乳がんリスクが高い9遺伝子を推定/NEJM

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 英国・ケンブリッジ大学のLeila Dorling氏らBreast Cancer Association Consortium(BCAC)の研究チームは、乳がんリスクのゲノム関連解析の結果、乳がんリスクを予測する遺伝子パネルに組み込む臨床的に最も役立つ遺伝子を特定し、遺伝カウンセリングを導入するためのタンパク質切断型変異による乳がんリスクを推定した。乳がん感受性遺伝子検査は広く用いられるようになったが、多くの遺伝子は乳がんとの関連性に関するエビデンスが弱く、リスク推定値は不正確で、信頼できる亜型特異的リスクのデータも不足していた。NEJM誌オンライン版2021年1月20日号掲載の報告。

11万3,000例以上を対象に、34の乳がん感受性遺伝子を解析

 研究グループは、BCACの研究に参加している乳がん患者6万466例、および対照者5万3,461例の検体を対象に、感受性遺伝子と考えられている34の遺伝子パネルを用いDNAシークエンシングを実施した。

 遺伝子変異は、タンパク質切断型変異とまれなミスセンス変異についてそれぞれ解析し、すべての乳がんおよびサブタイプ別のオッズ比を推定するとともに、ミスセンス変異の関連性を評価した。

遺伝子間のリスクの差が明らかに

 5つの遺伝子(ATMBRCA1BRCA2CHEK2PALB2)のタンパク質切断型変異は、乳がん全体のリスクと関連していた(p<0.0001)。4つの遺伝子(BARD1RAD51CRAD51DTP53)のタンパク質切断型変異も乳がん全体のリスクと関連していた(p<0.05およびベイズ偽陽性確率<0.05)。残り25遺伝子のうち19のタンパク質切断型変異は、乳がん全体のオッズ比の95%信頼区間上限値が2.0未満であった。

ATMおよびCHEK2のタンパク質切断型変異では、エストロゲン受容体(ER)陰性乳がんと比較して、ER陽性乳がんの発症リスクが高かった。BARD1BRCA1BRCA2PALB2RAD51CRAD51Dのタンパク質切断型変異では、ER陽性乳がんと比較してER陰性乳がんの発症リスクが高かった。

ATMCHEK2TP53のまれなミスセンス変異は、乳がん全体のリスクと関連していた(p<0.001未満)。BRCA1BRCA2TP53については、標準的な基準に従い病的変異に分類される可能性があるミスセンス変異が、乳がん全体のリスクと関連しており、そのリスクはタンパク質切断型変異と同程度であった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)


【原著論文はこちら】

Breast Cancer Association Consortium. N Engl J Med. 2021 Jan 20. [Epub ahead of print]

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アベマシクリブ+内分泌療法、高齢乳がん患者での有効性と安全性(MONARCH-2、-3)

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 ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性進行乳がんに対する、アベマシクリブと内分泌療法(ET)の併用は、第III相MONARCH-2試験(フルベストラント)およびMONARCH-3試験(アナストロゾールまたはレトロゾール)で有効性が示されている。米国・メイヨー・クリニックのMatthew P Goetz氏らは、両試験の年齢別サブグループ解析を実施。高齢患者における有効性と安全性について、Breast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2021年1月3日号で報告した。

 MONARCH-2および-3試験における探索的解析が、3つの年齢グループ(<65歳、65~74歳、および≧75歳)に対して行われた。安全性については両試験からのプールデータが用いられ、有効性についてはPFSのサブグループ解析を各試験データでそれぞれ実施した。

 主な結果は以下のとおり。

・プールされた安全性データは、1,152例について利用可能であった。
・臨床的に関連する下痢(Grade2/3)は、アベマシクリブ+ET群で多く発生し、65歳以上の2つのグループでより多くみられた(<65歳:39.5%、65~74歳:45.2%、≧75歳:55.4%)。プラセボ+ET群では、<65歳:6.8%、65~74歳:4.5%、≧75歳:16.0%。
・VTE発生率(全Grade)は、アベマシクリブ+ET群では<65歳(4.1%)および65~74歳(5.0%)となり、≧75歳(13.3%)でより高い傾向がみられた。プラセボ群では<65歳:0.5%、65~74歳:0.9%、≧75歳:2.0%。
・悪心や食欲不振は、アベマシクリブ+ET群で多く発生し、65歳以上の2グループでやや増加する傾向がみられた。
・一方、好中球減少症、貧血、白血球減少症などの血液毒性(全Grade)は、プラセボ群と比較してアベマシクリブ+ ET群で多かったが、年齢グループ間で発生率に差はみられなかった。
・アベマシクリブ+ ET群での用量調整(<65歳:63.1%、65~74歳:74.4%、≧75歳:75.9%)および有害事象(AE)による治療中止(<65歳:8.8%、65~74歳:14.2%、≧75歳:24.1%)は、65歳未満と比較して65歳以上でやや増加していた。
・アベマシクリブ+ ET群は、患者の年齢に関係なく、プラセボ+ ET群と比較してPFSを改善し、3つの年齢グループ間で治療効果に有意差はみられなかった(MONARCH-2:相互作用のp=0.695、MONARCH- 3:相互作用のp=0.634)。推定ハザード比は、0.523~0.633(MONARCH-2)および0.480~0.635(MONARCH-3)の範囲であった。

 著者らは、高齢の患者ではより高い割合の有害事象が報告されたが、それらは用量調整と併用薬で管理可能であり、すべての年齢層で一貫した有効性の利点が観察されたと結論づけている。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


【原著論文はこちら】

Goetz MP, et al. Breast Cancer Res Treat. 2021 Jan 3. [Epub ahead of print]

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コーヒーは乳がん発症を抑制するか~大規模メンデルランダム化研究

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 コーヒーの摂取と乳がんリスクの関連がない、または弱いことが観察研究で報告されている。そこで、英国・Imperial College LondonのMerete Ellingjord-Dale氏らが、大規模なメンデルランダム化(MR)研究を実施した。その結果、遺伝的に予測されるコーヒー摂取と乳がんリスクとの関連は認められなかったが、弱い関連の存在は除外できないとしている。PLoS One誌2021年1月19日号に掲載。

 著者らは、UKバイオバンクに参加しているホワイトブリティッシュ系の女性21万2,119人に関するゲノムワイド関連研究からコーヒー摂取に関連する33の一塩基多型(SNP)を使用して、コーヒー摂取と乳がんリスクとの関係を2サンプルMR法で検討した。症例は12万2,977例(うちER陽性が6万9,501例、ER陰性が2万1,468例)、対照はヨーロッパ系の10万5,974例。乳がんリスク推定値は、Breast Cancer Association Consortium(BCAC)で公開されているゲノムワイド関連の要約統計量から取得した。感度分析と一緒に変量効果逆分散加重(IVW)MR分析を行い、潜在的なMR仮定違反の影響を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・女性において遺伝的に予測されるコーヒー摂取量の1日1杯の増加は、乳がん全体(IVW変量効果におけるオッズ比[OR]:0.91、95%信頼区間[CI]:0.80~1.02、p=0.12)、ER陽性乳がん(OR:0.90、95%CI:0.79~1.02、p=0.09)、ER陰性乳がん(OR:0.88、95%CI:0.75~1.03、p=0.12)のリスクと関連していなかった。
・MR-Egger(乳がん全体におけるOR:1.00、95%CI:0.80~1.25)、加重中央値(OR:0.97、95%CI:0.89~1.05)、加重モード(OR:1.00、95%CI:0.93~1.07)を用いた感度分析においても関連が認められなかった。

(ケアネット 金沢 浩子)


【原著論文はこちら】

Ellingjord-Dale M, et al. PLoS One. 2021;16:e0236904.

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日本のがん遺伝子パネル検査、初回評価の結果は?/Int J Clin Oncol

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 日本では2019年6月にがん遺伝子パネル検査が保険収載され、専門家で構成されるmolecular tumor board(エキスパートパネル)を備えた施設が検査実施施設として当局より指定されている。その実績に関する評価の結果が報告された。エキスパートパネルの標準化は、臨床現場でのがんゲノム医療の実装に重要な課題である。国立がん研究センター中央病院の角南 久仁子氏らは、中核病院でのエキスパートパネルの実績について初期評価を行い、臨床的意義付けの標準化についてさらに調査が必要であることを示した。International Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2021年1月1日号掲載の報告。

 研究グループは、2019年6月~2020年1月に中核病院11施設においてがん遺伝子パネル検査を実施した連続症例のデータを収集し、検査結果に基づいて治験薬を含む遺伝子異常に合致する治療を行った症例、および遺伝カウンセリングが推奨された症例の割合を調査。また、模擬症例2例について各エキスパートパネルがアノテーションを実施。そのレポートについて中央評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・エキスパートパネルの主要メンバーが事前に結果レポートをレビューしておくことによって、エキスパートパネル会議が双方向かつ効率的となり、時間を節約できたと報告された。
・がん遺伝子パネル検査の実施数は計747例で、このうち28例(3.7%)が遺伝子異常に合致する治療を受けた。
・遺伝カウンセリングの紹介に至った症例は17例(2.3%)であった。
・模擬症例に関するアノテーションレポートは各エキスパートパネルで異なっており、とくに、推奨される治験数は、臨床試験への実際の参加者数に関連していると考えられた。

(ケアネット)


【原著論文はこちら】

Sunami K, et al. Int J Clin Oncol. 2021 Jan 1. [Epub ahead of print]

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がんに存在する異常なmRNAの全長構造を同定/国立がん研究センター

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 東京大学大学院新領域創成科学研究科の関 真秀特任助教と鈴木 穣教授らのグループは、国立がん研究センター先端医療開発センター免疫療法開発分野・中面哲也分野長らとの共同研究により、ナノポアシークエンサーで肺がんに存在する異常なmRNAの網羅的な同定をして、異常なmRNAから生じるペプチドが免疫細胞に認識されることを示した。

 従来のシークエンサーは、RNAをばらばらに短くしてから配列を読み取っていたため、mRNAの全長配列を読み取ることはできなかった。それに対して、長い配列を読み取れるナノポアシークエンサーは、mRNAの全長配列を読み取ることができる。

 今回、肺がんにナノポアシークエンサーを用いて、正常な組織に存在しない異常なmRNAの全長構造をカタログ化した。さらに、異常なmRNAから生じるペプチド配列が免疫細胞によって認識されることを示した。異常mRNAの蓄積が、がん免疫療法が効くかどうかの新たな指標となる可能性がある。

 同研究成果は、2021年1月4日(月)に英国科学雑誌「Genome Biology」のオンライン版で掲載された。

■参考
国立がん研究センタープレスリリース

(ケアネット)


【原著論文はこちら】

Oka M,et al. Genome Biol. 2021 Jan 4.

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30歳以下の早期乳がんの予後、高齢患者と比較

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 30歳以下で乳がんと診断された患者のデータを後ろ向きに収集し、高齢患者を対照として症例対照研究を実施したところ、若年患者は高齢患者よりも無病生存率(DFS)が短い傾向にあったことを、台湾・National Cheng Kung UniversityのWei-Pang Chung氏らが報告した。全生存期間(OS)には差がみられなかった。Medicine(Baltimore)誌2021年1月8日号に掲載。

 本研究は、手術方法・病期・サブタイプをマッチさせた、症例(若年患者)と対照(高齢患者)が1:3の症例対照研究。主要評価項目はDFS、副次評価項目はOSで、単変量および多変量解析で予後因子を検討した。分析対象は若年群(年齢中央値:28.5歳)18例と高齢者群(同:71歳)54例。

 主な結果は以下のとおり。

・5年DFS率は若年群で68.8%、高齢者群で84.6%だった(p=0.080)。
・5年OS率は若年群87.1%、高齢者群91.2%だった(p=0.483)。
・多変量解析から「腫瘍径が大」「トリプルネガティブ乳がん」が、若年患者のDFS不良となる主な予後因子であることが示された。

 著者らは「乳がん初期段階にある若年患者への積極的な治療が予後を改善するだろう」と述べている。

(ケアネット 金沢 浩子)


【原著論文はこちら】

Chung WP, et al. Medicine (Baltimore). 2021;100:e24076.

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若手研究者に国際的がん教育を「国際がん研究シンポジウム」開催/近畿大学

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 近畿大学医学部を主幹とする「7大学連携個別化がん医療実践者養成プラン」は、2021年1月18日~2月17日、オンラインにて「第4回国際がん研究シンポジウム」を開催する。同シンポジウムは、2013年3月に「第2期がんプロ」の取組の中で開催し、これまでに8回の開催実績がある。

 国際がん研究シンポジウムは「教育講演」と「一般演題」の2部構成。「教育講演」では国内外の著名な研究者が各分野の最新の話題をわかりやすく伝える。「一般演題」では若手研究者がそれぞれのデータを持ち寄り発表すると共に、各分野の精鋭コメンテーターからの質問が待ち受ける。若手研究者はこれらの質問に英語で対応。質疑応答を含め、全体として優秀であると評価された演題にはセッションごとにアワードが贈られる。

 ライブ配信(教育講演と一般口演)は、平日の19〜21時と各研究機関の医療従事者が参加しやすい時間帯としている。優秀演題選出の投票については視聴者も行う。

 開催担当者は、「このシンポジウムの目的は『教育』。国際学会において英語がハードルとならないようにするには、普段から英語で発表し、英語で自分の意見を述べるというトレーニングが欠かせません。このシンポジウムがそういった機会になることを期待しています。」と述べている。

 同シンポジウムへの参加は無料。視聴には事前登録が必要。

【オンライン開催】
・期間:2021年1月18日~2月17日
・ライブ配信:2021年1月25日~27日、2月1日~3日の19:00〜21:00
 ・Educational Lecture 1~10(ゲノム、肺、消化器、血液など)
 ・一般口演Session1~6 若手研究者の発表 16演題(TR、ゲノム、消化器、放射線、肺、血液)
・オンデマンド配信:1月18日~ 2月17日(ホームページ上で閲覧可能)
 ・若手研究者の発表 21演題(放射線、肺、ゲノムなど)
・対象:医療従事者
・参加費:無料
・参加方法:ホームページより参加登録
・問い合わせ:第4回国際がん研究シンポジウム事務局
 ・近畿大学医学部がんプロ事務局 ganpro@med.kindai.ac.jp
 ・特定非営利活動法人 近畿がん診療推進ネットワーク k-ccnet@med.kindai.ac.jp

■参考
第4回国際がん研究シンポジウム ホームページ
第4回国際がん研究シンポジウム プログラム
参加登録

(ケアネット)


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BRCA1/2変異女性の乳がんリスク、60歳以降は?

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 BRCA1もしくはBRCA2変異キャリアの60~80歳の乳がんリスクについて、カナダ・Toronto-Sunnybrook Regional Cancer CenterのNeda Stjepanovic氏らの遺伝性乳がん臨床研究グループが大規模前向き研究を実施した結果、どちらの変異キャリアにおいても60歳以降も乳がん発症リスクは高いままであることが示された。Breast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2021年1月10日号に掲載。

 本研究の被験者は、60歳時にがん既往歴がなく両側とも乳房の手術をしていない女性699人。乳がんの診断、予防的な両側乳房切除術、もしくは死亡するまで追跡し、60~80歳における乳がん(浸潤性およびin situ)の年発生率と累積発生率を計算した。また、ホルモン補充療法、乳がん家族歴、両側卵巣摘出術と乳がんリスクとの関連を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・平均追跡期間7.9年間に、61例が浸潤性乳がん、20例がin situ乳がんと診断された。
・浸潤性乳がんの平均年発生率は、BRCA1変異キャリアで1.8%、BRCA2変異キャリアで1.7%だった。
・60~80歳の浸潤性乳がんの累積リスクは、BRCA1変異キャリアで20.1%、BRCA2変異キャリアで17.3%であった。
・ホルモン補充療法、家族歴および卵巣摘出術は、乳がんリスクとは関連していなかった。

(ケアネット 金沢 浩子)


【原著論文はこちら】

Stjepanovic N, et al. Breast Cancer Res Treat. 2021 Jan 10. [Epub ahead of print]

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BRCA1/2変異女性の乳がんリスク、60歳以降は?

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 BRCA1もしくはBRCA2変異キャリアの60~80歳の乳がんリスクについて、カナダ・Toronto-Sunnybrook Regional Cancer CenterのNeda Stjepanovic氏らの遺伝性乳がん臨床研究グループが大規模前向き研究を実施した結果、どちらの変異キャリアにおいても60歳以降も乳がん発症リスクは高いままであることが示された。Breast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2021年1月10日号に掲載。

 本研究の被験者は、60歳時にがん既往歴がなく両側とも乳房の手術をしていない女性699人。乳がんの診断、予防的な両側乳房切除術、もしくは死亡するまで追跡し、60~80歳における乳がん(浸潤性およびin situ)の年発生率と累積発生率を計算した。また、ホルモン補充療法、乳がん家族歴、両側卵巣摘出術と乳がんリスクとの関連を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・平均追跡期間7.9年間に、61例が浸潤性乳がん、20例がin situ乳がんと診断された。
・浸潤性乳がんの平均年発生率は、BRCA1変異キャリアで1.8%、BRCA2変異キャリアで1.7%だった。
・60~80歳の浸潤性乳がんの累積リスクは、BRCA1変異キャリアで20.1%、BRCA2変異キャリアで17.3%であった。
・ホルモン補充療法、家族歴および卵巣摘出術は、乳がんリスクとは関連していなかった。

(ケアネット 金沢 浩子)


【原著論文はこちら】

Stjepanovic N, et al. Breast Cancer Res Treat. 2021 Jan 10. [Epub ahead of print]

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ゾレドロン酸の顎骨壊死発生率とリスク因子/JAMA Oncol

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 ゾレドロン酸は、骨転移のあるがん患者において骨修飾薬(BMA)として用いられている。米国の多施設共同前向き観察コホート試験(SWOG Cancer Research Network S0702)の結果、投与後累積3年の顎骨壊死の発生率は2.8%であることが明らかにされた。JAMA Oncology誌オンライン版2020年12月17日号掲載の報告。

 試験は、BMA治療が限定的または治療歴がなく、試験登録から30日以内、ゾレドロン酸の使用などの治療計画があり、骨転移のあるがん患者を対象とした。ベースラインおよび6ヵ月ごとに提出された医学的、歯科学的および患者によるアウトカム報告に基づき、顎骨壊死(確立された基準で定義)の発生を3年間にわたり追跡評価した。
 主要評価項目は、確認された顎骨壊死の累積発生率で、頭蓋領域への同時放射線療法が行われていない状態で8週間以上、顎領域に骨の露出領域が認められた場合と定義した。

 主な結果は以下のとおり。

・SWOG S0702試験には、3,491例が登録された(女性1,806例[51.7%]、年齢中央値63.1歳)。1,120例が乳がん、580例が骨髄腫、702例が前立腺がん、666例が肺がん、423例がその他の悪性腫瘍であった。
・ベースラインの歯科学的検査が行われたのは2,263例(64.8%)であった。
・全体で、顎骨壊死の確定発生は90例であった。累積発生率は1年時0.8%(95%信頼区間[CI]:0.5~1.1)、2年時2.0%(1.5~2.5)、3年時2.8%(2.3~3.5)であった。
・3年累積発生率は、骨髄腫の患者で最も高率だった(4.3%、95%CI:2.8~6.4)。
・ゾレドロン酸の投与計画間隔が5週間未満だった患者は、5週間以上だった患者と比べて顎骨壊死の発生が有意に多かった(ハザード比[HR]:4.65、95%CI:1.46~14.81、p=0.009)。
・顎骨壊死の発生率の高さは、歯の総数が少ないこと(HR:0.51、95%CI:0.31~0.83、p=0.006)、義歯(入れ歯)があること(1.83、1.10~3.03、p=0.02)、現在喫煙(2.12、1.12~4.02、p=0.02)と関連していた。

(ケアネット)


【原著論文はこちら】

Van Poznak CH, et al. JAMA Oncol. Dec 17. [Epub ahead of print]

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