HER2+転移乳がん1次治療、T-DXd+PによるCR/deep PRが長期PFS改善と関連(DESTINY-Breast09)/ASCO2026

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 HER2+の進行または転移を有する乳がん患者の1次治療として、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)+ペルツズマブ併用療法の有用性を評価した第III相DESTINY-Breast09試験の探索的解析の結果、半数以上の患者が完全奏効(CR)または腫瘍縮小率の高い部分奏効(deep PR)を達成し、CRおよびdeep PRの達成は長期的なアウトカムの改善と関連していたことを、韓国・成均館大学校のYeon H. Park氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で発表した。

 DESTINY-Breast09試験のこれまでの解析において、T-DXd+ペルツズマブ併用療法はタキサン+トラスツズマブ+ペルツズマブ併用療法(THP群)と比較してCR率がほぼ倍増し、無増悪生存期間(PFS)が有意に延長したことが報告されている。今回は、最良奏効のサブグループ(CR、PR[deep PR、other PR]、安定/進行[SD/PD])別の有効性と安全性の探索的解析結果が報告された。なお、deep PRは80%以上100%未満の腫瘍縮小、other PRは30%以上80%未満の腫瘍縮小と定義した。

 主な結果は以下のとおり。

・T-DXd+ペルツズマブ群で評価可能な377例のうち、CRが15.4%、deep PRが37.4%、other PRが33.7%、SD/PDが13.5%であり、半数以上の患者がCRまたはdeep PRを達成した。
・24ヵ月PFS率は、CR:85.1%(95%信頼区間[CI]:72.2~92.3)、deep PR:80.0%(同:71.7~86.1)、other PR:64.3%(同:54.3~72.8)、SD/PD:35.5%(同:21.1~50.2)であり、CRとdeep PRの達成は同等に持続的なPFSの改善と関連していた。
・最良奏効到達までの期間の中央値は、CR:8.4ヵ月(95%CI:5.6~11.1)、deep PR:9.6ヵ月(同:6.8~11.0)、other PR:1.5ヵ月(同:1.4~2.0)であった。
・24ヵ月時点で最良奏効を継続していたのは、CR:85.0%(95%CI:72.1~92.3)、deep PR:78.9%(同:70.4~85.2)、other PR:60.4%(同:50.0~69.3)であった。
・CRおよびdeep PRを達成した患者群では総治療期間の中央値が長く、CR:28.0ヵ月(範囲:4.8~44.5)、deep PR:25.4ヵ月(同:3.4~42.7)であった。other PRは20.6ヵ月(同:2.6~41.8)、SD/PDは4.4ヵ月(同:0.3~37.2)であった。
・患者の80%が24ヵ月時点で最大の腫瘍縮小を達成しており、奏効は時間の経過とともに深まることが示唆された。
・THP群では、deep PR達成はCR達成と同等のアウトカム改善とは関連していなかった。
・Grade3以上の薬剤関連有害事象の曝露期間調整済み発現率(EAIR)は、患者1人年当たりCR:0.30、deep PR:0.28、other PR:0.32、SD/PD:0.57であった。投与中止に至った有害事象のEAIRは、それぞれ0.14、0.10、0.13、0.16であった。新たな安全性シグナルは特定されなかった。
・薬剤関連間質性肺疾患(ILD)/肺臓炎の発現率は類似しており、CR:12.1%(7例、いずれもGrade1/2)、deep PR:15.5%(22例、いずれもGrade1/2)、other PR:7.8%(10例、いずれもGrade1/2)、SD/PD:12.2%(6例、うちGrade5が2例[4.1%])であった。

 これらの結果より、Park氏は「DESTINY-Breast09試験の探索的解析の結果は、HER2+転移乳がん1次治療のアウトカムを改善するために、深く持続的な奏効を達成することの重要性を裏付けるものである」とまとめた。

(ケアネット 森)


【参考文献・参考サイトはこちら】

DESTINY-Breast09試験(ClinicalTrials.gov)

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KEYNOTE-522試験の最終解析結果が発表/ASCO2026

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 高リスクの早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対し、術前および術後補助療法としてペムブロリズマブの追加を検討したKEYNOTE-522試験の最終解析結果を、スペイン・International Breast Cancer CenterのJavier Cortes氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で発表した。

 KEYNOTE-522試験は、21ヵ国183施設で実施された第III相二重盲検無作為化プラセボ対照試験。未治療の高リスク早期TNBC(T1c N1~2またはT2~4 N0~2、ECOG PS 0~1)患者が、術前にペムブロリズマブ(3週ごと)+パクリタキセル+カルボプラチンを4サイクル投与後、ペムブロリズマブ+シクロホスファミド+ドキソルビシン(またはエピルビシン)を4サイクル、術後にペムブロリズマブを最長9サイクル投与する群と、術前に化学療法+プラセボ、術後にプラセボを投与する群に2対1に無作為に割り付けられた。

 主要評価項目は病理学的完全奏効(pCR:ypT0/Tis ypN0)および無イベント生存期間(EFS)、重要な副次評価項目は全生存期間(OS)であった。

 主な結果は以下のとおり。

・1,174例がペムブロリズマブ群(784例)またはプラセボ群(390例)に無作為に割り付けられた。データカットオフ(2025年10月14日)時点の追跡期間中央値は93.8(範囲:84.7~102.8)ヵ月であった。
・7年EFS率は、ペムブロリズマブ群78.3%(95%信頼区間[CI]:75.3~81.1)、プラセボ群69.8%(95%CI:65.0~74.2)であり、ペムブロリズマブ上乗せによる臨床的に意義のある改善が認められた(ハザード比[HR]:0.68、95%CI:0.54~0.86)。
・pCR別のEFS率は、pCR達成群ではペムブロリズマブ群90.4%およびプラセボ群85.9%と差が小さかった一方、pCR非達成群では57.6%および49.7%と差が大きかった。しかし、HRはそれぞれ0.68(95%CI:0.44~1.07)および0.78(95%CI:0.58~1.03)と類似していた。これは、pCR達成の有無にかかわらずペムブロリズマブの上乗せ効果が得られることを示すとともに、同じpCR達成であってもペムブロリズマブの併用によって達成したほうが化学療法単独で達成するよりもさらに予後が良好になることを示唆している。
・7年OS率は、ペムブロリズマブ群85.1%(95%CI:82.5~87.5)、プラセボ群77.2%(95%CI:72.7~81.1)であり、ペムブロリズマブ上乗せによる臨床的に意義のある改善が認められた(HR:0.64、95%CI:0.49~0.85)。
・pCR別のOS率は、pCR達成群ではペムブロリズマブ群94.5%およびプラセボ群91.1%(HR:0.64、95%CI:0.37~1.14)、pCR非達成群では69.0%および59.8%(HR:0.76、95%CI:0.55~1.03)であり、EFSと同様の傾向が認められた。
・ペムブロリズマブ上乗せによるEFSおよびOSのベネフィットは、PD-L1発現、リンパ節転移の有無および腫瘍径を含む事前に規定されたサブグループでおおむね一貫していた。
・7年遠隔無病生存率は、ペムブロリズマブ群82.9%、プラセボ群74.2%であった(HR:0.64、95%CI:0.49~0.83)。
・Grade3以上の治療関連有害事象の発現率は、ペムブロリズマブ群77.1%、プラセボ群73.3%であった(死亡は0.5%および0.3%)。全Gradeの免疫介在性有害事象の発現率はそれぞれ35.0%および13.1%であった。

 これらの結果より、Cortes氏は「KEYNOTE-522試験の最終解析において、高リスク早期TNBC患者に対する術前ペムブロリズマブ+化学療法に続いて術後ペムブロリズマブを投与する治療法は、引き続きEFSとOSの改善をもたらすことを示した。この長期的な結果は、高リスク早期TNBC患者に対する本アプローチが、この患者群を治療するための標準治療であり続けることをさらに裏付けるものである」とまとめた。

(ケアネット 森)


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日本のがん死亡率低下も、大腸がん・膵がん・子宮頸がんは依然高水準

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 日本では全がんの年齢調整死亡率(ASR)が着実に低下している一方で、大腸がん、膵がん、子宮頸がんなど一部のがん種では依然として国際的に高い死亡率が続いていることが明らかになった。胃がんと肝がんでは大幅な改善が認められたものの、予防や検診による死亡率低下が期待されるがん種において十分な成果が得られていない実態が浮き彫りとなった。国立がん研究センターの片野田 耕太氏らによる本研究の結果はJapanese Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2026年3月5日号に掲載された。

 研究では、国際がん研究機関(IARC)のGlobal Cancer Observatoryデータベースおよび各国の人口動態統計を用い、日本、韓国、米国、英国、カナダ、オーストラリアなどの高所得国における1980~2024年のがん死亡率の推移を比較した。解析対象は全がんに加え、胃がん、大腸がん、肝がん、膵がん、肺がん、乳がん、前立腺がん、子宮頸がん、子宮体がんだった。

肝がん・胃がんは日本の成功事例

 歴史的に日本で死亡率が高かった胃がんと肝がんについては、長期的に大幅な減少がみられ、欧米諸国との国際格差は大幅に縮小した。とくに女性の肝がん死亡率については、日本が欧米諸国を下回る水準にまで低下した。著者らはこの背景として、B型・C型肝炎ウイルス検査の全国的な実施、妊婦へのHBs抗原検査、さらには直接作用型抗ウイルス薬(DAA)の普及といった一連の肝炎対策が有効に機能したと考えられ、WHOが掲げる2030年までのC型肝炎排除目標に向け、国際的なモデルケースになり得る、としている。

 一方、胃がんも日本における死亡率は低下し続けているものの、韓国の減少速度には及ばなかった。日本ではヘリコバクター・ピロリ除菌の保険適用拡大など1次予防が進む一方、韓国では内視鏡検診を中心とした2次予防が強力に推進されている。また、韓国では国家健康保険制度により検診データが一元管理されているのに対し、日本では職域検診の精度管理やデータ統合に課題が残ることが示唆された。

大腸がん・膵がん・子宮頸がんは深刻な高水準

 大腸がん死亡率は1980年代には欧米のほうが高かったが、その後減少が進んだ。これに対し日本では明確な低下傾向がみられず、近年では比較対象国の中でも高い水準となっている。韓国も近年減少傾向に転じており、日本との差が広がっている。

 膵がんは、日本において男女とも死亡率の上昇が続いており、国際的にみても高い水準が際立っている。早期発見が困難で予後不良な疾患であるが、喫煙や2型糖尿病が重要なリスク因子であり、禁煙や糖尿病管理といった1次予防の重要性が改めて示された。

 子宮頸がんにおいても、日本の相対的な立ち位置は悪化した。欧米諸国や韓国では死亡率が大幅に減少した一方、日本では高止まりが続いている。HPVワクチンの積極的勧奨の中止と再開の経緯もあって接種率はいまだ不十分であり、ワクチン接種と検診の双方を速やかに強化する必要性が示された。

乳がん・肺がんでも改善が緩やか

 女性の乳がん死亡率は欧米では着実に低下している一方、日本では増加傾向が続き、差は縮小している。男性の肺がんでも欧米に比べて死亡率低下が緩やかであり、近年では日本の死亡率が欧米を上回る状況となっている。

一部のがんでは予防を強化する必要性

 本研究により、日本の全がんのASRは他国と同様に引き続き低下していることが示された。とくに、かつて日本の死亡率の高さの要因となっていた胃がん、肝がんで持続的な低下がみられ、欧米諸国との差は縮小し、女性の肝がんでみられるように一部では逆転している。一方で、日本は大腸がん、膵がん、および子宮頸がんにおいて依然として最も高い死亡率を示している。女性の乳がんおよび男性の肺がんでは、日本における低下の遅れ、あるいは継続的な増加により、死亡率が欧米諸国の水準に近づいている。これらのがんの多くでは、1次予防および2次予防の方法が確立されており、胃がん、肝がんで達成された死亡率低下を再現するために、予防対策を強化する必要性が示唆される。

(ケアネット 杉崎 真名)


【原著論文はこちら】

Katanoda K, et al. Jpn J Clin Oncol. 2026 Mar 5. [Epub ahead of print]

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高リスクER+/HER2-早期乳がん、Prosignaで化学療法省略を判断できるか/ASCO2026

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 エストロゲン受容体陽性/HER2陰性(ER+/HER2-)でリンパ節転移陽性例を中心とした早期乳がんに対し、Prosigna(PAM50)による再発リスク(Risk of Recurrence:ROR)スコアを用いることで化学療法の必要性を判断できるかどうかを検討した第III相OPTIMA試験の結果を、英国・NIHR University College London Hospitals Biomedical Research CentreのRobert C. Stein氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で発表した。本試験により、RORスコアが低い患者では化学療法を安全に省略できる可能性が示された。

 化学療法の上乗せ効果を予測するために複数の多遺伝子アッセイが用いられているが、リンパ節転移陽性例や閉経前症例における最適な患者選択についてはなお議論がある。そこで研究グループは、Prosignaによる治療選択が、標準治療に対して5年時点における浸潤性乳がんのない生存期間(IBCFS)で非劣性を示すかどうかを検討した。

 対象は、ER+(IHC>10%)/HER2-の早期乳がんで、腋窩リンパ節転移が0~9個(リンパ節転移陰性の場合は腫瘍径が30mm超)の40歳以上の女性および男性で、標準化学療法の後に内分泌療法を受ける群(C+ET群[内分泌療法後にProsignaも実施])と、Prosignaにより化学療法の要否を判断する群(Prosigna群)に1対1で無作為に割り付けられた。Prosigna群では、RORスコア60超(高リスク)の場合は標準化学療法の後に内分泌療法を実施し、RORスコア60以下(低リスク)の場合は化学療法を省略して内分泌療法のみを実施した。閉経前女性に対する内分泌療法には卵巣機能抑制が含まれた。

 患者へのRORスコアは非開示とされ、化学療法が行われる理由(無作為化による割り付けかProsignaの結果に基づくものか)について、施設および患者は盲検化された。

 主な結果は以下のとおり。

・2017年1月~2025年12月に4,429例がランダム化された。非劣性解析は、事前に規定されたper-protocol集団で実施された(C+ET群の93.0%、Prosigna群の94.6%の患者が該当)。追跡期間中央値は4.0(IQR:2.0~6.0)年であった。
・患者特性は両群でバランスがとれており、年齢中央値56歳、閉経後62%、閉経前37%、男性1%であった。リンパ節転移状況は、pN0/pN1miが8%、pN1/pN1snが73%、pN2が19%であった。
・RORスコア中央値は、C+ET群が50、Prosigna群が49であった。Prosigna群の67.8%がRORスコア60以下と判定され、化学療法を省略可能だった。C+ET群でRORスコア60以下だったのは66.0%であった。
・乳がん再発は、C+ET群5.7%(低RORスコア群3.7%)およびProsigna群5.9%(同:4.2%)に生じ、低RORスコア集団では低かった。大半は遠隔転移であった。
・全体における5年IBCFS率は、C+ET群91.8%(95%信頼区間[CI]:90.1~93.2)、Prosigna群90.3%(95%CI:88.5~91.8)であり、事前に設定された非劣性マージン3%に対して非劣性が示された(ハザード比[HR]:1.03[90%CI:0.85~1.25]、非劣性のp=0.006)。
・低RORスコア集団における5年IBCFS率は、C+ET群の低RORスコア群94.8%(95%CI:93.1~96.1)、Prosigna群の低RORスコア群93.6%(95%CI:91.7~95.0)であり、事前に設定された非劣性マージン3.5%に対して非劣性が示された(HR:1.06[90%CI:0.80~1.40]、非劣性のp=0.003)。
・全体における5年無遠隔再発率は、C+ET群94.1%(95%CI:92.7~95.3)、Prosigna群93.3%(95%CI:91.7~94.5)であった(HR:1.04[90%CI:0.83~1.30])。低RORスコア集団ではそれぞれ97.0%(95%CI:95.6~98.0)および96.0%(95%CI:94.5~97.1)であった(HR:1.17[90%CI:0.82~1.66])。
・閉経状態、腫瘍径やリンパ節転移状態を含むサブグループ間でも同様の結果が得られた。

 Stein氏は、「OPTIMA試験は、ER+/HER2-早期乳がんでRORスコアが60以下の患者では化学療法から得られるベネフィットがあったとしてもごくわずかであることを示した。結果は試験の全集団に適用されるが、卵巣機能抑制を受けた40歳以上の閉経前女性やリンパ節転移の多い患者、StageIIIAの患者において、Prosignaの結果に基づいた化学療法の決定を支援する可能性がある」とまとめた。

(ケアネット 森)


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HR+/HER2+早期乳がん、de-escalation術前療法でも良好な長期予後(WSG TP-II)/JCO

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 HR+/HER2+の早期乳がんにおいて、術前療法としてトラスツズマブ+ペルツズマブにパクリタキセルまたは内分泌療法(ET)を併用した第II相WSG TP-II試験の結果、ET併用群でも良好な長期生存アウトカムが得られたことが、ドイツ・Evangelisches Krankenhaus Bethesda KlinikのOleg Gluz氏らにより示された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2026年5月18日号掲載の報告。

 本試験は、手術可能なHR+/HER2+乳がん患者を対象に、トラスツズマブ+ペルツズマブの術前療法(12週間)に加え、パクリタキセル(週1回)またはETの併用が、病理学的完全奏効(pCR)や全生存期間(OS)などに及ぼす影響を評価した第II相多施設共同無作為化非盲検試験。なお、術後療法として全例に抗HER2療法が行われるとともに、術前療法でpCRが得られなかった患者では術後化学療法を必須とした(pCR達成例では術後化学療法は任意)。

 主要評価項目はpCR、副次評価項目はOS、非浸潤性乳管がんを含む無イベント生存期間(EFS)、無浸潤疾患生存期間(iDFS)、健康関連QOLなどとした。これまでの主要評価項目の解析では、パクリタキセル併用群のpCR率はET併用群よりも優れていることが明らかになっている(56.4% vs.23.7%)。今回は、最終の5年OS解析結果などが報告された。

 主な結果は以下のとおり。

・207例が2つの試験群に1対1で無作為に割り付けられた。
・5年OS率は、ET併用群100%(95%信頼区間[CI]:100.0~100.0)、パクリタキセル併用群97.9%(95%CI:95.0~100.0)であった。
・5年EFS率は、ET併用群92.1%(95%CI:86.6~97.9)、パクリタキセル併用群94.8%(95%CI:90.5~99.3)であった。
・5年iDFS率は、ET併用群97.7%(95%CI:94.5~100.0)、パクリタキセル併用群79.8%(95%CI:55.6~100.0)であった。

 研究グループは「WSG TP-II試験では、HR+/HER2+の早期乳がんにおいて、忍容性が良好なde-escalationの術前療法を行い、そのpCR達成の有無に応じて術後化学療法を調整するアプローチの安全性および有効性が示唆された」とまとめた。

(ケアネット 森)


【原著論文はこちら】

Gluz O, et al. J Clin Oncol. 2026 May 18. [Epub ahead of print]

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卵巣機能抑制、閉経前早期乳がんの再発と生存に及ぼす影響は?/Lancet

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 閉経前のエストロゲン受容体(ER)陽性早期乳がんの治療において、卵巣機能抑制(OFS)は、化学療法やタモキシフェンが投与された場合でも、15年再発リスクおよび死亡リスクを有意に低下させることが明らかとなった。英国・Bradford Royal InfirmaryのMuneera B. Masood氏らEarly Breast Cancer Trialists’ Collaborative Group(EBCTCG)が、無作為化比較試験に参加した個々の患者データを用いたメタ解析の結果を報告した。閉経前のER陽性早期乳がん女性において、卵巣摘出または薬剤によるOFSの追加的な保護効果は、化学療法後の閉経状態やタモキシフェンの使用状況によって異なる可能性があった。Lancet誌2026年5月2日号掲載の報告。

23件の無作為化比較試験に参加した約1万5,000例の患者レベルのメタ解析

 研究グループは、無作為化時点で閉経前かつ55歳未満のER陽性またはER不明早期乳がん女性において、OFSの有無別に比較した無作為化試験(2010年より前に開始され、再発または死亡を主要評価項目とした試験)の個々の患者データを用いたメタ解析を実施した。

 試験は、化学療法(実施された場合)後の閉経前状態が確認されたか否か、およびタモキシフェン投与の有無によって分類された。

 主要評価項目は、浸潤性乳がんの再発、乳がん死、その他の死因による死亡、および全死因死亡とした。ER重み付けlog-rank法を用いて、ER陽性疾患のイベント発生率比(RR)を推定した。

 適格基準を満たし、個々の患者データセットが提供された23試験における、無作為化時に閉経前でER陽性またはER不明の腫瘍を有する女性1万5,075例について解析した。

OFS追加で、乳がんの再発率が有意に低下

 非OFS群と比較して、OFS群で再発率が有意に低下した(RR:0.82、95%信頼区間[CI]:0.77~0.87、p<0.00001)。その効果は、化学療法後に閉経前であることが確認された(または化学療法を受けなかった)女性において、化学療法後に閉経前であることが確認されなかった女性より、大きかった(異質性のp=0.0004)。

 化学療法後に閉経前であることが確認された(または化学療法を受けなかった)女性では、タモキシフェンを用いた(タモキシフェン単独投与とOFS+タモキシフェン併用療法を比較した)最近の試験(RR:0.79、95%CI:0.70~0.91、p=0.0008)より、タモキシフェンを用いない以前の試験(RR:0.61、95%CI:0.52~0.71、p<0.0001)のほうが、再発リスクの低下が大きかった。

 また、これら最近の試験では、OFSによる再発リスク低下は、45歳未満女性群が45~54歳女性群よりも大きい傾向がみられた(RR:0.73[95%CI:0.63~0.86]vs.RR:0.95[95%CI:0.75~1.21]、p=0.072)。45歳未満女性群では、乳がん死亡率も同様に改善した(RR:0.74、95%CI:0.58~0.94、p=0.012)。

 再発を伴わない死亡の増加は認められなかった。また、OFSの方法や、その他の患者特性、腫瘍特性により、結果が有意に異なることはなかった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)


【原著論文はこちら】

Early Breast Cancer Trialists’ Collaborative Group (EBCTCG). Lancet. 2026;407:1699-1711.

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TN乳がん1次治療のDato-DXd、QOL悪化までの期間を延長(TROPION-Breast02)/ESMO BREAST 2026

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 免疫チェックポイント阻害薬の適応とならない局所進行切除不能または転移を有する未治療のトリプルネガティブ乳がんを対象とした第III相TROPION-Breast02試験において、抗TROP2抗体薬物複合体であるダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd)は、化学療法と比較してQOL悪化までの期間を延長したことを、英国・Barts Cancer InstituteのPeter Schmid氏が欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2026、5月6~8日)で報告した。

 これまでの解析では、Dato-DXdが治験責任医師選択化学療法(パクリタキセル、nab-パクリタキセル、カペシタビン、エリブリン、カルボプラチン)と比較して、主要評価項目である全生存期間および無増悪生存期間において統計的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示したことが報告されている。今回報告された患者報告アウトカム(PRO)解析では、全般的健康状態/QOL(GHS/QoL)、身体機能、疼痛、乳房症状、上肢症状について、初回悪化までの期間(time to first deterioration:TTFD)および悪化が確認されるまでの期間(time to confirmed deterioration:TTCD)などを評価した。PROは主としてEORTC QLQ-C30、EORTC Item Library(IL146、IL116)を用いて評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・合計644例がDato-DXd群または化学療法群に1対1で無作為に割り付けられた。
・GHS/QOL悪化までの期間は、Dato-DXd群のほうが化学療法群よりも有意に長かった。中央値とハザード比(HR)、95%信頼区間(CI)は以下のとおり。
 -TTFD 23.5ヵ月vs.8.3ヵ月(HR:0.64[95%CI:0.46~0.88])
 -TTCD 未到達vs.29.0ヵ月(HR:0.61[95%CI:0.41~0.91])
・身体機能についてもDato-DXd群で悪化リスクの有意な低下が認められた。
 -TTFD 10.4ヵ月vs.4.1ヵ月(HR:0.67[95%CI:0.51~0.90])
 -TTCD 24.9ヵ月vs.9.0ヵ月(HR:0.59[95%CI:0.42~0.83])
・上肢症状についてもDato-DXd群で悪化リスクの有意な低下が認められた。
 -TTFD 未到達vs.12.5ヵ月(HR:0.51[95%CI:0.35~0.75])
 -TTCD 両群とも未到達(HR:0.48[95%CI:0.30~0.76])
・疼痛および乳房症状についてもDato-DXd群で悪化リスクの低下傾向がみられたものの、統計学的有意差は認められなかった。
・患者報告による症候性有害事象および治療忍容性は、主解析における医師報告の安全性プロファイルとおおむね一致していた。

(ケアネット 森)


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AI耐性HR+進行乳がんへのカピバセルチブ上乗せ、最終OS結果(CAPItello-291)/ESMO BREAST 2026

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 アロマターゼ阻害薬(AI)治療中または治療後に再発または進行したホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陰性(HER2-)進行乳がんに対するフルベストラントへのカピバセルチブの上乗せ効果を検討した国際第III相CAPItello-291試験において、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)はPIK3CAAKT1PTENのいずれかの遺伝子変異を有する患者および全体集団で有意に改善したことが報告されている。今回、副次評価項目である全生存期間(OS)の最終解析で、PIK3CA/AKT1/PTEN遺伝子に変異を有する患者集団および全体集団のいずれにおいても統計学的に有意な改善は認められなかったことを、米国・City of Hope Comprehensive Cancer CenterのHope S. Rugo氏が欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2026、5月6~8日)で発表した。しかしながら、PFS2および初回化学療法開始/死亡までの期間(TFSC)が延長し、臨床的に意義のある効果が示されたという。

・対象:男性もしくは閉経前/後の女性のHR+/HER2-の進行乳がん患者(AI投与中/後に再発・進行、進行がんに対して2ライン以下の内分泌療法・1ライン以下の化学療法、CDK4/6阻害薬治療歴ありも許容、SERD・mTOR阻害薬・PI3K阻害薬・AKT阻害薬の治療歴は不可、HbA1c 8.0%未満)
・試験群(C+F群):カピバセルチブ(400mg1日2回、4日間投与、3日間休薬)+フルベストラント(500mg)355例
・対照群(P+F群):プラセボ+フルベストラント 353例
・評価項目:
[主要評価項目]全体集団およびPIK3CA/AKT1/PTEN遺伝子に変異を有する患者集団におけるPFS
[副次評価項目]全体集団およびPIK3CA/AKT1/PTEN遺伝子に変異を有する患者集団におけるOS、PFS2など
[探索的評価項目]TFSC

 主な結果は以下のとおり。

PIK3CA/AKT1/PTEN遺伝子に変異を有する患者集団におけるOS中央値は、C+F群28.5ヵ月、P+F群30.4ヵ月で、P+F群のほうが長かった。一方、ハザード比(HR)は0.83(95%信頼区間[CI]:0.63~1.10、p=0.201)でC+F群で良好だったが、有意な差は認められなかった。
・全体集団におけるOS中央値は、C+F群29.4ヵ月、P+F群28.6ヵ月、HRは1.00(95%CI:0.83~1.19)で差は認められなかった。
・病勢進行後に3ライン以上の後治療を受けた割合はP+F群で多く、分子標的薬の使用割合はC+F群25.8%、P+F群42.5%であった。
・PFS2中央値は、PIK3CA/AKT1/PTEN遺伝子に変異を有する患者集団ではC+F群15.9ヵ月、P+F群11.1ヵ月(HR:0.68、95%CI:0.53~0.88)であり、全体集団ではC+F群15.4ヵ月、P+F群12.7ヵ月(HR:0.85、95%CI:0.72~1.00)であった。
・TFSC中央値は、PIK3CA/AKT1/PTEN遺伝子に変異を有する患者集団ではC+F群11.0ヵ月、P+F群6.0ヵ月(HR:0.62、95%CI:0.48~0.80)であり、全体集団ではC+F群11.0ヵ月、P+F群7.0ヵ月(HR:0.74、95%CI:0.63~0.87)であった。
・追跡期間の延長によって、新たな安全性に関する懸念は認められなかった。

 Rugo氏は、OSに有意な改善が認められなかったことについて、両群における後続治療や病勢進行後の治療の不均衡がOSの差の検出力を低下させた可能性を指摘した。

(ケアネット 金沢 浩子)


【参考文献・参考サイトはこちら】

CAPItello-291試験(ClinicalTrials.gov)

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HER2+早期乳がん、特定の患者集団では術前化学療法を省略してもpCR率59.6%(PHERGain-2)/ESMO BREAST 2026

提供元:CareNet.com

 化学療法を併用せずトラスツズマブ・ペルツズマブ(HP)による術前療法を受けたHER2陽性・腫瘍径5~30mmの未治療早期乳がん患者において、59.6%が病理学的完全奏効(pCR)を達成し、同レジメンを術後も継続した場合に健康関連QOL(HRQoL)が良好であることが示された。スペイン・Hospital Arnau de VilanovaのAntonio Llombart Cussac氏が、pCRに基づくde-escalation戦略を評価する目的で実施されたPHERGain-2試験の結果を、欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2026、5月6~8日)で発表した。

 PHERGain-2試験は、多施設共同の第II相非盲検単群試験。HER2陽性(IHCスコア3+)かつリンパ節転移陰性、腫瘍径5~30mmの未治療早期乳がん患者を登録対象とした。患者には術前療法として、HPの皮下投与を3週間ごと8サイクル実施。術後療法について、pCRの達成状況に応じて以下の3群に割り付けられた。
コホートA(pCR[ypT0/is、ypN0]を達成):HP投与を継続して計18サイクル
コホートB(乳房内に浸潤性残存病変ありおよび/またはypN0[i+/mol+]もしくはypN1mi):トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)を3週間ごと10サイクル
コホートC(ypN1~3):任意の術後化学療法+T-DM1を3週間ごと10サイクル
※ホルモン受容体(HR)陽性の場合は術前および術後に内分泌療法を併用
[主要評価項目]1年時点でHRQoLの平均スコア(EORTC-QLQ-C30による評価)が10%以上低下した患者の割合および3年無再発期間(3y-RFI)(STEEP基準による評価)
[主要な副次評価項目]pCR、安全性

 主な結果は以下のとおり。

・2021年8月~2024年3月に、396例が登録された(年齢中央値:55歳[範囲:24~85]、閉経後:59.3%、腫瘍径中央値:18mm[範囲:7~30]、HR陽性:72.7%、T1:61.6%)。試験治療を完了したのは352例であった。
・データカットオフは2025年3月28日、追跡期間中央値は15.1ヵ月であった。
・術前HPによる治療後1年時点でpCRを達成した患者は236例(59.6%)であった(コホートA)。残存病変を有する患者のうち148例がコホートB、7例がコホートCに組み入れられた。
・pCR率について、HR陽性とHR陰性(58.3%vs.63.0%)、T1とT2(ともに59.6%)の間で有意差は認められなかった。
・ベースライン時点におけるHRQoLの平均スコアは78.6(95%信頼区間[CI]:76.8~80.5)、1年時点でHRQoLの平均スコアが10%以上低下した患者の割合は、コホートAで37.3%(95%CI:30.1~44.9%)、残存病変を有する患者(コホートB+C)では51.9%(95%CI:41.9~61.7%)であった。
・治療関連有害事象は86.6%で発現し(Grade 3以上は5.6%)、重篤な有害事象は6.1%で発現した。肺臓炎による死亡が1例(0.3%)報告され、T-DM1との因果関係が認められた。
 
 Cussac氏は、「本試験では、標準的な化学療法+HPレジメンに匹敵する優れたpCR率および臨床的に意義のあるHRQoLの維持が示された」とまとめている。なお、3y-RFIについては現在評価中とした。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


【参考文献・参考サイトはこちら】

PHERGain-2試験(ClinicalTrials.gov)

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中性脂肪、がんリスクマーカーに?~日本の全身がん検査プログラム

提供元:CareNet.com

 京都府立医科大学の手良向 聡氏らが行った後ろ向き観察研究から、ベースラインの血清トリグリセライド(TG)が、将来のがん発症リスクを予測する高感度なバイオマーカーとなる可能性が示唆された。Health Science Reports誌2026年3月29日号掲載の報告。

 日本において、メタボリックシンドローム(Mets)併存患者のがん死亡率は年々増加しており、これらの患者のがんの早期発見が喫緊の課題となっている。近年、Metsの構成要素が活性酸素種(ROS)の生成、ホルモン産生の変化などを通じて、がん発生を促進する可能性が指摘されている。

 そこで研究者らはがんの発症とさまざまな危険因子との関連性を調べるため、2009年11月~2019年10月の期間、浜松光医学財団の浜松PET診断センターで全身がん検査を受けた浜松ホトニクスおよび関連企業の従業員1,495人(男性69.9%、平均年齢48.8歳)を対象に検証を行った。検査内容はPET-CT、胸腹部CT、頭部・骨盤MRI/MRA、腹部超音波、包括的な血液検査、腫瘍マーカーなど。主要評価項目は初回検査からがん発症までの期間で、カプランマイヤー法で推定し、Cox比例ハザードモデルを用いて、年齢、ライフスタイル、血液検査値、既往歴など各種リスク因子との関連を解析した。

 主な結果は以下のとおり。

・追跡期間中に59例(3.9%)ががんを発症し、診断時の年齢中央値は57歳であった。
・がん種は大腸がん(12例)が最も多く、次いで肺がん(8例)、乳がん(7例)、胃がん(7例)、前立腺がん(6例)と続いた。
・多変量解析において、TGの上昇はがん発症と統計学的に有意な関連を示した(ハザード比[HR]:1.004、95%信頼区間[CI]:1.001~1.008、p=0.02)。
・空腹時TGの正常上限である150mg/dLを境にした解析では、150mg/dL以上の群は150mg/dL未満の群に対し、がん発症のHRが1.99(95%CI:0.94~4.24)となり、臨床的に意義のある傾向が確認された。
・高血圧の既往がある場合、がん発症リスクが顕著に高いことが示された(HR:2.88、95%CI:1.49~5.53、p=0.002)。
・初回検査からの累積がん発症率は、2年で1.0%、4年で2.3%、6年で3.4%、8年で4.8%であった。

 研究者らは、「ベースラインTGががんリスクのバイオマーカーである可能性が示された。また、高血圧の既往も強力な予測因子であり、これら代謝関連因子を適切に管理することが、がん予防戦略において重要となる可能性がある」としている。

(ケアネット 土井 舞子)


【原著論文はこちら】

Terashima S, et al. Health Sci Rep. 2026;9:e72219.

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