乳がん診断後の飲酒、予後との関係~メタ解析

提供元:CareNet.com

 飲酒は乳がん罹患率に影響を及ぼすと考えられる一方で、乳がん診断後の予後との関連については十分に確立されていない。イタリア・University of GenovaのLuca Arecco氏らによる、約250万例を対象としたシステマティックレビューおよびメタ解析の結果、飲酒は用量依存的な乳がんリスク増加と関連していた一方で、乳がん診断歴を有する患者においては飲酒と予後悪化の間に関連はみられなかった。Breast誌オンライン版2026年2月5日号に掲載の報告。

 2025年5月1日までの文献が系統的に検索され、飲酒歴のある女性における乳がんの罹患率、再発率、および生存転帰を報告した、前向きおよび後ろ向き研究が対象とされた。アルコール摂取レベル(少量[≦10g/日または最小摂取群]、中程度[軽度と重度の閾値間の値]、多量[>20g/日または最大摂取群])に応じて解析が行われた。主要評価項目は、乳がんの罹患率、再発率、乳がん特異的生存期間(BCSS)、および全生存期間(OS)とした。統合相対リスク(RR)およびハザード比(HR)を、95%信頼区間(CI)とともに算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・スクリーニングされた5,208件の文献のうち、256万5,920例の女性を含む37件の研究が解析対象とされた。
・乳がん罹患率について報告した17件の研究において、摂取レベルを問わず飲酒は乳がん罹患率の増加と関連していた(RR:1.17、95%CI:1.09~1.26、p<0.001)。
・乳がん罹患率はアルコール摂取レベルに比例して増加し、少量でRR:1.13(95%CI:1.05~1.23、p=0.002)、中程度でRR:1.28(95%CI:1.18~1.39、p<0.001)、多量でRR:1.52(95%CI:1.38~1.67、p<0.001)であった。
・乳がんの転帰について評価した20件の研究において、飲酒と乳がん再発率(RR:1.02、95%CI:0.93~1.11)およびBCSS(HR:0.93、95%CI:0.87~1.00)との間に関連は認められなかった。
・少量および中程度の飲酒は、わずかにOSの改善と関連していた(それぞれHR:0.85[95%CI:0.78~0.92、p<0.001]およびHR:0.84[95%CI:0.75~0.94、p=0.002])。ただし、この結果について著者らは、残余交絡因子やその他のバイアスが影響している可能性があるとし、慎重な解釈が必要と考察している。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


【原著論文はこちら】

Arecco L, et al. Breast. 2026;86:104719.

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。
(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

更年期のホルモン補充療法、死亡は増加せず/BMJ

提供元:CareNet.com

 45歳以降に初めて更年期ホルモン補充療法を受けた女性は、受けなかった女性と比較して死亡リスクは増加しないことが、デンマーク・Copenhagen University Hospital HerlevのAnders Pretzmann Mikkelsen氏らの調査で示された。これまでの研究では、更年期ホルモン補充療法後の死亡率は減少または変化なしと報告されていたが、方法論的な限界が指摘されていた。BMJ誌2026年2月18日号掲載の報告。

デンマークの45歳以上の約88万例について追跡調査

 研究グループは、デンマークに在住し、45歳時点で生存している1950~77年生まれのデンマーク人女性を、45歳の誕生日から2023年7月31日まで追跡した。デンマーク処方箋登録から、更年期ホルモン補充療法の情報が収集された。

 主要アウトカムは、デンマークの中央個人登録簿(Central Persons Register)に記録された死亡、副次アウトカムは死因登録簿(Cause of Death Register)より特定した死因に基づく死因別死亡率(心血管疾患、がん、その他)であった。

 更年期ホルモン補充療法が死亡リスクに及ぼす影響について、年齢、暦年、分娩回数、学歴、所得分類(四分位に基づく)、出生国、糖尿病、高コレステロール血症、高血圧、心房細動、弁膜症、心不全および44~45歳時の3回以上の医療機関利用歴で調整したCox回帰分析によりハザード比(HR)を推定し評価した。

 1950~77年に生まれ45歳時点で生存していたデンマーク人女性は96万9,424例で、このうち、追跡開始前にホルモン補充療法の禁忌(血栓症素因、肝疾患、脳卒中や心筋梗塞を含む動脈血栓症、静脈血栓症、乳がん、子宮内膜がん、卵巣がん)を有していた女性、45歳以前の更年期ホルモン補充療法または両側卵巣摘出の既往歴がある9万2,619例が除外され、適格基準を満たした87万6,805例を対象に解析した。

更年期ホルモン補充療法非曝露に対する曝露の死亡の補正後HRは0.96

 追跡期間中央値14.3年(四分位範囲[IQR]:7.9~21.0)において、87万6,805例のうち追跡終了日までに更年期ホルモン補充療法を少なくとも1回処方された女性は10万4,086例(11.9%)、死亡は4万7,594例(5.4%)であった。

 更年期ホルモン補充療法曝露群の死亡発生率は1万人年当たり54.9に対し、非曝露群は35.5で、補正後HRは0.96(95%信頼区間[CI]:0.93~0.98)であった。更年期ホルモン補充療法の累積使用期間で層別化した場合の補正後HRは、1年未満で1.01(95%CI:0.98~1.05)、1~2.9年で0.94(0.89~0.98)、3~4.9年で0.90(0.84~0.95)、5~9.9年で0.89(0.84~0.95)、10年以上で0.98(0.90~1.07)であった。

 死因別死亡率(心血管疾患、がん、その他)について、曝露群と非曝露群で明確な差は認められなかった。

 45~54歳で両側卵巣摘出術を受け、追跡期間中に死亡した703例においては、更年期ホルモン補充療法曝露は非曝露と比較し死亡の補正後HRが27~34%低く、死亡時年齢の中央値は曝露群60.9歳(IQR:55.3~66.6)vs.非曝露群56.6歳(52.9~62.0)であった。

(ケアネット)


【原著論文はこちら】

Mikkelsen AP, et al. BMJ. 2026;392:e085998.

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。
(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

転移のあるTNおよびHR+/HER2-乳がんへのSG、最大規模のリアルワールドでのOS解析

提供元:CareNet.com

 転移を有するトリプルネガティブ乳がん(mTNBC)および転移を有するホルモン受容体陽性/HER2陰性乳がん(HR+/HER2- mBC)の3次治療でのサシツズマブ ゴビテカン(SG)のリアルワールドにおける生存アウトカムを、フランス・National Agency for Medicine and Health Product Safety(ANSM)/National Health Insurance Center(CNAM)のAya Elhusseiny Shaaban氏らが過去最大規模のリアルワールド研究で評価した。本研究では、全生存期間(OS)中央値はmTNBCで11.0ヵ月、HR+/HER2- mBCで11.4ヵ月であった。British Journal of Cancer誌オンライン版2026年2月5日号に掲載。

 本研究はフランス国民健康データシステム(National Health Data System)を用いて、2021年7月1日~2023年12月31日にSGを開始した全患者の人口統計学的情報、併存疾患、前治療歴を記録し、2024年6月30日まで追跡調査した。た。OSおよび治療中止までの期間(TTD)はカプランマイヤー法を用いて推定し、多変量Coxモデルを用いてOSの予後因子を調べた。

 主な結果は以下のとおり。

・3,653例が対象となり、うちmTNBCは2,527例、HR+/HER2- mBCは1,126例で、年齢中央値はそれぞれ58歳、61.5歳であった。
・OS中央値は、mTNBCで11.0ヵ月(95%信頼区間[CI]:10.4~11.7)、HR+/HER2- mBCで11.4ヵ月(95%CI:10.7~12.4)であった。
・1年生存率はそれぞれ47%、48%、TTD中央値はそれぞれ4.3ヵ月、3.5ヵ月であった。
・OSの不良は、入院SG治療および肝/消化管転移と独立して関連していた。mTNBCでは、脳転移、呼吸器疾患、喫煙関連の入院、複数の転移部位、前治療歴が加わった。

(ケアネット 金沢 浩子)


【原著論文はこちら】

Shaaban AE, et al. Br J Cancer. 2026 Feb 5. [Epub ahead of print]

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。
(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

日本の高齢進行乳がん患者へのパルボシクリブ+内分泌療法、RWでの転帰

提供元:CareNet.com

 日本の65歳以上のホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陰性(HER2-)進行乳がん患者において、パルボシクリブと内分泌療法併用の有効性は、65歳未満と同等であることがリアルワールドデータで示された。昭和医科大学の増田 紘子氏らは、P-BRIDGE試験の年齢群別サブグループ解析結果を、Breast Cancer誌オンライン版2月11日号に報告した。

 P-BRIDGE試験は、日本国内で2017~20年に1次または2次治療としてパルボシクリブ+内分泌療法を開始したHR+/HER2-進行乳がん患者693例が組み入れられた多施設共同観察研究。治療転帰および治療パターンを年齢群別(65歳未満、65歳以上75歳未満、75歳以上)に評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・1次治療としてパルボシクリブ+内分泌療法を受けた426例のうち、65歳未満、65歳以上75歳未満、および75歳以上の患者はそれぞれ266例、118例、および42例であった。
・パルボシクリブを125mgで開始した患者の割合は、65歳未満(95.5%)および65歳以上75歳未満(88.1%)の患者と比較して、75歳以上の患者で低かった(64.3%)。
・75歳以上の患者では、ほかの年齢層と比較して、有害事象によりパルボシクリブを投与中止した患者が多かった。
・リアルワールドにおける無増悪生存期間(PFS)の中央値(95%信頼区間)は、65歳未満、65歳以上75歳未満、および75歳以上の年齢群でそれぞれ24.5ヵ月(18.2~30.4)、25.7ヵ月(16.8~36.7)、および45.4ヵ月(20.4~52.4)であった。
・リアルワールドにおける全生存期間の中央値(95%信頼区間)は、それぞれ68.2ヵ月(65.0~NR)、NR(56.3~NR)、および68.0ヵ月(45.8~NR)であった。

 著者らは今回の結果について、高齢者を含むすべての患者にとってパルボシクリブと内分泌療法の併用が有用な治療選択肢であることを支持する一方で、とくに高齢患者においては、綿密なモニタリングと個別化された治療戦略の必要性を強調するものとしている。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


【原著論文はこちら】

Masuda H, et al. Breast Cancer. 2026 Feb 11. [Epub ahead of print]

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。
(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

BRCA1/2病的バリアント保持者におけるリスク低減乳房切除術、生存率を改善するか/JCO

提供元:CareNet.com

 BRCA1およびBRCA2遺伝子の病的バリアント(pvBRCA1/2)を保持する女性において、両側リスク低減乳房切除術(BRRM)により生存率は改善するのだろうか。今回、英国・マンチェスター大学のAshu Gandhi氏らが、pvBRCA1/2保持女性においてBRRMを選択した群と画像検査によるサーベイランスを選択した群の長期アウトカムを前向きコホート研究で比較したところ、生存率に差はなかったが、乳がん発症率はBRRM選択群が有意に低かったことが示された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2026年2月4日号に掲載。

 本研究は、地域の家族歴・遺伝学サービスを受診しpvBRCA1/2遺伝子検査を受け、pvBRCA1/2を保持していた女性を対象とした前向きコホート研究である。参加者は英国のガイドラインに基づき、BRRMまたはサーベイランスのいずれかを選択した。評価項目は全生存期間、乳がん死亡率、乳がん発症率であった。

 主な結果は以下のとおり。

・460例がBRRM、745例がサーベイランスを選択し(年齢中央値:37.2歳/38.5歳、p=0.06)、BRRM後の追跡期間は計4,652人年であった。
・乳がん年間発症率は全体で2.4%であったが、BRRM後は0.15%に減少し、サーベイランス単独と比較して94%低かった(log-rank検定 χ2=86.1、p<0.001)。
・BRRMで診断された潜在性乳がんは9例(2%)であった。
・乳がん死亡率はBRRM群とサーベイランス群で同等であった(死亡:2例/4例、p=0.36、追跡期間:4,634人年/5,419人年)。
・両群において、乳がん死亡率は卵巣がん死亡率と同程度であった。

 著者らは「本結果は、サーベイランスを選択した女性において生存期間が損なわれる可能性が低いことを示唆し、安心感を与えるかもしれない。ただし、BRRM群の乳がん発症率がサーベイランス群より有意に低いことは、BRRMを検討する女性に重要な情報となりうる」としている。

(ケアネット 金沢 浩子)


【原著論文はこちら】

Gandhi A, et al. J Clin Oncol. 2026 Feb 4. [Epub ahead of print]

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。
(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

乳がん生存率、アジア系と白人を比較

提供元:CareNet.com

 乳がん生存率についてアジア系米国人と白人を比較した研究はほとんどない。今回、中国・Qinghai UniversityのYongxin Li氏らがSEERデータを用いて検討したところ、アジア系米国人の乳がん患者は白人の乳がん患者より全生存期間(OS)が有意に良好で、すべてのサブグループにおいても一貫していた。Clinical Breast Cancer誌2026年3月号に掲載。

 本研究はSEERデータベース(2010~21年)のデータを用いて、アジア系米国人と白人の乳がん患者を対象とした後ろ向きコホート研究である。年齢、Stage、分子サブタイプ、治療法などのベースライン特性を調整するため、傾向スコアマッチングを適用した。評価項目はOSおよび乳がん特異的生存期間(BCSS)とした。

 主な結果は以下のとおり。

・乳がん患者37万4,930例(アジア系米国人:4万4,092例、白人:33万838例)が対象となった。
・ベースライン特性の調整後、アジア系米国人は白人と比較して有意に良好なOS(ハザード比[HR]:0.78、95%信頼区間[CI]:0.75~0.81)およびBCSS(HR:0.88、95%CI:0.84~0.93)を示した。
・アジア系米国人の白人に対する優位性は、すべての臨床的・人口統計学的サブグループで一貫してみられた。また、Stage、年齢、治療法などの主要な予後因子の調整後も、アジア系米国人は独立して有意にOS(HR:0.77)およびBCSS(HR:0.86)が良好であった。

 著者らは「これらの結果は、固有の生物学的因子または生活習慣による保護因子の存在が示唆され、さらなる調査が必要である」としている。

(ケアネット 金沢 浩子)


【原著論文はこちら】

Li Y, et al. Clin Breast Cancer. 2026;26:1-8.

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。
(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

AI支援マンモ検診、中間期乳がんが減少/Lancet

提供元:CareNet.com

 人工知能(AI)支援マンモグラフィスクリーニングは、2人の放射線科医が読影を行う標準的な二重読影と比較して、中間期乳がん(スクリーニングとスクリーニングの間あるいは最後の定期スクリーニング後2年以内に診断された、スクリーニングでは未検出であった原発乳がん)の発生率に関して非劣性で、予後不良の中間期乳がんの減少という良好なアウトカムに結び付き、高い感度、同等の特異度を示しながら、読影者の作業負荷も軽減したことが示された。スウェーデン・Lund UniversityのJessie Gommers氏らが同国で行った無作為化非劣性試験「MASAI試験」の結果を報告した。先行研究で、AI支援のマンモグラフィスクリーニングにより、がんの検出率が増加しかつ読影者の作業負荷を軽減可能であることがエビデンスとして示されているが、中間期乳がんへの有益性は明らかにされていなかった。Lancet誌2026年1月31日号掲載の報告。

二重読影による標準的スクリーニングと比較

 MASAI試験は、スウェーデンで行われた、住民ベースの単盲検無作為化対照非劣性スクリーニング精度試験。同国では40~74歳の女性は1.5~2年ごとにマンモグラフィスクリーニングへの受診勧奨を受け、中等度の遺伝的リスクを持つ女性と乳がん既往を持つ女性には、毎年スクリーニングが提供され、後者は80歳まで実施される。
 スクリーニングへの参加者を1対1の割合で、AI支援マンモグラフィスクリーニング群(介入群)またはAIを用いず2人の放射線科医が読影を行う標準的な二重読影群(対照群)に無作為に割り付け追跡評価を行った。
 介入群のAIは、放射線科医1人または2人による読影トリアージおよび検出支援に使用された。
 主要評価項目は中間期乳がんの発生率で、プロトコールに基づき解析された。非劣性マージンは20%であった。
 副次評価項目は、中間期乳がんの特徴、感度、特異度、年齢・乳腺濃度・乳がんタイプ別(非浸潤性、浸潤性)の感度などであった。

中間期乳がんの発生率(/1,000人)は介入群1.55、対照群1.76

 2021年4月12日~2022年12月7日に、10万5,934例の女性が介入群または対照群に無作為化された(除外は19例)。年齢中央値は、介入群(5万3,043例)53.8歳(四分位範囲:46.5~63.3)、対照群(5万2,872例)53.7歳(46.5~63.2)であった。
 中間期乳がんの発生率は参加者1,000人当たり、介入群1.55(95%信頼区間[CI]:1.23~1.92)、対照群1.76(1.42~2.15)で、非劣性割合比は0.88(95%CI:0.65~1.18、p=0.41)であった。
 介入群では対照群と比較して、浸潤性(75例vs.89例)、T2+(38例vs.48例)、非Luminal A(43例vs.59例)の中間期乳がんが少なかった。
 感度は、介入群(80.5%、95%CI:76.4~84.2)が対照群(73.8%、68.9~78.3)よりも高く(p=0.031)、この効果は年齢や乳腺密度によらず浸潤性乳がんでは一貫して認められたが、非浸潤性乳がんでは認められなかった。特異度は両群とも98.5%(95%CI:98.4~98.6)であった(p=0.88)。
 著者は、「その後の検診回および費用対効果の解析で、長期的なベネフィットと有害性のバランスが明らかになり、とくに人手不足の状況にある住民ベースのマンモグラフィスクリーニングプログラムにおいて、AIを導入することに関する強力な根拠が示唆された」とまとめている。

(ケアネット)


【原著論文はこちら】

Gommers J, et al. Lancet. 2026;407:505-514.

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。
(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

閉経後HR+早期乳がんへの術後内分泌療法、アロマターゼ阻害薬3剤の長期転帰を比較

提供元:CareNet.com

 第3世代アロマターゼ阻害薬であるアナストロゾール、レトロゾール、およびエキセメスタンは、閉経後ホルモン受容体陽性(HR+)早期乳がんに対する標準的な術後内分泌療法であるが、臨床における有効性を比較したデータはほとんどない。フランス・パリ・シテ大学のElise Dumas氏らは、約15万例を対象とした比較効果試験を実施し、エキセメスタンによる術後内分泌療法は、アナストロゾールおよびレトロゾールと比較して、無病生存期間(DFS)および全生存期間(OS)がわずかに低くなる可能性があると明らかにした。JAMA Network Open誌2025年12月26日号に掲載の報告。

 本試験は、フランスの医療行政データを用いてtarget trial emulationの手法により実施された。患者コホートは、フランス早期乳がんコホート(French Early Breast Cancer Cohort)から抽出され、2011年1月1日~2020年12月31日に早期乳がんと診断され、2021年12月31日まで追跡された50~75歳の女性で構成された。全例が卵巣機能抑制を併用せずに術後アロマターゼ阻害薬を開始した。データ解析は2024年11月~2025年5月に行われた。対象者はアロマターゼ阻害薬の自然継続(natural persistence)状況下および5年間の継続を保証する仮想的な完全継続(perfect persistence)状況下について評価された。主要評価項目はDFSとOSで、いずれも調整カプランマイヤー曲線を用いて推定した。

 主な結果は以下のとおり。

・解析に含まれた14万8,436例(年齢中央値64歳)のうち、38.5%がアナストロゾール、52.9%がレトロゾール、8.5%がエキセメスタンを開始していた。
・追跡期間中央値63ヵ月時点で、自然継続状況下における8年DFS率は、エキセメスタン群(79.1%、95%信頼区間[CI]:78.1~80.0%)で、アナストロゾール群(81.0%、95%CI:80.6~81.5%)およびレトロゾール群(81.1%、95%CI:80.7~81.5%)と比較して低くなることが推定された。
・同様に8年OS率は、エキセメスタン群88.8%(95%CI:88.0~89.6%)、アナストロゾール群90.5%(95%CI:90.2~90.8%)、レトロゾール群89.9%(95%CI:89.6~90.2%)であった。
・エキセメスタンを開始した患者は、ほかの2剤を開始した患者と比較して、治療開始5年以内に治療を中止する可能性が高かった(エキセメスタン群39.3%[95%CI:38.3~40.3%]vs.アナストロゾール群35.1%[95%CI:34.7~35.6%]およびレトロゾール群35.0%[95%CI:34.6~35.4%])。
・レトロゾール群およびアナストロゾール群と比較しエキセメスタン群でDFSおよびOSが低くなる傾向は、完全継続状況下においても観察された。

 著者らは、「差はわずかではあるが、アロマターゼ阻害薬が広く使用されていることを鑑みればこれらの治療間の差は臨床的に意義がある」とし、「今回の結果は初期治療としてのレトロゾールおよびアナストロゾールの使用を支持するもの」と結論付けた。そのうえで、近年はCDK4/6阻害薬や卵巣機能抑制との併用が行われていることから、新たな治療レジメンを含む、アロマターゼ阻害薬の選択に関する研究が必要としている。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


【原著論文はこちら】

Dumas E, et al. JAMA Netw Open. 2025;8:e2550842.

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。
(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

HR+/HER2+進行乳がん、導入療法後の維持療法にパルボシクリブ追加でPFS延長(PATINA)/NEJM

提供元:CareNet.com

 ホルモン受容体陽性、HER2陽性の進行乳がんの1次治療では、標準的な導入療法で病勢の進行を認めなかった患者の維持療法において、標準療法単独と比較して標準療法+パルボシクリブ(サイクリン依存性キナーゼ4/6阻害薬)は、無増悪生存期間(PFS)が有意に1年超長く、奏効率や奏効例の奏効期間も良好だが、Grade3/4の有害事象の頻度が2倍超であることが、米国・Harvard Medical SchoolのOtto Metzger氏らが実施した「PATINA試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2026年1月29日号に掲載された。

8ヵ国の無作為化第III相試験

 PATINA試験は、8ヵ国123施設で実施した非盲検無作為化第III相試験であり、2017年6月~2021年7月に参加者を登録した(Pfizerなどの助成を受けた)。

 年齢18歳以上のホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)受容体陽性、HER2陽性の進行乳がんで、1次治療における導入療法として化学療法(タキサン系薬剤)+HER2標的療法(トラスツズマブ+ペルツズマブまたはトラスツズマブ単剤)の投与を4~8サイクル受け、病勢の進行を認めなかった患者(完全奏効、部分奏効、安定)を対象とした。

 被験者を、導入療法の最終投与日から12週以内に、維持療法としてHER2標的療法(トラスツズマブ+ペルツズマブまたはトラスツズマブ単剤)+内分泌療法(アロマターゼ阻害薬またはフルベストラント)の投与を開始する群(標準療法群)、または標準療法に加えパルボシクリブの投与を開始する群(パルボシクリブ群)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。

 主要評価項目は、担当医評価によるPFS。副次評価項目は、奏効率、臨床的ベネフィット、安全性および全生存期間などであった。

PFS中央値は44.3ヵ月vs.29.1ヵ月

 518例(年齢中央値53.4歳、男性3例[0.6%]、白人401例[77.4%]、閉経後女性320例[61.8%])を登録し、パルボシクリブ群に261例、標準療法群に257例を割り付けた。無作為化前の導入療法のサイクル数中央値は6であり、導入療法終了時に70.1%が完全奏効・部分奏効、29.3%が安定であった。維持療法では、94.0%が2剤併用抗HER2療法、90.7%がアロマターゼ阻害薬の投与を受けた。

 追跡期間中央値53.5ヵ月の時点におけるPFSは、標準療法群が29.1ヵ月(95%信頼区間[CI]:23.3~38.6)であったのに対し、パルボシクリブ群は44.3ヵ月(32.4~56.8)と有意に延長した(ハザード比:0.75、95%CI:0.59~0.96、両側非層別log-rank検定のp=0.02)。

 また、12、24、48ヵ月時のPFS率は、パルボシクリブ群がそれぞれ84.9%、65.2%、46.5%、標準療法群は73.2%、55.3%、38.3%だった。

 確定された奏効率(導入療法による完全奏効例を除外し、少なくとも2回の連続した評価で完全奏効または部分奏効が持続していた患者の割合)は、パルボシクリブ群が32.9%(95%CI:26.9~39.4)、標準療法群は24.8%(19.3~30.0)であった。

 確定された奏効期間中央値は、パルボシクリブ群が44.9ヵ月(95%CI:27.1~51.6)、標準療法群は30.8ヵ月(26.0~評価不能)だった。

Grade3の有害事象が79.7%、Grade4は10.0%

 Grade3の有害事象は、パルボシクリブ群で79.7%と、標準療法群の30.6%の2倍超の頻度で発現し、主に好中球減少(55.9%vs.2.0%)と白血球減少(15.7%vs.0.8%)であった。Grade4の有害事象は、それぞれ10.0%および3.6%に見られた。

 Grade5の有害事象(試験薬以外の原因による致死的イベント)は、パルボシクリブ群で3.8%、標準療法群で4.4%に認めたが、担当医判定による試験薬関連の死亡の報告はなかった。重篤な有害事象は、それぞれ28.7%および21.8%で発現した。

 また、パルボシクリブ群では、57.7%で減量を要し(27.7%が1回、30.0%が2回の減量)、18%で投与中止の原因となった有害事象が見られた。

 著者は、「本試験では、導入療法中に病勢が進行した患者を除外したため、病変の生物学的特性がより良好な患者を試験集団に集積した可能性がある」「44ヵ月を超える無増悪生存期間の達成は臨床的に意義のある進展を示すもの」「早期死亡はまれで、6ヵ月全生存率は両群とも99%を超えており、これは導入療法を完了して維持療法の段階に移行した患者の良好なアウトカムを反映するものである」としている。

(医学ライター 菅野 守)


【原著論文はこちら】

Metzger O, et al. N Engl J Med. 2026;394:451-462.

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。
(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

乳がん後の心筋梗塞と脳卒中リスク

提供元:CareNet.com

 乳がんと診断された女性におけるその後の心筋梗塞と脳卒中のリスクを分析したところ、心筋梗塞は20%、脳卒中は58%のリスク増加が示唆された。イタリア・トリノ大学のFulvio Ricceri氏らが、イタリア北西部の130万人の女性を対象とした大規模集団研究で分析した結果を、Breast Cancer Research and Treatment誌2026年1月29日号で報告した。

 乳がんの生存期間は検診の普及と治療法の進歩により延長したが、同時に他疾患のリスクも増加している。原因としては、遺伝的要因、共通のリスク因子、治療による副作用などが挙げられる。そこで本研究では、治療の潜在的な副作用を考慮しつつ、乳がん患者における心筋梗塞と脳卒中のリスクを分析した。対象集団は、国勢調査データと複数の医療行政データベースをリンクさせた行政コホート研究であるピエモンテ縦断研究(PLS)の30~75歳の女性で、ベースライン時点で心筋梗塞または脳卒中の既往があった女性は除外した。原因別比例ハザードモデルを用いた競合リスク分析を実施した。

 主な結果は以下のとおり。

・30~75歳の134万2,333人のうち1万9,203人が乳がんと診断され、そのうち206人(1.1%)が心筋梗塞、203人(1.1%)が脳卒中を発症した。
・乳がん患者では心筋梗塞(ハザード比[HR]:1.20、95%信頼区間[CI]:1.05~1.38)および脳卒中(HR:1.58、95%CI:1.38~1.82)のリスク増加が認められた。
・心筋梗塞については化学療法が主要な危険因子であったが、脳卒中については治療法による違いは認められなかった。

(ケアネット 金沢 浩子)


【原著論文はこちら】

Ricceri F, et al. Breast Cancer Res Treat. 2026;215:66.

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。
(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)