海外研修留学便り【米国留学記(松永 有紀氏)】第4回

[レポーター紹介]
松永 有紀(まつなが ゆき)

大分大学医学部医学科 卒業
東京大学医学部附属病院 初期研修
昭和大学病院 乳腺外科 助教(医科)
がん研究会NEXT-Ganken プログラム Clinical Research Fellow
がん研究会有明病院 乳腺外科 医員
テキサス大学サウスウェスタン医療センター シモンズ総合がんセンター 博士研究員

住む家や車は現地で、留学生活のスタートとダラスでの生活

 最終回では、研究や仕事の話から少し離れ、ダラスでの生活についてご紹介できればと思います。皆さまの参考になるかどうかはわかりませんが、留学生活の1つの例として読んでいただければ幸いです。

 留学が決まってから実際に渡米するまで、あまり時間がなかったため、住む家や車は現地で探すことにし、アメリカの電話番号を確保し、現地で使えるデビットカードを数枚準備して渡米しました。到着してから3日ほどの間に、アパートを7件ほど内見し、自家用車を確保し、その後も生活に必要な手続きや買い物を一気に進めていきました。

保護猫のはなちゃん

 わからないことだらけで、最初の半年ほどは常に何かを調べていたように思います。生活の基盤を整えるだけでも想像以上にやることが多く、落ち着かない日々が続きました。日本では当たり前のようにできていたことも、言語や制度、文化が違うだけで1つひとつが小さな挑戦です。すぐ近くのスーパーに行くだけでも心理的な負担がありました。英語を話さなければならないこと、車の運転をしないといけないこと、物騒な事件が立て続けに身近で起こり、何なら巻き込まれもし、周囲の環境に安心感を持てず、何気ない外出にも少し緊張していました。

 それでも、時間が経つにつれて近所に行きつけのドーナツ屋さんができ、知り合いや友人も少しずつ増え、週末に出かける場所や、気軽に立ち寄れる場所も広がっていきました。最初は「生活を何とか回す」ことで精一杯でしたが、少しずつ自分の行動範囲が広がり、ダラスでの毎日が自分自身の生活として馴染んでいく感覚がありました。また、ひょんなことから猫が家族に加わったことも、こちらでの生活を大きく変えてくれました。

がん研時代の同期が来てくれて、みんなで一緒に行ったメキシコ湾クルーズ

 ダラスでの生活を通じて、研究以外の面でも多くの刺激を受けました。世界中のさまざまな国から集まった友人たちと交流する中で、それぞれの文化や価値観、研究に対する姿勢、将来の考え方に触れることができました。また、尊敬できる研究者の方々にもたくさん出会うことができ、研究者としてだけでなく、1人の人間としても多くのことを学ぶ機会に恵まれました。

 一方で、臨床の現場から離れる時間が長くなるにつれ、臨床の感覚をどう維持していくのか、留学で得た経験を今後どう活かしていくのか、考えることは多くあります。それでも、今は好きなことを好きなだけ学び、考え、試すことができる貴重な時間でもあります。出会う人々や経験の1つひとつが、今後の自分にとって財産になるのだと思います。日本から温かく送り出していただいたすべての方への感謝を忘れず、残りの時間もできるだけ有意義に過ごせるよう、仕事にも生活にも工夫しながら取り組んでいきたいです。

 


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4 海外研修留学便り【米国留学記(松永 有紀氏)】第4回

3 海外研修留学便り【米国留学記(松永 有紀氏)】第3回

2 海外研修留学便り【米国留学記(松永 有紀氏)】第2回

1 海外研修留学便り【米国留学記(松永 有紀氏)】第1回

ASCO2026 レポート 乳がん

提供元:CareNet.com

レポーター: 下村 昭彦氏
(国立健康危機管理研究機構 国立国際医療センター がん総合内科/乳腺・腫瘍内科)

 

[目次]
 persevERA試験
 SERENA-6試験
 JCOG1919E (AMBITION)試験
 SAKK96/12 REDUSE試験
 OPTIMA試験
 PRO-MOTE試験

はじめに

 2026年5月29日~6月2日までシカゴで開催されたASCO年次総会は、「The Science and Practice of Translation: Improving Cancer Outcomes Worldwide」がテーマで、研究成果を臨床に迅速に届け、地域社会や資源の限られた国々へ広げる取り組みが強調された。航空運賃の高騰、円安、米国内のインフレなど学会参加コストの上昇から、日本からの参加者はコロナ前と比べてあまり戻っていない印象だが、それでも多くの研究者と交流できた。また、6月3日に台風チャンミーが日本を直撃し、多くの国際線・国内線が欠航になる中、帰国に影響があった参加者も多かったようである。私は外来日の関係で帰国が1日早かったので、幸い影響を受けなかった。今回は直接日常臨床を変える試験は多くなかったが、将来の開発の方向性を考えるうえで重要だと考えられた6試験を紹介する。

persevERA試験:ESR1で絞り込まない経口SERDの可能性

 persevERA試験は、ホルモン受容体陽性(HR+)HER2陰性(HER2-)転移乳がん(MBC)の1次治療として、経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)のgiredestrant+パルボシクリブ療法とレトロゾール+パルボシクリブ療法を比較した第III相試験である。すでにプレスリリースで公開されているようにnegative studyであった。主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)は、giredestrant群33.1ヵ月、レトロゾール群28.2ヵ月でハザード比[HR]:0.89(95%信頼区間[CI]:0.76~1.05、p=0.1553)と数値的な延長を示したが、統計学的有意差には至らず、また副次評価項目の全生存期間(OS)は未成熟で明確な差はなかった。奏効率と臨床的ベネフィット率はほぼ同等で、奏効期間は経口SERD群でやや長かった。主な有害事象は好中球減少、貧血などで、両群とも管理可能だった。

 ESR1変異を有する集団における有効性のデータの多い経口SERDにおいて、本試験ではESR1変異の有無が適格基準となっていない点が特徴である。同様のセッティングで行われる他剤の結果などを含めて、経口SERDの今後の開発の方向性に影響する試験といえるだろう。

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SERENA-6試験:ctDNAでのESR1変異検出後の早期スイッチ

 SERENA-6試験は、アロマターゼ阻害薬(AI)+CDK4/6阻害薬併用療法を受けるHR+HER2-MBC患者で、血中ctDNA検査によりESR1変異が検出され、画像上病勢進行(PD)がない時点でcamizestrantに早期スイッチするか、AIを継続するかをPFSをエンドポイントとして検証したランダム化第III相試験である。主要評価項目の結果は昨年のASCOのplenaryで発表され、AI継続群に比べ、camizestrant+CDK4/6阻害薬群はPFSが7.6ヵ月延長(16.8ヵ月vs.9.2ヵ月)し、HR:0.45(95%CI:0.34~0.59)と統計学的有意差を示した。今回は副次評価項目である2次PFS(PFS2)の結果が報告され、25.7ヵ月vs.19.1ヵ月、HR :0.63(95%CI:0.46~0.86、p=0.00373)と、PFSでの効果がそのままPFS2に持ち越されていた。

 総ctDNAのクリアランス率は51%vs.2%と差が顕著で、化学療法/ADCフリー生存期間が延長し、患者報告アウトカムも改善した。ESR1変異出現を2〜3ヵ月に1回検査する必要があり、検査費用やモニタリング体制、検査に対する患者の不安が課題となる。臨床増悪時にスイッチする戦略や他の併用との比較は行われておらず、米国食品医薬品局(FDA)での審査においても試験デザインに対する懸念が報告されている(でも、試験開始前にFDAと相談してこのデザインになったのでは?)。日本での承認も見込まれるが、ESR1検査の保険適用や体制の整備が必要であり、今後の適正導入に向けた議論が求められる。

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JCOG1919E (AMBITION)試験:HR+HER2-乳がんにおける免疫療法

 日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)が実施したJCOG1919E(AMBITION)試験は、HR+HER2-進行乳がん患者281例を対象に、パクリタキセル+ベバシズマブに免疫チェックポイント阻害薬アテゾリズマブを上乗せする意義を検討した第III相試験である。JCOG乳がんグループ初の医師主導治験であり、研究事務局の愛知県がんセンター原 文堅先生が発表された。主要評価項目のPFSはアテゾリズマブ併用群12.4ヵ月vs.対照群11.2ヵ月(HR:0.876、95%CI:0.670~1.145、p=0.168)と有意差を示さず、免疫療法追加の恩恵は確認できなかった。OSは39.1ヵ月vs.31.2ヵ月(HR:0.804、p=0.091)と数値的な延長傾向が認められたが統計学的有意差は認められなかった。

 安全性はおおむね既知のプロファイルに一致し、免疫関連有害事象は追加されたものの管理可能であった。HR+HER2-乳がんは免疫学的に“cold”とされており、VEGF阻害薬+細胞障害性抗がん薬+免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の組み合わせでも効果は限定的であった。HR+HER2-MBCにICIを併用した日本から初めての無作為化第III相試験であり、現在進行中のトランスレーショナルリサーチにより、ICI追加のメリットの得られるサブグループの同定に期待したい。

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SAKK96/12 REDUSE試験:デノスマブ投与間隔を12週に延長 

 MBCに対する支持療法の試験も紹介する。SAKK96/12 REDUSE試験は、骨転移を有する転移乳がんおよび去勢抵抗性前立腺がん患者1,380例を対象に、デノスマブ120 mgを4週間ごと(従来)と12週間ごとの維持投与にランダム化した非劣性試験である。主要評価項目は初回症候性骨関連事象までの期間であり、12週投与群のハザード比は1.023(90%CI: 0.874~1.197)で非劣性の閾値1.20を下回り、中央値はどちらも約56.5ヵ月と同等であった。副次評価項目では12週群で低カルシウム血症や顎骨壊死が有意に少なく、OSも大きな差はなかった。試算では投与間隔延長により薬剤費が約半減し、スイスでは年間1,500万CHF程度の医療費削減が見込まれる。

 日本でもデノスマブは骨関連事象予防の標準薬であり、12週投与への変更は患者の通院負担を軽減し、医療資源の効率化につながる。また骨修飾薬には非定型骨折など特徴的な有害事象があり、今後は12週間隔投与が標準となると考えられるが、論文化されたデータを確認して日常臨床に適用していきたい。

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OPTIMA試験:PAM50を用いた遺伝子検査による化学療法削減 

 OPTIMA試験は、臨床的に高リスクと判断されるHR+HER2-早期乳がん患者約4,400例を対象に、従来の術後化学療法を一律に行う群と、50遺伝子のPAM50(Prosigna)検査結果に基づき化学療法の有無を決める群を比較した国際ランダム化非劣性試験である。対象は40歳以上で最大9個のリンパ節転移を認める症例まで含まれ、約2/3がリスクスコア60以下であった。浸潤乳がん再発または死亡のない生存期間は両群でほぼ同等で、試験群は化学療法群に対して5年時点の差が1.5%以下に収まり非劣性が確認された。低リスク腫瘍では化学療法の恩恵はごくわずかであり、100人中2人程度しか再発予防効果が得られないことが示された。

 この50遺伝子検査は、卵巣機能抑制下の40歳以上閉経前女性や4〜9個のリンパ節転移を有する症例でも補助化学療法の省略判断に活用できる。日本で用いられる21遺伝子検査(Oncotype DX)はリンパ節転移陰性もしくはリンパ節転移3個までの患者を対象とした臨床試験を有し、日本では保険適用ではないが多くの試験のあるMammaPrintも同様である。リンパ節転移4個以上9個までの、従来再発高リスクと考えられ、基本的に術後化学療法を提案していた患者が含まれている点が本試験の特徴である。一方で、検査費用(これは他のパネルも同様)やフォローアップ期間が63%の患者で5年以下と短いこと、40歳未満の若年者が除外されている点に留意が必要である。

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PRO-MOTE試験:日本最大規模のePRO試験

 最後にPRO-MOTE試験を紹介する。本試験は、日本の49施設が参加した進行がん患者501例を対象とする電子的患者報告アウトカム(ePRO)システムの実用性を検証したランダム化試験である。乳がんのみを対象とした試験ではないが、日本から報告された最大規模のePRO試験でありここで紹介する。神戸大学の清田 尚臣先生が発表された。PRO-MOTE試験はスマートフォンアプリによる週1回の症状報告と医師へのアラート送信を行う介入群と、通常診療のみの対照群を比較し、主要評価項目にEORTC QLQ-C30による24週時点のグローバルヘルスステータス(GHS)およびOSを設定した。中間解析ではePRO群のGHSは対照群に対して平均−0.61ポイント(95%CI:−3.03~1.82、p=0.625)と有意差がなく、OSもHR:0.91(95%CI:0.70~1.19、p=0.48)と差がなかった。

 一方でアンケート回答率は90%前後と高く、機能領域や症状の多くでePRO群に有利な改善がみられた。サブグループ解析では明確な恩恵を示す集団は見出されなかったが、デジタルツールの高い受容性と症状評価の質向上が示された。日本初の大規模ePRO試験として価値は高いものの、OSやGHSを主要エンドポイントとする設計では差が検出されず、今後のePRO研究では何をエンドポイントとして設定すべきか(症状制御や治療継続性など)について問題提起する報告であった。

 


レポーター紹介

下村 昭彦 ( しもむら あきひこ ) 氏
国立健康危機管理研究機構 国立国際医療センター がん総合内科/乳腺・腫瘍内科

学会抄録のかたちにまとめる その2【「実践的」臨床研究入門】第64回

提供元:CareNet.com

本連載は、臨床研究のノウハウを身につけたいけれど、メンター不在の臨床現場で悩める医療者のための、「実践的」臨床研究入門講座です。臨床研究の実践や論文執筆に必要な臨床疫学や生物統計の基本について、架空の臨床シナリオに基づいた仮想データ・セットや、実際に英語論文化した臨床研究の実例を用いて、解説していきます。

 前回、これまでの連載で取り上げてきたクリニカル・クエスチョン(CQ)からリサーチ・クエスチョン(RQ)への変換とEZR(Easy R)による統計解析の総まとめとして、われわれの仮想研究を学会抄録のかたちにしました。その際にIMRAD形式と構造化抄録の違いを概説し、構造化抄録の典型的な構成要素として、Background、Objective、Design、Setting、Patients/Participants、Intervention/Exposure、Measurements、Results、Conclusionsの9つを挙げました。この9つに加えて、Limitation(研究の限界)を独立した見出しとして掲げる構造化抄録のパターンもあり、Annals of Internal Medicineをはじめとする一部のトップジャーナルが推奨する様式に採用されています。研究結果を批判的に吟味するうえでは、研究の限界を本文だけでなく、抄録の段階から明示しておくことが重要だと考えられています。

 では、Limitationには何を書けば良いのでしょう。「サンプル数が小さい」「単施設研究である」と一般論を並べるだけでは不十分です。読者が「研究結果をどの程度信用できるのか」「どの集団・どのセッティングに一般化できるのか」を判断する材料として、研究結果に系統的な歪み(バイアス)をもたらす要因を、その方向性や大きさの推定とともに示す必要があります。そこで、今回は「誤差」と「バイアス」の概念を整理して解説します。

誤差とバイアス

 誤差(error)とは、観察された値と真の値(神のみぞ知る)との違いを指します。誤差は、その性質によって偶然誤差(random error)と系統誤差(systematic error、広義のバイアス)に分けられます(図1)。両者の違いは、誤差の方向性に一貫した偏りがあるかどうかにあります。偶然誤差はランダムに、つまり方向性はなく発生しますが、系統誤差は一定の方向性をもって発生します。身近な例として、聴診法による血圧測定を考えてみましょう。検者・時間・血圧計を一定にしても、被験者の血圧そのものが変動するため、測定値はばらつきます。これが偶然誤差です。一方、検者の聴力に難があったり、血圧計が故障していて常に低めに表示するのであれば、測定値は一定の方向に偏ります。これが系統誤差です。

図1.誤差とバイアス

 系統誤差と偶然誤差は、精度(信頼性)と正確度(妥当性)という概念と対応します。偶然誤差が小さい研究は精度が高く、系統誤差が小さい研究は正確度が高い、と整理できます。図2は射的の的を用いてこの関係を図示したものです。弾痕の散らばりが小さければ精度が高く、弾痕が的の中心(真の値)に近ければ正確度が高い、ということを示しています。臨床研究で目指すべき理想像は、精度も正確度もともに高い、図の右端の状態です。

図2.精度(信頼性)と正確度(妥当性)の関係

 精度は統計学的に評価できます。サンプルサイズを大きくすれば信頼区間が狭くなり、精度が向上します。一方、正確度は統計だけでは評価できません。研究デザインの段階から、対象者の選定、測定方法、測定条件を慎重に設計する必要があります。

 広義のバイアス(系統誤差)は、さらに「狭義のバイアス」と「交絡」とに分けて考えることができます。狭義のバイアスには、選択バイアスと情報バイアスが含まれます。両者の違いは、データ取得後の解析段階で制御できるかどうかです。交絡は、調整に必要な変数が測定されていれば多変量解析などによって解析段階でも制御可能です。しかし、狭義のバイアスは解析段階では制御不能であり、研究計画時に十分な対策を講じる必要があります。それでもなお残る限界については、論文のLimitationで誠実に開示するほかありません。なお交絡因子とその制御については、詳細は別稿に譲ります(連載第45回など参照)。

 

講師紹介

harasense

長谷川 毅 ( はせがわ たけし ) 氏
昭和医科大学臨床疫学研究所 所長・教授
昭和医科大学大学院医学研究科 衛生学・公衆衛生学分野/腎臓内科学分野 兼担教授
福島県立医科大学臨床研究イノベーションセンター 特任教授

[略歴]
1996年昭和大学(現昭和医科大学)医学部卒業。
2007年京都大学大学院医学研究科臨床情報疫学分野(臨床研究者養成コース)修了。
都市型および地方型の地域中核病院で一般内科から腎臓内科専門診療、三次救急から亜急性期リハビリテーション診療まで臨床経験を積む。その臨床経験の中で生じた「臨床上の疑問」を科学的に可視化したいという思いが募り、京都の公衆衛生大学院で臨床疫学を学び、米国留学を経て現在に至る。


バックナンバー

64. 学会抄録のかたちにまとめる その2

63. 学会抄録のかたちにまとめる その1

62. ロジスティック回帰分析 その3

61. ロジスティック回帰分析 その2

60. ロジスティック回帰分析 その1

59. 生存時間分析 その5

58. 生存時間分析 その4

57. 生存時間分析 その3

56. 生存時間分析 その2

55. 生存時間分析 その1

54. 線形回帰(重回帰)分析 その5

53. 線形回帰(重回帰)分析 その4

52. 線形回帰(重回帰)分析 その3

51. 線形回帰(重回帰)分析 その2

50. 線形回帰(重回帰)分析 その1

49. いよいよ多変量解析 その2

48. いよいよ多変量解析 その1

47. 何はさておき記述統計 その8

46. 何はさておき記述統計 その7

45. 何はさておき記述統計 その6

44. 何はさておき記述統計 その5

43. 何はさておき記述統計 その4

42. 何はさておき記述統計 その3

41. 何はさておき記述統計 その2

40. 何はさておき記述統計 その1

39. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップ‐E(要因)およびC(比較対照)設定の要点と実際 その2

38. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップ‐E(要因)およびC(比較対照)設定の要点と実際 その1

37. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップ‐O(アウトカム)設定の要点と実際 その2

36. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップ‐O(アウトカム)設定の要点と実際 その1

35. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップーP(対象)設定の要点と実際 その2

34. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップーP(対象)設定の要点と実際 その1

33. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その8

32. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その7

31. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その6

30. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その5

29. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その4

28. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その3

27. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その2

26. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その1

25. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 PubMed検索 その5

24. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 PubMed検索 その4

23. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 PubMed検索 その3

22. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 PubMed検索 その2

21. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 PubMed検索 その1

20. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 学術誌、論文、著者の影響力の指標 その3

19. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 学術誌、論文、著者の影響力の指標 その2

18. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 学術誌、論文、著者の影響力の指標 その1

17. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー CONNECTED PAPERSの活用 その3

16.リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー CONNECTED PAPERSの活用 その2

15. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー CONNECTED PAPERSの活用 その1

14. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー コクラン・ライブラリーの活用 その3

13. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー コクラン・ライブラリーの活用 その2

12. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー コクラン・ライブラリーの活用その1

11. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー UpToDateの活用その2

10. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー UpToDateの活用その1

9. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 文献管理その3

8. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 文献管理その2

7. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 文献管理その1

6. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 診療ガイドラインの活用その3

5. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 診療ガイドラインの活用その2

4. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 診療ガイドラインの活用その1

3. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビューその2

2. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー その1

1. 臨床上の疑問とリサーチ・クエスチョン

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ASCO2026 現地速報 乳がん

|企画・制作|ケアネット

2026年5月29日~6月2日(現地時間)に開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2026)で発表された旬な乳がんのトピックを、国立がん研究センター中央病院の下井 辰徳氏がレビューします。


レポーター紹介

harasense

下井 辰徳 ( しもい たつのり ) 氏
国立がん研究センター中央病院 腫瘍内科


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海外研修留学便り【米国留学記(松永 有紀氏)】第3回

[レポーター紹介]
松永 有紀(まつなが ゆき)

大分大学医学部医学科 卒業
東京大学医学部附属病院 初期研修
昭和大学病院 乳腺外科 助教(医科)
がん研究会NEXT-Ganken プログラム Clinical Research Fellow
がん研究会有明病院 乳腺外科 医員
テキサス大学サウスウェスタン医療センター シモンズ総合がんセンター 博士研究員

米国でのポスドク生活のリアル

 UTSWでのポスドク生活は、教育・研修機会の提供、キャリア形成支援、研究環境の整備、生活面でのサポート、コミュニティ形成の促進、そしてメンタリング体制の充実といった多角的な支援が整っています。

 ポスドクは学期ごとに単位を取得する必要があります。単位は、授業やワークショップ、オンラインコース、セミナーなどへの参加に加え、課題の提出によって取得できます。1年目にはいくつかの必須コースがあり、CVなど就職活動に必要な書類の書き方、研究倫理に関するe-learningなどを受講しました。なかでも、メンターとキャリアパスについて話し合い、その内容をレポートとしてまとめる課題は、自分の進路を整理する良い機会となりました。これらの課題で作成した書類は、その後のグラント申請やフェローシップ応募にもとても役立っています。 

セミナーのお供のドーナツ

 また、各Departmentが主催するセミナーはほぼ毎日のように開催されており、外部講師を招いた講演も数多く行われています。自分の研究に関連するテーマに限らず、興味のある分野であればできるだけ参加するようにしています。普段あまり触れることのない分野の知識を得られるため、刺激的で楽しい時間になっています。

 学生やポスドク向けのキャリアに関するセミナーも豊富にあり、起業家や企業勤務の研究者、特許関連や産学連携に関わる専門職の方々の話を聞くことができます。ポスドク後の進路を考えるうえで、非常に有益な機会になっています。

 さらに、附属病院ではObservation Programが用意されており、臨床医のもとでシャドーイングを行うことも可能です。私は研究の合間に、病理と乳腺外科を約2週間見学させていただきました。

 

 

フィットネスや病院も利用可能、とくに気に入っている「Language Partner Program」

PDAイベントでナイトミュージアム

 ポスドクは学生に近い扱いを受ける面もあり、Student Centerのヨガや室内サイクリングなどのフィットネスクラスに無料で参加できます。気候の良い時期には、友人とStudent Centerやキャンパス内のコートを借りてバスケットボールやピックルボールを楽しむこともあります。体調が優れないときには、病院内にあるStudent Healthを利用でき、当日でも診てもらいやすい点も助かっています。

 ポスドク同士のコミュニティとして、Postdoctoral Association(PDA)も活動しています。レジャーイベントの企画や情報共有に加え、給与やビザなどの課題について大学側との調整や問い合わせを担ってくれることもあります。PDAのイベントを通じて多くの知り合いや友人ができました。同じ立場の仲間とつながれる場があることは、大きな支えになっています。 

 

Pumpkin Carving Party

 とくに気に入っている制度の1つが、Language Partner Programです。UTSW内の英語を母語とする職員と留学生がマッチングされ、4ヵ月間のサイクルで、少なくとも週1回・1時間程度交流する仕組みになっています。英語の練習だけでなく、異文化交流や他職種の方とのつながりを深めることができる、非常に有意義なプログラムです。今までのPartnerの方は、Music Therapist、理学療法士、Printing Centerのデザイナーといったさまざまな業種の方でした。カフェや図書館に行ったり、ホームパーティに参加したり、病院での仕事を見学させてもらったりと、現地での生活を身近に感じられる貴重な経験ができました。

 

 


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4 海外研修留学便り【米国留学記(松永 有紀氏)】第4回

3 海外研修留学便り【米国留学記(松永 有紀氏)】第3回

2 海外研修留学便り【米国留学記(松永 有紀氏)】第2回

1 海外研修留学便り【米国留学記(松永 有紀氏)】第1回

学会抄録のかたちにまとめる その1【「実践的」臨床研究入門】第63回

提供元:CareNet.com

本連載は、臨床研究のノウハウを身につけたいけれど、メンター不在の臨床現場で悩める医療者のための、「実践的」臨床研究入門講座です。臨床研究の実践や論文執筆に必要な臨床疫学や生物統計の基本について、架空の臨床シナリオに基づいた仮想データ・セットや、実際に英語論文化した臨床研究の実例を用いて、解説していきます。

 これまでの連載を通じ、架空の臨床シナリオを題材に、「漠然とした臨床上の疑問」であるクリニカル・クエスチョン(CQ)を「具体的で明確な研究課題」であるリサーチ・クエスチョン(RQ)に変換し、段階的にブラッシュアップしてきました。さらに、仮想データ・セットを用いて、EZR(Easy R)による基本的な統計解析手法の実際についても解説してきました。今回からは、これまでに得られた解析結果も含め、学会抄録のかたちにまとめてみたいと思います。

構造化抄録

 学会抄録や原著論文のAbstractは、現在も多くの場合、IMRAD形式と呼ばれるかたちでまとめられています。IMRADとは、Introduction、Methods、Results、And Discussionというそれぞれの頭文字を取った略語です。日本語抄録では「背景・目的」、「方法」、「結果」、「考察・結論」という見出しで示されることが一般的です。

 しかし、IMRAD形式の抄録では研究方法に関する特定情報を迅速に把握しにくいことがあり、著者によってはそもそも重要な方法論の記述が十分になされていないこともあります。臨床研究における重要な特定情報とは、たとえば、研究デザインやP(対象)やIまたはE(介入または曝露要因)、O(アウトカム)といった構成要素とそれらの定義など、です。

 構造化抄録とは、IMRAD形式のうち、とくにMethods(方法)の記述の粒度を高め、より細分化して明示的な見出し(ラベル)を付した形式を指します。構造化抄録の典型的な構成要素は以下の通りです。

・Background(背景):研究の目的や重要性を簡潔に記載

・Objective(目的):研究の具体的な問い(RQに相当)

・Design(研究デザイン):研究デザインの種類(例:ランダム化比較試験、コホート研究、など)

・Setting(セッティング):研究が行われた場所や施設(例:単施設・多施設、外来・入院、大学病院・プライマリケア、など)

・Patients/Participants(対象):参加者数、主要な選択基準・除外基準

・Intervention/Exposure(介入または曝露):比較した介入内容(観察研究の場合は曝露要因)

・Measurements(評価項目):主要な評価指標(プライマリアウトカム)

・Results(結果):主要な結果(数値データ、信頼区間、p値など)

・Conclusions(結論):結果に基づいた結論とその臨床的意義

 このような構成は、JAMAやBMJ、Annals of Internal Medicineなどのトップジャーナルが定めるAbstractの形式に近く、近年では国内外で広く浸透しつつあります。構造化抄録はIMRAD形式の枠組みを拡張したものであり、読者が研究の内容や質をより迅速かつ明確に理解、評価する助けとなります。

 これまでの連載内容を踏まえ、われわれの研究を下記の通り構造化抄録のかたちにまとめてみました(連載第40回41回44回45回47回53回59回参照)。

【背景】たんぱく質摂取制限は慢性腎臓病(CKD)進行抑制に推奨されているが、厳格な低たんぱく食(Low protein diet:LPD)の遵守と腎予後との関連については十分に検討されていない。
【目的】保存期CKD患者において、推定たんぱく質摂取量(estimated daily protein intake:eDPI)と末期腎不全(ESKD)発症リスクおよび推定糸球体濾過量(eGFR)低下速度との関連を検討する。
【研究デザイン】後ろ向きコホート研究
【セッテイング】単施設外来
【対象】成人保存期CKD患者(ネフローゼ症候群は除外)638例の連続症例。
【曝露要因】24時間蓄尿検体からMaroni式を用いてDPIを推定し、0.5g/kg標準体重/日未満を厳格LPD遵守あり群(212例)、以上を遵守なし群(426例)として分類した。
【評価項目】ESKD発症(維持透析導入または先行的腎移植)およびeGFR年間低下速度(mL/min/1.73m2/年)。
【結果】平均観察期間3.9年において、ESKD発症率に両群間で有意差は認められなかった。Cox比例ハザード回帰モデルによる解析では、年齢、性別、糖尿病の有無、収縮期血圧、ベースラインeGFR、尿たんぱく定量、血清アルブミン値、ヘモグロビン値で調整した結果、厳格LPD遵守あり群のESKD発症に対する調整ハザード比は0.82(95%CI:0.60~1.14、p=0.24)であった。一方、多変量重回帰分析の結果、eGFR年間低下速度は厳格LPD遵守あり群が遵守なし群よりも2.03mL/min/1.73m2/年緩徐であった(95%CI:1.61~2.45、p<0.001)。
【結論】非ネフローゼ症候群の保存期CKD患者において、DPI0.5g/kg標準体重/日未満の厳格なLPDの遵守はESKD発症リスクの低下とは関連しなかったが、eGFR低下速度の抑制に寄与する可能性が示唆された。

 

講師紹介

harasense

長谷川 毅 ( はせがわ たけし ) 氏
昭和医科大学臨床疫学研究所 所長・教授
昭和医科大学大学院医学研究科 衛生学・公衆衛生学分野/腎臓内科学分野 兼担教授
福島県立医科大学臨床研究イノベーションセンター 特任教授

[略歴]
1996年昭和大学(現昭和医科大学)医学部卒業。
2007年京都大学大学院医学研究科臨床情報疫学分野(臨床研究者養成コース)修了。
都市型および地方型の地域中核病院で一般内科から腎臓内科専門診療、三次救急から亜急性期リハビリテーション診療まで臨床経験を積む。その臨床経験の中で生じた「臨床上の疑問」を科学的に可視化したいという思いが募り、京都の公衆衛生大学院で臨床疫学を学び、米国留学を経て現在に至る。


バックナンバー

64. 学会抄録のかたちにまとめる その2

63. 学会抄録のかたちにまとめる その1

62. ロジスティック回帰分析 その3

61. ロジスティック回帰分析 その2

60. ロジスティック回帰分析 その1

59. 生存時間分析 その5

58. 生存時間分析 その4

57. 生存時間分析 その3

56. 生存時間分析 その2

55. 生存時間分析 その1

54. 線形回帰(重回帰)分析 その5

53. 線形回帰(重回帰)分析 その4

52. 線形回帰(重回帰)分析 その3

51. 線形回帰(重回帰)分析 その2

50. 線形回帰(重回帰)分析 その1

49. いよいよ多変量解析 その2

48. いよいよ多変量解析 その1

47. 何はさておき記述統計 その8

46. 何はさておき記述統計 その7

45. 何はさておき記述統計 その6

44. 何はさておき記述統計 その5

43. 何はさておき記述統計 その4

42. 何はさておき記述統計 その3

41. 何はさておき記述統計 その2

40. 何はさておき記述統計 その1

39. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップ‐E(要因)およびC(比較対照)設定の要点と実際 その2

38. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップ‐E(要因)およびC(比較対照)設定の要点と実際 その1

37. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップ‐O(アウトカム)設定の要点と実際 その2

36. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップ‐O(アウトカム)設定の要点と実際 その1

35. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップーP(対象)設定の要点と実際 その2

34. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップーP(対象)設定の要点と実際 その1

33. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その8

32. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その7

31. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その6

30. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その5

29. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その4

28. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その3

27. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その2

26. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その1

25. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 PubMed検索 その5

24. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 PubMed検索 その4

23. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 PubMed検索 その3

22. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 PubMed検索 その2

21. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 PubMed検索 その1

20. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 学術誌、論文、著者の影響力の指標 その3

19. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 学術誌、論文、著者の影響力の指標 その2

18. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 学術誌、論文、著者の影響力の指標 その1

17. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー CONNECTED PAPERSの活用 その3

16.リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー CONNECTED PAPERSの活用 その2

15. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー CONNECTED PAPERSの活用 その1

14. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー コクラン・ライブラリーの活用 その3

13. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー コクラン・ライブラリーの活用 その2

12. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー コクラン・ライブラリーの活用その1

11. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー UpToDateの活用その2

10. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー UpToDateの活用その1

9. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 文献管理その3

8. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 文献管理その2

7. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 文献管理その1

6. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 診療ガイドラインの活用その3

5. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 診療ガイドラインの活用その2

4. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 診療ガイドラインの活用その1

3. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビューその2

2. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー その1

1. 臨床上の疑問とリサーチ・クエスチョン

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海外研修留学便り【米国留学記(松永 有紀氏)】第2回

[レポーター紹介]
松永 有紀(まつなが ゆき)

大分大学医学部医学科 卒業
東京大学医学部附属病院 初期研修
昭和大学病院 乳腺外科 助教(医科)
がん研究会NEXT-Ganken プログラム Clinical Research Fellow
がん研究会有明病院 乳腺外科 医員
テキサス大学サウスウェスタン医療センター シモンズ総合がんセンター 博士研究員

留学先での研究内容と実際の研究の進め方

 今回は留学先のラボでの研究内容と、fellowship申請、学会発表についてのお話です。

 私がポスドクをしているCarlos Arteaga Labは、ER陽性乳がんの薬剤耐性を主な研究テーマとしており、私はCDK4/6阻害薬治療下のdrug-tolerant persisterという可逆的な状態のcharacterizationと、治療ターゲットとなるメカニズムの探究をテーマにしています。このプロジェクトはすでに辞めたポスドクから引き継いだもので、ノートやファイルから今までの結果、これからの計画を把握するというところから始めました。それと同時に、実験系が最短でも1回の実験に1ヵ月以上期間が必要なものだったため、ベンチワークもすぐ始めました。

 ポスドクは大学院生の時と比べて自分で決められる裁量が多く、実験計画を自由に組めること、予算をあまり気にせず試薬や物品を買えることが新鮮でした。と同時に、言われたことだけすればいいという感じではないので、自分でもたくさん論文を読んで実験方法から理論立て、プロジェクトの進め方を考えなければいけないことにプレッシャーも感じます。研究進捗ミーティングは月に1回ですが、必要時適宜質問できる安心感もあり、サポートが手厚く心強いです。UTSWは幅広い研究分野の専門家がいるので、必要に応じて、その分野の研究者から助言を得られる点も、大変有益であると考えています。

給与+αのカバーがあるgrantへの応募と、AACRやSABCSでの学会発表

 最初の半年で得たデータをある程度整えて、PhD student/postdoc対象の学内grantに応募しました。1年分の給与+αをカバーしてもらえるもので、運良く採択されました。このgrantの受給条件に、学内での講演と、学外のgrantもしくはfellowshipへの応募(採択の可否は問わず)などがあり、2年目にACS postdoctoral fellowshipsへ応募しました。どのgrantに応募するかは、専門の部署が一覧を送ってくれて、その中からcitizenshipやポスドク年次の制限など募集要項を見て決めました。必要書類は研究計画書に加えてメンターのsupport letterや施設のポテンシャルを証明するもの、career goalや一般向けのsummary、recommendation letterなどなど本当にたくさんの種類がありました。申請にあたり、研究の方向性や具体的な方法・目的についてメンターとしっかり確認できたことは本当によかったです。大量に英文を書かなくてはいけないので、頼れるものはすべて頼って、便利なツールもたくさん使ってなんとか申請を終えました。メンターの先生方だけでなく、ポスドク仲間の協力や、日本でお世話になった先生方から推薦状を書いていただくなど、多くの方々の支えを受けて、本当にありがたいことに採択されました。

SABC2025での発表

 そのほかAACRやSABCSなど学会発表は3回ほど機会をいただきました。いまだに英語での発表はとてもストレスです。それでもラボのメンバーや現地の友達は発表練習に付き合ってくれるし、次から次に研究発表やjournal club、workshopなどの機会が与えられるので、自信がつくまで繰り返すしかないと思っています。

 

 

 

 

 

  


バックナンバー

4 海外研修留学便り【米国留学記(松永 有紀氏)】第4回

3 海外研修留学便り【米国留学記(松永 有紀氏)】第3回

2 海外研修留学便り【米国留学記(松永 有紀氏)】第2回

1 海外研修留学便り【米国留学記(松永 有紀氏)】第1回

ロジスティック回帰分析 その3【「実践的」臨床研究入門】第62回

提供元:CareNet.com

本連載は、臨床研究のノウハウを身につけたいけれど、メンター不在の臨床現場で悩める医療者のための、「実践的」臨床研究入門講座です。臨床研究の実践や論文執筆に必要な臨床疫学や生物統計の基本について、架空の臨床シナリオに基づいた仮想データ・セットや、実際に英語論文化した臨床研究の実例を用いて、解説していきます。

ロジスティック回帰モデルによる交絡因子調整の実際

 前回までロジスティック回帰モデルの基本的な考え方を説明しました。今回は実際に仮想データ・セットを用いて、EZR(Easy R)を使用したロジスティック回帰モデルによる交絡因子の調整方法について解説します。

 はじめに、以下の手順で仮想データ・セットをEZRにインポートします。

 仮想データ・セットをダウンロードする

「ファイル」→「データのインポート」→「Excelのデータをインポート」

次にメニューバーから

「統計解析」→「名義変数の解析」→「二値変数に対する多変量解析(ロジスティック回帰)」

を選択すると、下図のポップアップウィンドウが開きます。

モデル名には「Logistic_treat」などと入力

モデル式は以下のように選択します(連載第60回参照)。

目的変数(左辺):treat(厳格低たんぱく食の遵守の有無)

説明変数(右辺):下記のtreat以外のすべての説明変数(交絡因子)を「+」でつないで選択

・age(年齢)、sex(性別)、dm(糖尿病の有無)、sbp(血圧)、eGFR(ベースラインeGFR)、Loge_UP(蛋白尿定量_対数変換)、albumin(血清アルブミン値)、hemoglobin(ヘモグロビン値)

・age+sex+dm+sbp+eGFR+Loge_UP+albumin+hemoglobin

「OK」をクリックすると、EZRのRコマンダー出力ウィンドウに下記のコードが表示されます。

Logistic_treat <- glm(treat ~ age + sex + dm + sbp + eGFR + Loge_UP + albumin + hemoglobin , family=binomial(logit), data=Dataset)

 このコードの概要は以下です(連載第60回第61回参照)。

「Dataset」というデータを使用し、2値のカテゴリ変数である「treat」を目的変数として、~以下の8つの説明変数(交絡因子)で説明するロジスティック回帰分析(binomial(logit))を実行し、その計算結果を「Logistic_treat」というモデル名で保存

 多変量ロジスティック回帰分析の結果は出力ウィンドウの最後に表示されており、説明変数ごとの調整オッズ比(odds ratio:OR)と95%信頼区間(95% confidence interval:95%CI)およびp値が示されています(下図)。ちなみにこの出力結果のp値の表記法は科学的記数法と言われるもので、たとえば”e-04″は10の-4乗(0.0001)を表しています。したがってageのp値は、1.25×0.0001=0.000125となり有意水準0.05を下回っています。

 この表の結果の臨床的解釈を以下のように考えてみました。

・age(年齢):調整OR 0.969(95%CI:0.953~0.984)

・年齢が1歳増えるごとにtreat=1(厳格低たんぱく食の遵守あり)のORが3.1%(1-0.969)低下。

・高齢になるほど、低栄養などの懸念から厳格低たんぱく食の導入・継続は慎重となる可能性があります。

・dm(糖尿病の有無):調整OR 0.532(95%CI:0.360~0.787)

・糖尿病あり(dm=1)はなし(dm=0)に比べて、treat=1のORが47%(1-0.532)低い。

・糖尿病併発例では非糖尿病例と比べて、厳格低たんぱく食の導入・継続が困難である可能性が示唆されます。

・sbp(血圧):調整OR 0.982(95%CI:0.972~0.992)

・血圧が1mmHg高いほどtreat=1のORが1.8%(1-0.982)低い。

※変化幅を10倍(10mmHg)にしたほうがイメージしやすいかもしれません。その場合は推定値を10乗(0.98210≒0.834)します。

・血圧が10mmHg高いほどtreat=1のORが16.6%(1-0.834)低い。

・血圧管理の悪い例では、厳格低たんぱく食の導入・継続が困難な可能性が考えられます。

・eGFR(ベースラインeGFR):調整OR 0.961(95%CI:0.945~0.977)

・eGFRが1単位高いごとに、treat=1のORが約3.9%(1-0.961)低下。

・腎機能低下が進むほど、厳格低たんぱく食の導入・継続がなされている可能性があります。

・Loge_UP(蛋白尿定量_対数変換):OR 0.550(95%CI:0.426~0.710)

・蛋白尿が増えると(自然対数e倍)、treat=1のORが45%(1-0.550)低下。

・蛋白尿が多い例ほど、厳格低たんぱく食の導入・継続がなされている可能性があります。

※なお、ネフローゼ症候群は今回の研究対象からは除外されています(連載第40回参照)。

・albumin(血清アルブミン値):OR 0.231(95%CI:0.140~0.380)

・hemoglobin(ヘモグロビン値):OR 0.802(95%CI:0.730~0.881)

・ 血清アルブミン値が1単位(g/dL)、ヘモグロビン値が1単位(g/dL)増加するごとに、treat=1のORがそれぞれ76.9%(1-0.231)、19.8%(1-0.802)低下。

・血清アルブミン値が低いほど、ヘモグロビン値が低いほど、厳格低たんぱく食の導入・継続がなされているという結果ですが、横断的なベースラインデータの解析であり、逆因果の可能性に注意が必要です。

 

講師紹介

harasense

長谷川 毅 ( はせがわ たけし ) 氏
昭和医科大学臨床疫学研究所 所長・教授
昭和医科大学大学院医学研究科 衛生学・公衆衛生学分野/腎臓内科学分野 兼担教授
福島県立医科大学臨床研究イノベーションセンター 特任教授

[略歴]
1996年昭和大学(現昭和医科大学)医学部卒業。
2007年京都大学大学院医学研究科臨床情報疫学分野(臨床研究者養成コース)修了。
都市型および地方型の地域中核病院で一般内科から腎臓内科専門診療、三次救急から亜急性期リハビリテーション診療まで臨床経験を積む。その臨床経験の中で生じた「臨床上の疑問」を科学的に可視化したいという思いが募り、京都の公衆衛生大学院で臨床疫学を学び、米国留学を経て現在に至る。


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64. 学会抄録のかたちにまとめる その2

63. 学会抄録のかたちにまとめる その1

62. ロジスティック回帰分析 その3

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60. ロジスティック回帰分析 その1

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58. 生存時間分析 その4

57. 生存時間分析 その3

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40. 何はさておき記述統計 その1

39. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップ‐E(要因)およびC(比較対照)設定の要点と実際 その2

38. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップ‐E(要因)およびC(比較対照)設定の要点と実際 その1

37. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップ‐O(アウトカム)設定の要点と実際 その2

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35. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップーP(対象)設定の要点と実際 その2

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33. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その8

32. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その7

31. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その6

30. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その5

29. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その4

28. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その3

27. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その2

26. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その1

25. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 PubMed検索 その5

24. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 PubMed検索 その4

23. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 PubMed検索 その3

22. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 PubMed検索 その2

21. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 PubMed検索 その1

20. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 学術誌、論文、著者の影響力の指標 その3

19. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 学術誌、論文、著者の影響力の指標 その2

18. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 学術誌、論文、著者の影響力の指標 その1

17. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー CONNECTED PAPERSの活用 その3

16.リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー CONNECTED PAPERSの活用 その2

15. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー CONNECTED PAPERSの活用 その1

14. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー コクラン・ライブラリーの活用 その3

13. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー コクラン・ライブラリーの活用 その2

12. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー コクラン・ライブラリーの活用その1

11. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー UpToDateの活用その2

10. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー UpToDateの活用その1

9. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 文献管理その3

8. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 文献管理その2

7. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 文献管理その1

6. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 診療ガイドラインの活用その3

5. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 診療ガイドラインの活用その2

4. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 診療ガイドラインの活用その1

3. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビューその2

2. リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー その1

1. 臨床上の疑問とリサーチ・クエスチョン

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海外研修留学便り【米国留学記(松永 有紀氏)】第1回

[レポーター紹介]
松永 有紀(まつなが ゆき)

大分大学医学部医学科 卒業
東京大学医学部附属病院 初期研修
昭和大学病院 乳腺外科 助教(医科)
がん研究会NEXT-Ganken プログラム Clinical Research Fellow
がん研究会有明病院 乳腺外科 医員
テキサス大学サウスウェスタン医療センター シモンズ総合がんセンター 博士研究員

テキサス大学への留学が決まった経緯

附属病院から見たダラスの街

 テキサス州ダラスにあるUT Southwestern Medical Centerでpostdoctoral researcherをしている松永有紀と申します。2024年の初めから留学生活が始まり、ちょうど2年が経ちました。今年4月からはAmerican Cancer Societyのpostdoctoral fellowshipをいただけることとなり、何事もなければ残り2年ちょっとのダラス滞在予定です。今回は、留学に至るまでの経緯や採用プロセス、そして渡米までの準備についてご紹介したいと思います。

 大学院での学位研究以降、ER陽性乳がんに関する基礎研究に取り組んできました。絶対に海外留学をするという強い覚悟が最初からあったわけではありませんが、いつか機会があれば、と考えながら、大学院時代から英語の勉強は細く長く続けていました。といっても、海外ドラマを英語字幕で観たり、日本のドラマを英語字幕付きで観て表現を覚えたりする程度の、ゆるい取り組みです。今振り返ると、この時期にもう少しきちんと、独り言でもいいので英語を話す練習をしておけばよかったと思います。渡米後、相手の言っていることは分かるのに、自分の言いたいことがスムーズに口から出てこない時期が、想像以上に長く続きました。

 がん研有明病院での勤務が最終年に差しかかった2023年9月末、現在所属しているラボがポスドクを募集していると、上司の先生を通して教えていただきました。前任のポスドクが退職されたことに伴う臨時募集で、研究テーマもすでに決まっており、予算も確保されているとのことでした。テーマはER陽性乳がんに関するもので、自分のこれまでのバックグラウンドや興味にも合致していました。給料をいただけて、ダラスという都市名も聞き覚えがあり、日本からの直行便もある、ということで応募を決めました。

 メールで数回やり取りをした後、現在のボスとのWeb面談が行われました。面談では、これまでの研究内容について15分ほどプレゼンをし、その後に質疑応答がありました。その場で1月からの採用が決まりましたが、この時点で勤務開始まで3ヵ月しかありません。

渡米時全荷物

 その後は、ビザの手続き、担当患者さんの引き継ぎ、アメリカでの生活立ち上げの準備などを、留学経験のある先生方や乳腺センターの先生方、当時アメリカ留学中だった高橋 洋子先生、そして現在のラボに留学されていた上本先生に多大なサポートをいただきながら、なんとか進めていきました。医局やお世話になった方々へのご挨拶、引っ越し準備、役所での各種手続きなど、常に何かに追われているような日々でした。

 採用プロセスや渡航準備に際し、がん研有明病院、昭和医科大学の先生方には大変お世話になりました。急な留学にもかかわらず多くの励ましと温かい後押しを受け、送り出していただきました。

 行きの機内では氷入りのsparkling waterを頼んだのに、氷入りのtomato juiceが出てきて、この英語力でやっていけるのか心から不安になりましたが、なんとか予定通りの日程でダラスでのポスドク生活を開始することができました。

 


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4 海外研修留学便り【米国留学記(松永 有紀氏)】第4回

3 海外研修留学便り【米国留学記(松永 有紀氏)】第3回

2 海外研修留学便り【米国留学記(松永 有紀氏)】第2回

1 海外研修留学便り【米国留学記(松永 有紀氏)】第1回

海外研修留学便り 【フランス留学記(尾崎 由記範氏)】第4回

レポーター紹介 ]
尾崎 由記範おざき ゆきのり

2008年慶應義塾大学医学部、2022年東京医科歯科大学大学院を卒業。
2014年より虎の門病院、2020年よりがん研究会 有明病院 乳腺センター 乳腺内科勤務、先端医療開発科併任。
乳腺を専門とする腫瘍内科医としてがん薬物療法、臨床研究、新規治療戦略の開発に従事している。

帰国後も留学先での関係性をいかに維持するか

Breast Unitのメンバーと滞在中最終ミーティングにて

 フランス留学から帰国してしばらく経ちました。パリで過ごした日々は、今振り返っても非常に新鮮で、私自身の価値観に影響し(帰国してからは美味しいバゲットを探し求め、買い回っています!)、また臨床医・研究者としての視野を大きく広げてくれた時間であったと感じています。

 多様な文化的背景や価値観をもつ多国籍チームにおいて議論を重ねる現地での経験は、自身の思考様式を相対化する貴重な機会となりました。日本では自分の意見を明言しない場面がよくありますが、国際共同研究では自身の考えや感じていることを言語化し、相手に伝えることが求められます。そのプロセスは時に時間を要しますが、合意形成のために重要なプロセスであると考えるようになりました。

 3ヵ月で何かを達成することは難しいので、本当の勝負は「帰国してからいかに関係性を維持できるか」であると考えています。帰国後の現在も数週間に一度のオンラインミーティングを重ねながら、複数のプロジェクトを同時並行で進めています。さらに、帰国後に新たな共同研究のお誘いをいただく機会もあり、留学で築いた関係性が確実に次の展開へと広がっていることを実感しています。

 欧米諸国で進められている「共同研究の輪」は、制度や資金だけで成り立っているのではなく、個人的なつながり、すなわち顔が見える関係性の上に築かれていることを改めて学びました。それ以来、海外の先生方から共同研究のお誘いをいただいた際に私が留意していることは、まずはオンラインであっても顔を合わせ、自分の声と表情でコミュニケーションをとることです。そして、相手の考えや立場を理解しようとしていることを率直に伝えることです。こうした人としてのつながりと信頼関係があってこそ、共同研究は成立し、さらに継続していくのであろうと考えています。

国内での連携をより一層大切にしていく姿勢も不可欠

October Roseイベント, Gustave Roussyのメインホールにて

 一方で、海外との関係性以上に、日本国内でこれまでどのような研究やデータ創出が積み重ねられてきたのかを深く理解することの重要性も、改めて強く感じました。国際共同研究の場では、「日本は何を持っているのか」「どのような強みがあるのか」が常に問われます。国内で築かれてきた臨床・研究の実績、蓄積、研究体制の歴史や文化を理解していなければ、対等に議論することは難しいです。また、当然ながら国内の先生方との連携がなければ、海外とのネットワークに意味はありません。国内で築かれてきた土台を理解し、その強みを世界に広め、そして新たな知見を共同で創出してく、そのためには、国内の先生方との連携をより一層大切にしていく姿勢が不可欠であると実感しています。これまで支えてくださった先生方への敬意と感謝を忘れず、謙虚に学び続ける姿勢を持ち続けたいと考えています。

 今回の留学で得たものは、バゲットに対する愛着だけでなく、国境を越えて協働するネットワーク、積極的なコミュニケーションに基づく信頼関係の重要性を常に意識する感覚だと思います。フランス滞在を新たなスタートとして、こうしたつながりを継続し、時間をかけて広げていくことが、これからの自分の役割でもあると感じています。

 


バックナンバー

4 海外研修留学便り【フランス留学記(尾崎 由記範氏)】第4回

3 海外研修留学便り【フランス留学記(尾崎 由記範氏)】第3回

2 海外研修留学便り【フランス留学記(尾崎 由記範氏)】第2回

1 海外研修留学便り【フランス留学記(尾崎 由記範氏)】第1回