DESTINY-Breast09(第III相、トラスツズマブ デルクステカン[T-DXd]+ペルツズマブ[T-DXd+PER群]vs.標準療法:タキサン+トラスツズマブ+ペルツズマブ[THP群])は、ASCO2025で、すでにその主要評価項目が発表され、T-DXd+PER群のTHP群に対するPFSの優越性が検証された。今回ESMO Congress 2025では、すべてのサブグループでT-DXd+ペルツズマブがPFSを大きく延長したことが報告された。T-DXd+PER群のPFSのHRや中央値は既存標準治療を大きく上回る結果で、今後、1次治療の標準になる可能性が示された。
POSITIVE(Pregnancy Outcome and Safety of Interrupting Therapy for young oNco‐breast cancer patients)は、若年HR+乳がん患者において、術後内分泌療法を一時中断して、再発リスクを増やさずに妊孕(妊娠を試みること)可能かを検証した前向き試験である。ESMO Congress 2025では、5年フォローアップ成績が報告されており、“妊娠試みによる内分泌療法中断”が少なくとも5年時点では再発リスクを有意に増加させていないという結果が報告された。
山形大学医学部 卒業 東京医療センター 外科研修医 慶應義塾大学 一般・消化器外科 乳腺班 国際医療福祉大学/医療法人順和会 山王病院 乳腺外科 帝京大学医学部 外科 がん研究会有明病院 乳腺外科 University of Hawai`i Cancer Center, Translational and Clinical Research, Cancer Biology, Research Scholar
米国ハワイでのがん研究の実際、重要な担い手となっているのは
私の所属する University of Hawai`i Cancer Centerでは、PI(Principal Investigator)に数名の研究員が所属し、研究費に応じて複数のプロジェクトを進める形が一般的です。もともとハワイ大学は、ハワイや環太平洋エリアという地理的優位性を活かした海洋研究で成果を上げており、Cancer CenterでもPopulation Scienceという統計や疫学の研究が盛んに行われてきました。しかし近年では、基礎研究の成果も目立つようになっています。
山形大学医学部 卒業 東京医療センター 外科研修医 慶應義塾大学 一般・消化器外科 乳腺班 国際医療福祉大学/医療法人順和会 山王病院 乳腺外科 帝京大学医学部 外科 がん研究会有明病院 乳腺外科 University of Hawai`i Cancer Center, Translational and Clinical Research, Cancer Biology, Research Scholar
アクセプトされた論文と投稿を断念した論文、論文執筆の面白さと難しさ
私は現在、乳がんに関する研究に取り組んでおり、主に gene signature に関する研究を進めるのと並行して、炎症性乳がんに関するレビュー論文の執筆も行いました。幸運にも、このレビュー論文は npj Breast Cancer にアクセプトされ、出版に至りました。さまざまな論文を読みながら執筆を進める中で、新しい論文が次々に発表されるという、レビュー論文ならではのスピード感のある世界を経験することができました。
米国での研究トピックとしては、やはり AI は外せません。私が現在行っている研究の1つは AI を用いた乳がん診断ですが、渡米前にもがん研究会と Google 社で行った研究に従事し AI 診断の難しさを感じていました。しかし、米国で画像を見てみると、高濃度乳房は少なく、AI 診断の可能性を強く感じます。近年では ChatGPT のような生成 AI も研究支援やデータ解析など幅広い用途で活用されており、臨床・研究の双方で注目されています。
山形大学医学部 卒業 東京医療センター 外科研修医 慶應義塾大学 一般・消化器外科 乳腺班 国際医療福祉大学/医療法人順和会 山王病院 乳腺外科 帝京大学医学部 外科 がん研究会有明病院 乳腺外科 University of Hawai`i Cancer Center, Translational and Clinical Research, Cancer Biology, Research Scholar
2023年9月より、米国のUniversity of Hawai`i Cancer Centerに留学しています。この連載の機会をいただきましたので、今後数回にわたり、私の留学経験や研究生活について共有させていただきます。
University of Hawai`i Cancer Center正面玄関より ハワイ大学マノア校は山側にありますが、Cacner Centerは海に面したKaka’akoキャンパスにあります。開放感があり吹き抜けの構造となっており気持ちがいい建物です
University of Hawai`i Cancer Centerで新しい研究室が立ち上がるという話を聞き、臨床経験を活かした研究ができるのではないかと感じ、面接を受けることを決意しました。受け入れが決まったとき、まさか40代で留学をするとは思っていなかったので自分でも非常に驚きました。そして、非常に光栄なことだとも感じました。
現在私は、乳がんの薬物治療だけでなく、診断技術の向上を目指す研究にも携わっています。University of Hawai`i Cancer Centerは、NIH(国立衛生研究所)関連のがんセンターとして、太平洋地域唯一の学術機関であり、ハワイを含むグアムやマーシャル諸島など、異なる文化や歴史を持つ地域をカバーしています。私の研究の一部は、乳がんの薬物治療に関するものですが、診断技術の向上にも力を入れています。実は、ハワイ以外の島嶼地域にはマンモグラフィ装置を管理する体制が整っていないため、どのように診断を円滑に進めるか、AIを活用した読影技術や新たな診断方法の開発にも関わっています。日本での経験を活かして、乳がん診断や治療に関わる研究を進められることは大きな幸運であり、40代後半で臨床医としての経験を積んできたからこそ、期待される役割を果たすことができると感じています。