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きわめて高濃度乳房でマンモグラフィ検査が正常の女性において、MRIスクリーニングの追加はマンモグラフィ検査単独と比較し、2年間のスクリーニング中の中間期がんの診断件数が有意に減少することが、オランダ・ユトレヒト大学のMarije F. Bakker氏らによる多施設共同無作為化比較試験「Dense Tissue and Early Breast Neoplasm Screening trial:DENSE試験」の結果、示された。高濃度乳房は乳がんのリスク因子であるが、マンモグラフィ検査によるがん検出には限界があり、高濃度乳房の女性における早期発見率の改善と中間期乳がん減少のためのMRI追加に関するデータが必要とされていた。NEJM誌2019年11月28日号掲載の報告。
きわめて高濃度乳房の女性約4万例で、MRI追加と非追加の中間期がん発生を比較
研究グループは、オランダで2年ごとに実施されているデジタルマンモグラフィ検診プログラムに参加し、マンモグラフィ検査で陰性と判定されたきわめて高濃度乳房の50~75歳の女性4万373例を、MRI追加実施招待(MRI追加)群と、マンモグラフィ検査のみのマンモグラフィ群に、1対4の割合で無作為に割り付け追跡評価した(MRI追加群8,061例、マンモグラフィ群3万2,312例)。
主要評価項目は、2年間のスクリーニング期間における中間期がんの発生頻度の群間差であった。
MRI追加群でマンモグラフィ単独群より中間期乳がん発生頻度が有意に低下
中間期がんの発生頻度(スクリーニング1,000件当たり)は、MRI追加群で2.5件、マンモグラフィ群で5.0件であり、群間差は2.5件(95%信頼区間[CI]:1.0~3.7、p<0.001)であった。
MRI追加群のうち、実際にMRI検査を受けた女性は4,783例(59%)であり、MRI追加群で中間期がん診断された20例のうち、4例(スクリーニング1,000件当たり0.8)がMRI実施例、16例(同4.9)はMRI非実施例であった。したがって、MRI実施例におけるMRIによるがん検出率は、スクリーニング1,000件当たり16.5件(95%CI:13.3~20.5)であった。
陽性適中率は、MRI検査陽性例(BI-RADSスコア3~5)で17.4%(95%CI:14.2~21.2)、MRI検査陽性生検実施例(BI-RADSスコアが4または5、フォローアップMRIでスコア4または5を含む)で26.3%(95%CI:21.7~31.6)であった。一方、偽陽性率は、スクリーニング1,000件当たり79.8件であった。
MRI実施例において、検査中または検査直後の有害事象あるいは重篤な有害事象の発現率は0.1%で、血管迷走神経反応、造影剤反応、血管外漏出に関連していた。
(医学ライター 吉尾 幸恵)
【原著論文はこちら】
Bakker MF, et al. N Engl J Med. 2019;381:2091-2102.
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