[レポーター紹介 ]
矢崎 秀(やざき しゅう)
2012年 3月 日本大学医学部 卒業
2012年 4月 聖路加国際病院 初期研修医
2014年 4月 聖路加国際病院 内科専門研修医
2015年 4月 聖路加国際病院 内科チーフレジデント
2016年 4月 聖路加国際病院 腫瘍内科フェロー
2019年 4月 国立がん研究センター中央病院 腫瘍内科・先端医療科 がん専門修練医
2021年 4月 国立がん研究センター中央病院 国際開発部門・腫瘍内科 研究員
2023年 6月 Memorial Sloan Kettering Cancer Center,
Department of Radiation Oncology, Research Fellow
Memorial Sloan Kettering Cancer Centerとは
Memorial Sloan Kettering Cancer Center(MSKCC)は米国を代表するがんセンターの1つであり、マンハッタンのアッパーイーストに位置しています。周囲は治安も良く立地にも恵まれており、セントラルパークも徒歩圏内です。病院と隣接して基礎研究棟があり、外来施設などのその他多くの施設がマンハッタン内に存在します。近隣にはWeill Cornell MedicineやThe Rockefeller Universityなどの優れた研究機関があり、人材の交流も盛んに行われています。
Computational Genomicsを得意とした研究室に所属
私の所属している研究室はComputational Genomicsを得意としており、7割がDry、3割がWetベースで研究を進めています。DNA修復経路を標的とした個別化治療の開発を目指して研究を行っています。PIはPhysican-Scientistであり、放射線治療医として臨床を行いながら研究室の運営をしており、医師主導治験の付随研究なども行っています。メンバーは私含めて4人のポスドクと1人のテクニシャンと比較的小さな研究室です。
現在の研究テーマと日々の研究生活のやりがい
私はBRCA1/2機能欠損などの相同組み換え修復異常が免疫治療の効果に与える影響の解明をメインテーマに研究を行っています。相同組み換え修復異常の頻度が高い乳がんや卵巣がん患者さんに成果を還元することをモチベーションに研究に励んでいます。
遺伝子パネル検査であるMSK-IMPACTのシークエンスデータや公共データを用いて仮説を設定し、その背景メカニズムを深堀りする作業を行っています。他にも医師主導治験の患者検体を用いた付随研究など、2~3個のプロジェクトを並行して行っています。毎週のミーティングでPIと解析データを確認し、解釈や方向性を確認しながら研究を進めています。
私は実験を(ほぼ)行っていないため、マウスの腫瘍が縮小した! というような日々の喜びは少ないです。Dry解析は地味でPCやデータとのにらみ合いの日々です。しかし、いろいろな解析プログラムを回し、その結果の妥当性を評価したり、得られた結果を解釈し、仮説の検証や次の解析を考えるステップは楽しく充実した研究生活を送っています。
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