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HR+/HER2+転移乳がんに内分泌療法を併用または非併用でパルボシクリブ+トラスツズマブの有効性を検討した第II相PATRICIA試験の結果、最終的な全生存期間(OS)中央値は29.8ヵ月であったことを、スペイン・SOLTI Cancer Research GroupのTomas Pascual氏らが報告した。また、バイオマーカー分析の結果についても報告した。ESMO Open誌2025年9月1日号に掲載。
本試験は、2015年7月~2018年11月に患者を登録し、スペインの17施設で実施された研究者主導の多施設共同非盲検第II相試験である。対象は、トラスツズマブ治療歴があり、2~4レジメンの治療後に病勢進行が認められた閉経後HER2+転移乳がん患者で、ER-症例はコホートA(パルボシクリブ+トラスツズマブ)、ER+症例はコホートB1(追加治療なし)またはコホートB2(レトロゾール)に1:1に無作為に割り付けた。主要評価項目は治験責任医師による6ヵ月時点の無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目はOSと長期PFSであった。
主な結果は以下のとおり。
・本試験には71例が登録され、コホートAに15例、B1に28例、B2に28例が登録された。
・OS中央値は29.8ヵ月(95%信頼区間[CI]:20.9~38.0)、4年OS率はコホートAが13.3%、B1が35.7%、B2が32.3%であった。
・OSは、PAM50のLuminalタイプが38.0ヵ月で、非Luminalタイプ(26.6ヵ月)より良好であった。
・探索的バイオマーカー分析では、Luminal関連遺伝子が長期の生存と関連した一方、Basal -likeおよび増殖関連遺伝子は耐性と関連していた。
・Luminal A、Luminal B、化学内分泌(CES)スコア高値では予後は良好であった。
著者らは、「本結果は、HER2+乳がんにおける遺伝子発現プロファイリングの関連を強調し、バイオマーカー主導の患者選択を支持している。また、本試験の長期成績は、HR+/HER2+転移乳がんにおける化学療法以外の可能性を実証するものだ」と結論している。
(ケアネット 金沢 浩子)
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