2008年3月 信州大学医学部医学科 卒業 2008年4月~2018年3月 信州大学医学部附属病院 初期研修医~乳腺内分泌外科 医員 2017年9月 信州大学医学部医学科博士課程大学院 卒業 2018年4月~2021年10月 Harvard Medical School, Beth Israel Deaconess Medical Center, postdoctoral fellow 2020年5月~現在 一般社団法人BC TUBE 理事 2021年11月-2022年12月 がん研有明病院 乳腺外科 医員 2023年1月-現在 がん研究会 NEXT-Gankenプログラム クリニカルリサーチフェロー
臨床医から基礎研究へ軸足を移し、夫婦共働きで留学
がん研究会NEXT-Gankenプログラムで、主にがんの基礎研究に従事しております、家里 明日美と申します。私は2018年から約3年半、米国・Beth Israel Deaconess Medical Center, Harvard Medical Schoolの甲状腺がんトランスレーショナルリサーチラボに、ポスドクトラルフェローとして留学しました。
最初はメールでPIに連絡しましたが、返事はなかなか得られず、10数件は断られた、あるいは返信がありませんでした。そこで、AACRなどの学会や講演会で希望する研究室のPIに直接挨拶し、留学を希望していることを伝えるようにしました。最終的に、Beth Israel Deaconess Medical Center, Harvard Medical SchoolのCarmelo Nucera先生から連絡をいただき、ボストンで開催された学会で面談の機会をいただきました。面談では、大学院での研究内容や、自分の目標について説明しました。
理想を言えば、標的母集団のすべてを対象とする悉皆調査(全数調査)か、無作為抽出サンプリングを採用したいところです。悉皆調査の代表例は国勢調査です。これは日本国内に住むすべての人と世帯を対象として5年ごとに実施される調査で、悉皆調査の最も典型的な例とされています。無作為抽出サンプリングの好例は、以前も紹介した筆者が長年関わってきたDialysis Outcomes and Practice Patterns Study(DOPPS)です。DOPPSでは調査対象施設を無作為抽出したうえで施設からさらに研究対象患者を無作為抽出する二段階無作為抽出を行うことにより、研究対象集団の外的妥当性を担保しています(連載第35回参照)。
それでは、以前作成した構造化抄録(連載第63回参照)に独立した見出しとして「Limitation(研究の限界)」を加えてみたいと思います。対象は保存期CKD患者638例の単施設後ろ向きコホート研究で、24時間蓄尿検体から推定した1日たんぱく質摂取量(estimated daily protein intake:eDPI)と末期腎不全発症およびeGFR低下速度との関連を検討したものでした。Limitationは、本研究のデザインから想定される、(1)選択バイアス、(2)情報バイアス(測定段階/追跡段階)、(3)残余交絡の3つの観点から具体的に記述してみました。
2026年5月29日~6月2日までシカゴで開催されたASCO年次総会は、「The Science and Practice of Translation: Improving Cancer Outcomes Worldwide」がテーマで、研究成果を臨床に迅速に届け、地域社会や資源の限られた国々へ広げる取り組みが強調された。航空運賃の高騰、円安、米国内のインフレなど学会参加コストの上昇から、日本からの参加者はコロナ前と比べてあまり戻っていない印象だが、それでも多くの研究者と交流できた。また、6月3日に台風チャンミーが日本を直撃し、多くの国際線・国内線が欠航になる中、帰国に影響があった参加者も多かったようである。私は外来日の関係で帰国が1日早かったので、幸い影響を受けなかった。今回は直接日常臨床を変える試験は多くなかったが、将来の開発の方向性を考えるうえで重要だと考えられた6試験を紹介する。
前回、これまでの連載で取り上げてきたクリニカル・クエスチョン(CQ)からリサーチ・クエスチョン(RQ)への変換とEZR(Easy R)による統計解析の総まとめとして、われわれの仮想研究を学会抄録のかたちにしました。その際にIMRAD形式と構造化抄録の違いを概説し、構造化抄録の典型的な構成要素として、Background、Objective、Design、Setting、Patients/Participants、Intervention/Exposure、Measurements、Results、Conclusionsの9つを挙げました。この9つに加えて、Limitation(研究の限界)を独立した見出しとして掲げる構造化抄録のパターンもあり、Annals of Internal Medicineをはじめとする一部のトップジャーナルが推奨する様式に採用されています。研究結果を批判的に吟味するうえでは、研究の限界を本文だけでなく、抄録の段階から明示しておくことが重要だと考えられています。
このような構成は、JAMAやBMJ、Annals of Internal Medicineなどのトップジャーナルが定めるAbstractの形式に近く、近年では国内外で広く浸透しつつあります。構造化抄録はIMRAD形式の枠組みを拡張したものであり、読者が研究の内容や質をより迅速かつ明確に理解、評価する助けとなります。