海外研修留学便り【米国留学記(家里 明日美氏)】第3回

[レポーター紹介]
家里 明日美(いえさと あすみ)

2008年3月 信州大学医学部医学科 卒業
2008年4月~2018年3月 信州大学医学部附属病院 初期研修医~乳腺内分泌外科 医員
2017年9月 信州大学医学部医学科博士課程大学院 卒業
2018年4月~2021年10月 Harvard Medical School, Beth Israel Deaconess Medical Center, postdoctoral fellow
2020年5月~現在 一般社団法人BC TUBE 理事
2021年11月-2022年12月 がん研有明病院 乳腺外科 医員
2023年1月-現在 がん研究会 NEXT-Gankenプログラム クリニカルリサーチフェロー

 第3回では、留学先での研究内容と研究環境についてお話しします。私の留学先での研究は甲状腺がんが中心でしたが、腫瘍微小環境や血管生物学の視点は、現在取り組んでいる乳がん研究にも大きくつながっています。

留学先では、複数の研究テーマを並行して担当

 第1回でも書きましたとおり、私は大学院で甲状腺未分化がんを研究していたため、留学先も甲状腺がん、あるいはがん種を問わず難治がんの研究ができるラボを探しました。最終的に、Beth Israel Deaconess Medical Center(BIDMC)のCarmelo Nucera先生のラボに留学することになりました。

 Carmeloラボは、ボス、ポスドク1~2名、学生数名からなる比較的小規模なラボでした。高悪性度甲状腺がんについて複数の研究テーマを並行して進めていました。メンバーが個別のテーマだけを担当するのではなく、全員が複数のテーマに関わる形式でした。限られた留学期間の中で、多くの手技や研究の考え方を学ぶことができ、私にとって非常にありがたい環境でした。

 私の主なテーマはnon-coding RNAでしたが、同時に、臨床的な疑問をもとにした研究テーマも考えるように言われました。そこで取り組んだのが、「マルチキナーゼ阻害薬(multi TKI)がなぜ甲状腺がんに有効なのか」というテーマでした。甲状腺がんの過半数でBRAFV600E変異が認められ、MAPK経路が恒常的に活性化しています。理論的には、MAPK経路の上流にある受容体型チロシンキナーゼをmulti TKIで阻害しても、腫瘍細胞内シグナルを直接抑える効果は限定的であるはずです。しかしmulti TKIはBRAFV600E変異の有無にかかわらず高い有効性を示します。この機序を考えるうえで、腫瘍微小環境に注目するようになりました。

血管生物学のの拠点で学んだこと

CVBR(写真右)はFenway Park(写真左)の向かいにあり、Longwood Medical Areaとは少し異なる雰囲気の中にありました。

 Carmeloラボは、BIDMCの中のCenter for Vascular Biology Research(CVBR)という施設の中にありました。CVBRの創設者は、VEGFを発見されたHarold Dvorak先生です。留学当時もDvorak先生はご健在で、研究への助言をくださったり、ユーモアのある講演をされたりしていました。また、2代目の施設長であるJack Lawler先生はThrombospondin-1(TSP1)を発見された先生で、Carmelo先生のメンターでもありました。

 このような環境の中で、私は血管構成因子でありかつTSP1を産生するペリサイトに注目して研究を進めることになりました。今振り返ると、自分の興味のあるテーマに加えて、ボスの興味、施設の環境や共同研究者とのつながりが合わさって、研究テーマが形作られていったように思います。

研究環境の日米差

Fenway Parkでの野球観戦。BIDMCはBoston Red Soxのスポンサーで、職員は当日券であれば5ドルでナイターを観戦することができました。

 ボストンで強く感じたのは、共同研究の距離の近さとスピード感です。必要な技術や知識を持つ研究者が近くにおり、相談から共同研究につながるまでが非常に早いと感じました。一方で、共同研究先にお願いできる環境に甘えて、自分で勉強しなかった部分もあり、帰国後に学び直すことになりました。恵まれた環境だからこそ、自分で理解する、できるようになる姿勢が重要だと感じました。

 CVBRには、肝移植、腎血管、整形外科、泌尿器、卵巣がん、甲状腺がんなど、多様な分野のラボが所属していました。「Vascular Biology」という共通項でさまざまな研究者が集まっており、物品の貸し借りや日常的な相談もしやすい、和気あいあいとした雰囲気でした。毎週金曜日にはCVBR全体の集まりがあり、分野の違う研究に触れる機会も多くありました。

 Carmelo先生は非常におしゃべりなイタリア人で、毎朝ラボに来ると、しばらく研究雑談の時間が始まりました。当時は、朝のうちに済ませたい実験が進まず、もどかしく感じることもありましたが、今振り返ると、毎日のように実験結果や疑問を話し、研究の方向性や進路について相談できたことは、とても貴重でした。その時間があったからこそ、基礎研究を続けていこうと考えるようになり、現在の研究にもつながっていると思います。

 


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3 海外研修留学便り【米国留学記(家里 明日美氏)】第3回

2 海外研修留学便り【米国留学記(家里 明日美氏)】第2回

1 海外研修留学便り【米国留学記(家里 明日美氏)】第1回

学会抄録のかたちにまとめる その4【「実践的」臨床研究入門】第66回

提供元:CareNet.com

本連載は、臨床研究のノウハウを身につけたいけれど、メンター不在の臨床現場で悩める医療者のための、「実践的」臨床研究入門講座です。臨床研究の実践や論文執筆に必要な臨床疫学や生物統計の基本について、架空の臨床シナリオに基づいた仮想データ・セットや、実際に英語論文化した臨床研究の実例を用いて、解説していきます。

構造化抄録を英文化する

 前回まで、これまでの連載で取り扱ってきた架空の臨床シナリオに基づく研究を、構造化抄録のかたちにまとめました(連載第63回、64回、65回参照)。ここまで日本語の構造化抄録ができれば、次はいよいよ英文抄録を作成し、国際学会での発表に挑戦してみたいところです。英文抄録を作成する際は、粗々でもよいので、まず自分で英文案を作成できるのが望ましいです。しかし、「英作文のトレーニングなんて大学受験以来やっていない」という方もおられるでしょう。そこで今回は、ChatGPTなどの生成AIや機械翻訳・校正ツール(DeepLやGrammarlyなど)を活用して、日本語で作成した構造化抄録を英文抄録にするためのコツを解説します。

 英語は、原則として「誰が(主語)」「どうしたか(述語)」を明確に示すことを文法的に要求する言語です。一方、日本語ではこれらの要素が文脈に委ねられることが多く、主語が省略されたり、修飾関係が曖昧なまま読者の解釈に依存したりします。

 したがって、英訳の第一歩は、日本語原稿を「英訳しやすい日本語」に書き直すことです。具体的には、主語を明示すること、曖昧な表現を避けること、一文を短くすることです。たとえば、日本語で作成した構造化抄録の【背景】(連載第63回参照)を書き直してみます。

【背景】たんぱく質摂取制限は慢性腎臓病(CKD)進行抑制に推奨されているが、厳格な低たんぱく食(low-protein diet:LPD)の遵守と腎予後との関連については十分に検討されていない。

 日本語としてはとくに不自然ではありません。しかし、英訳の下準備として、あえて少し説明的な日本語に分解してみます。ChatGPTなどの生成AIに、以下のようなプロンプト(指示文)を入力して書き換えてみました。

「主語を明示する、曖昧な表現を避ける、一文を短くする、という点を意識して書き直してください。【背景】たんぱく質摂取制限は、慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の進行抑制を目的として推奨されている。一方で、厳格な低たんぱく食(low-protein diet:LPD)の遵守がCKD患者の腎予後と関連するかは、十分に検討されていない。」

※生成AIや機械翻訳・校正ツールは、同じプロンプトや文章を入力しても同じ回答を生成するとは限らず、出力にはばらつきが生じる点にご留意ください。

 続いて、以下のようなプロンプトでひとまず英訳してみます。

「英語ネイティブが執筆したような自然な医学論文英語に書き直してください。」

 すると、下記のような英文が示されました。

Background:Dietary protein restriction is recommended to slow the progression of chronic kidney disease(CKD). However, whether adherence to a strict low-protein diet(LPD)is associated with kidney outcomes in patients with CKD has not been adequately investigated.

 次の段階として、DeepLを用いて逆翻訳してみます。逆翻訳とは、作成した英文を再び日本語に翻訳し、元の日本語原稿との間に意味のずれがないかを確認する方法です。

【背景】慢性腎臓病(CKD)の進行を遅らせるため、食事中のたんぱく質摂取制限が推奨されている。しかし、CKD患者において、厳格な低たんぱく質食(LPD)の遵守が腎機能の転帰と関連しているかどうかについては、十分に調査されていない。

 ここで確認するのは、逆翻訳された文章が読みやすい日本語かどうかではありません。主語、肯定・否定、比較、因果関係など文意が変わっていないかを確認します。この例では、原文の「腎予後」が逆翻訳では「腎機能の転帰」に変わっています。日本語の「腎機能の転帰」では腎機能の変化だけを指すように読めてしまいますが、英語のkidney outcomesは末期腎不全への進展(透析導入)までを含む広い言葉ですのでそのまま採用します。このように逆翻訳を行うと、訳語の意味する範囲が原文とずれていないかを確認できます。

 AIを活用した文章支援ツールであるDeepL Writeを使えば、ひとまず作成した英文について、別の表現を検討することもできます。いくつか示された書き換え候補を吟味し、2文目について下記のようにより簡潔に書き換えてみました。

However, it remains unclear whether adherence to a strict low-protein diet (LPD) is associated with kidney outcomes in patients with CKD.

 筆者(1年弱の米国留学経験はありますが、自認は純ジャパです)は、長いwhether節を文末に置いた後者のほうが座りがよいと感じました。生成AIにも「どちらの英文が医学学術英語としてより洗練されているか」と尋ねてみたところ、後者を推奨するとの回答でした。

 この時点ですでにかなりブラッシュアップされた英文になっていますが、筆者は英文ドラフトの文法やスタイルのチェックにGrammarlyを活用しています。Grammarlyは無料版でも基本的な文法エラーやスペルミスを検出してくれます。また、WordのアドインやWebブラウザ拡張機能も提供されており、使い勝手が良いです。

 筆者がおすすめする英文化のためのAIツールの実践的な使い分けのフローを整理すると、以下のようになります。

1.生成AIで英訳のための下準備・下訳
2.DeepL(およびDeepL Write)で逆翻訳・推敲
3.Grammarlyで文法チェック

 ここまで示した範囲の生成AIや機械翻訳・校正ツールの利用は無料版で十分可能ですので、ぜひご自身の文例で試してみてください。ただし、未公表データや患者情報など、機密性の高い情報の入力は避ける必要があります。また、デフォルト設定では入力内容がAIの学習やサービスの改善に利用される場合もあるため、利用前に各サービスの設定を確認し、入力内容をモデルの改善に利用しない設定(オプトアウト)にしておくと良いです。なお、英文論文の投稿にあたって生成AIを利用した場合には、Acknowledgementsなどでその旨を明示する必要がある点にも留意してください。

 英文化は、あなたの研究の国際的な可視性を高めるための最終工程です。まず日本語原稿の論理を磨き、次にAIツールを目的に応じて使い分け、最後は必ず自身の目で内容を確認します。この3段階のプロセスによって、英文作成に不慣れな研究者でも効率的に質の高い英文抄録を作成できるでしょう。

講師紹介

harasense

長谷川 毅 ( はせがわ たけし ) 氏
昭和医科大学臨床疫学研究所 所長・教授
昭和医科大学大学院医学研究科 衛生学・公衆衛生学分野/腎臓内科学分野 兼担教授
福島県立医科大学臨床研究イノベーションセンター 特任教授

[略歴]
1996年昭和大学(現昭和医科大学)医学部卒業。
2007年京都大学大学院医学研究科臨床情報疫学分野(臨床研究者養成コース)修了。
都市型および地方型の地域中核病院で一般内科から腎臓内科専門診療、三次救急から亜急性期リハビリテーション診療まで臨床経験を積む。その臨床経験の中で生じた「臨床上の疑問」を科学的に可視化したいという思いが募り、京都の公衆衛生大学院で臨床疫学を学び、米国留学を経て現在に至る。


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66. 学会抄録のかたちにまとめる その4

65. 学会抄録のかたちにまとめる その3

64. 学会抄録のかたちにまとめる その2

63. 学会抄録のかたちにまとめる その1

62. ロジスティック回帰分析 その3

61. ロジスティック回帰分析 その2

60. ロジスティック回帰分析 その1

59. 生存時間分析 その5

58. 生存時間分析 その4

57. 生存時間分析 その3

56. 生存時間分析 その2

55. 生存時間分析 その1

54. 線形回帰(重回帰)分析 その5

53. 線形回帰(重回帰)分析 その4

52. 線形回帰(重回帰)分析 その3

51. 線形回帰(重回帰)分析 その2

50. 線形回帰(重回帰)分析 その1

49. いよいよ多変量解析 その2

48. いよいよ多変量解析 その1

47. 何はさておき記述統計 その8

46. 何はさておき記述統計 その7

45. 何はさておき記述統計 その6

44. 何はさておき記述統計 その5

43. 何はさておき記述統計 その4

42. 何はさておき記述統計 その3

41. 何はさておき記述統計 その2

40. 何はさておき記述統計 その1

39. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップ‐E(要因)およびC(比較対照)設定の要点と実際 その2

38. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップ‐E(要因)およびC(比較対照)設定の要点と実際 その1

37. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップ‐O(アウトカム)設定の要点と実際 その2

36. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップ‐O(アウトカム)設定の要点と実際 その1

35. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップーP(対象)設定の要点と実際 その2

34. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップーP(対象)設定の要点と実際 その1

33. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その8

32. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その7

31. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その6

30. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その5

29. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その4

28. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その3

27. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その2

26. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その1

25. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 PubMed検索 その5

24. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 PubMed検索 その4

23. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 PubMed検索 その3

22. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 PubMed検索 その2

21. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 PubMed検索 その1

20. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 学術誌、論文、著者の影響力の指標 その3

19. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 学術誌、論文、著者の影響力の指標 その2

18. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 学術誌、論文、著者の影響力の指標 その1

17. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー CONNECTED PAPERSの活用 その3

16.リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー CONNECTED PAPERSの活用 その2

15. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー CONNECTED PAPERSの活用 その1

14. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー コクラン・ライブラリーの活用 その3

13. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー コクラン・ライブラリーの活用 その2

12. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー コクラン・ライブラリーの活用その1

11. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー UpToDateの活用その2

10. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー UpToDateの活用その1

9. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 文献管理その3

8. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 文献管理その2

7. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 文献管理その1

6. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 診療ガイドラインの活用その3

5. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 診療ガイドラインの活用その2

4. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 診療ガイドラインの活用その1

3. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビューその2

2. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー その1

1. 臨床上の疑問とリサーチ・クエスチョン

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海外研修留学便り【米国留学記(家里 明日美氏)】第2回

[レポーター紹介]
家里 明日美(いえさと あすみ)

2008年3月 信州大学医学部医学科 卒業
2008年4月~2018年3月 信州大学医学部附属病院 初期研修医~乳腺内分泌外科 医員
2017年9月 信州大学医学部医学科博士課程大学院 卒業
2018年4月~2021年10月 Harvard Medical School, Beth Israel Deaconess Medical Center, postdoctoral fellow
2020年5月~現在 一般社団法人BC TUBE 理事
2021年11月-2022年12月 がん研有明病院 乳腺外科 医員
2023年1月-現在 がん研究会 NEXT-Gankenプログラム クリニカルリサーチフェロー

家族を伴う留学での生活セットアップ

 第2回では、家族を伴う留学での生活セットアップについてお話しします。住居探しについては、夫が留学の約1年前にボストンで学会に参加する機会があり、その際に現地の不動産会社の方に直接お会いしました。先輩から、メールだけでなく一度対面でお願いしておくことが重要だと助言をいただいていたためです。その後いくつか物件を紹介していただき、最終的に日本人家族で引き継がれていた部屋に入居しました。

 家具や家電だけでなく、子供服、おもちゃ、調味料なども含めた、いわゆる「居抜き」に近い形で、ゼロから生活用品をそろえる必要がなかったことは非常に大きな助けとなりました。

デイケア探しで学んだこと

 子供たちは3歳と4歳で渡米しました。デイケア(日本でいう保育園)は事前にメールで入園できると聞いていたつもりでしたが、渡米後に訪問すると、対面で契約したほうが優先され、私たちの予約は実質的にキャンセルされていました。電話やメールだけで安心せず、正式な契約まで早めに進める必要があると痛感しました。

 翌週には夫婦ともにフルタイムで仕事が始まるため、困って日本人の知り合いに相談したところ、同じアパートの日本人家族を紹介していただき、しばらく子供を預かってもらえることになりました。本当に多くの方に助けていただき、今でも深く感謝しています。

 その後、空きのあるデイケアに入り、結果的に3ヵ所を経験しました。最初の2ヵ所では、しつけや生活習慣の面で文化の違いを感じることもありましたが、3つ目の南米系、スペイン語圏のデイケアは家から近く、我が家にとても合っていました。とくに、英語ができないまま渡米した長男のために朝の勉強時間を作り、同じように英語がわからない子供と一緒に読み書きや算数を教えてくださいました。移民として生活する中で教育を大切にする方々の支え合いに触れ、私自身も多くを学びました。

デイケアの教室の様子。子供たちが取り組みたいアクティビティごとに、エリアが分けられていました。

デイケアで行われたLemonade Sale。子供たちがレモネードやクッキーを販売し、売上を寄付するチャリティイベントです。

学校生活と共働きの日常

 子供たちは、デイケアからKindergarten以降の学校まで、すべて現地の学校に通いました。英語ができないままでも現地校に入ることができ、英語を第二言語とする子供向けのサポートクラスもありました。学校によっては日本語を話せるサポートスタッフがいたり、中国語・韓国語など他言語の支援が充実していたりと特色があり、小学校の途中から英語ができない状態で渡米するご家庭も、こうした支援体制を踏まえて学校選びについて相談することができました。

 学校に上がってからは、毎朝、教室の担任の先生に引き渡すところまで親が付き添う必要がありました。子供を学校へ送り、その足でラボへ向かい、夕方はアフタースクールへ迎えに行く生活でした。

 夫は2年で日本に帰国し、その後の1年半は私と子供2人でボストンに残りました。日本とボストンは朝と夜がほぼ反対になるため、ボストンの朝、私が支度をしている間に日本の夫とオンラインでつなぎ、画面越しに子守をしてもらっていました。 

小学校のKindergartenのクラスメートの誕生日会。美術館のキッズツアーに参加しました。

 アフタースクールの校長先生も、ご自身の夫が海外で外科医として働き、子ども2人とボストンで生活されている方で、私の状況をよく理解してくださいました。周囲には子育てをしながら研究や仕事で活躍する女性が多く、私のラボでもボスの奥さまが別のラボを主宰しながら子育てされていました。女性が研究者として働き続けることが自然に受け止められている環境は、大きな刺激になりました。

 

 

 夫の帰国後の1年半は、ちょうどコロナ禍と重なりました。ラボに行けない時期も長く、その中で支えになったのは、子供を通じた交流や、同じように異国で生活する方々とのつながりでした。

 振り返ると、家族を伴う留学生活は、事前準備だけで乗り切れるものではありませんでした。住居も保育も学校生活も予定どおりいかないことの連続でしたが、そのたびに周囲の方々に助けていただきました。人とのつながりが本当に重要だったと思います。

 


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2 海外研修留学便り【米国留学記(家里 明日美氏)】第2回

1 海外研修留学便り【米国留学記(家里 明日美氏)】第1回

海外研修留学便り【米国留学記(家里 明日美氏)】第1回

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家里 明日美(いえさと あすみ)

2008年3月 信州大学医学部医学科 卒業
2008年4月~2018年3月 信州大学医学部附属病院 初期研修医~乳腺内分泌外科 医員
2017年9月 信州大学医学部医学科博士課程大学院 卒業
2018年4月~2021年10月 Harvard Medical School, Beth Israel Deaconess Medical Center, postdoctoral fellow
2020年5月~現在 一般社団法人BC TUBE 理事
2021年11月-2022年12月 がん研有明病院 乳腺外科 医員
2023年1月-現在 がん研究会 NEXT-Gankenプログラム クリニカルリサーチフェロー

臨床医から基礎研究へ軸足を移し、夫婦共働きで留学

 がん研究会NEXT-Gankenプログラムで、主にがんの基礎研究に従事しております、家里 明日美と申します。私は2018年から約3年半、米国・Beth Israel Deaconess Medical Center, Harvard Medical Schoolの甲状腺がんトランスレーショナルリサーチラボに、ポスドクトラルフェローとして留学しました。

 私はもともと乳腺内分泌外科医として臨床に従事し、大学院では甲状腺がんの研究で学位を取得しました。留学先でも甲状腺がん研究に取り組み、現在は乳がんを中心にがんの基礎研究を行っています。臨床医から基礎研究へ軸足を移すこと、がん種を越えてがん研究を続けること、また子供を連れて夫婦共働きで留学した経験について、少しでも参考になれば幸いです。

留学を志したきっかけ

 私が基礎研究に強く関心を持つようになった契機は、大学院で甲状腺未分化がんを研究テーマとしたことでした。甲状腺未分化がんはきわめて予後不良であり、2012年当時、有効な治療選択肢は限られ、長年にわたり予後の改善も乏しい状況でした。初診時から患者さんやご家族に非常に厳しい見通しをお伝えしなければならないこともあり、新しい治療法を生み出す研究に取り組まなければ、この状況を根本的に変えることは難しいのではないかと考えました。基礎研究を通じて、将来、患者さんに提示できる選択肢を少しでも増やしたい。その思いが、研究を軸にしていきたいと考える原動力になりました。

学会でPIに直接挨拶、留学先探しの実際

 留学の具体的な準備は、夫の留学が先に決まったことから始まりました。渡米の約2年前に夫のボストン留学が決まったため、同じボストンで通える範囲にある、甲状腺がんまたは乳がんの研究室を探し始めました。

 最初はメールでPIに連絡しましたが、返事はなかなか得られず、10数件は断られた、あるいは返信がありませんでした。そこで、AACRなどの学会や講演会で希望する研究室のPIに直接挨拶し、留学を希望していることを伝えるようにしました。最終的に、Beth Israel Deaconess Medical Center, Harvard Medical SchoolのCarmelo Nucera先生から連絡をいただき、ボストンで開催された学会で面談の機会をいただきました。面談では、大学院での研究内容や、自分の目標について説明しました。

プルデンシャルタワーから見たボストンの街

資金の確保、子供の預け先…準備に奔走

冬のボストンではストームもあり、大雪が降ることもしばしばです。防寒用のダウンやブーツは、現地で調達するのがお勧めです。

 留学準備で最も大切だったことを率直に言えば、資金の確保でした。留学が内定した後、受け入れ許可のレターを作成していただき、日本国内の留学助成金に夫も私も可能な限り応募しました。当時、子供は3歳と4歳で、家族で渡米し、現地では夫婦共働きで子供たちをフルタイムでデイケアに預ける予定でした。ボストンでは、施設や年齢にもよりますが、デイケア代だけでも当時1人当たり月1,500〜3,500ドル程度かかり、生活費と合わせると大変な出費でした。結果として、2つの助成金を得て渡米することができました。

 一方で、試験や資格については、国や施設、ビザの種類によって必要なものが異なります。私自身、必要になるかもしれないと聞いてIELTSを受験しましたが、結果的には留学手続きには使いませんでした。英語の勉強自体は無駄ではありませんが、限られた時間で準備する場合には、まず留学先で何が必要なのかを確認することが重要です。そのためには、留学先や同じ地域にいる日本人研究者に直接連絡を取り、具体的に教えていただくのが一番確実だと思います。先輩から「留学で出会った日本人に悪い人はいない」と言われたことがありましたが、実際その通りで本当に多くの方に親身に助けていただきました。公式情報だけでは分からないことも多いため、現地を知る方に相談することが重要です。

 また、Jビザで渡米する場合、DS-2019、ビザ、パスポートは「留学3種の神器」とも言われ、必ず手元に原本を持っておく必要があります。私は引っ越しの慌ただしさの中でDS-2019を船便に入れてしまい、入国審査で別室に案内されました。同じ過ちを経験された方を見たことがありませんが、ぜひお気をつけください。

 


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2 海外研修留学便り【米国留学記(家里 明日美氏)】第2回

1 海外研修留学便り【米国留学記(家里 明日美氏)】第1回

学会抄録のかたちにまとめる その3【「実践的」臨床研究入門】第65回

提供元:CareNet.com

本連載は、臨床研究のノウハウを身につけたいけれど、メンター不在の臨床現場で悩める医療者のための、「実践的」臨床研究入門講座です。臨床研究の実践や論文執筆に必要な臨床疫学や生物統計の基本について、架空の臨床シナリオに基づいた仮想データ・セットや、実際に英語論文化した臨床研究の実例を用いて、解説していきます。

 前回は、臨床研究における誤差を偶然誤差と系統誤差に分類し、前者は精度(信頼性)、後者は正確度(妥当性)に関わることを説明しました。さらに、系統誤差には狭義のバイアス(選択バイアス、情報バイアス)と交絡が含まれること、狭義のバイアスは交絡とは異なり、解析段階では制御が困難であることを解説しました。そこで今回は、狭義のバイアスである選択バイアスと情報バイアスについて説明するとともに、以前作成した構造化抄録(連載第63回参照)にLimitation(研究の限界)を加える実例を示します。

選択バイアス

 選択バイアスとは、「研究対象集団」が「標的母集団」から偏って抽出された場合に生じるバイアスを指します。さらに、「解析対象集団」と「研究対象集団」が同意拒否やデータ欠損によって乖離した場合にも、追加の選択バイアスが生じ得ます。図に、母集団から解析対象集団に至るまでに選択バイアスが入りこむ3つの段階を示しました。観察研究の報告ガイドラインであるSTROBE声明1)でも、参加者がどのように特定・選択されたかを明確に示し、研究対象集団と最終的な解析対象集団を区別して記載することが推奨されています(連載第34回参照)。

 理想を言えば、標的母集団のすべてを対象とする悉皆調査(全数調査)か、無作為抽出サンプリングを採用したいところです。悉皆調査の代表例は国勢調査です。これは日本国内に住むすべての人と世帯を対象として5年ごとに実施される調査で、悉皆調査の最も典型的な例とされています。無作為抽出サンプリングの好例は、以前も紹介した筆者が長年関わってきたDialysis Outcomes and Practice Patterns Study(DOPPS)です。DOPPSでは調査対象施設を無作為抽出したうえで施設からさらに研究対象患者を無作為抽出する二段階無作為抽出を行うことにより、研究対象集団の外的妥当性を担保しています(連載第35回参照)。

 しかし、悉皆調査や無作為抽出を、実際の単施設研究や多施設共同研究で実施することは容易ではありません。そこで現実的な方法として、選択基準を満たす対象者を研究者の判断で選別せず、一定期間に来院・登録した対象者を連続して組み入れる「連続サンプリング」が推奨されます。たとえば、「自分が担当する外来患者のみ」や「アドヒアランスが良好と考えられる患者のみ」を対象とするような抽出は避けるべきです。また、除外基準は研究目的に照らして必要最小限にとどめます。さらに、参加者の負担を軽減し、適切なインセンティブを設計するなどして、同意拒否やデータ欠損を減らす工夫を重ねることが、選択バイアスの抑制につながります。

情報バイアス

 情報バイアスとは、研究で得られた情報が真の値から系統的にずれることで生じるバイアスであり、発生段階に応じて「測定段階」と「追跡段階」に大別されます。測定段階の情報バイアスはデータ取得方法に起因します。一方、追跡段階の情報バイアスはランダムに発生しない「打ち切り」によって生じます(連載第37回参照)。転院や追跡不能などにより「打ち切り」が群間で偏って発生すると、とくに重症例が観察から脱落する場合にイベント発生率が過小評価されるおそれがあります。生存時間解析では打ち切りがランダムであることが前提であり、この仮定が崩れると結果の妥当性が損なわれます。

 対策として、測定段階では曝露やアウトカムの厳密な定義(操作化)、測定手法の標準化などが重要です。追跡段階では「可能な限り追跡率を高める」ことが最も本質的な対策です。先述のDOPPSでは、調査施設を転院した患者についても90日後まで転帰を追跡する周到な仕組みを採用しています。それでも「打ち切り」が避けられない場合には、結果の解釈にいっそうの慎重さが求められます。

構造化抄録にLimitation(研究の限界)を加えてみる

 それでは、以前作成した構造化抄録(連載第63回参照)に独立した見出しとして「Limitation(研究の限界)」を加えてみたいと思います。対象は保存期CKD患者638例の単施設後ろ向きコホート研究で、24時間蓄尿検体から推定した1日たんぱく質摂取量(estimated daily protein intake:eDPI)と末期腎不全発症およびeGFR低下速度との関連を検討したものでした。Limitationは、本研究のデザインから想定される、(1)選択バイアス、(2)情報バイアス(測定段階/追跡段階)、(3)残余交絡の3つの観点から具体的に記述してみました。

【研究の限界】
 本研究は単施設の腎臓専門外来患者を対象としたため、選択バイアスが存在し、一般化可能性に限界がある。eDPIは24時間蓄尿に基づく推定値であり、蓄尿不完全例では摂取量を過小評価する可能性がある。また、非ランダムな打ち切りによる情報バイアスや、生活習慣・社会経済因子など未測定因子による残余交絡を否定できない。

【 引用文献 】

講師紹介

harasense

長谷川 毅 ( はせがわ たけし ) 氏
昭和医科大学臨床疫学研究所 所長・教授
昭和医科大学大学院医学研究科 衛生学・公衆衛生学分野/腎臓内科学分野 兼担教授
福島県立医科大学臨床研究イノベーションセンター 特任教授

[略歴]
1996年昭和大学(現昭和医科大学)医学部卒業。
2007年京都大学大学院医学研究科臨床情報疫学分野(臨床研究者養成コース)修了。
都市型および地方型の地域中核病院で一般内科から腎臓内科専門診療、三次救急から亜急性期リハビリテーション診療まで臨床経験を積む。その臨床経験の中で生じた「臨床上の疑問」を科学的に可視化したいという思いが募り、京都の公衆衛生大学院で臨床疫学を学び、米国留学を経て現在に至る。


バックナンバー

66. 学会抄録のかたちにまとめる その4

65. 学会抄録のかたちにまとめる その3

64. 学会抄録のかたちにまとめる その2

63. 学会抄録のかたちにまとめる その1

62. ロジスティック回帰分析 その3

61. ロジスティック回帰分析 その2

60. ロジスティック回帰分析 その1

59. 生存時間分析 その5

58. 生存時間分析 その4

57. 生存時間分析 その3

56. 生存時間分析 その2

55. 生存時間分析 その1

54. 線形回帰(重回帰)分析 その5

53. 線形回帰(重回帰)分析 その4

52. 線形回帰(重回帰)分析 その3

51. 線形回帰(重回帰)分析 その2

50. 線形回帰(重回帰)分析 その1

49. いよいよ多変量解析 その2

48. いよいよ多変量解析 その1

47. 何はさておき記述統計 その8

46. 何はさておき記述統計 その7

45. 何はさておき記述統計 その6

44. 何はさておき記述統計 その5

43. 何はさておき記述統計 その4

42. 何はさておき記述統計 その3

41. 何はさておき記述統計 その2

40. 何はさておき記述統計 その1

39. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップ‐E(要因)およびC(比較対照)設定の要点と実際 その2

38. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップ‐E(要因)およびC(比較対照)設定の要点と実際 その1

37. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップ‐O(アウトカム)設定の要点と実際 その2

36. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップ‐O(アウトカム)設定の要点と実際 その1

35. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップーP(対象)設定の要点と実際 その2

34. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップーP(対象)設定の要点と実際 その1

33. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その8

32. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その7

31. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その6

30. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その5

29. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その4

28. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その3

27. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その2

26. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その1

25. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 PubMed検索 その5

24. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 PubMed検索 その4

23. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 PubMed検索 その3

22. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 PubMed検索 その2

21. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 PubMed検索 その1

20. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 学術誌、論文、著者の影響力の指標 その3

19. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 学術誌、論文、著者の影響力の指標 その2

18. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 学術誌、論文、著者の影響力の指標 その1

17. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー CONNECTED PAPERSの活用 その3

16.リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー CONNECTED PAPERSの活用 その2

15. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー CONNECTED PAPERSの活用 その1

14. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー コクラン・ライブラリーの活用 その3

13. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー コクラン・ライブラリーの活用 その2

12. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー コクラン・ライブラリーの活用その1

11. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー UpToDateの活用その2

10. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー UpToDateの活用その1

9. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 文献管理その3

8. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 文献管理その2

7. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 文献管理その1

6. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 診療ガイドラインの活用その3

5. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 診療ガイドラインの活用その2

4. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 診療ガイドラインの活用その1

3. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビューその2

2. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー その1

1. 臨床上の疑問とリサーチ・クエスチョン

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海外研修留学便り【米国留学記(松永 有紀氏)】第4回

[レポーター紹介]
松永 有紀(まつなが ゆき)

大分大学医学部医学科 卒業
東京大学医学部附属病院 初期研修
昭和大学病院 乳腺外科 助教(医科)
がん研究会NEXT-Ganken プログラム Clinical Research Fellow
がん研究会有明病院 乳腺外科 医員
テキサス大学サウスウェスタン医療センター シモンズ総合がんセンター 博士研究員

住む家や車は現地で、留学生活のスタートとダラスでの生活

 最終回では、研究や仕事の話から少し離れ、ダラスでの生活についてご紹介できればと思います。皆さまの参考になるかどうかはわかりませんが、留学生活の1つの例として読んでいただければ幸いです。

 留学が決まってから実際に渡米するまで、あまり時間がなかったため、住む家や車は現地で探すことにし、アメリカの電話番号を確保し、現地で使えるデビットカードを数枚準備して渡米しました。到着してから3日ほどの間に、アパートを7件ほど内見し、自家用車を確保し、その後も生活に必要な手続きや買い物を一気に進めていきました。

保護猫のはなちゃん

 わからないことだらけで、最初の半年ほどは常に何かを調べていたように思います。生活の基盤を整えるだけでも想像以上にやることが多く、落ち着かない日々が続きました。日本では当たり前のようにできていたことも、言語や制度、文化が違うだけで1つひとつが小さな挑戦です。すぐ近くのスーパーに行くだけでも心理的な負担がありました。英語を話さなければならないこと、車の運転をしないといけないこと、物騒な事件が立て続けに身近で起こり、何なら巻き込まれもし、周囲の環境に安心感を持てず、何気ない外出にも少し緊張していました。

 それでも、時間が経つにつれて近所に行きつけのドーナツ屋さんができ、知り合いや友人も少しずつ増え、週末に出かける場所や、気軽に立ち寄れる場所も広がっていきました。最初は「生活を何とか回す」ことで精一杯でしたが、少しずつ自分の行動範囲が広がり、ダラスでの毎日が自分自身の生活として馴染んでいく感覚がありました。また、ひょんなことから猫が家族に加わったことも、こちらでの生活を大きく変えてくれました。

がん研時代の同期が来てくれて、みんなで一緒に行ったメキシコ湾クルーズ

 ダラスでの生活を通じて、研究以外の面でも多くの刺激を受けました。世界中のさまざまな国から集まった友人たちと交流する中で、それぞれの文化や価値観、研究に対する姿勢、将来の考え方に触れることができました。また、尊敬できる研究者の方々にもたくさん出会うことができ、研究者としてだけでなく、1人の人間としても多くのことを学ぶ機会に恵まれました。

 一方で、臨床の現場から離れる時間が長くなるにつれ、臨床の感覚をどう維持していくのか、留学で得た経験を今後どう活かしていくのか、考えることは多くあります。それでも、今は好きなことを好きなだけ学び、考え、試すことができる貴重な時間でもあります。出会う人々や経験の1つひとつが、今後の自分にとって財産になるのだと思います。日本から温かく送り出していただいたすべての方への感謝を忘れず、残りの時間もできるだけ有意義に過ごせるよう、仕事にも生活にも工夫しながら取り組んでいきたいです。

 


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4 海外研修留学便り【米国留学記(松永 有紀氏)】第4回

3 海外研修留学便り【米国留学記(松永 有紀氏)】第3回

2 海外研修留学便り【米国留学記(松永 有紀氏)】第2回

1 海外研修留学便り【米国留学記(松永 有紀氏)】第1回

学会抄録のかたちにまとめる その2【「実践的」臨床研究入門】第64回

提供元:CareNet.com

本連載は、臨床研究のノウハウを身につけたいけれど、メンター不在の臨床現場で悩める医療者のための、「実践的」臨床研究入門講座です。臨床研究の実践や論文執筆に必要な臨床疫学や生物統計の基本について、架空の臨床シナリオに基づいた仮想データ・セットや、実際に英語論文化した臨床研究の実例を用いて、解説していきます。

 前回、これまでの連載で取り上げてきたクリニカル・クエスチョン(CQ)からリサーチ・クエスチョン(RQ)への変換とEZR(Easy R)による統計解析の総まとめとして、われわれの仮想研究を学会抄録のかたちにしました。その際にIMRAD形式と構造化抄録の違いを概説し、構造化抄録の典型的な構成要素として、Background、Objective、Design、Setting、Patients/Participants、Intervention/Exposure、Measurements、Results、Conclusionsの9つを挙げました。この9つに加えて、Limitation(研究の限界)を独立した見出しとして掲げる構造化抄録のパターンもあり、Annals of Internal Medicineをはじめとする一部のトップジャーナルが推奨する様式に採用されています。研究結果を批判的に吟味するうえでは、研究の限界を本文だけでなく、抄録の段階から明示しておくことが重要だと考えられています。

 では、Limitationには何を書けば良いのでしょう。「サンプル数が小さい」「単施設研究である」と一般論を並べるだけでは不十分です。読者が「研究結果をどの程度信用できるのか」「どの集団・どのセッティングに一般化できるのか」を判断する材料として、研究結果に系統的な歪み(バイアス)をもたらす要因を、その方向性や大きさの推定とともに示す必要があります。そこで、今回は「誤差」と「バイアス」の概念を整理して解説します。

誤差とバイアス

 誤差(error)とは、観察された値と真の値(神のみぞ知る)との違いを指します。誤差は、その性質によって偶然誤差(random error)と系統誤差(systematic error、広義のバイアス)に分けられます(図1)。両者の違いは、誤差の方向性に一貫した偏りがあるかどうかにあります。偶然誤差はランダムに、つまり方向性はなく発生しますが、系統誤差は一定の方向性をもって発生します。身近な例として、聴診法による血圧測定を考えてみましょう。検者・時間・血圧計を一定にしても、被験者の血圧そのものが変動するため、測定値はばらつきます。これが偶然誤差です。一方、検者の聴力に難があったり、血圧計が故障していて常に低めに表示するのであれば、測定値は一定の方向に偏ります。これが系統誤差です。

図1.誤差とバイアス

 系統誤差と偶然誤差は、精度(信頼性)と正確度(妥当性)という概念と対応します。偶然誤差が小さい研究は精度が高く、系統誤差が小さい研究は正確度が高い、と整理できます。図2は射的の的を用いてこの関係を図示したものです。弾痕の散らばりが小さければ精度が高く、弾痕が的の中心(真の値)に近ければ正確度が高い、ということを示しています。臨床研究で目指すべき理想像は、精度も正確度もともに高い、図の右端の状態です。

図2.精度(信頼性)と正確度(妥当性)の関係

 精度は統計学的に評価できます。サンプルサイズを大きくすれば信頼区間が狭くなり、精度が向上します。一方、正確度は統計だけでは評価できません。研究デザインの段階から、対象者の選定、測定方法、測定条件を慎重に設計する必要があります。

 広義のバイアス(系統誤差)は、さらに「狭義のバイアス」と「交絡」とに分けて考えることができます。狭義のバイアスには、選択バイアスと情報バイアスが含まれます。両者の違いは、データ取得後の解析段階で制御できるかどうかです。交絡は、調整に必要な変数が測定されていれば多変量解析などによって解析段階でも制御可能です。しかし、狭義のバイアスは解析段階では制御不能であり、研究計画時に十分な対策を講じる必要があります。それでもなお残る限界については、論文のLimitationで誠実に開示するほかありません。なお交絡因子とその制御については、詳細は別稿に譲ります(連載第45回など参照)。

 

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harasense

長谷川 毅 ( はせがわ たけし ) 氏
昭和医科大学臨床疫学研究所 所長・教授
昭和医科大学大学院医学研究科 衛生学・公衆衛生学分野/腎臓内科学分野 兼担教授
福島県立医科大学臨床研究イノベーションセンター 特任教授

[略歴]
1996年昭和大学(現昭和医科大学)医学部卒業。
2007年京都大学大学院医学研究科臨床情報疫学分野(臨床研究者養成コース)修了。
都市型および地方型の地域中核病院で一般内科から腎臓内科専門診療、三次救急から亜急性期リハビリテーション診療まで臨床経験を積む。その臨床経験の中で生じた「臨床上の疑問」を科学的に可視化したいという思いが募り、京都の公衆衛生大学院で臨床疫学を学び、米国留学を経て現在に至る。


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62. ロジスティック回帰分析 その3

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59. 生存時間分析 その5

58. 生存時間分析 その4

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39. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップ‐E(要因)およびC(比較対照)設定の要点と実際 その2

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37. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップ‐O(アウトカム)設定の要点と実際 その2

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33. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その8

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3. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビューその2

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1. 臨床上の疑問とリサーチ・クエスチョン

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日本のがん死亡率低下も、大腸がん・膵がん・子宮頸がんは依然高水準

提供元:CareNet.com

 日本では全がんの年齢調整死亡率(ASR)が着実に低下している一方で、大腸がん、膵がん、子宮頸がんなど一部のがん種では依然として国際的に高い死亡率が続いていることが明らかになった。胃がんと肝がんでは大幅な改善が認められたものの、予防や検診による死亡率低下が期待されるがん種において十分な成果が得られていない実態が浮き彫りとなった。国立がん研究センターの片野田 耕太氏らによる本研究の結果はJapanese Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2026年3月5日号に掲載された。

 研究では、国際がん研究機関(IARC)のGlobal Cancer Observatoryデータベースおよび各国の人口動態統計を用い、日本、韓国、米国、英国、カナダ、オーストラリアなどの高所得国における1980~2024年のがん死亡率の推移を比較した。解析対象は全がんに加え、胃がん、大腸がん、肝がん、膵がん、肺がん、乳がん、前立腺がん、子宮頸がん、子宮体がんだった。

肝がん・胃がんは日本の成功事例

 歴史的に日本で死亡率が高かった胃がんと肝がんについては、長期的に大幅な減少がみられ、欧米諸国との国際格差は大幅に縮小した。とくに女性の肝がん死亡率については、日本が欧米諸国を下回る水準にまで低下した。著者らはこの背景として、B型・C型肝炎ウイルス検査の全国的な実施、妊婦へのHBs抗原検査、さらには直接作用型抗ウイルス薬(DAA)の普及といった一連の肝炎対策が有効に機能したと考えられ、WHOが掲げる2030年までのC型肝炎排除目標に向け、国際的なモデルケースになり得る、としている。

 一方、胃がんも日本における死亡率は低下し続けているものの、韓国の減少速度には及ばなかった。日本ではヘリコバクター・ピロリ除菌の保険適用拡大など1次予防が進む一方、韓国では内視鏡検診を中心とした2次予防が強力に推進されている。また、韓国では国家健康保険制度により検診データが一元管理されているのに対し、日本では職域検診の精度管理やデータ統合に課題が残ることが示唆された。

大腸がん・膵がん・子宮頸がんは深刻な高水準

 大腸がん死亡率は1980年代には欧米のほうが高かったが、その後減少が進んだ。これに対し日本では明確な低下傾向がみられず、近年では比較対象国の中でも高い水準となっている。韓国も近年減少傾向に転じており、日本との差が広がっている。

 膵がんは、日本において男女とも死亡率の上昇が続いており、国際的にみても高い水準が際立っている。早期発見が困難で予後不良な疾患であるが、喫煙や2型糖尿病が重要なリスク因子であり、禁煙や糖尿病管理といった1次予防の重要性が改めて示された。

 子宮頸がんにおいても、日本の相対的な立ち位置は悪化した。欧米諸国や韓国では死亡率が大幅に減少した一方、日本では高止まりが続いている。HPVワクチンの積極的勧奨の中止と再開の経緯もあって接種率はいまだ不十分であり、ワクチン接種と検診の双方を速やかに強化する必要性が示された。

乳がん・肺がんでも改善が緩やか

 女性の乳がん死亡率は欧米では着実に低下している一方、日本では増加傾向が続き、差は縮小している。男性の肺がんでも欧米に比べて死亡率低下が緩やかであり、近年では日本の死亡率が欧米を上回る状況となっている。

一部のがんでは予防を強化する必要性

 本研究により、日本の全がんのASRは他国と同様に引き続き低下していることが示された。とくに、かつて日本の死亡率の高さの要因となっていた胃がん、肝がんで持続的な低下がみられ、欧米諸国との差は縮小し、女性の肝がんでみられるように一部では逆転している。一方で、日本は大腸がん、膵がん、および子宮頸がんにおいて依然として最も高い死亡率を示している。女性の乳がんおよび男性の肺がんでは、日本における低下の遅れ、あるいは継続的な増加により、死亡率が欧米諸国の水準に近づいている。これらのがんの多くでは、1次予防および2次予防の方法が確立されており、胃がん、肝がんで達成された死亡率低下を再現するために、予防対策を強化する必要性が示唆される。

(ケアネット 杉崎 真名)


【原著論文はこちら】

Katanoda K, et al. Jpn J Clin Oncol. 2026 Mar 5. [Epub ahead of print]

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海外研修留学便り【米国留学記(松永 有紀氏)】第3回

[レポーター紹介]
松永 有紀(まつなが ゆき)

大分大学医学部医学科 卒業
東京大学医学部附属病院 初期研修
昭和大学病院 乳腺外科 助教(医科)
がん研究会NEXT-Ganken プログラム Clinical Research Fellow
がん研究会有明病院 乳腺外科 医員
テキサス大学サウスウェスタン医療センター シモンズ総合がんセンター 博士研究員

米国でのポスドク生活のリアル

 UTSWでのポスドク生活は、教育・研修機会の提供、キャリア形成支援、研究環境の整備、生活面でのサポート、コミュニティ形成の促進、そしてメンタリング体制の充実といった多角的な支援が整っています。

 ポスドクは学期ごとに単位を取得する必要があります。単位は、授業やワークショップ、オンラインコース、セミナーなどへの参加に加え、課題の提出によって取得できます。1年目にはいくつかの必須コースがあり、CVなど就職活動に必要な書類の書き方、研究倫理に関するe-learningなどを受講しました。なかでも、メンターとキャリアパスについて話し合い、その内容をレポートとしてまとめる課題は、自分の進路を整理する良い機会となりました。これらの課題で作成した書類は、その後のグラント申請やフェローシップ応募にもとても役立っています。 

セミナーのお供のドーナツ

 また、各Departmentが主催するセミナーはほぼ毎日のように開催されており、外部講師を招いた講演も数多く行われています。自分の研究に関連するテーマに限らず、興味のある分野であればできるだけ参加するようにしています。普段あまり触れることのない分野の知識を得られるため、刺激的で楽しい時間になっています。

 学生やポスドク向けのキャリアに関するセミナーも豊富にあり、起業家や企業勤務の研究者、特許関連や産学連携に関わる専門職の方々の話を聞くことができます。ポスドク後の進路を考えるうえで、非常に有益な機会になっています。

 さらに、附属病院ではObservation Programが用意されており、臨床医のもとでシャドーイングを行うことも可能です。私は研究の合間に、病理と乳腺外科を約2週間見学させていただきました。

 

 

フィットネスや病院も利用可能、とくに気に入っている「Language Partner Program」

PDAイベントでナイトミュージアム

 ポスドクは学生に近い扱いを受ける面もあり、Student Centerのヨガや室内サイクリングなどのフィットネスクラスに無料で参加できます。気候の良い時期には、友人とStudent Centerやキャンパス内のコートを借りてバスケットボールやピックルボールを楽しむこともあります。体調が優れないときには、病院内にあるStudent Healthを利用でき、当日でも診てもらいやすい点も助かっています。

 ポスドク同士のコミュニティとして、Postdoctoral Association(PDA)も活動しています。レジャーイベントの企画や情報共有に加え、給与やビザなどの課題について大学側との調整や問い合わせを担ってくれることもあります。PDAのイベントを通じて多くの知り合いや友人ができました。同じ立場の仲間とつながれる場があることは、大きな支えになっています。 

 

Pumpkin Carving Party

 とくに気に入っている制度の1つが、Language Partner Programです。UTSW内の英語を母語とする職員と留学生がマッチングされ、4ヵ月間のサイクルで、少なくとも週1回・1時間程度交流する仕組みになっています。英語の練習だけでなく、異文化交流や他職種の方とのつながりを深めることができる、非常に有意義なプログラムです。今までのPartnerの方は、Music Therapist、理学療法士、Printing Centerのデザイナーといったさまざまな業種の方でした。カフェや図書館に行ったり、ホームパーティに参加したり、病院での仕事を見学させてもらったりと、現地での生活を身近に感じられる貴重な経験ができました。

 

 


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4 海外研修留学便り【米国留学記(松永 有紀氏)】第4回

3 海外研修留学便り【米国留学記(松永 有紀氏)】第3回

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1 海外研修留学便り【米国留学記(松永 有紀氏)】第1回

学会抄録のかたちにまとめる その1【「実践的」臨床研究入門】第63回

提供元:CareNet.com

本連載は、臨床研究のノウハウを身につけたいけれど、メンター不在の臨床現場で悩める医療者のための、「実践的」臨床研究入門講座です。臨床研究の実践や論文執筆に必要な臨床疫学や生物統計の基本について、架空の臨床シナリオに基づいた仮想データ・セットや、実際に英語論文化した臨床研究の実例を用いて、解説していきます。

 これまでの連載を通じ、架空の臨床シナリオを題材に、「漠然とした臨床上の疑問」であるクリニカル・クエスチョン(CQ)を「具体的で明確な研究課題」であるリサーチ・クエスチョン(RQ)に変換し、段階的にブラッシュアップしてきました。さらに、仮想データ・セットを用いて、EZR(Easy R)による基本的な統計解析手法の実際についても解説してきました。今回からは、これまでに得られた解析結果も含め、学会抄録のかたちにまとめてみたいと思います。

構造化抄録

 学会抄録や原著論文のAbstractは、現在も多くの場合、IMRAD形式と呼ばれるかたちでまとめられています。IMRADとは、Introduction、Methods、Results、And Discussionというそれぞれの頭文字を取った略語です。日本語抄録では「背景・目的」、「方法」、「結果」、「考察・結論」という見出しで示されることが一般的です。

 しかし、IMRAD形式の抄録では研究方法に関する特定情報を迅速に把握しにくいことがあり、著者によってはそもそも重要な方法論の記述が十分になされていないこともあります。臨床研究における重要な特定情報とは、たとえば、研究デザインやP(対象)やIまたはE(介入または曝露要因)、O(アウトカム)といった構成要素とそれらの定義など、です。

 構造化抄録とは、IMRAD形式のうち、とくにMethods(方法)の記述の粒度を高め、より細分化して明示的な見出し(ラベル)を付した形式を指します。構造化抄録の典型的な構成要素は以下の通りです。

・Background(背景):研究の目的や重要性を簡潔に記載

・Objective(目的):研究の具体的な問い(RQに相当)

・Design(研究デザイン):研究デザインの種類(例:ランダム化比較試験、コホート研究、など)

・Setting(セッティング):研究が行われた場所や施設(例:単施設・多施設、外来・入院、大学病院・プライマリケア、など)

・Patients/Participants(対象):参加者数、主要な選択基準・除外基準

・Intervention/Exposure(介入または曝露):比較した介入内容(観察研究の場合は曝露要因)

・Measurements(評価項目):主要な評価指標(プライマリアウトカム)

・Results(結果):主要な結果(数値データ、信頼区間、p値など)

・Conclusions(結論):結果に基づいた結論とその臨床的意義

 このような構成は、JAMAやBMJ、Annals of Internal Medicineなどのトップジャーナルが定めるAbstractの形式に近く、近年では国内外で広く浸透しつつあります。構造化抄録はIMRAD形式の枠組みを拡張したものであり、読者が研究の内容や質をより迅速かつ明確に理解、評価する助けとなります。

 これまでの連載内容を踏まえ、われわれの研究を下記の通り構造化抄録のかたちにまとめてみました(連載第40回、41回、44回、45回、47回、53回、59回参照)。

【背景】たんぱく質摂取制限は慢性腎臓病(CKD)進行抑制に推奨されているが、厳格な低たんぱく食(Low protein diet:LPD)の遵守と腎予後との関連については十分に検討されていない。
【目的】保存期CKD患者において、推定たんぱく質摂取量(estimated daily protein intake:eDPI)と末期腎不全(ESKD)発症リスクおよび推定糸球体濾過量(eGFR)低下速度との関連を検討する。
【研究デザイン】後ろ向きコホート研究
【セッテイング】単施設外来
【対象】成人保存期CKD患者(ネフローゼ症候群は除外)638例の連続症例。
【曝露要因】24時間蓄尿検体からMaroni式を用いてDPIを推定し、0.5g/kg標準体重/日未満を厳格LPD遵守あり群(212例)、以上を遵守なし群(426例)として分類した。
【評価項目】ESKD発症(維持透析導入または先行的腎移植)およびeGFR年間低下速度(mL/min/1.73m2/年)。
【結果】平均観察期間3.9年において、ESKD発症率に両群間で有意差は認められなかった。Cox比例ハザード回帰モデルによる解析では、年齢、性別、糖尿病の有無、収縮期血圧、ベースラインeGFR、尿たんぱく定量、血清アルブミン値、ヘモグロビン値で調整した結果、厳格LPD遵守あり群のESKD発症に対する調整ハザード比は0.82(95%CI:0.60~1.14、p=0.24)であった。一方、多変量重回帰分析の結果、eGFR年間低下速度は厳格LPD遵守あり群が遵守なし群よりも2.03mL/min/1.73m2/年緩徐であった(95%CI:1.61~2.45、p<0.001)。
【結論】非ネフローゼ症候群の保存期CKD患者において、DPI0.5g/kg標準体重/日未満の厳格なLPDの遵守はESKD発症リスクの低下とは関連しなかったが、eGFR低下速度の抑制に寄与する可能性が示唆された。

 

講師紹介

harasense

長谷川 毅 ( はせがわ たけし ) 氏
昭和医科大学臨床疫学研究所 所長・教授
昭和医科大学大学院医学研究科 衛生学・公衆衛生学分野/腎臓内科学分野 兼担教授
福島県立医科大学臨床研究イノベーションセンター 特任教授

[略歴]
1996年昭和大学(現昭和医科大学)医学部卒業。
2007年京都大学大学院医学研究科臨床情報疫学分野(臨床研究者養成コース)修了。
都市型および地方型の地域中核病院で一般内科から腎臓内科専門診療、三次救急から亜急性期リハビリテーション診療まで臨床経験を積む。その臨床経験の中で生じた「臨床上の疑問」を科学的に可視化したいという思いが募り、京都の公衆衛生大学院で臨床疫学を学び、米国留学を経て現在に至る。


バックナンバー

66. 学会抄録のかたちにまとめる その4

65. 学会抄録のかたちにまとめる その3

64. 学会抄録のかたちにまとめる その2

63. 学会抄録のかたちにまとめる その1

62. ロジスティック回帰分析 その3

61. ロジスティック回帰分析 その2

60. ロジスティック回帰分析 その1

59. 生存時間分析 その5

58. 生存時間分析 その4

57. 生存時間分析 その3

56. 生存時間分析 その2

55. 生存時間分析 その1

54. 線形回帰(重回帰)分析 その5

53. 線形回帰(重回帰)分析 その4

52. 線形回帰(重回帰)分析 その3

51. 線形回帰(重回帰)分析 その2

50. 線形回帰(重回帰)分析 その1

49. いよいよ多変量解析 その2

48. いよいよ多変量解析 その1

47. 何はさておき記述統計 その8

46. 何はさておき記述統計 その7

45. 何はさておき記述統計 その6

44. 何はさておき記述統計 その5

43. 何はさておき記述統計 その4

42. 何はさておき記述統計 その3

41. 何はさておき記述統計 その2

40. 何はさておき記述統計 その1

39. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップ‐E(要因)およびC(比較対照)設定の要点と実際 その2

38. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップ‐E(要因)およびC(比較対照)設定の要点と実際 その1

37. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップ‐O(アウトカム)設定の要点と実際 その2

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35. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップーP(対象)設定の要点と実際 その2

34. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップーP(対象)設定の要点と実際 その1

33. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その8

32. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その7

31. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その6

30. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その5

29. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その4

28. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その3

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16.リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー CONNECTED PAPERSの活用 その2

15. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー CONNECTED PAPERSの活用 その1

14. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー コクラン・ライブラリーの活用 その3

13. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー コクラン・ライブラリーの活用 その2

12. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー コクラン・ライブラリーの活用その1

11. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー UpToDateの活用その2

10. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー UpToDateの活用その1

9. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 文献管理その3

8. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 文献管理その2

7. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 文献管理その1

6. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 診療ガイドラインの活用その3

5. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 診療ガイドラインの活用その2

4. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 診療ガイドラインの活用その1

3. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビューその2

2. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー その1

1. 臨床上の疑問とリサーチ・クエスチョン

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