慣による保護因子の存在が示唆され、さらなる調査が必要である」としている。

(ケアネット 金沢 浩子)


【原著論文はこちら】

Li Y, et al. Clin Breast Cancer. 2026;26:1-8.

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