COVID-19、がん患者の全死亡率への影響/Lancet

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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患したがん患者のデータが不足している中、米国・Advanced Cancer Research GroupのNicole M. Kuderer氏らによる検討で、COVID-19に罹患したがん患者の30日全死因死亡率は高く、一般的なリスク因子(年齢、男性、喫煙歴など)、およびがん患者に特異な因子(ECOG PS、活動性など)との関連性が明らかにされた。今回の結果を踏まえて著者は、「さらなる長期追跡を行い、がん患者の転帰へのCOVID-19の影響を、特異的がん治療の継続可能性も含めて、明らかにする必要がある」とまとめている。Lancet誌2020年6月20日号掲載の報告。

米国・カナダ・スペインの患者について分析

 研究グループは、COVID-19罹患のがん患者コホートの転帰を特徴付け、死亡および疾患重症化の潜在的予測因子を特定するコホート研究を行った。

 COVID-19 and Cancer Consortium(CCC19)データベースから、SARS-CoV-2感染確定例で、活動性がんおよびがん既往歴のある18歳以上の米国・カナダ・スペインの匿名化患者データを集めて分析した。各患者のデータは、2020年3月17日~4月16日の間にベースラインデータが入力され、フォローアップデータは5月7日まで入力されていた。

 収集・分析したのは、ベースラインの臨床状態、治療歴、がんの診断・治療、COVID-19の経過。主要エンドポイントは、COVID-19診断後30日間の全死因死亡とした。

 転帰と潜在予後変数の関連性を、年齢、性別、喫煙状態、肥満について補正後のロジスティック回帰分析を用いて評価した。

人種、肥満、がん種、がん治療、直近手術は死亡と関連せず

 試験期間中にCCC19データベースには1,035件の記録が入力され、解析の適格基準を満たした患者928例について分析した。被験者の年齢中央値は66歳(IQR:57~76)、279例(30%)が75歳以上で、男性患者は468例(50%)であった。

 最も一般的にみられた悪性腫瘍は、乳がん(191例[21%])および前立腺がん(152例[16%])。366例(39%)の患者が抗がん剤の治療中で、396例(43%)が活動性(測定可能)がん患者であった。

 2020年5月7日の解析時点で、死亡は121例(13%)であった。年齢等補正後ロジスティック回帰分析の結果、30日死亡増大の関連独立因子は、加齢(10歳増につき、年齢等補正後オッズ比[OR]:1.84、95%信頼区間[CI]:1.53~2.21)、男性(1.63、1.07~2.48)、喫煙状態(元喫煙者vs.非喫煙者の同1.60、1.03~2.47)、併存疾患数(2 vs.なしの同4.50、1.33~15.28)、ECOG PS 2以上(2 vs.0または1の同3.89、2.11~7.18)、活動性がん(進行vs.寛解の同:5.20、2.77~9.77)、アジスロマイシン+ヒドロキシクロロキン投与(vs.非投与の同:2.93、1.79~4.79、適応症による交絡は除外できなかった)であった。

 また、米国北東部の住民と比較して、カナダの住民(年齢等補正後OR:0.24、95%CI:0.07~0.84)、米国中西部の住民(0.50、0.28~0.90)の30日全死因死亡率は低かった。人種・民族、肥満状態、がんのタイプ、抗がん剤治療のタイプ、直近の手術について死亡との関連は認められなかった。

(ケアネット)


【参考文献・参考サイトはこちら】

Kuderer NM, et al. Lancet. 2020;395:1907-1918.

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乳がん術後補助療法の非順守が血清検査で判明、再発リスクは2倍/JCO

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 乳がん術後補助療法のタモキシフェン治療へのノンアドヒアランス(非順守)は、医師に認識されていないことが多い。今回、フランス・Institut Gustave RoussyのBarbara Pistilli氏らが、タモキシフェン治療の非順守率を血清検査で生化学的に調べたところ、自己申告では順守であっても順守していない患者が多いことがわかった。また、非順守患者では短期における遠隔無再発生存期間(DDFS)が順守患者より有意に短いことが示された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年6月22日号に掲載。

 本研究の対象は、大規模前向き研究であるCancer Toxicities(CANTO)研究(NCT01993498)に登録された閉経前女性1,177例。生化学的非順守は処方1年後の血清タモキシフェン値が60ng/mL未満とした。同時に自己申告による非順守について半構造化面接で調査した。診断時の年齢、TNM病期分類、手術の種類、化学療法の有無、サイズに基づく傾向スコアを用いた逆確率加重モデルおよびCox比例ハザードモデルにより生存分析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・血清タモキシフェン検査において、設定したアドヒアランスの閾値を下回った患者は16.0%(188例)で、患者申告による非順守率(12.3%)より高かった。
・血清タモキシフェン検査で非順守であった188例のうち55%の患者は、自己申告では順守としていた。
・血清タモキシフェン検査から中央値24.2ヵ月の追跡期間後、生化学的非順守であった患者のDDFSは有意に短く(調整ハザード比:2.31、95%CI:1.05〜5.06、p=0.036)、順守患者では95.4%の患者が3年間遠隔再発なく生存していたのに対し、非順守コホートでは89.5%だった。

 著者らは、「薬剤モニタリングは、処方どおりにタモキシフェンを服用せず、転帰不良のリスクがある患者を迅速に特定するために有用かもしれない」と考察している。

(ケアネット 金沢 浩子)


【原著論文はこちら】

Pistilli B, et al. J Clin Oncol. 2020 Jun 22:JCO1901758. [Epub ahead of print]

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閉経後乳がん患者、術後AI+スタチンが再発リスク低下と関連

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 スタチンの使用は、術後アロマターゼ阻害薬(AI)治療を受けている閉経後乳がん患者において、再発リスクの低下と関連していた。デンマーク・オーフス大学病院のSixten Harborg氏らが、集団ベースのコホート研究結果を、Breast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2020年6月22日号に報告した。

 研究者らは、2007~2017年にI~III期のホルモン受容体陽性乳がんと診断された閉経後のすべての患者を登録。術後AI治療が実施された。デンマーク国立処方レジストリから、スタチンの処方(診断後1年以上の処方)を確認し、生物学的潜伏期間を考慮し6ヵ月後からの時変曝露としてモデル化した。

 追跡調査は診断7ヵ月後に始まり、再発、死亡、移住、5年経過のいずれかの最初のイベント、または2018年9月25日まで継続された。5年後の再発発生率を推定し、Cox回帰モデルを使用して、調整ハザード比(HR)を算出し、スタチン曝露群と非曝露群を比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・14,773例の適格患者が登録された。
・5年間の追跡期間中に、スタチン曝露群では3,163人年当たり32件の再発があり、非曝露群では45,655人年あたり612件の再発があった(1,000人年当たりの発生率:10.12[95%CI:6.92~14.28] vs.13.40[95%CI:12.36~14.51])。
・多変量モデルでは、スタチンへの曝露が5年間の乳がん再発率の低下と関連していた(調整HR:0.72[95%CI:0.50~1.04])。
・脂溶性スタチンへの曝露のみを考慮した場合にも、結果は同様であった(調整HR:0.70 [95%CI:0.48~1.02])。

 研究者らは、交絡因子としてBMIや術後AI治療のアドヒアランスの影響などを考慮できていない点を本研究の限界として挙げつつも、AI治療を受けた早期乳がん患者が、術後レジメンに脂溶性スタチンを追加することでさらにベネフィットを得る可能性があると結んでいる。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


【原著論文はこちら】

Harborg S, et al. Breast Cancer Res Treat. 2020 Jun 22. [Epub ahead of print]

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オリゴ転移乳がんの生存延長に最善の治療を検討

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 中国・Chinese Academy of Medical Sciences and Peking Union Medical College のBo Lan氏らの研究から、頭蓋外オリゴ転移乳がんの予後は比較的良好であり、転移病変の外科的切除が無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を大きく改善する可能性が示された。International Journal of Cancer誌オンライン版2020年6月14日号に掲載。

 本研究では、頭蓋外オリゴ転移の臨床的特徴と予後因子および最善の治療方法を特定することを目的に、2009~14年、中国・National Cancer Centerで頭蓋外オリゴ転移乳がんと診断された術後入院患者50例を対象に調査した。オリゴ転移乳がんは、転移病変が3個以下で1つの臓器に限局している転移乳がんと定義し、de novo StageIVと局所再発は除外した。

 主な結果は以下のとおり。

・PFS中央値は15.2ヵ月、OS中央値は78.9ヵ月、2年PFS率は40%、5年OS率は58%であった。
・標準全身治療+転移病変すべての外科的切除による1次治療が、PFS延長(ハザード比[HR]:0.32、95%信頼区間[CI]:0.14~0.73、p=0.006)およびOS延長(HR:0.35、95%CI:0.14~0.86、p=0.022)の独立した予後因子であった。
・サブグループ解析により、無病期間が24ヵ月以上、転移病変が1つのみ、ホルモン受容体陽性の症例で切除が有用な可能性が高いことが示された。

(ケアネット 金沢 浩子)


【原著論文はこちら】

Lan B, et al. Int J Cancer. 2020 Jun 14. [Epub ahead of print]

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早期乳がんのサブタイプ別生存期間、長期追跡結果

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 早期乳がんの免疫組織化学(IHC)に基づくサブタイプ別の生存期間について、イタリア・IRCCS-Ospedale Policlinico San Martino/ジェノバ大学のElisa Zanardi氏らが長期にフォローアップした。その結果、このサブタイプの定義が長期予後の層別化に妥当であることが示された。Oncology Research and Treatment誌オンライン版2020年6月8日号に掲載。

 本研究は、1985~90年にStage I~IIIの乳がんと診断された女性200例のコホートで検討した。サブタイプと全生存期間(OS)および乳がん関連生存期間の関連を、多変量モデルを用いて評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・乳がんのサブタイプ別の割合は、luminal A-likeが42.0%、luminal B-like/HER2陰性が32.5%、HER2陽性が8.5%、トリプルネガティブが17.0%であった。
・腫瘍径2cm超が53.0%、リンパ節転移ありが47.5%であった。
・追跡期間中央値18.7年(範囲:0.3〜32.0年)の間に140例が死亡した(乳がん関連死亡は75例)。
・OS中央値はluminal A-likeが最も長く(21.2年、95%信頼区間[CI]:17.4~24.9)、luminal B-like/HER2陰性は乳がん関連生存期間の悪化と有意に関連していた(調整ハザード比[HR]:1.86、95%CI:1.09~3.16)。
・多変量解析で、腫瘍径2cm超(2cm以下に対するHR:1.71、95%CI:1.03~2.84)およびリンパ節転移あり(転移なしに対するHR:2.19、95%CI:1.03~4.65)が乳がん関連生存期間に影響していた。

 著者らは、「分子プロファイリングなど、より精密な方法が広く利用可能になるまで、IHCに基づくサブタイプが乳がんの治療アルゴリズムに使用されるだろう」と述べている。

(ケアネット 金沢 浩子)


【原著論文はこちら】

Zanardi E, et al. Oncol Res Treat. 2020 Jun 8:1-9. [Epub ahead of print]

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アテゾリズマブ、早期TN乳がんの術前化学療法で主要評価項目を達成/中外

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 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役会長 CEO:小坂 達朗)は6月18日、早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対する免疫チェックポイント阻害薬アテゾリズマブに関する第III相IMpassion031試験において、主要評価項目を達成したことを発表。早期 TNBCにおけるアテゾリズマブの有用性を示したのは初となる。

 IMpassion031試験は、早期TNBCの術前薬物療法において、アテゾリズマブと化学療法(パクリタキセル[アルブミン懸濁型]、ドキソルビシン、シクロホスファミド)の併用と化学療法単独とを比較する多施設共同二重盲検無作為化試験。333例が1:1の割合で無作為に各群に割り付けられ、主要評価項目は、ITT解析集団およびPD-L1の発現が認められる症例における病理学的完全奏効(pCR)である。

 今回、同試験において、PD-L1の発現状況を問わない早期TNBC患者集団で、統計学的に有意かつ臨床的に意義のあるpCRの改善を示し、主要評価項目を達成した。また、アテゾリズマブと化学療法の併用における安全性は、これまでにそれぞれの薬剤で認められている安全性プロファイルと同様であり、本併用療法による新たな安全性上の懸念は示されなかった。IMpassion031試験の成績の詳細は、今後の医学系学会にて発表される予定となっている。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


【参考文献・参考サイトはこちら】

IMpassion031試験(Clinical Trials.gov)

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StageIV乳がんに早期局所療法は予後を改善するか(ECOG-ACRIN 2108)/ASCO2020

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 未治療のStageIV乳がんに対する早期の局所療法による予後改善効果についての報告が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で、米国・Northwestern Memorial HospitalのSeema A. Khan氏より発表された。

 本試験はECOG-ACRIN臨床試験グループが実施したもの(ECOG-ACRIN 2108試験)で、第III相の無作為化比較試験である。

・対象:標準薬物療法を施行し、4~8ヵ月間転移巣の病勢進行がなかったStageIV乳がん症例
・試験群:原発巣に対する局所療法(切除断端陰性を確認し、その後の放射線療法は許容)を施行(ELT群)
・対照群:当初の全身療法を継続(CST群)
・評価項目:
[主要評価項目]全生存期間(OS)
[副次評価項目]局所の増悪までの期間、QOLなど
・両群とも5年間の追跡期間とした。

 主な結果は以下のとおり。

・2011~15年に390例が一次登録され、そのうち256例がCST群(131例)とELT群(125例)に無作為化割り付けされた。
・CST群とELT群の間の全体的なクロスオーバー施行率は14%であった。
・ELT群では、125例中109例が手術を受け、切除断端が陰性だったのは87例、その後の放射線療法を受けたのは74例であった。また、CST群では、131例中25例が手術を受けた。
・追跡期間中央値は53ヵ月(データカットオフ2019年12月)で、OS中央値は54ヵ月、ハザード比(HR)1.09(90%信頼区間[CI]:0.80~1.49)、p=0.63で、両群間にOSの統計学的な有意差は認められなかった。
・各サブタイプ(TNBC、HER2陽性、ホルモン陽性)においても、両群間のOSの有意な差は検出されなかった。
・無増悪生存期間(PFS)においては、データカットオフ時点で178例が病勢進行または死亡し、p=0.40であった。
・乳房内再発や胸壁への浸潤、領域リンパ節への転移などの局所再発/増悪の累積発現率は、CST群25.6%(95%CI:18.6~34.5)、ELT群10.2%(95%CI:5.9~17.3)で、HR0.37(95%CI:0.19~0.73)p=0.003と、CST群で有意に高かった。
・FACT-B評価による健康関連QOLは、18ヵ月時点で、ELT群がCST群に比し、有意に低下していた(p=0.001)が、その他の時間軸では、両群間の差は認められなかった。

 演者のKhan氏は「未治療のStageIV乳がんの原発巣に対する局所療法は、生存期間延長などのベネフィットは期待すべきではない。また、本試験と同様のデザインで進行中の日本のJCOG-1017の結果が待たれる」と結んだ。

(ケアネット)


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オリゴ転移乳がん、局所併用療法 vs.全身療法(OLIGO-BC1)/ASCO2020

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 日本、中国、韓国によるアジア圏での国際後ろ向きコホート研究の結果、オリゴ転移乳がんに対する局所療法と全身療法併用の生存に対するベネフィットが示された。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で、がん研究会有明病院の上野 貴之氏がOLIGO-BC1試験の結果を発表した。

・対象:ABCガイドラインで定義されたオリゴ転移を有する乳がん患者(転移個数が少なく[5個以下]、サイズが小さい、腫瘍量の少ない転移疾患。転移臓器の数は定義されていない)
・主な除外基準:脳、胸膜、腹膜への転移、あるいは切除不能な皮膚および胸壁への再発症例/胸水貯留を認めた症例/生理的腹水を超えて腹水貯留を認めた症例/心外膜液貯留を認めた症例/同側乳房内再発症例/他臓器の浸潤がんの既往がある症例/重篤な併存症(心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病、自己免疫疾患など)を有する再発症例
・試験群:局所療法(外科的切除、放射線療法、焼灼療法および経カテーテル動脈(化学)焼灼療法など)と全身療法(化学療法、内分泌療法、抗HER2療法など)の併用
・対象群:全身療法のみ
・評価項目:
[主要評価項目]全生存期間(OS)
 ※以前の報告から5年OSを50%、40%とそれぞれ仮定した場合、両側の有意水準で併用療法の優位性を検出するために、少なくとも698例、検定力80%が必要とされた
[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、長期的なPFSおよびOSを定義する臨床的、解剖学的および病理学的分析、局所療法に関連する重篤な有害事象

 主な結果は以下のとおり。

・2018年2月~2019年5月に1,295例が登録され、除外基準に基づき1,200例が分析対象(中国、日本、韓国からそれぞれ573、529、98例)とされた。
・HR+HER2-が526例(44%)、HR+HER2+が189例(16%)、HR-HER2+が154例(13%)に、HR-HER2-が166例(14%)、その他は161例(13%)であった。
・オリゴ転移数1が578例(48%)、2が289例(24%)、3が154例(13%)、4が102例(9%)、5が77例(6%)であった。
・内臓転移のみが387例(32%)、骨転移のみが301例(25%)、局所再発のみが83例(7%)、局所領域再発は25例(2%)、複数部位の転移が404例(34%)であった。
・局所療法および全身療法は495例、全身療法は705例で行われた。
・追跡期間中央値4.9年における、5年OS率は併用療法59.6%、全身療法41.9%(p<0.01)。調整後のハザード比(HR)は0.60(95%信頼区間[CI]:0.51~0.71)であった。
・多変量解析の結果、全身療法の種類(化学療法-内分泌療法:HR0.59[0.44~0.78])、若年(20~39歳:HR0.72[0.59~0.88]、40~49歳:HR0.72[0.60~0.86])、ECOG PS0(HR0.68[0.55~0.86])、ステージI(HR0.72[0.54~0.96])、非トリプルネガティブ乳がん(HR+HER2-:HR0.82[0.64~1.04]、HR+HER2+:HR0.68[0.52~0.90]、HR-HER2+:HR0.76[0.57~1.02])、転移部位の少なさ(1:HR0.71[0.59~0.86]、2:HR0.95[0.78~1.18])、局所再発(HR0.69[0.49~0.97])、無病生存期間の長さ(≦1:HR2.01[1.52~2.68]/4≦:HR1)が、予後良好因子であった。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


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OLIGO-BC1試験(UMIN-CTR)

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CDK4/6i治療歴のあるHR+/HER2-進行乳がん、alpelisib併用が有効性示す(BYLieve)/ASCO2020

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 CDK4/6阻害薬を含む治療歴のあるホルモン受容体陽性/HER2陰性(HR+/HER2-)進行乳がんに対し、α特異的PI3K阻害薬alpelisibとフルベストラントの併用療法が、臨床的有効性を示した。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)包括的がんセンターのHope S. Rugo氏が第II相BYLieve試験の結果を発表した。

・対象:CDK4/6阻害薬を含む治療後に増悪した、PIK3CA遺伝子変異陽性、ECOG PS≦2、測定可能病変あるいは溶骨性病変を有する、男性あるいは女性(閉経後/閉経前)のHR+/HER2-進行乳がん患者 
・試験群(コホートA):直前の治療としてCDK4/6阻害薬+アロマターゼ阻害薬(AI)の投薬を受けた患者 
alpelisib 300mg/日+フルベストラント500mgを1サイクル28日でDay1に投与(1サイクル目のみDay1、15)
※BYLieve試験ではコホートB(直前の治療がCDK4/6阻害薬+フルベストラントの患者、alpelisib+レトロゾールを投与)およびコホートC(AIで増悪後全身化学療法を受けた患者または直前の治療が内分泌療法だった患者、alpelisib+フルベストラントを投与)についても登録中。今回はコホートAの結果について発表された。
・評価項目:
[主要評価項目]RECISTv1.1に基づく6ヵ月時点の各コホートでの無増悪生存率
[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、PFS2、全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、クリニカルベネフィット率(CBR)、奏効期間(DOR)、安全性

 主な結果は以下のとおり。

・2017年8月14日~2019年12月17日に、少なくとも6ヵ月以上の追跡期間のある患者127例がコホートAに登録された(追跡期間中央値は11.7ヵ月)。このうち、PIK3CA遺伝子変異陽性が確認された121例が解析対象とされた。
・ベースライン特性は女性が100%、年齢中央値は58歳(範囲:33~83)。白色人種63.8%、アジア人種9.4%、黒色人種4.7%。ECOG PS 0が62.2%であった。
・転移病変に対する治療歴数0(術後療法としてCDK4/6阻害薬を投与)が11.8%、1が70.1%、2が16.5%、3が1.6%。転移病変に対する内分泌療法歴数0が11.8%、1が77.2%、2が11.0%であった。
・試験登録時のprimary endocrine resistance(転移・再発乳がんに対する一次内分泌療法を開始して6ヵ月以内にPD、または術後内分泌療法を開始して2年以内の再発)症例が20.5%を占めていた。
・6ヵ月時点の無増悪生存率は50.4%(95%信頼区間[CI]:41.2~59.6)となり、あらかじめ設定された95%信頼区間の下限(>30%)を超え、臨床的有効性が示された。
・PFS中央値は7.3ヵ月(95%CI:5.6~8.3)であった。
・ORRは17.4%、CBRは45.5%。CRは0例、PRは21例、SDは55例であった。
・Grade 3以上の有害事象は、高血糖28.3%、発疹9.4%、下痢5.5%など。有害事象による治療中止は20.5%で起き、治療中止につながった有害事象で最も多かったのは皮疹であった(3.9%)。
・抗ヒスタミン薬を事前に投与されなかった患者(117例)で皮疹が発生しなかったのは53.0%だったのに対し、事前に投与された患者(10例)では70.0%で発生せず、またGrade 3以上の皮疹の発生率も低かった(21.4% vs.10.0%)。同様の傾向がSOLAR-1試験でも観察され、予防的抗ヒスタミン剤が皮疹の発生と重症度を低下させる可能性があることが示唆された。
・米国Flatiron Health Foundation Medicineのデータベースを利用した、リアルワールドデータとのマッチド解析の結果、リアルワールドでの標準治療と比較して、コホートAの治療法はPFSを改善した。

 SOLAR-1試験において、CDK4/6阻害薬による治療歴のあった少数のサブグループでは、alpelisib併用群で6ヵ月時点の無増悪生存率は44.4%、PFS中央値は5.5ヵ月であった。研究者らは、今回のBYLieve試験からの報告はSOLAR-1試験の結果をサポートするもので、CDK4/6阻害薬治療後のalpelisibとフルベストラントの併用療法が、臨床的に意味のある有効性と管理可能な毒性を示したとまとめている。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


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BYLieve試験(Clinical Trials.gov)

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HER2陽性DCISへの放射線療法、トラスツズマブの上乗せ効果は?(NSABP B-43試験)/ASCO2020

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 乳房温存手術を受けHER2陽性非浸潤性乳管がん症例(DCIS)において、術後放射線療法にトラスツズマブを併用投与することの有用性を検討したNRG oncology/NSABP B-43試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で米国・Rush University Cancer CenterのMelody A. Cobleigh氏より発表された。本試験はNSABP臨床試験グループが実施した、オープンラベル第III相無作為化比較試験である。

・対象:中央判定によりHER2陽性が確認されたDCIS患者(切除断端陰性)
・試験群:放射線療法(全乳房照射±ブースト照射)にトラスツズマブの併用投与(RT群)
 トラスツズマブは初回8mg/kg、その後は3週間隔で6mg/kgを放射線療法に併用投与
・対照群:放射線療法(全乳房照射±ブースト照射)のみ(R群)
・評価項目:
[主要評価項目]同側乳房内再発(IBTR)の発生率
[副次評価項目]無病生存期間(DFS)、非再発生存期間(RFI)、全生存期間(OS)

 主な結果は以下のとおり。

・2008年12月~2014年12月に7,888例が検査され、そのうち2,751例(35%)がHER2陽性と判定され、2,014例が無作為割り付けされた。さらにそのうち1,998例(99.2%)のデータが収集でき、 その追跡期間中央値は79.2ヵ月であった。
・両群間に、患者背景(年齢、核異型度、閉経状況、ホルモン療法の併用率)のばらつきはなかった。
・IBTR発生率は、RT群で5.0%、R群で6.3%、ハザード比(HR)は0.805(95%CI:0.557~1.165)、p=0.26であった。
・IBTRの累積発生率は5年時点でRT群が3.9%、R群が4.9%で、HR 0.81、p=0.26であった。これを、再発が浸潤性がんか非浸潤性がんかで分けて調べたところ、浸潤性では5年時点でRT群1.2%、R群1.4%で、HR 1.11、p=0.74であり、非浸潤性ではそれぞれ2.9%と4.1%、HR 0.68、p=0.10であった。
・5年時DFS率はRT群90.6%、R群88.4%、HR 0.84、p=0.13であった。
・5年時OS率はRT群99%(死亡22例)、R群98.9%(死亡26例)で、HR 0.85、p=0.59であった。
・IBTRに関するサブグループ解析(閉経状況、ホルモン療法の投与状況、核異型度など)でも、両群間に統計学的な有意差は検出されなかった。
・Grade3の有害事象がRT群は4.9%、R群は3.9%であった。また、各群2例ずつGrade3の心機能障害が認められた。またR群で1例、浸潤性のIBTRが認められ、その症例は術後療法(アントラサイクリン、タキサン、トラスツズマブ)を受けた後、急性骨髄性白血病を発症した。

 演者のCobleigh氏は「DCISに対する放射線療法へのトラスツズマブの併用は、統計学的な有意差は示せなかったものの、19%のIBTR抑制を示し、毒性も低かった。今後の研究はゲノム分類などを用いて、より高リスク群に焦点を当てるべきだろう」と述べた。

(ケアネット)


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