ER+/HER2-進行・転移乳がん、ESR1変異検出時のcamizestrantへの切り替えでPFS延長(SERENA-6)/SABCS2025

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 ASCO2025で第III相SERENA-6試験の中間解析結果が報告され、ER+/HER2-の進行または転移を有する乳がんと診断され、アロマターゼ阻害薬(AI)+CDK4/6阻害薬の併用療法を開始してESR1変異が検出された患者が、次世代経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)および完全ER拮抗薬であるcamizestrant+CDK4/6阻害薬へ切り替えることによって、無増悪生存期間(PFS)の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した。今回、SERENA-6試験の最終PFS解析結果とESR1変異血中循環腫瘍DNA(ctDNA)動態の探索的解析の結果を、フランス・Institut CurieのFrancois-Clement Bidard氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2025、12月9~12日)で報告した。

 SERENA-6試験は、ctDNAによって内分泌療法抵抗性を検出し、病勢進行前に治療の切り替えを実施するアプローチを使用した初の第III相国際共同二重盲検試験。定期的な腫瘍の画像検査時にctDNA検査を行い、内分泌療法抵抗性の初期兆候およびESR1変異を有する患者を特定した。ESR1変異が検出され、病勢進行がない場合は、AI(アナストロゾール、レトロゾール)からcamizestrant(75mg、1日1回経口投与)に切り替えて、同じCDK4/6阻害薬(パルボシクリブ、アベマシクリブ、ribociclib)との併用を続けた。camizestrant切替群にはAIのプラセボ、AI継続群にはcamizestrantのプラセボも投与された。

 主な結果は以下のとおり。

・315例の患者がcamizestrant切替群(157例)とAI継続群(158例)に無作為に割り付けられた。データカットオフ(2025年6月30日)時点での追跡期間中央値は18.7ヵ月であった。
・主要評価項目であるPFS中央値は、camizestrant切替群16.6ヵ月(95%信頼区間[CI]:14.7~19.4)、AI継続群9.2ヵ月(同:7.2~9.7)であり、中間解析と同様にcamizestrant切替群で有意に良好であった(ハザード比[HR]:0.46[95%CI:0.34~0.62]、p<0.00001)。
・2次治療開始後のPFS(PFS2)中央値は、camizestrant切替群25.7ヵ月(95%CI:20.3~28.9)、AI継続群19.4ヵ月(同:17.8~21.4)であった(HR:0.56[95%CI:0.39~0.80]、名目のp=0.00153)。
・化学療法/抗体薬物複合体(ADC)の投与を開始するまでの期間の中央値は、camizestrant切替群22.7ヵ月(95%CI:20.3~31.5)、AI継続群18.7ヵ月(同:16.7~24.7)であり、camizestrant切替群で長かった(HR:0.69[95%CI:0.49~0.97]、p=0.029)。
・8週時点のESR1変異のアレル頻度はcamizestrant切替群で大幅に減少し(ベースラインからの変化の中央値:-100%[IQR:-100~-100])、AI継続群で増加した(同:+66.7%[IQR:-67.9~+465.0])(p<0.00001)。AI継続群では、ESR1変異のアレル頻度がベースラインから500%以上増加した患者は24.4%であったのに対し、camizestrant切替群では0.8%であった。
・新たな安全性シグナルは報告されなかった。

(ケアネット 森)


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ブロッコリーやキャベツ摂取量が多いほど乳がんリスク低下/SABCS2025

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 ブロッコリーやキャベツなどのアブラナ科野菜の摂取量が多いほど乳がんの発症リスクが低く、とくにER陰性乳がんでその傾向が顕著である可能性を、米国・ハーバード大学医学大学院のAndrea Romanos-Nanclares氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2025、12月9~12日)で報告した。

 アブラナ科野菜に含まれるグルコシノレート(glucosinolate)は、実験モデルで乳がん細胞増殖抑制作用が示されているが、エビデンスは依然として限定的で一貫性に欠けている。そこで研究グループは、大規模前向きコホート研究のデータを用いて、アブラナ科野菜およびグルコシノレートの摂取量と乳がんリスクとの関連を長期間にわたり検証した。

 対象は、Nurses’ Health Study(NHS、1984~2019年、7万6,713人)およびNurses’ Health Study II(NHSII、1991~2019年、9万2,810人)の約17万人であった。食事はベースラインで半定量的な食物摂取頻度調査票により聴取し、その後4年ごとに更新した。Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ/コールスロー、芽キャベツ、ケール、からし菜(mustard greens)、フダンソウ(chard)を含むアブラナ科野菜の累積平均摂取量およびエネルギー調整したグルコシノレート摂取量と、浸潤性乳がんおよびそのサブタイプの発症リスクとの関連について、ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推定した。

 主な結果は以下のとおり。

・30年超のフォローアップにおいて、2コホートで1万2,352件の浸潤性乳がんが確認された。ER陰性は1,703件、ER陽性は7,880件であった。
・アブラナ科野菜の摂取量が多い群では乳がんリスクが有意に低かった(5~6サービング超/週vs.1サービング未満/週のHR:0.92、95%CI:0.86~0.97、傾向のp<0.01)。代替健康食指数(AHEI)で調整した後はこの関連はわずかに弱まった。
・ER陰性乳がんにおいてリスク低下の傾向が最も強かった(5~6サービング超/週vs.1サービング未満/週のHR:0.87、95%CI:0.74~1.02、傾向のp=0.01)。
・グルコシノレート総摂取量が最も多い最高五分位群の参加者は、最低五分位の参加者と比較して、ER陰性を含む乳がんの発症リスクが低かった(乳がん全体のHR:0.92[95%CI:0.87~0.98、傾向のp<0.01]、ER陰性乳がんのHR:0.87[95%CI:0.74~1.02、傾向のp=0.03]、ER陽性乳がんのHR:0.93[95%CI:0.86~1.00、傾向のp=0.01])。

 Romanos-Nanclares氏は「これらの結果は、アブラナ科野菜の摂取が乳がんにおける修飾可能な防御因子である可能性を示唆するものである。グルコシノレートが乳がんリスクにどのように関与するかを理解するためにはさらなる研究が必要である」とまとめた。

(ケアネット 森)


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THP療法後に病勢進行のないHER2+転移乳がん維持療法、tucatinib追加でPFS改善(HER2CLIMB-05)/SABCS2025

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 タキサン+トラスツズマブ+ペルツズマブ(THP)併用療法後に病勢進行のないHER2陽性(HER2+)転移乳がん患者における維持療法として、トラスツズマブ+ペルツズマブ(HP)へのtucatinibの追加は、プラセボ+HP療法と比較して無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善した。米国・Sarah Cannon Research InstituteのErika P. Hamilton氏が、日本を含む23ヵ国で実施された第III相HER2CLIMB-05試験の結果をサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2025、12月9~12日)で発表した。なお、この結果はJournal of Clinical Oncology誌オンライン版2025年12月10日号に同時掲載されている1)

・試験デザイン:第III相無作為化二重盲検プラセボ対照国際多施設共同試験
・対象:THP療法(4~8サイクル)後に病勢進行のない、スクリーニング時の造影MRIで脳転移がないもしくは無症候性の脳転移を有するHER2+転移乳がん患者(ECOG PS 0/1)
・試験群:tucatinib(1日2回300mg、経口投与)+HP(3週間間隔)±内分泌療法 326例
・対照群:プラセボ+HP±内分泌療法 328例
・評価項目:
[主要評価項目]RECIST v1.1を用いた治験担当医師評価に基づくPFS
[重要な副次評価項目]全生存期間(OS)
[副次評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)によるPFS、中枢神経系無増悪生存期間(CNS-PFS)、安全性など
・データカットオフ:2025年9月5日(追跡期間中央値:23ヵ月)

 主な結果は以下のとおり。

・ベースラインの患者特性は両群でバランスがとれており、年齢中央値はともに54歳、ホルモン受容体陽性がtucatinib+HP群51.5%vs.プラセボ+HP群53.7%で、脳転移ありもしくはあった症例が12.6%vs.12.2%、de novo転移が69.6%vs.68.9%であった。
・治験担当医師評価に基づくPFS中央値は、tucatinib+HP群24.9ヵ月vs.プラセボ+HP群16.3ヵ月で、tucatinib+HP群における統計学的有意な改善が認められた(ハザード比[HR]:0.641、95%信頼区間[CI]:0.514~0.799、両側検定のp<0.0001)
・ホルモン受容体の状態、ベースラインでの脳転移の有無、年齢(<65歳/≧65歳)など事前に規定されたすべてのサブグループにおいて、tucatinib+HP群におけるPFSベネフィットが確認された。ホルモン受容体の状態別にみると、陽性患者においてもtucatinib+HP群における統計学的有意な改善が認められたが(25.0ヵ月vs.18.1ヵ月、HR:0.725、95%CI:0.535~0.983、p=0.0389)、陰性患者でより大きなベネフィットがみられた(24.9ヵ月vs.12.6ヵ月、HR:0.554、95%CI:0.403~0.761、p=0.0002)。
・OSデータは未成熟であるものの、tucatinib+HP群において数値的に良好な傾向がみられた。
・CNS-PFS中央値はITT集団全体では両群で未達、探索的解析項目であるベースラインで脳転移を有する患者(41例vs.40例)においてはtucatinib+HP群8.5ヵ月vs.プラセボ+HP群4.3ヵ月(HR:0.719、95%CI:0.406~1.273)であった。
・Grade3以上の試験治療下における有害事象(TEAE)はtucatinib+HP群42.3%vs.プラセボ+HP群24.4%で発現した。tucatinib+HP群で多く発現したGrade3以上のTEAEは、ALT上昇(13.5%)、AST上昇(7.1%)、下痢(6.1%)などであった。

 Hamilton氏は今回の結果について、HER2+転移乳がん患者に対するTHP療法後の維持療法として、HP+tucatinib療法が、病勢進行までの期間を延長し化学療法を受ける期間を短縮させるための選択肢の1つとなることを示したとまとめている。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


【参考文献・参考サイトはこちら】

1)Dieras V, et al. J Clin Oncol. 2025 Dec 10. [Epub ahead of print]

HER2CLIMB-05試験(ClinicalTrials.gov)

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ER+/HER2-早期乳がん術後ホルモン療法、giredestrant vs.標準治療(lidERA)/SABCS2025

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 ER+/HER2-早期乳がんの術後内分泌療法として、経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)giredestrantと現在の標準治療である内分泌療法を比較した第III相lidERA試験の中間解析の結果、giredestrantは無浸潤疾患生存期間(iDFS)の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善をもたらし、再発または死亡に至る可能性を30%低下させたことを、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のAditya L. Bardia氏が、サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2025、12月9~12日)で報告した。

・試験デザイン:非盲検国際多施設共同無作為化試験
・対象:12ヵ月以内に乳がん手術を受け、必要に応じて術前/術後化学療法を完了したStageI~III、ER+/HER2-の早期乳がん患者 4,170例
・試験群:giredestrant 30mg 1日1回経口投与 2,084例
・対照群:標準内分泌療法(タモキシフェン、アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタンから1つ選択) 2,086例
※5年間または許容できない毒性が発現するまで継続。閉経前・閉経前後の女性および男性はLH-RHアゴニストを併用。
・評価項目:
[主要評価項目]iDFS
[副次評価項目]無遠隔再発期間(DRFI)、全生存期間(OS)、安全性など
・データカットオフ:2025年8月8日

 主な結果は以下のとおり。

・ベースライン特性は両群でバランスがとれており、年齢中央値は両群ともに54.0歳で女性が99.5%であった。閉経後がgiredestrant 59.0%および標準内分泌療法群59.6%、StageIが12.3%および13.6%、StageIIが49.0%および45.7%、StageIIIが38.7%および40.6%、化学療法歴を有したのは81.0%および78.4%であった。
・追跡期間中央値は32.3ヵ月であった。
・主要評価項目であるIDFSイベントはgiredestrant群140例(6.7%)、標準内分泌療法群196例(9.4%)に発生し、ハザード比(HR)は0.70(95%信頼区間[CI]:0.57~0.87、p=0.0014)であった。3年IDFS率はgiredestrant群92.4%、標準内分泌療法群89.6%であった。
・IDFSを内分泌療法別にみると、giredestrant vs.アロマターゼ阻害薬のHRは0.73(95%CI:0.58~0.92)、giredestrant vs.タモキシフェンのHRは0.53(0.35~0.80)であった。
・IDFSにおけるgiredestrantのベネフィットは、事前に規定していたすべてのサブグループで同様であった。
・DRFIイベントはgiredestrant群102例(4.9%)、標準内分泌療法群145例(7.0%)に発生した(HR:0.69、95%CI:0.54~0.89)。3年DRFI率はgiredestrant群94.4%、標準内分泌療法群92.1%であった。
・OSは未成熟であったものの、giredestrant群において改善傾向がみられた(HR:0.79、95%CI:0.56~1.12、p=0.1863)。
・Grade3/4の有害事象(AE)はgiredestrant群407例(19.8%)および標準内分泌療法群372例(17.9%)、重篤なアウトカムに至ったAEは6例(0.3%)および16例(0.8%)に発現した。
・giredestrant群で多かった全GradeのAEは関節痛(48.0%)、ホットフラッシュ(27.4%)、頭痛(15.3%)などであった。Grade3/4のAEは高血圧(2.6%)、関節痛(1.5%)などであった。

 Bardia氏は「lidERA試験の結果は、giredestrantがER+/HER2-早期乳がん患者における新たな標準治療となる可能性を支持するものである」とまとめた。

(ケアネット 森)


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HR+/HER2-進行乳がん1~2次治療、パルボシクリブvs.ribociclib vs.アベマシクリブ

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 ホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陰性(HER2-)進行乳がんに対する1次および2次治療として、CDK4/6阻害薬と内分泌療法の併用療法は標準治療となっている。パルボシクリブ、ribociclib、アベマシクリブの3種類のCDK4/6阻害薬について、内分泌療法との併用におけるリアルワールドでの生存ベネフィットを比較した多施設共同後ろ向きPOLiCDK試験の結果を、ポーランド・Military Institute of Medicine-National Research InstituteのRenata Duchnowska氏がBreast誌オンライン版2025年11月24日号で報告した。

 POLiCDK試験では、2017年9月~2025年1月にポーランドの16施設において、1次または2次治療として内分泌療法との併用でパルボシクリブ、ribociclib、またはアベマシクリブによる治療を受けたHR+/HER2-進行乳がん患者の、無増悪生存期間(PFS)、PFS2(CDK4/6阻害薬開始から後続治療後の病勢進行/死亡までの期間として定義)、および全生存期間(OS)を比較した。内分泌療法感受性/抵抗性により層別化し、ベースライン特性の不均衡を調整するため逆確率重み付け法(IPTW)を用いて解析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・2,063例(パルボシクリブ701例、ribociclib 968例、アベマシクリブ394例)のうち、1,583例(76.7%)が1次治療、480例(23.3%)が2次治療でCDK4/6阻害薬の投与を受けた。
・927例(44.9%)がde novo症例、819例(39.7%)が内分泌療法歴なし、158例(8.9%)がprimary resistant、808例(39.2%)がsecondary resistantであった。
・追跡期間中央値は、パルボシクリブ群35.9ヵ月vs.ribociclib群24.1ヵ月vs.アベマシクリブ群21.4ヵ月であった。
・1次治療としてCDK4/6阻害薬とアロマターゼ阻害薬の併用療法を受けた患者において、PFS中央値はパルボシクリブ群30.3ヵ月vs.ribociclib群36.6ヵ月vs.アベマシクリブ群33.4ヵ月、PFS2中央値は45.0ヵ月vs.43.0ヵ月vs.39.3ヵ月、OS中央値は46.8ヵ月vs.64.7ヵ月vs.NRであり、3つの評価項目(PFS、PFS2、OS)すべてにおいて、薬剤間で有意な差は認められなかった。内分泌療法歴のない症例でも同様だったが、secondary resistantの症例ではアベマシクリブとribociclibがパルボシクリブよりも良好な転帰を示した。
・1次治療としてCDK4/6阻害薬とフルベストラントの併用療法を受けた患者において、PFS中央値は、パルボシクリブ群14.4ヵ月vs.ribociclib群26.1ヵ月vs.アベマシクリブ群15.8ヵ月、PFS2中央値は19.8ヵ月vs.35.7ヵ月vs.24.1カ月、OS中央値は27.7ヵ月vs.39.7ヵ月vs.34.5ヵ月であり、ribociclibは3つの評価項目すべてでパルボシクリブと比較し良好な転帰を示した。内分泌療法歴のない症例でも同様だったが、secondary resistantの症例では3剤間の差はみられなかった。
・2次治療においては、3剤間の差はみられなかった。
・調整ハザード比においても同様の傾向が示されたが、いずれか1剤の一貫した優越性は示されなかった。

 著者らは、HR+/HER2-進行乳がんにおけるCDK4/6阻害薬と内分泌療法による併用療法の転帰と関連する主要な因子として、内分泌療法感受性/抵抗性および内分泌療法の種類が挙げられるとまとめている。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


【原著論文はこちら】

Duchnowska R, et al. Breast. 2025;85:104665.

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1~2個のSLN転移陽性早期乳がん、ALND省略で生存アウトカムは?メタ解析

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 センチネルリンパ節(SLN)転移陽性の乳がん患者に対しては、これまで腋窩リンパ節郭清(ALND)が推奨されてきたが、乳房温存術(BCS)を受ける患者でSLN転移が限局的な患者に対しては、Z0011試験などの結果を踏まえALND省略が考慮されるようになっている。しかし、乳房全切除術(TM)を受ける患者に関しては、エビデンスが限られ、結果も一貫していない。中国・Qilu Hospital of Shandong UniversityのJinyi Xie氏らは、1〜2個のSLN転移陽性早期乳がん患者において、ALND群とセンチネルリンパ節生検(SLNB)単独群の生存アウトカムを比較することを目的としてメタ解析を実施。BCSを受ける患者とTMを受ける患者におけるサブグループ解析も行い、結果をOncologist誌オンライン版11月14日号で報告した。

 PubMed、Embase、Cochrane Library、Web of Scienceを対象に2024年12月までに発表された文献を系統的に検索し、計29件の研究(うち6件は無作為化比較試験、23件は観察研究)を特定した。これらの研究には計14万6,407例の患者が含まれる。全生存期間(OS)、無病生存期間(DFS)、無再発生存期間(RFS)などの生存アウトカムをランダム効果モデルまたは固定効果モデルを用いて統合解析し、異質性と出版バイアスはI2統計量、Begg検定およびEgger検定を用いて評価した。さらに、研究デザイン、手術の種類(TM vs.BCS)、T分類に基づくサブグループ解析を実施した。

 主な結果は以下のとおり。

・ALND群とSLNB単独群の間でOS(オッズ比[OR]:0.93、95%信頼区間[CI]:0.83~1.04)、DFS(OR:1.02、95%CI:0.87~1.20)、RFS(OR:1.08、95%CI:0.89~1.30)に有意な差は認められなかった。
・しかしTMサブグループにおいては、ALND群でOSの改善と関連していた(OR:0.75、95%CI:0.62~0.90)。同様に、T3~T4の患者ではALND群でOSアウトカムが良好な傾向がみられた。
・DFSとRFSについては、サブグループ間で有意な差は認められなかった。

 著者らは、今回の結果は1~2個のSLN転移陽性早期乳がん患者において、SLNB単独はALNDと同等の生存成績を示し、BCSを受ける患者における安全性を支持するものとした。一方、TMを受ける患者やT3~T4の患者においてALNDが生存利益と関連する可能性が示唆された。しかし、選択バイアスや交絡による影響を受けている可能性があるため、現時点でこれらのサブグループ解析結果が治療方針を変更する根拠とはならないとし、質の高い前向き研究による検討が求められると結んでいる。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


【原著論文はこちら】

Xie J, et al. Oncologist. 2025 Nov 14. [Epub ahead of print]

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乳がん化学療法中の頭皮冷却で発毛が回復しにくい患者の因子は?

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 頭皮冷却は化学療法誘発性脱毛症(CIA)を軽減する効果的な介入として注目されており、脱毛抑制に加えて治療後の発毛促進も期待されている。しかし、一部の患者では頭皮冷却を実施しても持続性化学療法誘発性脱毛症(pCIA)が生じることがある。今回、韓国・成均館大学校のHaseen Lee氏らは、乳がん患者を対象に、頭皮冷却を実施してもpCIAが生じる患者の臨床的・遺伝的因子を解析し、NPJ Breast Cancer誌2025年11月12日号で報告した。

 研究グループは、韓国・ソウルのサムスンメディカルセンターで、アントラサイクリン系および/またはタキサン系抗がん剤による化学療法と頭皮冷却を併用したStageI~IIIの乳がん女性123例を解析した。主要評価項目はpCIAで、化学療法6ヵ月後に発毛が認められない、または不完全と定義した。

 主な結果は以下のとおり。

・化学療法中に頭皮冷却を受けた患者123例(平均年齢45.6歳)が解析に含まれた。主な化学療法はTAC療法(40例)およびTCHP療法(34例)であった。
・化学療法中、患者の58.5%がベースライン時の毛髪の太さの75%以上を維持し、CIAを発症しなかった。
・アントラサイクリン系レジメンは、非アントラサイクリン系レジメンよりもCIAの発症率が高かった。
・化学療法の6ヵ月後に15例(12%)がpCIAを発症した。
・内分泌療法を受けなかった患者と比較した結果、タモキシフェン単独療法はpCIAの独立したリスク因子として特定された(調整オッズ比:11.66、95%信頼区間:1.87~120.20)。
chr20p11(男性型脱毛症遺伝子)およびHLA-DQB1(円形脱毛症遺伝子)の変異はpCIAとの関連性がわずかに認められたが有意ではなかった。
・化学療法6ヵ月後、タモキシフェン単独療法群では毛髪の太さはベースライン時より減少したままであったが、タモキシフェン単独療法を除く内分泌療法群では毛髪の太さに有意差を認めなかった。
・毛髪密度は、内分泌療法群間で有意差を認めなかった。

 研究グループは「これらの結果は、タモキシフェンが化学療法後の毛包の回復を損なう可能性があることを示唆しており、頭皮冷却を受けている患者に対する個別カウンセリングと綿密な皮膚科的フォローアップの重要性を強調している」とまとめた。

(ケアネット 森)


【原著論文はこちら】

Lee H, et al. NPJ Breast Cancer. 2025;11:124.

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HR+/HER2-乳がんの局所領域再発、術後化学療法でiDFS改善/ESMO Open

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 ホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陰性(HER2-)乳がんの局所領域再発(LRR)に対して、根治的手術後の術後化学療法が無浸潤疾患生存期間(iDFS)を改善することが、JCOGの多施設共同後ろ向きコホート研究で示唆された。とくに、非温存乳房内再発(非IBTR)例、原発腫瘍に対する術後内分泌療法中の再発例や周術期化学療法未施行例において、iDFS改善と関連していた。がん研究会有明病院の尾崎 由記範氏らがESMO Open誌2025年11月7日号に報告。

 本研究の対象は初発乳がん手術後にLRRと診断されたHR+/HER2-乳がん患者で、2014~18年にLRRに対する根治的手術を受けた患者を、LRRに対する術後化学療法(CTx)実施の有無に基づいて2群に分けた。主要評価項目はiDFS、副次評価項目は全生存期間(OS)とした。主要解析は逆確率治療重み付けを組み込んだ二重ロバストCox比例ハザードモデルを用いて実施し、傾向スコアマッチングを用いた感度分析も実施した。

 主な結果は以下のとおり。

・解析対象は計958例(平均年齢:55歳、男性:5例)で、初回手術からLRR診断までの中央値は9.5年(四分位範囲:3.1~10.1)であった。CTx群は235例(25%)、非CTx群は722例(75%)であった。
・全症例における5年iDFS率は75.4%(95%信頼区間[CI]:72.4~78.2)であり、多変量解析ではCTx群で良好なiDFSが認められた(ハザード比:0.70、95%CI:0.49~0.99、p=0.045)。これらの結果は感度解析でも支持された。
・サブグループ解析では、非IBTR例、初発乳がんへの術後内分泌療法中の再発例、初発乳がんへの周術期化学療法未施行例において、CTx群でiDFSが良好であった。
・OSについては多変量Cox比例ハザードモデルにおいて、有意差はみられなかったがCTx群で悪化傾向が認められた。

 著者らは本研究の限界として、本研究は後ろ向き研究デザインであり、残余交絡因子の存在の可能性があることや、IBTR症例において真の再発と新規の原発腫瘍を区別できなかったことなどを挙げ、「慎重な解釈が必要」としている。

(ケアネット 金沢 浩子)


【原著論文はこちら】

Ozaki Y, et al. ESMO Open. 2025;10:105889.

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乳房切除後の胸壁照射、10年OSを改善せず/NEJM

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 乳房切除術+現在推奨される補助全身療法を受けた中間リスクの早期乳がん患者において、胸壁照射は胸壁照射を行わない場合と比較し全生存期間(OS)を改善しないことが、第III相多施設共同無作為化試験「Selective Use of Postoperative Radiotherapy after Mastectomy:SUPREMO試験」で示された。英国・エディンバラ大学のIan H. Kunkler氏らが報告した。腋窩リンパ節転移が1~3個のpN1、あるいは病理学的リンパ節陰性のpN0に分類され、かつその他のリスク因子を有する乳がん患者に対する乳房切除術後の胸壁照射がOSに及ぼす影響は、現在推奨される周術期薬物療法下では不明であった。NEJM誌2025年11月6日号掲載の報告。

中間リスクの早期乳がん患者が対象、胸壁照射群と非照射群に無作為化

 研究グループは、中間リスク(pT1N1、pT2N1、pT3N0、またはpT2N0かつ組織学的Grade3±リンパ管浸潤)の乳がん患者を、胸壁照射(40~50Gy)群または胸壁照射を行わない群(非照射群)に1対1の割合で無作為に割り付け、10年間追跡した。

 アントラサイクリン系薬剤を含む術後または術前化学療法が推奨され、トラスツズマブは各施設の方針に従って投与された。エストロゲン受容体陽性患者には、最低5年間の術後内分泌療法が推奨された。

 主要評価項目はOS、副次評価項目は胸壁再発、領域再発、無病生存期間(DFS)、無遠隔転移生存期間(DMFS)、乳がんによる死亡、放射線関連有害事象などであった。

 2006年8月4日~2013年4月29日に計1,679例が無作為化され、同意撤回等を除いた胸壁照射群808例、非照射群799例がITT解析対象集団に含まれた。

10年OS率81.4%vs.81.9%、有意差認められず

 追跡期間中央値9.6年において、295例の死亡が確認された(胸壁照射群150例、非照射群145例)。Kaplan-Meier法により推定された10年OS率は、胸壁照射群81.4%、非照射群81.9%で、群間差は認められなかった(死亡のハザード比[HR]:1.04、95%信頼区間[CI]:0.82~1.30、p=0.80)。死亡例の多く(194/295例、65.8%)は乳がんによるものであった。

 胸壁再発は29例(胸壁照射群9例[1.1%]、非照射群20例[2.5%])に認められ、群間差は2%未満であった(HR:0.45、95%CI:0.20~0.99)。10年DFS率は胸壁照射群76.2%、非照射群75.5%(再発または死亡のHR:0.97、95%CI:0.79~1.18)、10年DMFS率はそれぞれ78.2%、79.2%(遠隔転移または死亡のHR:1.06、95%CI:0.86~1.31)であった。

(ケアネット)


【原著論文はこちら】

Kunkler IH, et al. N Engl J Med. 2025;393:1771-1783.

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女性のがん、39ヵ国の診断時期・治療を比較/Lancet

提供元:CareNet.com

 英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のClaudia Allemani氏らVENUSCANCER Working Groupは、女性に多い3種類のがん(乳がん、子宮頸がん、卵巣がん)の治療提供状況について初めて世界規模で評価した「VENUSCANCERプロジェクト」の解析結果を報告した。低・中所得国では、早期がんと診断された女性がガイドラインに準拠した治療を受けやすくなってはいたが、早期診断される女性の割合は依然として非常に低いままであることを示した。著者は、「解析で得られた知見は、WHOの世界乳がんイニシアチブや子宮頸がん撲滅イニシアチブといった、がん対策への国際的な取り組みの実施とモニタリングを支援する重要なリアルワールドエビデンスである」としている。Lancet誌2025年11月15日号掲載の報告。

ガイドライン準拠、診断~治療開始の期間中央値を評価、高所得国と低・中所得国の受療確率を分析

 研究グループは、CONCORDプログラムに乳がん・卵巣がん・子宮頸がんのデータを提供した全322のがん登録に対して、VENUSCANCERプロジェクトへのデータ提供を要請し、世界39の国と地域における103のがん登録から得られた2015~18年のいずれかの1年間に乳がん、子宮頸がん、または卵巣がんと診断された女性の高精度データを解析した。高精度データには、診断時Stage、Stage分類手順、腫瘍グレード、バイオマーカー(ER、PR、HER2)、各治療法(手術、放射線療法、化学療法、内分泌療法、抗HER2療法)の初回治療コースおよび関連する日付が含まれた。

 国または地域別に予後因子、国際臨床ガイドライン(ESMO、ASCO、NCCN)との整合性を示す主要な指標、および診断から治療開始までの期間中央値を評価した。年齢と腫瘍のサブタイプを調整し、高所得国と低・中所得国におけるガイドラインに沿った治療を受けられる確率を分析した。

低・中所得国では、早期診断される女性の割合が依然として非常に低い

 解析には、3種類のいずれか1つのがんと診断された女性計27万5,792例が包含された。乳がん診断者21万4,111例(77.6%)、子宮頸がん(上皮内がんを含む)診断者4万4,468例(16.1%)、卵巣がん診断者1万7,213例(6.2%)であった。

 高所得国では、早期・リンパ節陰性のがんは乳がん診断者および子宮頸がん診断者の40%超を占めていたが、卵巣がん診断者では20%未満であった。一方、低・中所得国では、これらの割合は3つのがんすべてでおおむね20%未満であった。ただしキューバ(乳がん30%)、ロシア(子宮頸がん36%、卵巣がん27%)では高かった。

 国際ガイドラインとの整合性には大きなばらつきが認められ、とくに早期乳がんに対する手術・放射線療法(ジョージア13%~フランス82%)、進行子宮頸がんに対する化学療法(モンゴル18%~カナダ90%)、転移のある卵巣がんに対する手術+化学療法併用(キューバ9%~米国53%)で顕著であった。

 何らかの手術が提供されたのは、高所得国では78%、低・中所得国では56%であり、早期がんに対する初期治療(臨床ガイドラインに準拠した)は、乳がんと比べて子宮頸がんと卵巣がんのほうがより均一に行われていた。高所得国と低・中所得国のいずれにおいても、高齢女性(70~99歳)は50~69歳の女性との比較において臨床ガイドラインに準拠した初期治療を受ける確率が低かった。

 早期がんの診断から治療までの期間中央値は、複数の高所得国では1ヵ月未満であったが、モンゴルの子宮頸がんおよびエクアドルの卵巣がんでは最大4ヵ月、モンゴルの乳がんでは最大1年であった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)


【原著論文はこちら】

Allemani C, et al. Lancet 2025;406:2325-2348.

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