このコホート研究は、Health, Aging, and Body Composition研究の参加者(ペンシルベニア州ピッツバーグおよびテネシー州メンフィスとその周辺の白人のメディケア被保険者とすべての黒人居住者のランダムサンプルから募集した70~79歳の地域住民3,075人)を対象とし、1997年1月から2013年12月まで17年間観察した。データは2018年5月~2020年2月に分析した。年に一度、ALM、握力、歩行速度を調査し、線形混合効果モデルを使用して、それぞれの変化についてがん発症者の診断前と診断後、非がん発症者で比較した。さらに、サルコペニアの尺度とがん診断日からの全生存および主な身体障害との関連について、多変量Cox回帰を用いて評価した。
早期乳がんの術後補助療法におけるアロマターゼ阻害薬(AI)の服薬アドヒアランスは一般に低く、再発リスクにつながる。今回、大規模な長期無作為化試験(SWOG
S1105)の結果、AIのアドヒアランス失敗率が高いこと、週2回のテキストメッセージ受信ではアドヒアランスが改善しなかったことを米国・コロンビア大学のDawn
L. Hershman氏らが報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年5月5日号に掲載。
本試験は、米国の40施設においてテキストメッセージ(TM)群とテキストメッセージなし(No-TM)群を比較した無作為化試験。対象は、AI投与が36ヵ月以上計画され、30日以上服薬している早期乳がんの閉経後女性で、メッセージは週2回、36ヵ月送信した。メッセージの内容は服薬アドヒアランスの障壁の克服にフォーカスし、行動のきっかけ、薬物治療の効果に関するステートメント、AI服用の推奨などで、3ヵ月ごとに評価した。主要アウトカムは、アドヒアランス失敗(AF)までの期間(time
to adherence
failure)で、AFは、尿中AI代謝物の検査で、<10ng/mL、検出不能、検体提出なしのいずれかの場合と定義した。層別log-rank検定、複数の感度分析により評価した。
主な結果は以下のとおり。
・2012年5月~2013年9月に計724例の患者が登録され、そのうち702例(TM群348例、No-TM群354例)がベースラインで対象となった。
・1次解析ではAFまでの期間に差は見られなかった(3年AF率:TM群81.9% vs. No-TM群85.6%、HR:0.89、95%CI:0.76~1.05、p=0.18)。複数の感度分析でも同様に有意差は見られなかった。
・自己報告によるAFまでの期間(3年AF率:TM群10.4%
vs.No-TM群10.3%、HR:1.16、95%CI:0.69~1.98、p=0.57)、施設報告によるAFまでの期間(21.9%
vs.18.9%、HR:1.31、95%CI:0.86~2.01、p=0.21)も差はなかった。