新規CDK4/6阻害薬dalpiciclib+フルベストラント、進行乳がんのPFS改善(DAWNA-1)/ASCO2021

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 内分泌療法で再発/進行したHR+/HER2-進行乳がんに、新規CDK4/6阻害薬dalpiciclibとフルベストラントの併用が、フルベストラント単独に比べ無増悪生存期間を大幅に改善し、安全性プロファイルも管理可能であったことが、第III相DAWNA-1試験の中間解析で示された。中国・National Cancer Center/Chinese Academy of Medical Sciences and Peking Union Medical CollegeのBinghe Xu氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。

 dalpiciclibは新たなCDK4/6阻害薬で、単剤で、複数の治療歴のあるHR+/HER2-進行乳がんに対し単剤で忍容性および予備的な抗腫瘍活性を示すことが報告されている。本試験は、内分泌療法で再発/進行したHR+/HER2-進行乳がんを対象に、本剤とフルベストラントとの併用についてフルベストラント単独と比較した無作為化二重盲検第III相試験である。今回は、PFSイベント(病勢進行/死亡)が162件(予測の71.4%)発生した時点(2020年11月15日)で、事前に計画されていた中間解析の結果を報告した(追跡期間中央値10.5ヵ月)。

・対象:内分泌療法で再発/進行した、局所進行もしくは転移を有するHR+/HER2-乳がん患者(進行がんに対する1ラインの化学療法は許容) 361例、試験群と対照群に2:1の割合で無作為に割り付け
・試験群:dalpiciclib(150mg1日1回、1~21日目に経口投与、4週間ごと)+フルベストラント(500mg、1サイクル目は1、15日目、その後は1日目に筋注、4週間ごと)241例
・対照群:プラセボ+フルベストラント 120例
・評価項目:
[主要評価項目]治験責任医師の評価によるPFS(有意性の閾値は片側p=0.0080とした)
[副次評価項目]独立評価委員会(IRC)評価によるPFS、全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、クリニカルベネフィット率、奏効期間、次の化学療法までの期間、安全性

 主な結果は以下のとおり。

・治験責任医師の評価によるPFSは、dalpiciclib+フルベストラント群の中央値15.7ヵ月(95%信頼区間[CI]:11.1~NR)で、プラセボ+フルベストラント群の7.2ヵ月(95%CI:5.6~9.2)より有意に延長した(ハザード比[HR]:0.42、95%CI:0.31~0.58、p<0.0001)。
・IRCの評価によるPFSも、dalpiciclib+フルベストラント群の中央値13.6ヵ月(95%CI:11.3~NR)で、プラセボ+フルベストラント群の7.7ヵ月(95%CI:5.6~10.9)より有意に延長した(HR:0.45、95%CI:0.32~0.64、p<0.0001)。
・ORRは、dalpiciclib+フルベストラント群が27.0%(95%CI:21.5~33.0)、プラセボ+フルベストラント群で20.0%(95%CI:13.3~28.3)であった(p=0.0727)。
・次の化学療法までの期間のHRは0.47(95%CI:0.32~0.69、p<0.0001)で、dalpiciclibによるベネフィットはdalpiciclibによる治療の終了後もみられた。
・曝露期間中央値は、dalpiciclib+フルベストラン群ではdalpiciclib 9.4ヵ月(四分位範囲:4.3~11.4)、フルベストラント9.9ヵ月(同:4.7~11.9)、プラセボ+フルベストラント群ではフルベストラント6.1ヵ月(同:3.7~11.0)だった。
・重篤な有害事象の発現率は、dalpiciclib+フルベストラント群、プラセボ+フルベストラント群の順に5.8%、6.7%、有害事象による治療中止率は2.5%、3.3%だった。発現率3%以上のGrade3/4の有害事象は、好中球減少症(84.2%、0%)と白血球減少症(62.1%、0%)だった。

 Xu氏は、「本試験の結果は、内分泌療法で再発または進行したHR+/HER2-進行乳がん患者の新たな治療選択肢として、dalpiciclib+フルベストラントを支持している」と結論した。

(ケアネット 金沢 浩子)


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DAWNA-1(ClinicalTrials.gov)

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閉経後HR+早期乳がん、レトロゾール追加投与でベネフィットが得られる患者は?(NSABP B-42)/ASCO2021

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 閉経後のホルモン(HR)陽性早期乳がん患者において、術後内分泌療法としてのレトロゾール5年間追加投与は、MammaPrintによるゲノムリスクが低リスクの患者では有意なベネフィットが確認されたが、高リスクの患者では有意差を得られなかった。米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で、米国・UPMC Hillman Cancer CenterのPriya Rastogi氏が、第III相NSABP B-42試験の追加解析結果を報告した。

 本試験は、術後内分泌療法を受けた閉経後のHR陽性早期乳がん患者を対象に、レトロゾール5年間追加投与の有効性を検討する無作為化二重盲検プラセボ対照試験。2019年のサン・アントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)で、主要評価項目の無病生存期間(DFS)は、レトロゾール追加投与群で有意に延長したことが報告された(ハザード比[HR]:0.85、p=0.01)。OSに有意差はみられなかったが、乳がん無発症期間(BCFI)のHRは0.75、p=0.003、無作為化から遠隔転移までの期間(DR)のHRは0.72、p=0.01とともに改善した。今回の解析では、レトロゾール5年間追加投与によるベネフィットを受ける患者の選択における、70遺伝子シグニチャー検査(MammaPrint)の有用性が検討された。

・対象:術後内分泌療法としてアロマターゼ阻害薬(AI)を5年間、または3年以内のタモキシフェン投与後にAIを計5年間投与した閉経後のHR陽性早期乳がん患者
・試験群:レトロゾールを5年間追加投与(ELT群)
・対照群:プラセボを5年間投与(プラセボ群)
・評価項目:
[主要評価項目]無作為化から遠隔転移までの期間(DR)
[副次評価項目]無病生存期間(DFS)、乳がん無発症期間(BCFI)

 主な結果は以下のとおり。

・データカットオフは2020年4月30日、追跡期間中央値は 10.4年であった。
・本試験の全適格患者は3,903例、うちMammaPrintの結果が得られ本解析の対象とされたのは1,866例(MPコホート、N0:56.4%、AIのみ:61.1%、HER2-:79.3%)。37.8%がMammaPrint 評価で高リスク(MP-H)、62.2%が低リスク(MP-L)、MP-Lのうち13.5%が超低リスク(MP-UL)、48.7%がMP-LNUL(MP-LだがMP-ULではない)だった。
・レトロゾールの追加効果は、全体集団と比較してMPコホートでより顕著であった。
・主要評価項目のDRは、MP-LでELT群の統計的に有意なベネフィットがみられたが(HR:0.43、95%信頼区間[CI]:0.25~0.74、p=0.002)、MP-Hではみられなかった(HR:0.65、95%CI:0.34~1.24、p=0.19、相互作用のp=0.38)。
・副次評価項目のDFSにおいても、MP-L(HR:0.67、95%CI:0.52~0.85、p<0.001)でELT群の統計的に有意なベネフィットがみられたが、MP-Hではみられなかった(HR:1.10、95%CI:0.82~1.47、p=0.55、相互作用のp=0.015)。
・BCFIでも同様の傾向が観察された。MP-L(HR:0.51、95%CI:0.35~0.74、p<0.001)、MP-H(HR:1.15、95%CI:0.74~1.79、p=0.53、相互作用のp=0.006)。
・MP-Lのサブカテゴリ別にみると、MP-LNULではDR、DFS、BCFIすべてでELT群の統計的に有意なベネフィットがみられたが、MP-ULではみられなかった。ただし、症例数が少ないため検出力が不足している可能性がある。

 演者のRastogi氏は、本結果は追加の内分泌療法を実施する患者選択におけるMammaPrintの臨床的有用性を示したと結論付け、臨床病理学的特徴と組み合わせた解析を行うことで、より最適な患者選択が可能になるのではないかと展望を示した。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


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NSABP B-42試験(Clinical Trials.gov)

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進行TN乳がんへのアテゾリズマブ、どの免疫フェノタイプや分子サブタイプに有効か(IMpassion130)/ASCO2021

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 未治療の進行トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対する第III相IMpassion試験の探索的解析から、免疫フェノタイプや分子サブタイプによりアテゾリズマブの上乗せ効果が異なることが示された。米国・University of Pittsburgh Medical Center Hillman Cancer CenterのLeisha A. Emens氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。

 IMpassion130試験は、進行TNBCの1次治療として、アテゾリズマブ+nab-パクリタキセル(アテゾリズマブ併用群、451例)をプラセボ+nab-パクリタキセル(プラセボ群、451例)と比較した第III相試験で、PD-L1 IC+(腫瘍浸潤免疫細胞が1%以上発現)患者において、アテゾリズマブ併用群で有意な無増悪生存期間(PFS)の改善と臨床的に意味のある全生存期間(OS)の改善が報告されている。また探索的分析では、腫瘍微小環境(TME)がリッチな患者や腫瘍遺伝子変異量が多い患者におけるアテゾリズマブ併用による臨床アウトカムの改善が、PD-L1 IC+患者に限られることも報告されている。今回は、アテゾリズマブの併用効果に関連するTMEの構成要素を特定するために探索的解析を実施した。

 PD-L1発現の有無と免疫フェノタイプ(inflamed/excluded/desert)は免疫組織化学染色(IHC)で評価し、分子サブタイプと経路の分析にはRNA-seqを使用した。アテゾリズマブ併用群とプラセボ群のPFSおよびOSは、タキサン治療歴、肝転移を調整しCox回帰分析を用いて比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・免疫フェノタイプ別では、PD-L1 IC+患者のinflamedタイプ(ハザード比[HR]:0.58、95%信頼区間[CI]:0.42~0.80)およびexcludedタイプ(HR:0.72、95%CI:0.51~1.00)で、アテゾリズマブ併用群のPFS改善がみられ、OSの改善はinflamedタイプ(HR:0.61、95%CI:0.42~0.88)のみでみられた。
・分子サブタイプ別には、PD-L1 IC+患者のBLIA(basal-like immune-activated)タイプ(HR:0.49、95%CI:0.34~0.69)およびBLIS(basal-like immune-suppressed)タイプ(HR:0.66、95%CI:0.44~0.98)でアテゾリズマブ併用群のPFS改善がみられ、OS改善はBLIAタイプ(HR:0.54、95%CI:0.36~0.80)のみでみられた。

 Emens氏は、「TMEの特徴は、PD-L1 IC+の進行TNBC患者におけるアテゾリズマブ+nab-PTXの臨床アウトカムと関連している。一方、PD-L1 IC-の患者のアウトカムと関連する特徴は確認されていない」とまとめた。

(ケアネット 金沢 浩子)


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IMpassion130(ClinicalTrials.gov)

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海外研修留学便り 【米国留学記(大場 崇旦氏)】第4回

[ レポーター紹介 ]
大場  崇旦(おおば たかあき )

2009年3月 信州大学医学部医学科卒業
2009年4月 JA長野厚生連長野松代総合病院初期臨床研修
2011年4月 信州大学医学部外科学教室医員
2013年4月 信州大学医学部外科学教室乳腺内分泌外科学分野医員
2017年3月 信州大学大学院医学系研究科修了 博士号(医学)取得
2018年8月 Roswell Park Comprehensive Cancer Center, Center for immunotherapy, Postdoctoral fellow
2020年8月 信州大学医学部外科学教室乳腺内分泌外科学分野診療助教

 外科医としてキャリアをスタート後、米国Roswell Park Comprehensive Cancer Centerに基礎研究留学され、現在は帰国して信州大学外科学教室で乳腺内分泌外科学分野の診療助教として勤務する大場 崇旦氏に、日米の研究環境の違い、帰国後のキャリアプランニングなどについてレポートいただきます。第4回では帰国後のキャリアの考え方や、留学を経て変わったことについてお伺いしました。

 

元の病院に戻る=日本人特有の考え方!?

 ちょうど丸2年間の留学期間を終え、現在は信州大学医学部附属病院乳腺・内分泌外科にて診療を行っております。当然ではありますが、留学中のような研究漬けの生活というわけにはいかず、正直、日々の診療業務に追われ、ただ時が流れていく毎日です。大学病院ですので、臨床・教育・研究の3本柱でやっていかねばならず、研究のみに集中すればよかった留学中からは考えられないような生活を送っています。今後はこの3本柱をバランスよくこなしていかねばならないと感じています。

 留学中には、ポスドクの後はどうするんだ? と、よく周りから聞かれました。日本に帰国して、元の病院に戻る予定と言うと、どうして戻るんだ、ステップアップしないのかとみんなが不思議そうにしていました。どんなポジションでも常にキャリアアップを目指しているアメリカ人のメンタリティからすると、お世話になった場所に戻るという、日本人的なメンタリティは理解不能のようでした。一方で、私はマンパワー苦しい中、留学に出させてもらったという事情もあり、自分としては戻る以外の選択肢が浮かばず、そんなところからもやっぱり自分は日本人なんだなぁと感じたものでした。

 

桁違いのグラント額、基礎研究分野での日本の立ち位置

 留学を経て変わったことは、グローバルな視点から日本の置かれている現状を意識できるようになったことがまず挙げられると思います。日本で生まれ、日本で生活していると、あまり不自由なこともなく生活できてしまうためか、未だに「Japan as No.1」の時代が続いているのではと錯覚してしまうこともありますが、少なくとも基礎研究の世界では、完全に世界からは置いてけぼりをくらっているような現状であるかと思います。

 数多のノーベル賞受賞者を輩出しているように、研究者としての資質で劣っているわけではないとは思います。その原因は、日本の基礎研究者を取り巻く環境にその問題があるのではないかと思っています。米国でのグラントの額などは日本と比べると本当に桁違いで、研究者として生き残っていくのは大変ですが、大規模なグラントを獲得できればあれやこれやと日本では考えられないような研究展開が可能、ということを実際に見て感じました。また、研究者が集める社会的尊敬も、日米では大きな差があるように感じました。今後は、日本の研究者の生活がよりよくなっていくことを願っています。

 

家族にとっても貴重な経験に

 また、自分だけでなく、家族にとってもアメリカでの2年間の生活は人生においてとても貴重な期間になったのではないかと思います。子供の言語習得能力は高く、現地校で英語のnative speakerと普通にコミュニケーションをとっていたため、英語の発音に関しては完全に負けました。また、現地校には様々な人種の子供が通っていたので、人の多様性への理解も自然に身についているのではないかと思います。肌色のクレヨンを持って、「なんでこれが肌色なの? アービー(インド人の友達)の肌は違うじゃん。おかしいよね。」と言っており、日本で生活していたら身につかない感覚なんだろうなぁと、感じました。

 


早期乳がん、遺伝子診断を加えたリスク評価で術後内分泌療法も省略可能に?(MINDACT)/ASCO2021

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 MammaPrintによるゲノムリスクが超低リスクの患者では、8年時の無遠隔転移生存率(DMFI)が97.0%と非常に高いことが明らかになった。米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で、オランダ・Netherlands Cancer InstituteのJosephine Lopes Cardozo氏が、第III相MINDACT試験から、超低リスク患者の長期生存についての解析結果を報告した。

 本試験は、術後補助化学療法の対象の選択において、標準的な臨床病理学的判定基準に、70遺伝子シグニチャー検査を追加することの臨床的な有用性を前向きに評価する第III相無作為化試験。これまでに、臨床リスクが高いがゲノムリスクが低い患者において、化学療法が省略できる可能性があることを示唆する結果が報告されている。

・対象:年齢18~70歳、リンパ節転移0~3個、遠隔転移のない切除可能な浸潤性原発乳がん(最大腫瘍径5cm)患者 6,693例
※70遺伝子シグニチャー検査(MammaPrint)の結果、超低リスク:1,000例(15%)、低リスク:3,295例(49%)、高リスク:2,398例(36%)と報告されている。
・評価項目:MammaPrint評価による高リスク/低リスク/超低リスク患者における、5年および8年時のDMFIと乳がん特異的生存率(BCSS)。

 主な結果は以下のとおり。

・追跡期間中央値は8.7年。
・ゲノムリスクが超低リスクと評価された患者では、>50歳:67%、腫瘍径≦2cm:81%、リンパ節転移陰性:80%、Grade 1または2:96%、HR陽性/HER2陰性:97%であった。術後に全身療法を受けなかったのは16%、内分泌療法を受けたのは69%、化学療法を受けたのは14%だった。
・超低リスク患者を臨床リスクでみると、高リスクが259例、低リスクが741例。臨床リスク高の患者は腫瘍径が大きく、Gradeが高く、リンパ節転移陽性の傾向がみられた。
・5年時のDMFIは、ゲノムリスクの超低リスク:98.1%(95%信頼区間[CI]:97.2~99.0)、低リスク:97.5%(97.0~98.1)、高リスク:92.5%(91.4~93.6)だった(p<0.0001)。
・8年時のDMFIは、ゲノムリスクの超低リスク:97.0%(95.8~98.1)、低リスク:94.5%(93.6~95.3)、高リスク:89.2%(87.9~90.5)だった(p<0.0001)。
・臨床病理学的特性および治療特性で調整後のDMFIのハザード比は、超低リスク vs.低リスク:0.65(0.45~0.94)、高リスク vs.低リスク:2.17(1.68~2.80)であった。
・ゲノムリスク超低リスクの患者について臨床リスクで層別化して8年時のDMFIをみると、やや差がみられた(臨床リスク低:97.6%[96.4~98.8]、臨床リスク高:95.0%[92.3~97.8]、p=0.02)。
・ゲノムリスク超低リスクの患者について術後に受けた治療で層別化して8年時のDMFIをみると、全身療法なし:97.8%(95.3~100)、内分泌療法のみ:97.4%(96.1~98.7)、化学療法±内分泌療法:94.9%(94.4~98.7)だった(p=0.37)。臨床病理学的特性で調整後のDMFIのハザード比は、化学療法あり vs.化学療法なし:0.98(0.37~2.61)、内分泌療法あり vs. 内分泌療法なし:0.59(95%CI:0.27~2.13)だった。
・8年時のBCSSは、ゲノムリスクの超低リスク:99.6%(99.1~100)、低リスク:98.2%(97.7~98.7)、高リスク:93.7%(92.6~94.7)だった(p<0.0001)。
・ゲノムリスク超低リスクの患者について臨床リスクで層別化してBCSSをみると、差はみられなかった(臨床リスク低:99.7%[99.3~100]、臨床リスク高:99.2%[98.0~100]、p=0.96)。

 演者のCardozo氏は、MammaPrintによる評価で超低リスクとなった患者では、臨床リスクによらず8年BCSSが99%を超え、8年DMFIが95~98%という優れた予後を示したとまとめ、超低リスク患者は治療のさらなるde-escalationが可能な候補者であるとした。ディスカッサントを務めたフランス・Gustave RoussyのFabrice Andre氏は、本解析だけでは症例数が少ないが、ゲノムリスクが超低リスクかつ臨床リスクが低リスクの患者については術後内分泌療法を省略できる可能性があるとして、より詳細な研究が必要と述べた。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


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MINDACT試験(Clinical Trials.gov)

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進行TN乳がんIMサブタイプの1次治療にfamitinib+camrelizumab+nab-パクリタキセルが有望(FUTURE-C-PLUS)/ASCO2021

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 immunomodulatory(IM)サブタイプの進行トリプル(TN)乳がんの1次治療として、中国で複数のがんに承認されている抗PD-1抗体camrelizumabとnab-パクリタキセルの併用に、VEGFR-2、PDGFR、c-kitを標的とした経口チロシンキナーゼ阻害薬famitinibを追加することにより、有望な抗腫瘍活性および管理可能な毒性プロファイルを示したことが、前向き単群第II相試験のFUTURE-C-PLUS試験で示された。中国・Fudan University Shanghai Cancer CenterのZhi-Ming Shao氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。

 camrelizumabおよびnab-パクリタキセルは、転移を有するIMサブタイプのTN乳がんに有望な抗腫瘍活性を示すことが報告されている(第Ib/II相アンブレラ試験のFUTURE試験で、複数の抗がん剤治療歴のある患者における奏効率52.6%)。一方、血管新生阻害薬は免疫チェックポイント阻害薬への反応を増強することが知られていることから、IMサブタイプのTN乳がんに対するfamitinib+camrelizumab+nab-パクリタキセルの3剤併用の有効性と安全性を評価した。

・対象:治療歴のない切除不能な局所進行もしくは転移を有するIMサブタイプのTN乳がん
・試験群:camrelizumab(200mgを1、15日目に静注、4週ごと)+nab-パクリタキセル(100mg/m2を1、8、15日目に静注、4週ごと)+famitinib(20mg 1日1回を1~28日目に経口投与、4週ごと)を病勢進行もしくは耐容不能な毒性の発現まで継続(nab-パクリタキセルは最低6サイクル投与)
・評価項目:
[主要評価項目]奏効率(ORR)
[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、奏効期間(DOR)、安全性

 主な結果は以下のとおり。

・2019年10月~2020年10月に48例が登録された。
・奏効率は、ITT集団で81.3%(48例中39例、95%信頼区間[CI]:70.2~92.3)、per protocol集団で84.8%(46例中39例、95%CI:74.4~95.2)だった。
・2021年4月30日時点で観察期間中央値は11.5ヵ月、PFS中央値は未到達で、9ヵ月でのPFS率は60.2%(95%CI:43.2~77.3) 、10ヵ月でのPFS率は53.5%(95%CI:37.6~69.3)だった。
・奏効までの期間の中央値は 1.8ヵ月(95%CI:1.8~2.0)だった。
・重篤な治療関連有害事象(TRAE)は2例(4.2%)、投与中止に至ったTRAEは3例(6.3%)に発現し、治療関連死亡はなかった。
・Grade 3/4の有害事象として、好中球減少症(33.3%)、貧血(10.4%)、発熱性好中球減少症(10.4%)、血小板減少症(8.3%)、高血圧症(4.2%)、甲状腺機能低下症(4.2%)、末梢感覚ニューロパチー(2.1%)、ALT/AST上昇(2.1%)、蛋白尿(2.1%)、敗血症(2.1%)、免疫関連心筋炎(2.1%)がみられた。
・バイオマーカー分析から、次世代シークエンサーパネルで検出されたBACA1KAT6APKD1の体細胞変異が免疫療法の効果を予測できる可能性が示唆された。

 現在、無作為化比較試験のFUTURE-SUPERが進行している。

(ケアネット 金沢 浩子)


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FUTURE-C-PLUS(ClinicalTrials.gov)

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術前化療後に残存病変を有するTN乳がん、術後カペシタビンvs.プラチナ(ECOG-ACRIN EA1131)/ASCO2021

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 術前療法施行後にも残存腫瘍を有するトリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者に対する、術後の追加療法としてのプラチナ製剤とカペシタビンとの比較試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、米国・ECOG-ACRINグループのIngrid A. Mayer氏から発表された。

 術前療法後に残存腫瘍を有するTNBC患者に対するカペシタビン追加投与の有用性は、すでに日韓共同のCREATE-X試験によって示唆されている。本試験は対象患者層が異なるプラチナ製剤とカペシタビンとの第III相の無作為化比較試験である。

・対象:初診時にStage II/IIIのTNBCで、タキサン±アントラサイクリンの術前治療を受け、手術後の評価で1cm以上の残存腫瘍がある症例(リンパ節転移は問わず)
遺伝子検査キットPAM50にてBasalタイプとNon-Basalタイプを判定
・試験群:カルボプラチン(AUC 6)またはシスプラチン(75mg/m2)を3週ごとに4サイクル投与(Pt群)
・対照群:カペシタビン(1,000mg/m2)を2週投与1週休薬を1サイクルとして6サイクル投与(Cape群)
・評価項目:
[主要評価項目]Basalタイプにおける無浸潤疾患生存期間(iDFS)
[副次評価項目]全生存期間(OS)、無再発生存期間(RFS)、Basalタイプの割合、Non-BasalタイプのiDFS

 主な結果は以下のとおり。

・試験の統計学的設計は、初めに非劣性を検証し、それがクリアされれば優越性も検証するデザインであった。
・2021年1月に5回目の中間解析が実施され、Pt群のCape群に対するハザード比[HR]は1.09(95%信頼区間[CI]:0.62~1.90)であり、Pt群の非劣性または優越性がクリアされる可能性は低く、有害事象も多かったことから、2021年3月に安全性データモニタリング委員会が試験中止を勧告した。
・Basalタイプの症例は308例(78%)、Non-Basalタイプが86例登録された。
・患者背景は、タキサン+アントラサイクリンの投与が約85%、放射線治療ありが約75%、リンパ節転移なしがほぼ半数であった。
・Basalタイプの3年時のiDFS率は、Pt群42%、Cape群49%、HRは1.06(95%CI:0.62~1.90)であった。
・同様にBasalタイプの3年時のOS率は、Pt群58%、Cape群66%、HR 1.13(95%CI:0.71~1.79)であり、3年時のRFS率は、Pt群46%、Cape群49%、HRは0.99(95%CI:0.67~1.45)であった。
・主な有害事象は貧血、白血球減少がPt群で多く、下痢や手足症候群がCape群で多かった。
・Pt群では、プロトコール治療を完遂できたのは82.2%、Cape群78.7%であり、用量変更があったのはPt群52.4%、Cape群73.2%であった。

 最後に演者は「今回の結果から、術前療法後に残存腫瘍を有する症例に、プラチナ製剤の術後投与の出番はないが、引き続きカペシタビンの役割は重要であることが確認された」と述べた。

(ケアネット)


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ECOG-ACRIN EA1131(Clinical Trials.gov)

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BRCA変異陽性HER2-早期乳がんへの術前talazoparib、単剤でpCR45.8%(NEOTALA)/ASCO2021

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 生殖細胞系列のBRCA遺伝子(gBRCA)変異を有するHER2陰性早期乳がんに対する術前のtalazoparib単剤投与が、良好なpCR率を示した。米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのJennifer Keating Litton氏が、第II相NEOTALA試験の早期解析結果を発表した。

 本試験は、非無作為化、単群の多施設共同非盲検試験。gBRCA変異を有するHER2陰性早期乳がんに対する術前補助療法としてのtalazoparibの有効性と安全性の評価を目的に実施された。

・対象:gBRCA変異を有するHER2陰性早期進行乳がん患者 61例
・試験群:talazoparib(1mg/日、中等度腎機能障害がある場合0.75mg/日)を24週経口投与
・評価コホート:
[評価対象集団]治療開始時に処方されたtalazoparibについて80%以上の投与を受け、乳房手術と病理学的完全奏効(pCR)評価を受けた患者およびpCR評価前に進行した患者
[安全性およびITT解析集団]1回以上のtalazoparib投与を受けた全患者
・評価項目:
[主要評価項目]独立中央委員会(ICR)評価による評価対象集団におけるpCR。本試験における有効性は事後確率としてのpCR>45%とされた。
[副次評価項目]ICR評価によるITT集団におけるpCR、両集団における残存腫瘍量(RCB)、治験担当医評価(INV)による両集団におけるpCR、無イベント生存期間(EFS)、全生存期間(OS)、安全性など
※評価は術後に行われ、治験担当医選択による術後抗がん剤治療は可能とされた。

 主な結果は以下のとおり。

・talazoparibによる治療を受けた61例のうち、48例が評価対象集団の条件を満たした。
・ITT集団のベースライン特性は、平均年齢44.6歳、閉経前/後が59.0%/41.0%、BRCA1/BRCA2変異陽性が78.7%/21.3%、TNBCが100%、StageI/II/IIIが32.8%/44.3%/22.9%。また、扁平上皮がん1例を除き、他はすべて腺がんであった。
・ITT集団における平均治療期間は23.3週間で、90.2%の患者がtalazoparibによる治療を20週以上受けていた。平均相対的治療強度(RDI)は84.5%であった。
・ICR評価によるpCRは、評価対象集団で45.8%/ITT集団で49.2%。
・INV評価によるpCRは、評価対象集団で45.8%/ITT集団で47.5%。
・ICR評価によるRCBは、0:評価対象集団45.8%/ITT集団49.2%、I:0%/1.6%、II:31.3%/27.9%、III:0%/0%、その他:22.9%/21.3%。
・治療中に発生した有害事象は、患者の95.1%で報告された(Grade1:36.1%、Grade2:14.8%、Grade3:42.6%、Grade4:1.6%)。
・多くみられたのは疲労(Grade1:55.7%、Grade2:19.7%、Grade3:1.6%)、吐き気(Grade1:50.8%、Grade2:11.5%、Grade3:1.6%)、脱毛症(Grade1:54.1%、Grade2:3.3%)、貧血(Grade1:6.6%、Grade2:1.6%、Grade3:39.3%)。死亡例は報告されていない。

 Litton氏は、術前talazoparib単剤療法は有効であり、アントラサイクリン+タキサンベースの併用化学療法で観察された値に匹敵するpCR率を示し、一般的に忍容性は良好で、新たな安全性シグナルは確認されていないと結論づけている。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


【参考文献・参考サイトはこちら】

NEOTALA試験(Clinical Trials.gov)

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HR+/HER2+進行乳がん1次治療、トラスツズマブ+内分泌療法vs.化学療法(SYSUCC-002)/ASCO2021

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 ホルモン受容体陽性HER2陽性(HR+/HER2+)進行乳がんの1次治療において、トラスツズマブ+内分泌療法がトラスツズマブ+化学療法に対し非劣性で毒性も少ないことが、第III相SYSUCC-002試験で示された。中国・Sun Yat-sen University Cancer CenterのZhongyu Yuan氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。

 HER2+進行乳がんの1次治療において、抗HER2治療+化学療法は生存ベネフィットが示されている。一方、HR+進行乳がんには、安全性の面で化学療法より内分泌療法が推奨されている。しかしながら、HR+/HER2+進行乳がんの1次治療として、抗HER療法に内分泌療法と化学療法のどちらを併用したほうがよいのか示されていない。そこで、Yuan氏らは、中国の9病院で2013年9月16日~2019年12月28日に登録された、HR+/HER2+進行乳がん患者を対照に非盲検非劣性第III相無作為化比較試験を実施した。

・対象:18歳以上、術後無病期間12ヵ月超、ECOG PS 0もしくは1、HR+/HER2+の進行乳がん 396例
・試験群:内分泌療法+トラスツズマブ(内分泌療法群)196例
・対照群:化学療法(タキサン、カペシタビン、ビノレルビン)+トラスツズマブ(化学療法群)196例
・評価項目:
[主要評価項目]無増悪生存期間(PFS)(ハザード比[HR]の非劣性マージン上限を1.35とした)
[副次評価項目]全生存率(OS)、奏効率、安全性

 主な結果は以下のとおり。

・主要評価項目であるPFSでは、内分泌療法群の化学療法群に対するHRが0.88(95%信頼区間[CI]:0.71~1.09、log-rank p=0.250)と非劣性を示した(非劣性のp<0.0001)。
・OSについては、内分泌療法群の化学療法群に対するHRは0.82(95%CI:0.65~1.04、log-rank p=0.090)であった。
・探索的解析では、術後無病期間が24ヵ月より長い患者では内分泌療法群のほうが良好(HR:0.77、95%CI:0.53~1.10)であり、24ヵ月以下の患者では化学療法群のほうが良好(HR:0.77、95%CI:0.97~1.980)である可能性が示唆された。
・有害事象は、化学療法群で内分泌療法群に比べて発現頻度が高かった(白血球減少症:50.0% vs.6.6%、悪心:47.4% vs.12.2%、疲労:24.0% vs.15.8%、嘔吐:23.0% vs.6.1%、頭痛:33.2% vs.12.2%、脱毛症:63.8% vs.4.1%)。

(ケアネット 金沢 浩子)


【参考文献・参考サイトはこちら】

SYSUCC-002(ClinicalTrials.gov)

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HR-/HER2+乳がん術前治療、トラスツズマブ+ペルツズマブ±PTXの予後(ADAPT)/ASCO2021

提供元:CareNet.com

 ホルモン受容体陰性HER2陽性(HR-/HER2+)の乳がん患者に対する、トラスツズマブ+ペルツズマブ±パクリタキセルによる術前療法の予後に関する有望な結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、ドイツ・West German Study Group(WSG)のNadia Harbeck氏から報告された。

 このADAPT試験はWSGにより実施されたオープンラベルの第II相無作為化比較試験である。この試験のpCR率の結果は2017年に公表されており、今回はその生存に関する報告である。また、本試験と同じデザインでのHR-/HER2+集団に対するpCR率の良好な結果は2020年のESMOで公表されている。

・対象:遠隔転移のないHR-/HER2+乳がん134例(5:2の割合で2群に割り付け)
・試験群A:トラスツズマブ(初回8mg/kg、その後3週ごとに6mg/kg)+ペルツズマブ(初回840mg、その後3週ごとに420mg)(TP群:92例)
・試験群B:トラスツズマブ+ペルツズマブ+パクリタキセル(80mg/m2を1回/週)(TPPtx群:42例)
・評価項目:
[主要評価項目]pCR率(乳房内の浸潤がんとリンパ節転移がない例[ypT0/is ypN0]におけるpCR率と、非浸潤がんも含めて完全に残存腫瘍のない例[ypT0 ypN0]におけるpCR率)
[副次評価項目]浸潤がんのない無病生存期間(iDFS)、遠隔転移のない無病生存期間(dDFS)、全生存期間(OS)、安全性、バイオマーカー検索など
 3週間目にKi67値がベースライン比30%以上低下、もしくは浸潤がん細胞数が500個以下への減少が認められた症例などを早期奏効例とした。

 主な結果は以下のとおり。

・患者背景は、50歳未満が33~41%(年齢中央値:52~54歳)、N0が54~62%、核異形度3が88.0%、HER2-IHC3+が86~91%、ベースラインのKi67値は50%であった。
・既報のpCR率は、ypT0/is ypN0でTP群34.4%、TPPtx群90.5%であった。また、ypT0 ypN0ではTP群24.4%、TPPtx群78.6%であった。
・iDFS率は、5年時点でTP群87%、TPPtx群98%、ハザード比[HR] 0.32(95%信頼区間[CI]:0.07~1.47)、p=0.144であった。
・OS率は、5年時点でTP群94%、TPPtx群98%(死亡は1名のみ)、HR 0.41(95%CI:0.05~3.55)、p=0.422であった。
・pCRが得られた症例(69例)と得られなかった症例(63例)でiDFSを比較した場合、pCR例は5年時iDFS率が98%、non-pCR例では82%、HRは0.14(95%CI:0.03~0.64)、p=0.011であった。
・TP群において、pCRが得られなかったIHC1+/2+およびFISH陽性例や、Basalタイプ、または早期奏効を得られなかった症例を、non-sensitive症例(31例)として、その他の症例とiDFSを比較した場合、5年時のiDFS率はnon-sensitive79%、その他93%、HRは1.99、p=0.255であった。

 演者のHarbeck氏は「化学療法の有無によらず、両群とも優れたpCR率と生存率を示した。また、抗体2剤のみによる術前治療は早期奏効が得られた場合に有望であり、今後はさらにIHC3+症例やBasalタイプ以外、RNAなどで選別した症例でも検討する必要がある」と述べた。

(ケアネット)