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21遺伝子アッセイ(オンコタイプDX)の再発スコアが25以下のHR+/HER2-乳がん患者を対象に、術後の内分泌療法と内分泌療法+化学療法(化学内分泌療法)を比較した第III相RxPONDER試験の55歳未満を対象とするバイオマーカー解析の結果、超高感度アッセイを用いて測定した卵巣予備能の指標である抗ミュラー管ホルモン(AMH)が化学療法追加のベネフィットを予測し、AMHが低値の患者では化学療法追加によるベネフィットが認められなかったことを、米国・エモリー大学のKevin Kalinsky氏らが示した。Annals of Oncology誌2026年9月号掲載の報告。
RxPONDER試験では、リンパ節転移1~3個、再発スコアが25以下のHR+/HER2-乳がん患者を、術後に内分泌療法単独を受ける群または化学内分泌療法を受ける群に無作為に割り付けた。その結果、閉経後患者においては化学療法追加のベネフィットは認められなかった一方、閉経前患者ではベネフィットが示されている。しかし、同試験では閉経前患者における卵巣機能抑制の併用率が低く、化学療法によるベネフィットのかなりの部分が化学療法そのものの抗腫瘍作用ではなく、化学療法に伴う卵巣機能抑制を介した内分泌学的作用によるのではないかと示唆されている。そこで本解析では、化学療法追加によるベネフィットを予測する因子をさらに検討するため、卵巣予備能に関連するホルモンを評価した。
解析対象は、55歳未満で治療前の血清検体が利用可能であった1,556例とした。治療前の血清エストラジオール、プロゲステロン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、AMH、インヒビンB(INHB)を盲検下で評価した。評価項目は無浸潤疾患生存期間(iDFS)および無遠隔再発生存期間(DRFS)とし、再発スコアで調整したCox回帰モデルを用いて、治療割り付けと各ホルモン指標の交互作用を検討した。
主な結果は以下のとおり。
・解析対象1,556例のうち、閉経前は1,221例、閉経後は335例であった。追跡期間中央値は8.0年。
・解析対象全体では、内分泌療法単独群と比較して、化学内分泌療法群ではiDFSが有意に改善した。年齢別では、50歳未満では化学内分泌療法の有意なベネフィットが認められたが、50~54歳では有意ではなかった。ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)は以下のとおり。
-解析対象全体 HR:0.65、95%CI:0.50~0.85、調整後のp=0.0066
-50歳未満 HR:0.47、95%CI:0.33~0.67、調整後のp=0.0004
-50~54歳 HR:1.02、95%CI:0.68~1.54、調整後のp=0.95
・閉経前患者では化学内分泌療法によるiDFSのベネフィットが認められたが、閉経後患者では認められなかった。
-閉経前 HR:0.55、95%CI:0.41~0.75、調整後のp=0.0009
-閉経後 HR:1.18、95%CI:0.67~2.07、調整後のp=0.72
・AMH値と治療割り付けの交互作用は有意であり(調整後のp=0.0034)、AMH値によって化学療法追加による治療効果が異なることが示された。
・AMH値10pg/mL以上の群では、化学内分泌療法によりiDFSが有意に改善し、5年iDFSの絶対利益は8.5%であった。AMH値10pg/mL未満の群では化学療法の追加による有意なベネフィットは認められなかった。
-AMH値10pg/mL以上 HR:0.46、95%CI:0.33~0.65、調整後のp=0.00012
-AMH値10pg/mL未満 HR:1.27、95%CI:0.81~1.99、調整後のp=0.47
・DRFSについても同様であり、AMH値10pg/mL以上の群では化学内分泌療法のベネフィットが認められ、AMH値10pg/mL未満の群では認められなかった。
・INHB値12pg/mL以上の群ではiDFSで化学療法追加のベネフィットが認められ、DRFSでも同様の傾向がみられた。一方、INHB値12pg/mL未満群ではiDFSのベネフィットは認められなかった。
・エストラジオール、プロゲステロン、FSH値は化学内分泌療法のベネフィットを予測する因子ではなく、LH値は弱い予測能を示すにとどまった。
研究グループは「55歳未満の患者を対象とする本解析において、ベースラインのAMH値が10pg/mL未満の参加者は化学内分泌療法による恩恵を受けなかった。AMH値は、閉経状態、年齢、その他のホルモン値よりも、化学内分泌療法の有効性を示す有意に優れた指標であった。適切な超高感度アッセイを用いた卵巣予備能の測定は、閉経状態が不明確な患者において、化学療法を安全に省略できる患者の特定に役立つ可能性がある」とまとめた。
(ケアネット 森)
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