AI耐性HR+進行乳がんへのフルベストラント+capivasertib、日本人解析結果(CAPItello-291)/日本癌治療学会

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 アロマターゼ阻害薬(AI)耐性のホルモン受容体陽性(HR+)HER2陰性(HER2-)進行乳がん(切除不能の局所進行もしくは転移・再発乳がん)に対するフルベストラントへのAKT阻害薬capivasertibの上乗せ効果を検討した第III相CAPItello-291試験の日本人サブグループ解析結果を、九州がんセンターの徳永 えり子氏が第61回日本癌治療学会学術集会(10月19~21日)で発表した。

・対象:閉経前/後の女性もしくは男性のHR+/HER2-の進行乳がん患者(AI投与中/後に再発・進行、進行がんに対して2ライン以下の内分泌療法・1ライン以下の化学療法、CDK4/6阻害薬治療歴ありも許容、SERD・mTOR阻害薬・PI3K阻害薬・AKT阻害薬の治療歴は不可、HbA1c 8.0%未満)
・試験群(capi群):capivasertib(400mg1日2回、4日間投与、3日間休薬)+フルベストラント(500mg) 37例(グローバル:355例)
・対照群(プラセボ群):プラセボ+フルベストラント 41例(353例)
・評価項目:
[主要評価項目]全体集団およびAKT経路(PIK3CAAKT1PTENのいずれか1つ以上)に変異のある患者集団における無増悪生存期間(PFS)
[副次評価項目]全体集団およびAKT経路に変異のある患者集団における全生存期間(OS)、奏効率(ORR)など
[層別化因子]CDK4/6阻害薬治療歴の有無、肝転移の有無など

 主な結果は以下のとおり。

・ベースライン特性は両群でバランスがとれており、年齢中央値は両群で61歳、閉経後患者はcapi群78.4% vs.プラセボ群70.7%だった。肝転移ありが29.7% vs.31.7%でグローバル(43.9% vs.42.5%)と比較すると少なく、ECOG PS 0が94.6% vs.85.4%と多かった(63.1% vs.68.3%)。
・ベースラインで進行がんに対して1ラインの内分泌療法歴のある患者は51.4% vs.43.9%、CDK4/6阻害薬治療歴のある患者は13.5% vs.19.5%とそれぞれグローバル(80.8% vs.71.4%、69.0% vs.69.1%)と比較すると少なかった。
・AKT経路に変異のある患者は51.4% vs.46.3%とグローバル(43.7% vs.38.0%)と比較してやや多かった。
・全体集団におけるPFS中央値は、Capi群13.9ヵ月vs.プラセボ群7.6ヵ月(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.40~1.28)となり、Capi群で臨床的に意義のある改善が認められた(グローバルでは7.2ヵ月vs.3.6ヵ月、HR:0.60、95%CI:0.51~0.71、両側p<0.001)。
・AKT経路に変異のある患者集団におけるPFS中央値は、Capi群13.9ヵ月vs.プラセボ群9.1ヵ月(HR:0.65、95%CI:0.29~1.39)となり、Capi群で臨床的に意義のある改善が認められた(グローバルでは7.3ヵ月vs.3.1ヵ月、HR:0.50、95%CI:0.38~0.65、両側p<0.001)。
・ORRは全体集団でCapi群29.4% vs.プラセボ群22.0%(グローバルでは22.9% vs.12.2%)、AKT経路に変異のある患者集団で27.8% vs.15.8%(28.8% vs.9.7%)で、グローバルと同様の傾向がみられた。
・重篤な有害事象(SAE)はCapi群で13.5%に認められ、グローバル(16.1%)と同様だったが、AEによる試験薬の中止(日本人サブグループ56.8%、グローバル34.9%)およびAEによる試験薬の減量(27.0%、19.7%)は日本人集団で多い傾向がみられた。
・Capi群の安全性プロファイルはグローバルと同様で、多く認められたAEは下痢(73.0%)、皮疹(48.6%)、口内炎(29.7%)など。皮疹と口内炎は日本人サブグループで多い傾向がみられた。

 徳永氏は日本人サブグループにおけるPFS中央値がグローバルより長いのは、ベースラインでECOG PS 0の患者の割合が多く、肝転移のある患者が少なく、進行がんに対する内分泌/化学療法歴あるいはCDK4/6阻害薬による治療歴のある患者が少なかったことによる可能性があると考察。グローバルでの結果と同様に、日本の患者におけるcapivasertib+フルベストラント併用療法のベネフィットとリスクのプロファイルは良好であり、将来の治療選択肢となる可能性があるとまとめている。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


【参考文献・参考サイトはこちら】

CAPItello-291試験(ClinicalTrials.gov)

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HER2+乳がん脳転移例、T-DXdで高い頭蓋内奏効率とCNS-PFS改善(DESTINY-Breast01、02、03プール解析)/ESMO2023

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 トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)のDESTINY-Breast01、02、03試験において、ベースライン時に脳転移のあったHER2陽性乳がん患者の探索的プール解析の結果、既治療で安定した脳転移患者および未治療で活動性の脳転移患者で高い頭蓋内奏効率(ORR)が示された。また、中枢神経系無増悪生存期間(CNS-PFS)は、とくに未治療で活動性の脳転移患者において顕著な改善がみられた。米国・Fred Hutchinson Cancer Center, University of WashingtonのSara A. Hurvitz氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表した。

・対象:DESTINY-Breast01、02試験(トラスツズマブ エムタンシンに抵抗性または不応例)およびDESTINY-Breast03試験(トラスツズマブおよびタキサン系抗がん剤による既治療例)で、ベースライン時に脳転移のあったHER2陽性乳がん患者
・方法:ベースライン時に既治療で安定した脳転移患者と未治療で活動性脳転移患者に分け、T-DXd群と対照薬群で比較
・評価項目:盲検下独立中央判定(BICR)による頭蓋内ORR(頭蓋内完全奏効[CR]/部分奏効[PR])、頭蓋内奏効期間(DOR)、BICRによるCNS-PFS、安全性

 主な結果は以下のとおり。

・ベースライン時に脳転移のあった患者はT-DXd群148例、対照薬群83例、そのうち再発乳がんがそれぞれ85例、51例だった。脳転移患者での前治療歴の中央値は3レジメン(範囲:1.0~14.0)だった。
・頭蓋内ORRは、既治療で安定した脳転移患者においてT-DXd群が45.2%(CR:17例/PR:30例)、対照薬群が27.6%(CR:2例/PR:14例)、未治療の活動性脳転移患者においてT-DXd群が45.5%(CR:7例/PR:13例)、対照薬群が12.0%(CR:0例/PR:3例)と、どちらもT-DXd群が高かった。
・頭蓋内DOR中央値は、既治療で安定した脳転移患者において、T-DXd群12.3ヵ月vs.対照薬群11.0ヵ月、未治療の活動性転移患者ではT-DXd群17.5ヵ月vs.対照薬群NAだった。
・CNS-PFS中央値は、既治療で安定した脳転移患者ではT-DXd群12.3ヵ月vs.対照薬群8.7ヵ月(ハザード比[HR]:0.5905、95%信頼区間[CI]:0.3921~0.8895)、未治療の活動性脳転移患者で18.5ヵ月vs.4.0ヵ月(HR:0.1919、95%CI:0.1060~0.3473)と、どちらもT-DXd群で延長し、とくに未治療の活動性脳転移患者で顕著だった。
・脳転移患者におけるT-DXdの安全性プロファイルは認容可能で管理可能であり、全患者集団と同等であった。

 Hurvitz氏は「T-DXdは、HER2陽性で既治療で安定した脳転移患者および未治療で活動性脳転移患者に対して有効で、許容可能で管理可能な安全性プロファイルを持つ治療オプションである」と結論した。

(ケアネット 金沢 浩子)


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DESTINY-Breast01試験(Clinical Trials.gov)

DESTINY-Breast02試験(Clinical Trials.gov)

DESTINY-Breast03試験(Clinical Trials.gov)

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転移乳がんのエリブリン2投2休、後治療のPFSを有意に延長/日本癌治療学会

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 転移を有する乳がん患者にエリブリンを標準スケジュールである21日周期(21日ごとに1・8日目に投与:2投1休)で投与する場合と比較して、28日周期(28日ごとに1・8日目に投与:2投2休)の投与は後治療の無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、全生存期間(OS)は有意差はなかったものの延長傾向にあったことを、市立四日市病院の水野 豊氏が第61回日本癌治療学会学術集会(10月19~21日)で発表した。

 エリブリンは腫瘍免疫微小環境の改善効果により、後治療の良好な効果が推測されている。しかし、血液毒性などの有害事象のため標準の21日周期では治療の中断・中止を余儀なくされることがある。これまでエリブリンを1・15日目に投与する28日周期の投与スケジュールにおけるPFSはすでに報告されているが、異なる投与スケジュールが後治療の効果に与える影響を調べた研究はなかった。そこで水野氏らは、エリブリンの異なる治療スケジュールと後治療のPFSの関連を評価するために研究を実施した。

 エリブリン治療はまず標準スケジュールである21日周期の1・8日目投与で開始し、2サイクル目の1日目に好中球数が1,500mm3以上であれば標準スケジュールを継続し(2投1休群)、1,500mm3未満であった場合は28日周期の1・8日目投与に変更してその後も28日周期を継続した(2投2休群)。3サイクル目以降も同様に1日目の好中球数が1,500mm3以上かどうかでスケジュールを検討した。

 対象は、転移を有する乳がん患者81例(うちde novo StageIVが23例[28%])で、年齢中央値は67歳(範囲:39~90歳)であった。主な転移部位は骨(48%)、肝臓(40%)、所属リンパ節(38%)、肺(32%)。ER/PgR陽性が63%、トリプルネガティブが37%。前治療の化学療法歴なしが31%、1ラインが44%、2ライン以上が25%であった。

 主な結果は以下のとおり。

<エリブリン治療>
・奏効率は9%、病勢コントロール率は30%、臨床的有用率は56%であった。
・全体のPFS中央値は6.3ヵ月(95%信頼区間[CI]:5.5~8.6)であった。治療スケジュール別のPFS中央値は、2投1休群(49例)が6.1ヵ月(95%CI:3.4~8.4)、2投2休群(32例)が8.6ヵ月(95%CI:5.1~13.0)で有意差は認められなかったものの延長傾向にあった(p=0.149)。
・全体のOS中央値は20.6ヵ月(95%CI:14.6~27.1)であった。2投1休群は17.1ヵ月(95%CI:10.2~21.1)、2投2休群は27.1ヵ月(95%CI:14.6~30.9)で、PFSと同様に有意差は認められなかったものの延長傾向にあった(p=0.0833)。

<後治療>
・後治療を行ったのは47例で、多かったレジメンはパクリタキセル+ベバシズマブ(32%)、AC/EC療法(19%)、カペシタビン±シクロホスファミド(13%)、S-1(11%)、内分泌療法(11%)などであった。
・全体のPFS中央値は4.9ヵ月(95%CI:3.0~8.1)であった。2投1休群は3.3ヵ月(95%CI:2.8~5.6)であった一方、2投2休群では10.4ヵ月(95%CI:2.1~14.5)で有意に改善した(p=0.0195)。
・OS中央値は2投1休群17.1ヵ月(95%CI:10.9~21.1)、2投2休群28.5ヵ月(95%CI:14.6~53.5)で延長傾向にあった(p=0.0965)。

 これらの結果より、水野氏は「エリブリンの標準とは異なる2投2休の投与スケジュールはPFSおよびOSを延長させ、さらに後治療にも好影響をもたらす」とまとめるとともに、質疑応答で「十分に血球を回復させるために2週間休薬することが重要だと考える。好中球数が減少していたとしてもしっかりと回復させる期間が得られ、それによって後治療に好影響をもたらすのではないか」と見解を述べた。

(ケアネット 森 幸子)


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進行/転移TN乳がん1次治療でのDato-DXd+デュルバルマブ、11.7ヵ月時点で奏効率79%(BEGONIA)/ESMO2023

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 進行/転移トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の1次治療として、抗TROP2抗体薬物複合体datopotamab deruxtecan(Dato-DXd)と抗PD-L1抗体デュルバルマブの併用を検討するBEGONIA試験のArm7では、追跡期間中央値7.2ヵ月で74%の奏効率(ORR)が得られている。今回、追跡期間中央値11.7ヵ月の解析でORRが79%であったことを、英国・Barts Cancer Institute, Queen Mary University of LondonのPeter Schmid氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で報告した。

 BEGONIA試験は、進行/転移TNBCの1次治療として、デュルバルマブと他の薬剤との併用による新たな治療を検討するために、2つのPartで構成された第Ib/II相試験である。

・対象:StageIVに対する治療歴のない切除不能な進行/転移TN乳がん
・方法:Dato-DXd 6mg/kg+デュルバルマブ1,120mg(3週ごと、静脈内投与)を病勢進行もしくは許容できない毒性発現まで投与
・評価項目:
[主要評価項目]安全性、忍容性
[副次評価項目]ORR、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間

 主な結果は以下のとおり。

・2023年2月2日のデータカットオフ時点で、Dato-DXd+デュルバルマブの治療を受けた62例中29例(47%)が治療継続中で、追跡期間中央値は11.7ヵ月(範囲:2~20ヵ月)であった。ベースライン時の年齢中央値は53歳、60%に内臓転移があり、PD-L1低値が87%であった。
・ORRは79%(95%信頼区間[CI]:66.8~88.3)で、完全奏効6例、部分奏効43例だった。抗腫瘍効果はPD-L1レベルにかかわらず認められた。
・DOR中央値は15.5ヵ月(95%CI:9.92~NC)、PFS中央値は13.8ヵ月(同:11.0~NC)であった。
・最も多くみられた有害事象(AE)は消化管系で概してGradeは低かった。
・Dato-DXd減量の原因となるAEは口内炎(65%)が最も多かった。
・治療関連間質性肺疾患/肺炎が3例(5%)に発現した(Grade2が2例、Grade1が1例)。
・下痢(13%)、好中球減少症(5%)の発現率は低かった。

 Schmid氏は「進行/転移TNBCの1次治療におけるDato-DXdとデュルバルマブの併用は、追跡期間中央値11.7ヵ月時点で、PD-L1発現にかかわらず引き続き強固で持続的な奏効を示した。新たな安全性シグナルはみられず、管理可能な安全性プロファイルを示した」と結論した。現在、PD-L1高値集団を対象としたArm8(Dato-DXd+デュルバルマブ)の登録を行っている。

(ケアネット 金沢 浩子)


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BEGONIA試験(Clinical Trials.gov)

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HER2低発現乳がんへのT-DXd、32ヵ月でのOS・PFS・安全性(DESTINY-Breast04)/ESMO2023

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 化学療法歴を有するHER2低発現の切除不能または転移のある乳がん患者に対して、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)と治験医師選択による化学療法(TPC)を比較した第III相DESTINY-Breast04試験において、より長い追跡期間(中央値32ヵ月)で評価した全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、安全性を、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのShanu Modi氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表した。

・対象:HER2低発現(IHC 1+またはIHC 2+/ISH-)で、1~2ラインの化学療法歴のある切除不能および/または転移を有する乳がん患者(HR+の場合は内分泌療法抵抗性)557例
・試験群(T-DXd群):T-DXdを3週間間隔で5.4mg/kg投与 373例
・対照群(TPC群):治験医師選択の化学療法(カペシタビン、エリブリン、ゲムシタビン、パクリタキセル、ナブパクリタキセルのいずれか)184例
・評価項目:
[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)によるHR+例のPFS
[副次評価項目]BICRによる全例のPFS、治験医師によるHR+例および全例のPFS、HR+例および全例のOS、安全性など

 主な結果は以下のとおり。

・今回のデータカットオフ(2023年3月1日)時点での追跡期間中央値は32.0ヵ月だった。
・OS中央値は、HR+例でT-DXd群23.9ヵ月vs.TPC群17.6ヵ月でHRが0.69(95%信頼区間[CI]:0.55~0.87)、全例で22.9ヵ月vs.16.8ヵ月でHRは0.69(95%CI:0.55~0.86)と、共にT-Dxd群で有意に改善した。
・治験医師によるPFS中央値は、HR+例でT-DXd群9.6ヵ月vs.TPC群4.2ヵ月でHRが0.37(95%CI:0.30~0.46)、全例で8.8ヵ月vs.4.2ヵ月でHRは0.36(95%CI:0.29~0.45)と、共にT-DXd群で有意に改善した。
・HR-例におけるOS中央値は、T-DXd群17.1ヵ月vs.TPC群8.3ヵ月でHRが0.58(95%CI:0.31~1.08)、治験医師によるPFS中央値は6.3ヵ月vs.2.9ヵ月でHRは0.29(95%CI:0.15~0.57)だった(探索的解析)。
・Grade3以上の治療下での有害事象(TEAE)の発現率は、T-DXd群54.4%、TPC群67.4%だった。
・治療中止関連のTEAEで多くみられたのは、T-DXd群で間質性肺疾患/肺臓炎(10.2%)、TPC群で末梢感覚神経障害(2.3%)だった。
・減量関連のTEAEで多くみられたのは、T-DXd群では悪心(4.6%)および血小板数減少(3.0%)、TPC群で好中球数減少(10.5%)および手足症候群(5.2%)だった。
・全GradeのTEAEの曝露調整後発現率は、T-DXd群1.2%、TPC群2.6%だった。
・安全性プロファイルは初回解析結果と同様であり、薬物関連間質性肺疾患/肺臓炎は初回解析以降の新たな報告はなかった。

 Modi氏は「今回の結果から、HR発現の有無にかかわらず、これまでに示されているHER2低発現の転移乳がんに対するT-DXdの持続的で臨床的に意義のある改善が確認された。治療期間が長くなっても、全体的な安全性プロファイルは忍容可能でおおむね管理可能だった」とまとめた。

(ケアネット 金沢 浩子)


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DESTINY-Breast04試験(Clinical Trials.gov)

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AYA世代ER+/HER2-乳がんの臨床学的・病理学的特徴/日本癌治療学会

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 15~39歳の思春期・若年成人(adolescent and young adult:AYA)世代のがんは、ほかの世代のがんと比べて予後不良であることが多く、異なる特性を有することが指摘されている。そこで、横浜市立大学附属病院の押 正徳氏は、AYA世代のER陽性HER2陰性乳がん患者の特徴を検討し、その結果を第61回日本癌治療学会学術集会(10月19~21日)で発表した。なお、本演題は同学会の優秀演題に選定されている。

 AYA世代の乳がんの特徴として、ホルモン受容体陰性やHER2陽性、トリプルネガティブの割合が高いこと、浸潤やリンパ節転移を伴っている場合が多いことなどが挙げられている。しかし、年齢別の臨床学的・病理学的特徴については依然として不明な点が多い。そこで押氏らは、乳がん患者をAYA世代(40歳未満)、閉経期世代(40~55歳未満)、更年期世代(55~65歳未満)、高齢世代(65歳以上)の4つの年齢群に分類し、その特徴を分析した。

 本研究では、独立した3つの大規模コホートを使用した。
・YCUコホート:横浜市立大学附属病院の2施設で2014~20年に手術を受けた4,562例(うちAYA世代316例[6.9%])
・METABRICコホート:1,903例(うちAYA世代116例[6.1%])
・GSE96058コホート:3,273例(うちAYA世代123例[4.0%])

 臨床病理学的因子の検討にはYCUコホートとMETABRICコホートを用い、生物学的特徴の解析にはMETABRICコホートとGSE96058コホートを用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・臨床病理学的因子の検討において、AYA世代はプロゲステロン受容体(PgR)陽性、pN≧1の割合が高かった。
・AYA世代は、がん特異的生存率だけでなく全生存率も不良であった。YCUコホートにおいては、AYA世代のがん特異的生存率は、閉経期世代や更年期世代だけでなく、高齢世代よりも不良であった(p=0.012)。
・生物学的特徴の解析では、エストロゲンの活性度は高齢になるほど低くなった。
・AYA世代ではほかの世代に比べて有意にG2Mチェックポイント、E2Fターゲット、MYCターゲット、mTORC1、小胞体ストレス応答、PI3K/ACT/MTORシグナルなどの細胞増殖や発がんに関連するシグナル経路の活性度が高かった。そのほかの3群は同程度であった。
・AYA世代はDNA修復シグナルやBRCAnessスコアがほかの世代よりも有意に高かった。
・腫瘍微小環境における各免疫細胞の浸潤割合は、各年齢群で異なった。

 これらの結果より、押氏は「AYA世代のER陽性HER2陰性乳がんは、ほかの世代の乳がんと比較して生物学的特徴が異なり、それが予後に影響している可能性がある。その特徴を理解し、AYA世代に特化した治療戦略の開発・検討が必要である」とまとめた。

(ケアネット 森 幸子)


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早期TN乳がんの術前・術後ペムブロリズマブによるEFS改善、5年後も持続(KEYNOTE-522)/ESMO2023

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高リスクの早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対して、術前および術後補助療法としてペムブロリズマブの追加を検討したKEYNOTE-522試験では、ペムブロリズマブ追加により病理学的完全奏効率(pCR)および無イベント生存期間(EFS)が有意かつ臨床的に意味のある改善を示したことがすでに報告されている。今回、第6回中間解析(追跡期間中央値63.1ヵ月)でのEFSを解析した結果、pCRの結果にかかわらず、術前化学療法単独と比べて臨床的に意味のあるEFS改善が持続していたことを、英国・Barts Cancer Institute, Queen Mary University LondonのPeter Schmid氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表した。全生存期間(OS)の追跡調査は進行中である。

・対象:未治療の転移のないTNBC患者(AJCC/TNM分類でT1c N1-2またはT2-4 N0-2、ECOG PS 0/1)
・試験群:術前に化学療法(カルボプラチン+パクリタキセルを4サイクル後、ドキソルビシン/エピルビシン+シクロホスファミドを4サイクル)+ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと)、術後にペムブロリズマブ(200mg、3週ごと)を9サイクルあるいは再発または許容できない毒性発現まで投与(ペムブロリズマブ群、784例)
・対照群: 術前に化学療法(試験群と同様)+プラセボ、術後にプラセボを投与(プラセボ群、390例)
・評価項目:
[主要評価項目]pCR(ypT0/Tis ypN0)、EFS
[副次評価項目]pCR(ypT0 ypN0およびypT0/Tis)、OS、PD-L1陽性例におけるpCR・EFS・OS、安全性

 主な結果は以下のとおり。

・今回の解析(データカットオフ:2023年3月23日)において、EFSイベントがペムブロリズマブ群で18.5%、プラセボ群で27.7%に認められた(ハザード比[HR]:0.63、95%信頼区間[CI]:0.49~0.81)。5年EFS率はペムブロリズマブ群81.3%、プラセボ群72.3%だった。
・ペムブロリズマブによるEFSベネフィットは、PD-L1発現やリンパ節転移の有無など、事前に規定したサブグループで一貫していた。
・事前に規定された非ランダム化探索的解析におけるpCRの結果別の5年EFS率は、pCR例でペムブロリズマブ群92.2% vs.プラセボ群88.2%、非pCR例でペムブロリズマブ群62.6% vs.プラセボ群52.3%であった。
・5年遠隔無増悪/遠隔無再発生存率は、ペムブロリズマブ群84.4%、プラセボ群76.8%であった(HR:0.64、95%CI:0.49~0.84)。

 Schmid氏は「これらの結果は、ペムブロリズマブとプラチナを含む術前補助療法後、pCRの結果によらずペムブロリズマブによる術後補助療法を行うレジメンを、高リスク早期TNBC患者に対する標準治療としてさらに支持する」と述べた。

(ケアネット 金沢 浩子)


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KEYNOTE-522試験(Clinical Trials.gov)

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ER+/HER2-乳がんの術前ニボルマブ、pCRを有意に改善(CheckMate 7FL)/ESMO2023

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 高リスクのER陽性(+)/HER2陰性(-)早期乳がん患者を対象とした第III相CheckMate 7FL試験の結果、術前化学療法および術後内分泌療法にニボルマブを上乗せすることで、病理学的完全奏効(pCR)率が有意に改善し、さらにPD-L1陽性集団ではより良好であったことを、オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CentreのSherene Loi氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で報告した。

・対象:ER+/HER2-、T1c~2 cN1~2またはT3~4 cN0~2、Grade2(かつER 1~10%)またはGrade3(かつER≧1%)の新たに診断された乳がん患者 510例
・試験群(ニボルマブ群):ニボルマブ(3週ごと)+パクリタキセル(毎週)→ニボルマブ+AC療法(隔週または3週ごと)→手術→ニボルマブ(4週ごと)+内分泌療法 257例
・対照群(プラセボ群):プラセボ+パクリタキセル→プラセボ+AC療法→手術→プラセボ+内分泌療法 253例
・評価項目:
[主要評価項目]pCR(ypT0/is ypN0)
[副次評価項目]PD-L1陽性集団のpCR、全体およびPD-L1陽性集団の腫瘍残存率(RCB)、安全性
・層別化因子:PD-L1発現状況、Grade、腋窩リンパ節転移、AC療法の投与スケジュール

 2022年4月に主要評価項目は修正ITT集団のpCR率のみに修正され、PD-L1陽性集団のpCR率は副次評価項目となった。今回がCheckMate 7FL試験結果の初報告で、全体およびPD-L1陽性集団のpCRとRCBが報告された。

 主な結果は以下のとおり。

・ニボルマブ群およびプラセボ群の年齢中央値は50歳/51歳、Grade3が98%/99%以上、StageIII期が46%/42%、PD-L1 IC≧1%が34%/33%、腋窩リンパ節転移陽性が80%/79%で、両群でバランスがとれていた。
・修正ITT集団全体のpCR率は、ニボルマブ群24.5%、プラセボ群13.8%で、ニボルマブ群が有意に高かった(調整差10.5%[95%信頼区間[CI]:4.0~16.9]、オッズ比[OR]:2.05、p=0.0021)。
・PD-L1陽性集団におけるpCR率は、ニボルマブ群44.3%、プラセボ群20.2%(調整差:24.1%[95%CI:10.7~37.5]、OR:3.11)であった。なお、PD-L1陰性集団では14.2%/10.7%であった。
・リンパ節転移の有無、Stage、年齢、AC療法の治療スケジュールにかかわらずニボルマブ群のほうがpCR率は良好であった。
・全体におけるRCB 0~1の割合は、ニボルマブ群30.7%、プラセボ群21.3%(調整差:9.2%[95%CI:2.0~16.5]、OR:1.65)であった。
・PD-L1陽性集団におけるRCB 0~1の割合は、ニボルマブ群54.5%、プラセボ群26.2%(調整差:28.5%[95%CI:14.6~42.4]、OR:3.49)であった。
・Grade3以上の治療関連有害事象は、ニボルマブ群35%、プラセボ群32%に発現し、安全性プロファイルは既報と一致していた。免疫介在性有害事象はニボルマブ群のほうが多かった。ニボルマブ群では死亡が2例(肺炎、肝炎)認められた。

 これらの結果より、Loi氏は「高リスクのER+/HER2-早期乳がん患者の術前化学療法にニボルマブを追加することで、pCRは10.5%改善するとともにRCB 0~1率も9.2%改善した。この恩恵はPD-L1陽性集団でより大きかった。安全性プロファイルはこれまでと同様で、新たな有害事象は報告されなかった」としたうえで「バイオマーカーに関する追加データは今後の学会で発表する予定である」とまとめた。

(ケアネット 森 幸子)


【参考文献・参考サイトはこちら】

CheckMate 7FL試験(ClinicalTrials.gov)

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転移乳がんへのDato-DXd、医師選択化療よりPFS延長(TROPION-Breast01)/ESMO2023

提供元:CareNet.com

 化学療法の前治療歴のある手術不能または転移を有するHR陽性(+)/HER2陰性(-)の乳がん患者を対象とした第III相TROPION-Breast01試験の結果、抗TROP2抗体薬物複合体datopotamab deruxtecan(Dato-DXd)は、医師選択化学療法よりも有意に無増悪生存期間(PFS)を延長し、かつGrade3以上の治療関連有害事象(TRAE)は半数以下であったことを、米国・Massachussetts General Hospital/Harvard Medical SchoolのAditya Bardia氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)のPresidentialで報告した。

・対象:HR+/HER2-、1~2ラインの全身化学療法歴、内分泌療法で進行または不適、ECOG PS 0~1の手術不能または転移を有する乳がん患者 732例
・試験群:Dato-DXd(6mg/kg、3週ごと)を進行または許容できない毒性が発現するまで継続(Dato-DXd群:365例)
・対照群:医師が選択した化学療法(エリブリン、ビノレルビン、カペシタビン、ゲムシタビン)を進行または許容できない毒性が発現するまで継続(化学療法群:367例)
・評価項目:
[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)によるPFS、全生存期間(OS)
[副次評価項目]治験担当医評価によるPFS、安全性
・層別化因子:前治療のライン数、地域、CDK4/6阻害薬の治療歴の有無

 Dato-DXdは、第I相TROPION-PanTumor01試験において、手術不能または転移を有するHR+/HER2-の前治療歴のある乳がん患者において有望な活性を示している。今回は、グローバル第III相TROPION-Breast01試験の主要評価項目の1つであるPFSの結果が報告された。

 主な結果は以下のとおり。

・Dato-DXd群と化学療法群の年齢中央値は56歳(範囲:29~86)/54歳(28~86)、白人が49%/46%、アジア系が40%/41%、1ラインの前治療歴が63%/61%、CDK4/6阻害薬の治療歴ありが82%/78%、タキサン系and/orアントラサイクリン系の治療歴ありが90%/92%で、両群でバランスがとれていた。
・データカットオフ(2023年7月17日)時点の追跡期間中央値は10.8ヵ月で、Dato-DXdの93例と化学療法群の39例が治療を継続していた。
・主要評価項目であるBICRによるPFSは、Dato-DXd群6.9ヵ月(95%信頼区間[CI]:5.7~7.4)、化学療法群4.9ヵ月(95%CI:4.2~5.5)であり、Dato-DXd群で有意にPFSが改善された(HR:0.63[95%CI:0.52~0.76]、p<0.0001)。
・年齢、人種、ECOG PS、地域、前治療歴など、すべてのサブグループでDato-DXdのほうが良好なPFSを示した。
・奏効率(ORR)はDato-DXd群36.4%、化学療法群22.9%であった。
・OSは追跡期間中央値9.7ヵ月時点で未成熟であったが、Dato-DXd群で良好な傾向がみられている(ハザード比:0.84[95%CI:0.62~1.14])。OSの結果は引き続き解析を行う予定。
・Grade3以上のTRAEの発現率は、Dato-DXd群21%、化学療法群45%であった。Dato-DXd群では化学療法群よりも減量や投与中断につながるTRAEは少なかった。間質性肺疾患はDato-DXd群で9例(3%)に認められ、うち2例(1%)はGrade3以上であった。死亡は化学療法群で1例認められた。

 これらの結果より、Bardia氏は「TROPION-Breast01試験は主要評価項目を満たし、HR+/HER2-乳がん患者へのDato-DXdはPFSの有意かつ臨床的に意義のある改善を示した。サブグループにおけるPFSの改善と高いORRも得られている。OSも良好な傾向にある。安全性は管理可能で新たな安全性シグナルは確認されなかった。Dato-DXd群ではGrade3以上のTRAEの発現は化学療法群の半分以下であり、減量や投与中断も少なかった」としたうえで、「これらの結果は、Dato-DXdが転移乳がん患者に対する新たな治療オプションとなりうることを支持するものである」とまとめた。


 ディスカッサントを務めた米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのSarat Chandarlapaty氏は下記のようにコメントした。
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 この研究は、HR+で内分泌療法で進行または不適となった患者、および1回以上の全身化学療法を受けた患者を対象としているため、化学療法を受けた転移乳がん患者に対して、新しい化学療法かDato-DXdのどちらが効果的かということである。主要評価項目であるPFSはハザード比0.63で、Dato-DXd群では明確な改善があった。また、全体的には毒性が少なく、Grade3以上のTRAE、とくに血液毒性が少なかったことが報告されている。悪心と口内炎は重症ではないものの増加し、患者にとっては臨床的に重要かもしれない。

 HR+/HER2-乳がんにおいて、化学療法を1~2ライン行ったあとにDato-DXdを処方するのと、さらに化学療法を追加するのとどちらがよいか? 答えはDato-DXdとなった。しかし、私たちにはさらなる未解決の疑問がある。
1.Dato-DXd、sacituzumab govitecan、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)のいずれがよいのか?
2.これら3つの抗HER2抗体薬物複合体のうち、別の薬剤で進行した後に有効性を示すものはあるか?
3.効くかもしれない分子標的薬よりも、Dato-DXdを処方したほうがよいのか?
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(ケアネット 森 幸子)


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ER+乳がんの術前化療にペムブロリズマブ追加、pCRを有意に改善(KEYNOTE-756)/ESMO2023

提供元:CareNet.com

 高リスクのER陽性(+)/HER2陰性(-)早期乳がん患者を対象とした第III相KEYNOTE-756試験の結果、術前化学療法にペムブロリズマブを上乗せすることで、病理学的完全奏効(pCR)率が有意に改善したことを、ポルトガル・Champalimaud Clinical Centre/Champalimaud FoundationのFatima Cardoso氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で報告した。

・対象:T1c~2 cN1~2またはT3~4 cN0~2、ER+/HER2–、Grade3、未治療の浸潤性乳管がん患者 1,278例
・試験群(ペムブロリズマブ群):ペムブロリズマブ+パクリタキセル→ペムブロリズマブ+AC療法またはEC療法→手術→ペムブロリズマブ+内分泌療法 635例
・対照群(プラセボ群):プラセボ+パクリタキセル→プラセボ+AC療法またはEC療法→手術→プラセボ+内分泌療法 643例
・評価項目:
[主要評価項目]pCR(ypT0/Tis ypN0)、無イベント生存期間(EFS)
[副次評価項目]pCR(ypT0 ypN0およびypT0/Tis)、全生存期間、安全性など
・層別化因子:東ヨーロッパ:PD-L1発現状況、中国:なし、その他の国/地域:PD-L1発現状況、リンパ節転移、AC/EC療法の投与スケジュール、ER陽性率

 今回がKEYNOTE-756試験結果の初報告で、主要評価項目の1つであるpCRの結果が報告された。EFSについては引き続き評価が行われる予定。

 主な結果は以下のとおり。

・pCRの最終解析(データカットオフ:2023年5月25日)における追跡期間中央値は33.2ヵ月(範囲:9.7~51.8)であった。
・ペムブロリズマブ群およびプラセボ群の年齢中央値は49歳(範囲:24~82)/49歳(19~78)、PD-L1 CPS≧1%が75.9%/76.0%、T3/4が36.7%/35.8%、リンパ節転移陽性が89.8%/90.5%、ER≧10%が94.6%/93.3%で、両群でバランスがとれていた。
・主要評価項目のpCR(ypT0/Tis ypN0)は、ペムブロリズマブ群24.3%、プラセボ群15.6%であり、統計学的に有意な改善を示した(推定差8.5%[95%信頼区間[CI]:4.2~12.8]、p=0.00005)。
・副次評価項目のpCRは、ypT0 ypN0がペムブロリズマブ群21.3%、プラセボ群12.8%(推定差8.3%[95%CI:4.2~12.4])、ypT0/Tisはペムブロリズマブ群29.4%、プラセボ群18.2%(推定差11.0%[95%CI:6.5~15.7])であった。
・事前に規定したサブグループのpCRもペムブロリズマブ群のほうが良好であった。とくにER陽性率が10%以上の場合の推定差は8.0%であったが、10%未満の場合は25.6%であった。
・Grade3以上の治療関連有害事象発生率は、ペムブロリズマブ群52.5%、プラセボ群46.4%で、安全性プロファイルは既報と一致していた。Grade3以上の免疫関連有害事象はペムブロリズマブ群7.1%、プラセボ群1.2%であった。ペムブロリズマブ群では急性心筋梗塞による死亡が1例(0.2%)認められた。

 これらの結果より、Cardoso氏は「PD-L1発現状況にかかわらず、術前化学療法にペムブロリズマブを追加することで、pCR(ypT0/Tis ypN0)は8.5%改善し、ypT0 ypN0およびypT0/Tisでも同様であった。安全性プロファイルはこれまでのものと同様で、新たな有害事象は報告されなかった」としたうえで、「今回の結果は、もう1つの主要評価項目であるEFSの評価を行うに値する結果である。現時点ではまだ不十分であるが、引き続き評価が必要である」とまとめた。

(ケアネット 森 幸子)


【参考文献・参考サイトはこちら】

KEYNOTE-756試験(ClinicalTrials.gov)

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