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アロマターゼ阻害薬(AI)耐性のホルモン受容体陽性(HR+)HER2陰性(HER2-)進行乳がん(切除不能の局所進行乳がんもしくは転移・再発乳がん)に対するフルベストラントへのAKT阻害薬capivasertibの上乗せ効果を検討した第III相CAPItello-291試験。その探索的サブグループ解析の結果、CDK4/6阻害薬治療歴、進行がんへの化学療法歴、肝転移の有無にかかわらず、一貫した無増悪生存期間(PFS)の改善が示された。英国・The Royal Marsden Hospital-ChelseaのNicholas Turner氏が欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2023)で報告した。
本試験の主要評価項目である全体集団およびAKT経路に変異のある集団におけるPFSの結果は、2022年のサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2022)で報告されている(全体集団でのハザード比[HR]:0.60、AKT経路変異集団でのHR:0.50)。また、全生存期間(OS)はimmatureではあるが、全体集団でのHRが0.74、AKT経路変異集団のHRが0.69であった。今回は事前に計画された探索的サブグループ解析の結果が報告された(データカットオフ:2022年8月15日)。
・対象:男性もしくは閉経前/後の女性のHR+/HER2-の進行乳がん患者(AI投与中/後に再発・進行、進行がんに対して2ライン以下の内分泌療法・1ライン以下の化学療法、CDK4/6阻害薬治療歴ありも許容、SERD・mTOR阻害薬・PI3K阻害薬・AKT阻害薬の治療歴は不可、HbA1c 8.0%未満)
・試験群(capi群):capivasertib(400mg1日2回、4日間投与、3日間休薬)+フルベストラント(500mg) 355例
・対照群(プラセボ群):プラセボ+フルベストラント 353例
・評価項目:
[主要評価項目]全体集団およびAKT経路(PIK3CA、AKT1、PTENのいずれか1つ以上)に変異のある患者集団におけるPFS
[副次評価項目]全体集団およびAKT経路に変異のある患者集団におけるOS、奏効率(ORR)など
[サブグループ]CDK4/6阻害薬治療歴の有無、進行がんへの化学療法歴の有無、ベースラインにおける肝転移の有無
今回のサブグループ解析における主な結果は以下のとおり。
・全体集団における各群のPFS中央値および調整HR(95%信頼区間)は以下のとおり。
– CDK4/6阻害薬治療歴
あり:capi群5.5ヵ月、プラセボ群2.6ヵ月、0.59(0.48~0.72)
なし:capi群10.9ヵ月、プラセボ群7.2ヵ月、0.64(0.45~0.90)
– 進行がんへの化学療法歴
あり:capi群3.8ヵ月、プラセボ群2.1ヵ月、0.55(0.36~0.82)
なし:capi群7.3ヵ月、プラセボ群3.7ヵ月、0.62(0.51~0.75)
– 肝転移
あり:capi群3.8ヵ月、プラセボ群1.9ヵ月、0.61(0.48~0.78)
なし:capi群9.2ヵ月、プラセボ群5.5ヵ月、0.60(0.48~0.76)
・CDK4/6阻害薬治療期間について12ヵ月未満と12ヵ月以上で層別解析した結果、治療期間によらずcapi群が有効であることが確認された。
Turner氏は「フルベストラント単剤の有効性は低く、CDK4/6阻害薬投与後のアンメットニーズを浮き彫りにした。capivasertib+フルベストラントは、CDK4/6阻害薬の使用有無にかかわらず、AI投与中もしくは後に進行したHR+進行乳がんに対する治療選択肢となる可能性がある」とした。
(ケアネット 金沢 浩子)
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