AKT阻害薬カピバセルチブ、使用のポイントと今後への期待/AZ

提供元:CareNet.com

 アストラゼネカは、カピバセルチブ(商品名:トルカプ)について、「HR+HER2- 転移・再発乳癌治療の新たな一手~世界初のAKT阻害薬カピバセルチブとは?~」と題したメディアセミナーを2024年6月21日に開催した。

 本セミナーでは、がん研有明病院 乳腺センター センター長の上野 貴之氏より、カピバセルチブの臨床成績および遺伝子検査の現状について語られた。

カピバセルチブの作用機序

 閉経後ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性転移・再発乳がんに対する1次内分泌療法として、非ステロイド性アロマターゼ阻害薬とCDK4/6阻害薬の併用が標準的に使用されているが、2次内分泌療法の最適な治療選択は確立されていない。そこでAKT阻害薬カピバセルチブなどの新たな治療選択肢が期待されている。

 カピバセルチブは、PI3K/AKT/PTENシグナル伝達経路にあるAKTを阻害する。AKTの活性化が、がん細胞の生存や増殖を促進し、内分泌療法に対する抵抗性に関与するといわれており、HR陽性乳がん患者ではこれらの遺伝子変異が観察されることから治療ターゲットとして注目されている。AKTを阻害することで経路全体を抑えることができ、ホルモン療法に対する耐性を克服し、がん治療の効果を高めることが期待されている。

カピバセルチブの臨床成績

 アロマターゼ阻害薬を含む内分泌療法後に増悪した、エストロゲン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん患者を対象とした、第III相試験(CAPItello-291試験)について紹介された。患者背景を見ると、約70%の患者がCDK4/6阻害薬による前治療を受けており、PIK3CAAKT1PTEN遺伝子のいずれかの変異がある患者は約40%、変異がない患者は約56~62%であり、約15%は変異の有無が不明である。

 有効性については、PIK3CAAKT1PTEN遺伝子変異が1つ以上認められる集団において、カピバセルチブとフルベストラント(商品名:フェソロデックス)の併用療法が、フルベストラント単剤療法と比較し、病勢進行または死亡のリスクを50%低下させることが示された(ハザード比:0.50、95%信頼区間:0.38~0.65、p<0.001、無増悪生存期間[PFS]中央値:7.3ヵ月vs.3.1ヵ月)。上野氏は「カピバセルチブ併用群では投与開始2~4ヵ月後のPFSの落ち込みの抑制が見られる。早期の治療効果判定は、医師と患者間の良好な関係を保つうえでも重要なポイントだ」と語った。

 安全性については主に高血糖、下痢、皮膚障害に触れ、「有害事象のマネジメントは早めに対応しながら、必要に応じて休薬や減量による用量調節が重要である。また本剤の用法は4日間連続して服薬し、その後3日間の休薬を1サイクルとしているため、飲み間違えないよう注意が必要だ」と上野氏は解説した。

遺伝子検査の現状

 カピバセルチブを投与するに当たってはPIK3CAAKT1またはPTEN遺伝子変異を有する患者が対象とされる。この遺伝子変異を検出するためには「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」によるコンパニオン診断が必要であるが、コンパニオン診断可能施設は、がんゲノム医療の中核拠点病院や拠点病院、連携病院と限られる。同氏は、「自施設で検査ができない場合は連携病院などに依頼しなければならない点が課題である。今後はより依頼しやすい連携がつくられることが望まれる」と述べている。

(ケアネット 寺井 宏太)


【参考文献・参考サイトはこちら】

日本乳癌学会編. 乳癌診療ガイドライン2022年版 2024年3月WEB改訂版

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。
(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

早期TN乳がんの術前・術後ペムブロリズマブ、QOLの評価(KEYNOTE-522)

提供元:CareNet.com

 早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)への術前・術後のペムブロリズマブ追加を検討したKEYNOTE-522試験で、主要評価項目の病理学的完全奏効と無イベント生存期間の有意な改善はすでに報告されている。今回、副次評価項目の患者報告アウトカムにおいてペムブロリズマブ追加による実質的な差は認められなかったことを、シンガポール・国立がんセンターのRebecca Dent氏らがJournal of the National Cancer Institute誌オンライン版2024年6月24日号で報告した。

 本試験の対象は、治療歴のない高リスク早期TNBC患者で、術前にペムブロリズマブ(3週ごと)+パクリタキセル+カルボプラチンを4サイクル投与後、ペムブロリズマブ+シクロホスファミド+ドキソルビシン(またはエピルビシン)を4サイクル、術後にペムブロリズマブを最長9サイクル投与する群と、術前に化学療法+プラセボ、術後にプラセボを投与する群に2対1に無作為に割り付けられた。事前に規定された副次評価項目のEORTC QLQ-C30およびQLQ-BR23について、ベースライン(術前、術後の1サイクル目の1日目)から、完遂率/コンプライアンス率60%/80%以上であった最後の週までの変化の最小二乗平均の群間差を縦断モデルで評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・完遂率/コンプライアンス率が60%/80%以上の最後の週は、術前では21週、術後では24週であった。
・術前では、ベースラインから21週目までの変化の最小二乗平均の群間差(ペムブロリズマブ+化学療法[762例]vs.プラセボ+化学療法[383例])は、GHS/QOLが-1.04(95%信頼区間[CI]:-3.46~1.38)、情緒機能が-0.69(同:-3.13~1.75)、身体機能が-2.85(同:-5.11~-0.60)であった。
・術後では、ベースラインから24週目までの変化の最小二乗平均の群間差(ペムブロリズマブ[539例]vs.プラセボ[308例])は、GHS/QOLが-0.41(95%CI:-2.60~1.77)、情緒機能が-0.60(同:-2.99~1.79)、身体機能が-1.57(同:-3.36~0.21)であった。

(ケアネット 金沢 浩子)


【原著論文はこちら】
(ご覧いただくには [ CareNet.com ]の会員登録が必要です)

Dent R, et al. J Natl Cancer Inst. 2024:djae129. [Epub ahead of print]

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。
(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

転移乳がんへのCDK4/6阻害薬+内分泌療法の効果、HER2ゼロと低発現で解析(PALOMA-2、PALOMA-3)

提供元:CareNet.com

 CDK4/6阻害薬と内分泌療法の併用は、転移を有するHR+/HER2-乳がんに対する1次治療として推奨されているが、HER2低発現とHER2ゼロのそれぞれに対する効果は不明である。今回、米国・Duke University School of MedicineのHuiyue Li氏らが、PALOMA-2試験とPALOMA-3試験の2次解析で、HR+でHER2低発現またはHER2ゼロの転移乳がんにおけるCDK4/6阻害薬と内分泌療法併用の有効性を評価したところ、HER2低発現患者で無増悪生存期間(PFS)の有意な改善が認められた。一方、HER2ゼロ患者では、前治療の内分泌療法で進行した患者では有意なPFS改善が認められたが、1次治療では有意ではなかった。eBioMedicine誌2024年6月10日号に掲載。

 本解析の対象は、2013年2月から2014年8月までにPALOMA-2またはPALOMA-3試験に登録されたIHCおよび/またはISHの結果が入手可能な17ヵ国のHR+/HER2-乳がんの女性1,186例で、HER2低発現はIHC 1+またはIHC 2+かつISH陰性、HER2ゼロはIHC 0とした。PALOMA-2試験は、HR+転移乳がんの1次治療におけるパルボシクリブ+レトロゾール群とプラセボ+レトロゾール群の二重盲検無作為化比較試験、PALOMA-3試験は、内分泌療法で進行/再発した患者におけるパルボシクリブ+フルベストラント群とプラセボ+フルベストラント群の二重盲検無作為化比較試験である。主要評価項目は、治験責任医師評価によるPFSであった。Kaplan-Meier法およびCox比例ハザードモデルを用いて、HER2ゼロおよび低発現患者における治療とPFSとの関連を推定した。

 主な結果は以下のとおり。

■PALOMA-2試験(HR+転移乳がんの1次治療)
・666例中、HER2ゼロは153例、HER2低発現は513例であった。
・HER2ゼロ集団では、パルボシクリブ+レトロゾール群とプラセボ+レトロゾール群でPFSに有意差は認められなかった(ハザード比[HR]:0.79、95%信頼区間[CI]:0.48~1.30、p=0.34)。
・HER2低発現集団では、パルボシクリブ+レトロゾール群でPFSが有意に改善した(HR:0.52、95%CI:0.41~0.66、p<0.0001)。

■PALOMA-3試験(内分泌療法で進行/再発した患者)
・520例中、HER2ゼロは153例、HER2低発現は367例であった。
・HER2ゼロ集団(HR:0.54、95%CI:0.30~0.95、p=0.034)およびHER2低発現集団(HR:0.39、95%CI:0.28~0.54、p<0.0001)とも、パルボシクリブ+フルベストラント群がプラセボ+フルベストラント群に対して有意にPFSを改善した。

(ケアネット 金沢 浩子)


【原著論文はこちら】
(ご覧いただくには [ CareNet.com ]の会員登録が必要です)

Li H, et al. EBioMedicine. 2024;105:105186.

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。
(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

T1N0のHER2+乳がんへの術後トラスツズマブ、生存ベネフィットは

提供元:CareNet.com

 腫瘍径が小さく、リンパ節転移のないHER2陽性乳がん患者において、化学療法の有無にかかわらず術後トラスツズマブ療法が無浸潤疾患生存期間(iDFS)を有意に改善することが、米国臨床腫瘍学会のデータベースを用いた多施設共同後ろ向き解析により示された。米国・オハイオ大学のKai C. C. Johnson氏らによるNPJ Breast Cancer誌2024年6月19日号への報告より。

 米国臨床腫瘍学会のCancerLinQデータベースを用いて、2010~21年の間に診断され、局所療法のみまたは局所療法+術後トラスツズマブ療法(+/-化学療法)を受けたT1a~c、N0のHER2陽性乳がん患者の生存転帰が比較された。主要評価項目はiDFSと全生存期間(OS)であった。

 主な結果は以下のとおり。

・適格基準を満たした1,184例のうち、436例は局所療法のみ、169例は術後トラスツズマブ単剤療法、579例は術後トラスツズマブ+化学療法を受けていた。
・ベースライン特性は3群でバランスがとれており、年齢中央値が60.4(18.9~95.4)歳、ホルモン受容体陽性が54.9%、T1mic:1.2%/T1a:17.1%/T1b:27.4%/T1c:51.9%であった。
・単変量解析の結果、化学療法の有無にかかわらず術後トラスツズマブ療法を受けた場合、iDFS(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.57~0.93、p=0.003)およびOS(0.63、0.41~0.95、p=0.023)の有意な改善が認められ、多変量解析においても有意な改善が認められた。
・3群単変量解析の結果、局所療法のみと比較して術後トラスツズマブ単剤療法(HR:0.51、95%CI:0.33~0.79、p=0.003)および術後トラスツズマブ+化学療法(0.75、0.58~0.97、p=0.027)でiDFSの有意な改善が認められた。
・サブグループ解析の結果、T1b/T1cの患者ではiDFSとOSのいずれにおいても明らかなベネフィットがみられたが、T1aの患者ではみられなかった。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


【原著論文はこちら】
(ご覧いただくには [ CareNet.com ]の会員登録が必要です)

Johnson KCC, et al. NPJ Breast Cancer. 2024;10:49.

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。
(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

導入化学療法後の転移HER2-乳がん、ペムブロリズマブ維持療法で効果持続

提供元:CareNet.com

 転移のあるHER2-炎症性乳がんおよび炎症性乳がんではないトリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者において、導入化学療法後、ペムブロリズマブ単剤での維持療法で治療効果が持続したことが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンター/ハワイ大学の岩瀬 俊明氏らによる第II相試験で示された。さらにバイオマーカー試験で、ベースライン時にT細胞クローナリティーが高い患者では、ペムブロリズマブ維持療法により病勢コントロール期間の延長がみられた。Clinical Cancer Research誌2024年6月3日号に掲載。

 本試験では、3サイクル以上の化学療法で完全奏効、部分奏効、病勢安定(SD)を達成したHER2-乳がん患者を対象に、PD-L1発現の有無にかかわらずペムブロリズマブ200mgを2年間、もしくは進行/忍容できない毒性発現まで3週ごとに投与した。評価項目は、4ヵ月病勢コントロール率(DCR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間、血中反応バイオマーカーなどであった。

 主な結果は以下のとおり。

・43例中11例が転移のあるHER2-炎症性乳がん、32例が炎症性乳がん以外のTNBCであった。
・4ヵ月DCRは58.1%(95%信頼区間:43.4~72.9)、全患者のPFS中央値は4.8ヵ月(同:3.0~7.1)であった。
・毒性プロファイルは以前のペムブロリズマブ単剤療法試験と同様であった。
・ベースライン時にT細胞クローナリティーが高い患者は低い患者よりもペムブロリズマブ治療でのPFSが長かった(10.4ヵ月vs.3.6ヵ月、p=0.04)。
・SDを達成した患者は達成しなかった患者よりT細胞クローナリティーが治療中に有意に増加した(平均増加率:20% vs.5.9%、p=0.04)。

(ケアネット 金沢 浩子)


【原著論文はこちら】
(ご覧いただくには [ CareNet.com ]の会員登録が必要です)

Iwase T, et al. Clin Cancer Res. 2024;30:2424-2432.

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。
(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

高リスク早期TN乳がんに術後アベルマブ1年投与でOS改善、DFSは改善せず(A-BRAVE)/ASCO2024

提供元:CareNet.com

 高リスクの早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)における抗PD-L1抗体アベルマブ1年投与の術後補助療法は、観察群と比べ無病生存期間(DFS)を有意に改善しなかったが、全生存期間(OS)を有意に改善した。医師主導で実施された多施設共同無作為化第III相A-BRAVE試験の結果について、イタリア・Padova大学のPierfranco Conte氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で発表した。

・対象:治癒目的で手術および術前/術後化学療法を完了した高リスクのTNBC
 A層-手術後、pN1/pT2、pN0-3/pT3-4、pN2-3/any pT
 B層-術前化学療法後、乳房/腋窩リンパ節に浸潤性残存病変あり
・試験群:アベルマブ(10mg/kg静注)を2週ごと52週間投与
・対照群:観察
・評価項目:
[主要評価項目]DFS、B層におけるDFS
[副次評価項目]OS、PD-L1陽性例におけるDFS、安全性

 主な結果は以下のとおり。

・2016年6月~2020年10月にイタリアの64施設および英国の6施設から477例が登録され、無作為に割り付けられた。直後に11例が同意を取り下げたため、アベルマブ群235例、対照群231例で試験開始した。A層はアベルマブ群40例/対照群43例、B層はアベルマブ群195例/対照群が188例だった。
・追跡期間中央値52.1ヵ月において、3年DFS率はアベルマブ群が68.3%と対照群63.2%より5.1%増加したが、DFSの有意な改善はみられなかった(ハザード比[HR]:0.81、95%信頼区間[CI]:0.61~1.09、p=0.172)。B層における3年DFS率についても、6.2%増加したが有意な改善はみられなかった(HR:0.80、95%CI:0.58~1.10、p=0.170)。
・3年OS率はアベルマブ群が84.8%と対照群76.3%より8.5%増加し、OSの有意な改善が認められた(HR:0.66、95%CI:0.45~0.97、p=0.035)。
・事後探索的解析の遠隔無病生存期間(DDFS)において、3年DDFS率がアベルマブ群で7.5%改善し、有意な改善が認められた(HR:0.70、95%CI:0.50~0.96、p=0.0277)。
・アベルマブ群における有害事象による投与中止は20例(30.8%)で、そのうち免疫関連有害事象による投与中止は17例だった。

 Conte氏は、「遠隔転移リスクが30%減少し、死亡リスクが34%減少したことから、術前療法後に浸潤性残存病変あり、もしくは術後に高リスクの早期TNBC患者において、アベルマブが役割を有する可能性が示唆される」とまとめた。

(ケアネット 金沢 浩子)


【参考文献・参考サイトはこちら】

A-BRAVE試験(ClinicalTrials.gov)

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。
(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

早期乳がん術前Dato-DXd+デュルバルマブ、33%が化学療法をスキップ可(I-SPY2.2)/ASCO2024

提供元:CareNet.com

 70遺伝子シグネチャー(MammaPrint)で高リスクのStageII/IIIの早期乳がんの術前療法として、抗TROP2抗体薬物複合体datopotamab deruxtecan(Dato-DXd)+デュルバルマブ併用療法を4サイクル投与した第II相I-SPY2.2試験の結果、33%の患者が化学療法を行わずに手術が可能となったことを、米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のRebecca A. Shatsky氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で発表した。

 I-SPY2.2試験は、高リスク早期乳がんの術前療法を評価する多施設共同第II相プラットフォーム連続多段階ランダム割付試験(Sequential Multiple Assignment Randomized Trials:SMART)で、患者が最大の病理学的完全奏効(pCR)を得るための個別化医療を提供することを目的としている。ブロックAでDato-DXd+デュルバルマブを4サイクル投与し、MRIと生検でpCRが予測された場合は早期に手術を受けることができ、予測されない場合は化学療法や標的療法を行うブロックB/Cに進む。今回は、ブロックAの結果が報告された。
※連続多段階ランダム割付試験:連続する多段階のランダム割り付けを通して、一連の動的治療計画を立てるためのデザイン

 患者(すべてHER2-)は、免疫反応、DNA修復不全(DRD)、ホルモン受容体の状況に基づいて、(1)HR陽性/免疫陰性/DRD陰性、(2)HR陰性/免疫陰性/DRD陰性、(3)免疫陽性、(4)免疫陰性/DRD陽性、(5)HR+、(6)HR-の6つの腫瘍反応予測サブタイプ(RPS)に分類された。主要評価項目はpCRの達成であった。

 主な結果は以下のとおり。

・2022年9月~2023年8月に106例がブロックAに登録された。年齢中央値は50.0歳(範囲:25.0~77.0)、HR-が60.4%であった。
・ブロックA終了後、33%(35例)が化学療法を受けることなく早期に手術に進むことができた。
・Dato-DXd+デュルバルマブ治療後のRPS分類によるpCR率(95%信頼区間)と事前に設定された閾値は下記のとおり。
 (1)HR陽性/免疫陰性/DRD陰性(25例):3%(0~7)、閾値15%
 (2)HR陰性/免疫陰性/DRD陰性(23例):13%(3~23)、閾値15%
 (3)免疫陽性(47例):65%(47~83)、閾値40%
 (4)免疫陰性/DRD陽性(11例):24%(4~44)、閾値40%
 (5)HR+(42例):18%(6~30)、閾値15%
 (6)HR-(64例):44%(32~56)、閾値40%
・(3)の免疫陽性のサブタイプ(HR+もHR-も含む)のみが第III相試験へ進むための「卒業」の閾値に到達した。
・安全性プロファイルは既知のものと同様であった。多く発現した有害事象(AE)は、悪心、口内炎、疲労、発疹、便秘、脱毛などで、Grade3以上のAEはまれであった。間質性肺疾患は1例に発現した。

(ケアネット 森 幸子)


掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。
(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

T-DXd治療中の転移乳がん患者、ePROモニタリングがQOLに効果(PRO-DUCE)/ASCO2024

提供元:CareNet.com

 トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)で治療中のHER2+転移乳がん患者において、通常ケアに加え、電子患者報告アウトカム(ePRO)モニタリングを実施することにより、24週目のglobal QOLスコアのベースラインからの変化が良好だったことが、わが国で実施されたPRO-DUCE試験で示された。関西医科大学の木川 雄一郎氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で発表した。

 ePROモニタリングは、まず患者が自身のスマートフォンなどのデバイスを用いて「ヒビログ」アプリから、体温・SpO2を毎日、PRO-CTCAE症状を週1回報告する。報告された症状が事前に設定した閾値を超えた場合、医師をはじめとした医療従事者に警告通知メールが送信されePROが評価される。さらに必要に応じて72時間以内に電話相談を実施するという流れである。木川氏らは、T-DXd投与中の乳がん患者におけるePROモニタリングのQOLへの効果を、多施設共同無作為化非盲検群間比較探索研究で評価した。

・対象:T-DXdの投与対象となるHER2+転移乳がん患者
・試験群:通常ケア+ePROモニタリング
・対照群:通常ケア
・評価項目:
[主要評価項目]EORTC QLQ-C30に基づくglobal QOLスコアのベースラインから24週目の変化
[副次評価項目]各ドメインにおけるベースラインから24週目/追跡期間終了時までの変化、がん関連の疲労、EORTC QLQ-C30における悪化までの期間、ePROのアドヒアランスなど

 主な結果は以下のとおり。

・2021年3月~2023年1月に日本の38病院で登録された111例をePROモニタリング群(56例)と通常ケア群(55例)に割り付けた。QOL解析の対象はそれぞれ54例と52例であった。
・24週目のglobal QOLスコアのベースラインからの変化は、ePROモニタリング群が通常ケア群より有意に良好だった(平均差:8.0、90%信頼区間[CI]:0.2~15.8、p=0.091、探索的研究のためαエラー<0.10で有意と設定)。
・24週目の疲労はePROモニタリング群で有意に改善したが(平均差:-8.4、95%CI:-16.1~-0.6)、悪心/嘔吐では差がなかった(平均差:0.5、95%CI:-6.2~7.1)。
・24週目の役割機能、認知機能、社会機能はePROモニタリング群で良好で、それぞれの平均差は10.0(95%CI:1.1~18.9)、6.3(同:1.1~11.5)、10.9(同:3.9~18.0)であった。
・global QOLスコアの臨床的に意義のある悪化までの期間の中央値は、ePROモニタリング群で3.9ヵ月、通常ケア群で3.0ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.73、95%CI:0.45~1.17)。認知機能については、ePROモニタリング群16.3ヵ月、通常ケア群6.3ヵ月と有意に延長した(HR:0.41、95%CI:0.24~0.71)。

 木川氏は「本試験の結果から、T-DXd投与中のHER2+転移乳がん患者において、ePROモニタリングによりQOLを維持・改善する可能性が示唆される」と期待を示した。

(ケアネット 金沢 浩子)


掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。
(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

未治療HER2+進行乳がん、T-DXd±ペルツズマブの12ヵ月PFS率(DESTINY-Breast07)/ASCO2024

提供元:CareNet.com

 HER2+(IHC 3+またはIHC 2+/ISH+)の進行・転移乳がんの1次療法として、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)単独療法とT-DXd+ペルツズマブ併用療法の有用性を検討した第Ib/II相DESTINY-Breast07試験の中間解析の結果、両群ともに12ヵ月無増悪生存(PFS)率は80%以上であり、薬剤性間質性肺疾患(ILD)による死亡は認められなかったことを、フランス・Gustave RoussyのFabrice Andre氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で発表した。

 DESTINY-Breast07試験は、HER2+の進行・転移乳がん患者を対象に、T-DXd単独または他の抗がん剤との併用による安全性、忍容性および抗腫瘍活性を検討する国際共同無作為化非盲検第Ib/II相試験。用量漸増パートと用量拡大パートで構成され、今回は1次療法としてのT-DXd±ペルツズマブを評価した用量拡大パートの中間解析の結果が報告された。

 対象は、術後補助療法から12ヵ月以上の無病期間があり、測定可能な病変があり、脳転移がない/または既治療で安定状態で、進行・転移に対する治療を受けていないHER2+の進行・転移乳がん患者であった。T-DXd単独群(5.4mg/kgを3週間間隔)とT-DXd+ペルツズマブ併用群(T-DXd:5.4mg/kg+ペルツズマブ:初回840mg、2回目以降420mgを3週間間隔)に無作為化された。主要評価項目は安全性と忍容性、主要副次評価項目は、治験責任医師評価による奏効率(ORR)およびPFS、奏効期間(DOR)であった。

 主な結果は以下のとおり。

・T-DXd単独群75例、T-DXd+ペルツズマブ併用群50例が治療を受けた。両群の患者プロファイルはおおむねバランスがとれていたが、HR+(62.7%および68.0%)、de novo(64.0%および60.0%)の割合で差がみられた。追跡期間中央値はそれぞれ23.9ヵ月(治療継続中が62.7%)、25.3ヵ月(56.0%)であった(データカットオフ:2023年12月22日)。
・12ヵ月PFS率は、単独群80.8%(80%信頼区間[CI]:73.7~86.1)、併用群89.4%(81.9~93.9)であった。
・ORRは、単独群76.0%(80%CI:68.5~82.4)、併用群84.0%(75.3~90.5)であった。CRはそれぞれ8.0%、20.0%であった。
・DOR中央値は両群とも評価不能(NE)であったが、範囲は単独群2.1~28.5ヵ月、併用群4.5~28.3ヵ月であった。12ヵ月DOR率はそれぞれ76.0%、84.0%であった。
・有害事象(AE)は両群ともに100%に発現した。Grade3以上のAEの発現率は、単独群52.0%、併用群62.0%であった。単独群では、治療に関連しない死亡が1例報告された(新型コロナウイルス感染症の罹患後症状)。
・頻度の高いAEは、悪心(単独群71%[うちGrade3以上が4%]、併用群68%[0%])、好中球減少症(36%[27%]、38%[24%])、嘔吐(36%[3%]、40%[0%])、下痢(35%[3%]、62%[6%])などであった。ILDは、それぞれ9.3%、14.0%に認められたが、死亡例は認められなかった。新たな安全性シグナルはみられなかった。

 DESTINY-Breast07試験は進行中であり、第III相DESTINY-Breast09試験の解析結果により、HER2+の進行・転移乳がんの1治療法としてのT-DXd±ペルツズマブに関する確定的なデータが得られる予定。

(ケアネット 森 幸子)


【参考文献・参考サイトはこちら】

DESTINY-Breast07試験(ClinicalTrials.gov)

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。
(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

sacituzumab tirumotecan、複数の治療歴のあるTN乳がんのPFSとOSを改善(OptiTROP-Breast01)/ASCO2024

提供元:CareNet.com

 複数の治療歴がある進行トリプルネガティブ乳がん(TNBC)において、抗TROP2抗体薬物複合体sacituzumab tirumotecan(sac-TMT)が、医師選択による化学療法に比べて無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を有意に改善した。無作為化第III相OptiTROP-Breast01試験の中間解析結果について、中国・Cancer Hospital Chinese Academy of Medical SciencesのBinghe Xu氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で発表した。

・対象:転移に対する治療を含む2ライン以上の化学療法歴(タキサン含む)のある局所再発/転移を有するTNBC
・試験群(sac-TMT群):sac-TMT(5mg/kg静注)2週ごと 130例
・対照群(化学療法群):医師選択の化学療法(エリブリン、カペシタビン、ゲムシタビン、ビノレルビン)133例
・評価項目:
[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)によるPFS
[副次評価項目]OS、治験責任医師評価によるPFS、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性

 主な結果は以下のとおり。

・年齢中央値は両群とも51歳、内臓転移ありはsac-TMT群88.5%/化学療法群85.0%、PD-1/PD-L1阻害薬による治療歴ありはsac-TMT群24.6%/化学療法群27.1%、前治療のライン数(中央値)はsac-TMT群3.0/化学療法群2.0であった。
・BICRによるPFSは、追跡期間中央値5.1ヵ月(データカットオフ:2023年6月21日)での中間解析において、sac-TMT群で有意な改善がみられ、進行/死亡のリスクは69%低下した(ハザード比[HR]:0.31、95%信頼区間[CI]:0.22~0.45、p<0.00001)。中央値は、sac-TMT群で5.7ヵ月(95%CI:4.3~7.2)、化学療法群で2.3ヵ月(同:1.6~2.7)であった。また、すべてのサブグループにおいてsac-TMT群で改善していた。
・TROP2高発現(Hスコア>200)患者において、BICRによるPFS中央値はsac-TMT群で8.3ヵ月、化学療法群で2.3ヵ月であった(HR:0.29、95%CI:0.19~0.46)。
・OSは、追跡期間中央値10.4ヵ月(データカットオフ:2023年11月30日)での最初の中間解析において、sac-TMT群で有意な改善がみられ、死亡リスクが47%低下した(HR:0.53、95%CI:0.36~0.78、p=0.0005)。中央値はsac-TMT群は未到達(95%CI:11.2~NE)、化学療法群は9.4ヵ月(同:8.5~11.7)であった。
・BICRによるORRは、sac-TMT群45.4%、化学療法群12.0%であった。
・sac-TMTは管理可能な安全性プロファイルを示し、治療関連有害事象(TRAE)による投与中止例は1.5%だった。主なGrade3以上のTRAEは両群ともに血液毒性で、Sac-TMT群において、好中球数減少は32%(化学療法群47%)、貧血は28%(同6%)、白血球数減少は25%(同36%)に発現した。

 Xu氏は、「本試験は、既治療のTNBCにおいてsac-TMTが有効な治療選択肢であることを示している」とした。現在、PD-L1陰性TNBCの1次治療におけるsac-TMT単剤での第III相試験、早期TNBCの術後補助療法におけるsac-TMT+ペムブロリズマブの第III相試験が進行中である。

(ケアネット 金沢 浩子)


【参考文献・参考サイトはこちら】

OptiTROP-Breast01試験(ClinicalTrials.gov)

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。
(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)