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乳房温存術時に1~3個のセンチネルリンパ節転移陽性の浸潤性乳がん患者において、センチネルリンパ節生検(SNLB)のみの施行は、完全腋窩リンパ節郭清(cALND)の施行と比較し無浸潤疾患生存期間(iDFS)に関して非劣性を示さなかった。ドイツ・ロストック大学のToralf Reimer氏が、ドイツの142施設およびオーストリアの9施設で実施した前向き無作為化非劣性試験「Intergroup Sentinel Mamma:INSEMA試験」における、2次無作為化後の副次評価項目の解析結果を、サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2025、12月9~12日)で発表した。
本研究では、18歳以上で乳房温存術と術後放射線治療を受ける予定の浸潤性乳がん患者(腫瘍サイズ≦5cmのcT1またはcT2、かつcN0)を対象として、SNLB省略群とSNLB単独群に1対4の割合で無作為に割り付けた(初回無作為化)。その後、SNLB単独群で1~3個のセンチネルリンパ節転移陽性と診断された患者を、SNLB単独群とcALND群に1対1の割合で無作為に割り付けた(2次無作為化)。
今回発表された重要な副次評価項目は、SNLB単独群とcALND群における(2次無作為化)乳房温存術後のiDFSであった(追跡期間中央値:74.2ヵ月)。
主な結果は以下のとおり。
・初回無作為化でSNLB単独群に割り付けられた4,184例のうち、センチネルリンパ節転移陽性と診断されたのは1,050例であった。2次無作為化を受けたのは485例で(ITT解析集団)、うち386例がper-protocol解析集団に含まれた。
・per-protocol解析集団におけるベースライン特性は両群でおおむねバランスが取れており、65歳未満はSNLB単独群64.5%vs.cALND群65.7%、術前の腫瘍サイズ≦2cmは80.2%vs.82.2%、ERおよび/またはPgR陽性は97.7%vs.82.2%、HER2陰性は94.9%vs.85.9%であった。Ki-67≦20%は84.6%vs.76.6%、化学療法歴ありは33.6%vs.39.6%、領域リンパ節照射ありは20.6%vs.36.6%であった。
・per-protocol解析集団における5年iDFS率は、SNLB単独群86.6%vs.cALND群93.8%(ハザード比[HR]:1.69、95%信頼区間[CI]:0.96~2.94)となり、非劣性は示されなかった(事前に規定された非劣性マージン:1.271)。
・iDFSイベントについて、遠隔転移(6.9%vs.4.1%)と二次がん(4.1%vs.2.1%)はSNLB単独群で多く発生したが、腋窩再発については1例(0.5%)vs.0例であった。
・iDFSについてのサブグループ解析の結果、術後の腫瘍サイズ>2cmの患者およびマクロ転移個数の多い患者においては、cALNDによるベネフィットが少ない傾向がみられた。一方、Ki-67>20%の患者においてはcALNDにより大きなベネフィットが得られる可能性が示唆された。
・ITT解析集団における5年iDFS率は、SNLB単独群86.0%vs.cALND群89.3%(HR:1.26、95%CI:0.80~1.99)となり、非劣性は示されなかった。
・イベント数は少ないものの、per-protocol解析集団における5年OS率は、SNLB単独群94.9%vs.cALND群96.2%(HR:1.19、95%CI:0.55~2.56)であった。
・術後放射線療法については、通常分割照射(75.1%vs.87.0%)および追加照射(80.6%vs.88.8%)の実施率はcALND群で有意に高かったが、腋窩放射線治療の線量に治療群による差はなかった。
Reimer氏は、同患者におけるcALNDの省略が5年iDFS率に影響を与える可能性が初めて示唆されたとし、この結果は放射線治療の内容、化学療法の実施有無、およびKi-67高値の影響により部分的に説明できる可能性があるとまとめている。同試験のフォローアップは継続中で、10年時データは2029年に得られる予定。
(ケアネット 遊佐 なつみ)
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