早期TN乳がん、ペムブロリズマブ+術前化学療法が有望/NEJM

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 早期トリプルネガティブ乳がん患者に対し、ペムブロリズマブ+術前化学療法はプラセボ+術前化学療法に比べ、手術時の病理学的完全奏効率が約14%ポイント有意に高いことが、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のPeter Schmid氏らが行った第III相無作為化比較試験の結果、示された。追跡期間中央値15.5ヵ月後の病勢進行を認めた被験者の割合も、ペムブロリズマブ+術前化学療法を行った群で低かったという。先行試験で早期トリプルネガティブ乳がん患者における、ペムブロリズマブの有望な抗腫瘍活性と忍容可能な安全性プロファイルが示されていたが、術前化学療法へのペムブロリズマブ追加が、手術時の病理学的完全奏効(浸潤がんなし・リンパ節転移陰性と定義)を得られる患者割合を有意に増大するかについては不明であった。NEJM誌2020年2月27日号掲載の報告。

4サイクルのペムブロリズマブ3週間ごと+パクリタキセルとカルボプラチン投与

 試験は、未治療のStageIIまたはIIIのトリプルネガティブ乳がん患者を2対1で無作為に2群に割り付けて行われた。一方の群には、術前補助療法として4サイクルのペムブロリズマブ(200mg)3週間ごと+パクリタキセルとカルボプラチンを投与(784例)。もう一方の群には、同サイクルのプラセボ3週間ごと+パクリタキセルとカルボプラチンを投与した(390例)。その後、両群に、4サイクルのペムブロリズマブまたはプラセボの追加投与と、ドキソルビシン-シクロホスファミドまたはエピルビシン-シクロホスファミドの投与を行った。

 根治手術後にも術後療法として、ペムブロリズマブまたはプラセボの3週間ごと投与を最大9サイクル行った。

 主要評価項目は、intention-to-treat集団における根治手術時における病理学的完全奏効と無イベント生存期間だった。

病理学的完全奏効の推定治療差は約14%ポイント

 初回中間解析では、無作為化された最初の患者602例のうち、根治手術時における病理学的完全奏効が認められたのは、ペムブロリズマブ群64.8%(95%信頼区間[CI]:59.9~69.5)、プラセボ群51.2%(44.1~58.3)だった(推定治療群間差:13.6%ポイント、95%CI:5.4~21.8、p<0.001)。

 追跡期間中央値15.5ヵ月後(範囲:2.7~25.0)において、根治手術不能の病勢進行や局所/遠隔再発または2次原発がんの発生、全死因死亡のいずれかを認めたのは、ペムブロリズマブ群784例中58例(7.4%)、プラセボ群390例中46例(11.8%)であった(ハザード比[HR]:0.63、95%CI:0.43~0.93)。

 全治療段階において、Grade3以上の治療関連有害事象の発生は、ペムブロリズマブ群では78.0%、プラセボ群が73.0%であり、うち死亡例はそれぞれ3例(0.4%)と1例(0.3%)であった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)


【原著論文はこちら】

Schmid P, et al. N Engl J Med. 2020;382:810-821.

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ペムブロリズマブ併用、転移TN乳がん1次治療でPFS延長/MSD

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 MSD株式会社は2020年2月21日、転移を有するトリプルネガティブ乳がん(mTNBC)に対する初回治療として、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)と化学療法の併用療法が、化学療法単独と比較して無増悪生存期間(PFS)を延長したと発表した(第III相KEYNOTE-355試験)。

 KEYNOTE-355試験は、化学療法歴のない、手術不能な局所再発または転移を有するトリプルネガティブ乳がん患者を対象に、ペムブロリズマブと化学療法併用の有効性を評価する無作為化比較試験。本試験は2パートからなり、パート2では登録患者847例が、ペムブロリズマブ+3種類の化学療法のうちの1つ(ナブパクリタキセル、パクリタキセルまたはゲムシタビン/カルボプラチンから医師が選択)の併用療法群と、プラセボ+同3種の化学療法のうちの1つの化学療法単独群に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、全患者およびPD-L1陽性(CPS≧1およびCPS≧10)患者における全生存期間(OS)とPFS。

 今回、独立データ監視委員会(DMC)の中間解析により、CPS≧10のPD-L1陽性患者において、併用療法群で統計学的に有意かつ臨床的に意味のあるPFSの改善が認められた。ペムブロリズマブの安全性プロファイルはこれまでに報告されている試験で認められているものと一貫しており、新たな安全性の懸念は特定されていない。

 同社はプレスリリースの中で、データは今後の学術集会において発表予定としている。また、DMCの推奨に基づき、もう一つの主要評価項目であるOSについても、変更なく評価を継続する。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


【参考文献・参考サイトはこちら】

KEYNOTE-355試験(Clinical Trials.gov)

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ペグフィルグラスチムの自動投与デバイス国内臨床試験開始/協和キリン

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 協和キリンは、ペグフィルグラスチム(商品名:ジーラスタ)の自動投与デバイスに関する国内臨床試験を本年2月19日に開始した。

 ペグフィルグラスチムは持続型G-CSF製剤。がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制を適応症とし2014年より日本にて販売している製品で、がん化学療法を行った翌日以降に医療機関にて投与が行われる。

 ペグフィルグラスチムが翌日に自動投与される仕組みを搭載した同デバイスをがん化学療法と同日に使用することにより、ペグフィルグラスチム投与のための通院が不要となり、患者の通院負担、さらには医療従事者の負担の軽減にもつながることを期待している。

 同試験は、第I相多施設共同非対照非盲検試験で、対象はがん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制。主要評価項目は安全性で、予定被験者数は30例である。第I相臨床試験の位置づけだが、本臨床試験のデータを使用し厚生労働省へ製造販売承認申請を行う予定だという。

(ケアネット 細田 雅之)


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HER2低発現乳がんへのtrastuzumab deruxtecanの効果と安全性/JCO

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 trastuzumab deruxtecan(T-DXd)は2019年12月、米国食品医薬品局(FDA)より「転移乳がんに対する治療として2つ以上の抗HER2療法を受けたHER2陽性の手術不能または転移乳がん」に対して迅速承認された。今回、HER2低発現(IHC 1+もしくは2+ / ISH-)の乳がん患者における推奨展開用量(RDE)の効果と安全性について、米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのShanu Modi氏らがJournal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年2月14日号で報告。本剤の有望な抗腫瘍活性が示され、毒性は消化管または血液毒性がほとんどだったが、重要なリスクとして間質性肺疾患(ILD)が特定された。

 本試験の適格患者は、標準治療に不応/不耐の進行/転移HER2低発現乳がん患者(米国は18歳以上、日本は20歳以上)。T-DXdを、同意の撤回、許容できない毒性発現、または病勢進行まで、3週ごとに1回、5.4または6.4mg/kgを静脈内投与し、抗腫瘍活性と安全性を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・2016年8月~2018年8月に54例が登録され、RDEで1回以上T-DXdを投与した。
・前治療の中央値は7.5であった。
・独立中央判定による奏効率は20/54(37.0%、95%CI:24.3~51.3%)、奏効期間中央値は10.4ヵ月(95%CI:8.8ヵ月~未達)であった。
・治療関連有害事象(TEAE)は、患者のほとんど(53/54、98.1%)で1つ以上認められた(Grade3以上:34/54、63.0%)。
・Grade3以上の主な(5%以上)TEAEは、好中球減少症、血小板減少症、白血球減少症、貧血、低K血症、AST上昇、食欲不振、下痢などであった。
・6.4mg/kgで治療された3例で、T-DXdによる間質性肺疾患(ILD)/肺臓炎関連の致死的イベントを認めた(独立中央判定委員会による)。

(ケアネット 金沢 浩子)


【原著論文はこちら】

Modi S, et al. J Clin Oncol. 2020 Feb 14:JCO1902318. [Epub ahead of print]

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日本人HER2+早期乳がんへのトラスツズマブ、長期予後解析(JBCRG-cohort study 01)

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 日本人のHER2陽性早期乳がん患者に対する、周術期のトラスツズマブ療法による5年および10年時の予後への影響が評価された。大規模試験において予後改善が示されてきたが、日本人患者における長期的有効性は明らかではない。また、新たな抗HER2薬などが登場する中で、治療を強化すべき患者と、軽減すべき患者の判断基準が課題となっている。そのため、治療選択のための再発予測モデルの構築が試みられた。天理よろづ相談所病院の山城 大泰氏らによる、Breast Cancer誌オンライン版2020年2月14日号掲載の報告より。

 本研究は、浸潤性HER2陽性乳がんI~IIIC期と組織学的に診断され、周術期にトラスツズマブによる治療を少なくとも10ヵ月以上受けた20歳以上の患者を対象とした観察研究。主要評価項目は無病生存期間(DFS)、副次評価項目は全生存期間(OS)であった。

 主な結果は以下のとおり。

・2009年7月~2016年6月の間に、国内56施設から2,024例を登録。適格基準を満たさなかった43例を除き、1,981例が解析対象とされた。
・ベースライン時の治療歴は、術前化学療法を35.4%、術後化学療法を99.6%が受けていた。トラスツズマブ投与は術前のみが1.3%、術前および術後が22.2%、術後のみが76.5%であった。乳房温存術を51.6%、乳房切除術を48.4%が受けていた。また、術後ホルモン療法は48.2%、術後放射線療法は57.5%が受けていた。
・追跡期間中央値は80.9ヵ月(5.0~132.2ヵ月、平均80.2ヵ月)。
・5年DFS率は88.9%(95%信頼区間[CI]:87.5~90.3%)、10年DFS率は82.4%(95%CI:79.2~85.6%)。
・5年OS率は96%(95%CI:95.1~96.9%)、10年DFS率は92.7%(95%CI:91.1~94.3%)。
・多変量解析により、再発のリスク因子は≧70歳、≧T2、臨床的に認められたリンパ節転移、組織学的腫瘍径>1cm、組織学的に認められたリンパ節転移(≧n2)、および術前治療の実施であった。
・標準治療下での5年再発率は、構築された再発予測モデルでスコアが3以上の患者で10%超と推定された。

 著者らは、単群の観察研究データに基づくことの限界に触れたうえで、この再発予測モデルがI~IIIC期の患者の治療選択を改善する可能性があると結んでいる。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


【原著論文はこちら】

Yamashiro H, et al. Breast Cancer. 2020 Feb 14. [Epub ahead of print]

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転移TN乳がん1次治療、PTXにcapivasertib追加でPFSとOS延長(PAKT)/JCO

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 トリプルネガティブ乳がん(TNBC)においてはPI3K/AKTシグナル伝達経路の活性化が頻繁にみられる。TNBCの1次治療でパクリタキセル(PTX)にAKT阻害薬capivasertibを追加したときの有効性と安全性を評価した二重盲検プラセボ対照無作為化第II相試験(PAKT試験)で、capivasertib追加で無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)が著明に延長し、とくにPIK3CA/AKT1/PTEN変異TNBCではより顕著であったことを英国・クイーンメアリー大学のPeter Schmid氏らが報告した。Journal of Clinical Oncology誌2020年2月10日号に掲載。

 本試験の対象は未治療の転移を有するTNBCの女性140例。1サイクル28日間でPTX 90mg/m2(1、8、15日目)+capivasertib(400mg、1日2回)またはPTX+プラセボ(2~5、9~12、16~19日)に無作為に1対1に割り付け、病勢進行または許容できない毒性発現まで投与した。主要評価項目はPFS、副次評価項目はOSのほか、PIK3CA/AKT1/PTEN変異によるサブグループでのPFSおよびOS、腫瘍縮小効果、安全性であった。

 主な結果は以下のとおり。

・PFS中央値は、capivasertib+PTXが5.9ヵ月、プラセボ+PTXが4.2ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.74、95%信頼区間[CI]:0.50〜1.08、片側p=0.06、事前に定義された有意水準は片側p=0.10)。
・OS中央値は、capivasertib+PTXが19.1ヵ月、プラセボ+PTXが12.6ヵ月であった(HR:0.61、95%CI:0.37〜0.99、両側p=0.04)。
PIK3CA/AKT1/PTEN変異患者(28例)のPFS中央値は、capivasertib+PTXが9.3ヵ月、プラセボ+PTXが3.7ヵ月であった(HR:0.30、95%CI:0.11〜0.79、両側p=0.01)。
・Grade3以上の主な有害事象は、下痢(capivasertib+PTX vs.プラセボ+PTX:13% vs.1%)、感染症(4% vs.1%)、好中球減少症(3% vs.3%)、発疹(4% vs.0%)、疲労(4% vs.0%)であった。

(ケアネット 金沢 浩子)


【原著論文はこちら】

Schmid P, et al. J Clin Oncol. 2020;38:423-433.

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低脂肪食で乳がん死亡リスクは減るか~無作為化比較/JCO

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 食事による脂肪摂取量と乳がんの関連について、観察研究では結果が一貫していない。米国・Harbor-UCLA Medical CenterのRowan T. Chlebowski氏らは、乳がん発症における低脂肪食の影響を検討したWomen’s Health Initiative(WHI)Dietary Modification(DM)試験の追加解析で、乳がん後の死亡リスクとの関連を検討した。その結果、閉経後女性において、野菜、果物、穀物の摂取を増やした低脂肪の食事パターンが、乳がんによる死亡リスクを減らす可能性が示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年2月7日号に掲載。

 WHI DM試験の対象は、米国の40施設において、乳がんの既往がなく食事性脂肪でエネルギーの32%以上を摂取している50~79歳の閉経後女性4万8,835人。通常の食事群(60%)もしくは食事介入群(40%)に無作為に割り付けた。

 主な結果は以下のとおり。

・食事介入8.5年における乳がん発症および乳がんによる死亡は、介入群で低かったが有意ではなかった。一方、乳がん後の死亡は、介入期間中および16.1年(中央値)のフォローアップ期間を通して有意に低かった。

・長期フォローアップ後(中央値:19.6年)も、介入群における乳がん後の死亡の有意な低下は持続した(359例[0.12%]vs.652例[0.14%]、HR:0.85、95%CI:0.74〜0.96、p=0.01)。また、乳がんによる死亡の低下も有意になった(132例[年当たりリスク0.037%]vs.251例[0.047%]、HR:0.79、95%CI:0.64〜0.97、p=0.02)。

(ケアネット 金沢 浩子)


【原著論文はこちら】

Chlebowski RT, et al. J Clin Oncol. 2020 Feb 7:JCO1900435. [Epub ahead of print]

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成人後に5kg増えると閉経前乳がんリスクは?~63万人のプール解析

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 女性は成人初期以降に体重が大きく増減することがある。これまでに体の大きさと閉経前乳がんリスクとの関係は報告されているが、体重変化と閉経前乳がんリスクとの関係は不明である。今回、英国・The Institute of Cancer ResearchのMinouk J. Schoemaker氏らが、17件の前向き研究の個人データをプール解析したところ、成人初期の体重に関係なく、成人初期から45〜54歳までの体重増加が閉経前乳がんリスクの低下と関連することが示唆された。International Journal of Cancer誌オンライン版2020年2月3日号に掲載。

 本研究では、成人初期の体重、体重変化時期、他の乳がんリスク因子、乳がんサブタイプを考慮し、体重変化と閉経前乳がんリスクとの関連を調査した。ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)は、Cox回帰を用いて評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・62万8,463人の女性のうち、1万886人が閉経前に乳がんと診断された。
・18〜24歳時の体重および他の乳がんリスク因子で調整したモデルにおいて、18〜24歳から35〜44歳まで、もしくは45〜54歳までの体重増加が乳がん全体(例:45〜54歳までの5kg増当たりのHR:0.96、95%CI:0.95~0.98)およびエストロゲン受容体(ER)陽性乳がん(45~54歳までの5kg増当たりのHR:0.96、95%CI:0.94~0.98)と逆相関することが示された。
・25~34歳からの体重増加はER陽性乳がんのみと逆相関し、35~44歳からの体重増加はリスクと関連していなかった。
・これらの体重増加はいずれもER陰性乳がんリスクとは関連していなかった。
・体重減少については、成人初期の体重を調整すると、全体またはER有無別のリスクと関連していなかった。

 なお、日本人女性コホートのプール解析では、閉経前乳がんとBMIとの間に正の関連がみられたとの報告(Wada K, et al. Ann Oncol. 2014;25:519-524.)があることから、日本人女性では欧米人女性とは傾向が異なる可能性もある。

(ケアネット 金沢 浩子)


【原著論文はこちら】

Schoemaker MJ, et al. Int J Cancer. 2020 Feb 3. [Epub ahead of print]

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フルベストラント+capivasertib、AI耐性進行乳がんでPFS延長(FAKTION)/Lancet Oncol

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3d illustration shows breast cancer with lymphatics, medically 3D illustration on pink background

 capivasertibは、セリン/スレオニンキナーゼAKTの3つのアイソフォームすべてを強力に阻害するAKT阻害薬である。本剤の無作為化二重盲検プラセボ対照第II相試験(FAKTION試験)において、アロマターゼ阻害薬(AI)に耐性の進行乳がん患者に対し、フルベストラントにcapivasertibを追加することで無増悪生存期間(PFS)が有意に延長することを、英国・カーディフ大学のRobert H. Jones氏らが報告した。Lancet Oncology誌オンライン版2020年2月5日号に掲載。

 本試験の対象は、英国の19病院において、18歳以上、ECOG PS 0〜2、エストロゲン受容体(ER)陽性、HER2陰性で、AIで再発/進行した手術不能の転移/局所進行乳がんの閉経後女性。登録された参加者は無作為に1対1に割り付けられ、病勢進行、許容できない毒性、追跡不能、同意の撤回まで、フルベストラント500mg(1日目)を28日ごとに投与(1サイクル目の15日目に負荷用量を追加)、capivasertib 400mgまたはプラセボを4日間投与3日間休薬の週間スケジュール(1サイクル目の15日目から開始)で1日2回経口投与した。主要評価項目はPFS(片側α:0.20)。参加者募集は終了し、試験は追跡期間中である。

 主な結果は以下のとおり。

・2015年3月16日~2018年3月6日にスクリーニングされた183例中140例(76%)が適格基準を満たし、フルベストラント+capivasertib(capivasertib 群、69例)またはフルベストラント+プラセボ(プラセボ群、71例)に無作為に割り付けられた。
・PFSの追跡期間中央値は4.9ヵ月であった(IQR:1.6〜11.6)。
・PFSの初回解析時(2019年1月30日)までにPFSイベントが112例に発生し、capivasertib群は69例中49例(71%)、プラセボ群は71例中63例(89%)であった。
・PFS中央値はcapivasertib群が10.3ヵ月(95%CI:5.0~13.2)、プラセボ群が4.8ヵ月(同:3.1~7.7)で、未調整のハザード比(HR)は0.58(95%CI: 0.39~0.84)でcapivasertib群が優位であった(両側p=0.0044、片側log rank検定p=0.0018)。
・Grade3/4の主な有害事象は、高血圧(capivasertib群69例中22例[32%]vs.プラセボ群71例中17例[24%]、下痢(10例[14%]vs.3例[4%])、発疹(14例[20%]vs. 0例)、感染症(4例[6%]vs. 2例[3%])、疲労(1例[1%]vs.3例[4%])であった。
・重篤な有害事象はcapivasertib群でのみ発生し、急性腎障害(2例)、下痢(3例)、発疹(2例)、高血糖(1例)、意識喪失(1例)、敗血症(1例)、嘔吐(1例)であった。
・非定型肺炎による死亡1例は、capivasertibの治療関連と評価された。
・capivasertib群のもう1例の死亡原因は不明で、それ以外の両群における死亡(capivasertib群19例、プラセボ群31例)はすべて疾患関連であった。

(ケアネット 金沢 浩子)


【原著論文はこちら】

Jones RH, et al. Lancet Oncol. 2020 Feb 5. [Epub ahead of print]

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がん患者さんのための「男の整容本」ダウンロード可能に

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 資生堂は2月4日、日本対がん協会の協力で小冊子「男の整容本」を発行した。がん治療の副作用による外見上の変化(肌や頭皮の乾燥、眉の脱毛など)は女性だけでなく、男性にも現れる。それらをカバーするために、化粧に不慣れな場合であっても試すことができるよう、簡単でわかりやすいテクニックや美容情報がまとめられている。

 治療の進歩や早期発見により、がんと向き合って過ごす期間が長くなる傾向にあり、就労をしながら通院しているがん患者も増加している。「男の整容本」では、外出時やビジネスシーンなどで役立てられるよう、男性のために考えられたテクニックを全15ページでわかりやすくアドバイス。外見ケアを実際に体験した男性患者からの声として、「もうすぐ仕事に復帰するので、眉を描いたら、やっとスーツ姿の自分が想像できた」、「化粧に抵抗があったが、思っていたより自然で外出が気楽になった」などが紹介されている。

<小冊子の概要>

1. タイトル:「男の整容本」(ホームページからダウンロード可能)
2. 内容:
 Section 1 男の眉メイク
 Section 2 男の肌色カバー
 Section 3 男の頭髪ケア
 Section 4 男の肌ケア
 Section 5 男の唇ケア
 Section 6 男の手指ケア
3. 発行:2020年2月4日(火) *価格は無料

 同社は2019年10月に女性向け美容情報の小冊子「がん患者さんのためのBeauty Book」を発行しており、こちらも上記ホームページからダウンロードが可能。また、医療従事者用の専用ページも設けられており、医療従事者向け・患者向けそれぞれの外見ケアセミナー(無料)への申し込みが可能となっている。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


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