
[ レポーター紹介 ]
久保田 祐太郎(くぼた ゆうたろう )

2003年 3月 昭和大学医学部医学科卒業
2003年 4月 昭和大学病院 内科学講座消化器内科学部門 員外助教
2009年 7月 国立がん研究センター東病院 消化管内科 研修医
2010年 7月 昭和大学病院 内科学講座消化器内科学部門 助教
2014年 1月 昭和大学病院 内科学講座腫瘍内科学部門 助教
2016年 4月 昭和大学病院 内科学講座腫瘍内科学部門 講師
2021年 10月 University of California San Diego, Department of Surgery, Visiting Scholar
サンディエゴについて
サンディエゴは何といっても気候が最高です。基本的に毎日晴天で、日中に雨が降ることはほとんどありません。冬は東京の春先ぐらいの気温なので厚手のコートは不要ですし、夏は東京より気温が低く、また湿度も低いのでとても過ごしやすいです。留学先のUniversity of California San Diego(UCSD)のキャンパスは、サンディエゴの北のラ・ホーヤにあり、アメリカの大学らしく広大な土地を有しています。このラ・ホーヤは全米でも有数のビーチリゾートとして有名で、高級住宅地が広がっています。
私の研究室はUCSDのキャンパス内にはなく、南に少し離れたところにあります。この地域は海岸からは少し離れていますが、写真のとおり雰囲気はしっかりと南国です。また、日系のスーパーが集まっており、少し値段が高いですが日本人に必要な食材や日用品は大体そろいます。

観光地としてのサンディエゴは、動物園やシーワールド、ミッドウェイ戦艦などが有名ですが、どちらかというとリゾート地としての側面のほうが魅力的で、家族でのんびり過ごすのに適した場所です。このため近年、アメリカではサンディエゴは居住地として人気で、多くの人が移住してきているようです。治安に関しては、こちらで約1年半生活していますが、怖い思いをしたことは一度もなく、アメリカの中でも治安が良いほうの都市です。
また医学研究に関しては、サンディエゴにはUCSD以外にもScripps研究所やSoak研究所など世界的に有名な研究所があり、また全米でもバイオベンチャー企業が多い都市として有名です。このようにサンディエゴは、居住環境としても、研究環境としても、留学するにはとてもお勧めの都市です。


実際の留学生活
このように環境的には申し分のないサンディエゴですが、私が留学を開始した2021年ごろからはアメリカの物価が高騰し、2022年4月からは急激な円安も重なり、実際に現地で生活するにあたっての経済的な負担は大きいです。物価のわかりやすい例として、ファストフード店でハンバーガーを食べるのに15ドル(約2,100円)程度かかるので、日本と比べると2~3倍の感覚です。アパートメントの家賃も、前述のとおり人が集まってきているためここ数年は年々上がっており、現在は数年前の約2倍程度まで上がっています。
私は幸運にも所属する研究室および昭和大学から給料が出ているので生活できていますが、周りには経済面が原因で帰国を早めた人もいます。このように、サンディエゴに限らずアメリカ留学における経済的な負担はここ数年で変わっているので、留学前にある程度支出を想定して準備しておいたほうがよいでしょう。ただ、もちろんこの点を除けば、アメリカでの生活は何もかもが新鮮で楽しいです。日本とは異なる文化や習慣に触れることで、日本の良い点、悪い点を客観的に見ることもできます。
研究以外のアメリカでの楽しみ
私は、留学前からせっかくアメリカに行くのだから、研究以外にもアメリカでしかできないことを経験したいと考えていました。とくにアメリカの自然に興味があり、国立公園に行ってみたいと思っていて、これまでにイエローストーン国立公園、グランドキャニオン国立公園、ヨセミテ国立公園に行くことができました。私はこれまで旅行というとヨーロッパの歴史的な街並みや建築物、芸術品を見に行くことが多かったのですが、アメリカの大自然を目の当たりにして、あまりの雄大さにとても感動しました。人が創造したものとは違った美しさで、写真や動画ではどうしても表現しきれないので、アメリカ留学の際にはぜひ行くことをお勧めします。いずれの国立公園もアクセスがよいわけではないので、日本から行こうと思うと大変ですが、アメリカに住んでいると週末や連休を利用して比較的に簡単に行くことができます。



また、アメリカといえばプロスポーツです。残念ながらサンディエゴにはメジャーリーグベースボール(MLB)のパドレスしかないのですが、ロサンゼルスまで行けば、MLB、ナショナル・バスケットボール・アソシエーション(NBA)、ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)、ナショナルホッケーリーグ(NHL)の4大スポーツをすべて観ることができます。私は、まだNFLは観に行けていませんが、それ以外は何度か観に行きました。とくに昨年はパドレスがプレイオフに進み、セミファイナルのフィリーズとの試合を観ました。当然スタジアムは満員で、日本とは異なり応援団による楽器や応援歌の演奏がない分、観客の歓声やため息がより強調され、スタジアム全体での一体感を生んでいるように感じました。この観客の応援する姿を見て、改めて野球発祥の地であるアメリカでの野球の人気を実感しました。
以上、今回はサンディエゴでの生活環境について紹介しました。次回は、週一回参加しているUCSD病院のMolecular Tumor Boardについて報告します。