TN乳がん1次治療におけるペムブロリズマブ上乗せ、CPS≧10でOS改善(KEYNOTE-355)/ESMO2021

提供元:CareNet.com

 未治療の手術不能または転移を有するPD-L1 CPS 10以上のトリプルネガティブ(TN)乳がん患者において、ペムブロリズマブ+化学療法はプラセボ+化学療法と比較して、全生存(OS)期間を有意に改善した。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)包括的がんセンターのHope S. Rugo氏が、第III相KEYNOTE-355試験におけるOSの最終解析結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表した。本邦では、PFSを有意に改善した同試験の中間解析結果を基に、2021年8月に承認されている。

・対象:18歳以上の手術不能な局所再発または転移を有するPD-L1陽性のTN乳がん(ECOG PS 0/1)847例
・ペムブロリズマブ群:ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと)+化学療法(ナブパクリタキセル、パクリタキセル、ゲムシタビン/カルボプラチンの3種類のうちいずれか)566例
・プラセボ群:プラセボ+化学療法 281例
・層別化因子:化学療法の種類(タキサンかゲムシタビン/カルボプラチン)、PD-L1発現(CPS≧1かCPS<1)、術前/術後化学療法の有無
・評価項目:
[主要評価項目]PD-L1陽性患者(CPS≧10およびCPS≧1)およびITT集団におけるPFSと全生存期間(OS)
[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、病勢コントロール率(DCR)、安全性

 主な結果は以下のとおり。

・データカットオフは2021年6月15日。観察期間中央値はペムブロリズマブ群が44.0ヵ月、プラセボ群が44.4ヵ月だった。
・ベースライン特性は両群でバランスがとれており、年齢中央値が53歳、CPS≧1が約75%、CPS≧10が約38%だった。試験で投与されたのはタキサンが約45%、ゲムシタビン/カルボプラチンが約55%。de novo転移が約30%、無再発期間<12ヵ月が約20%だった。
・CPS≧10の患者におけるOS中央値は、ペムブロリズマブ群23.0ヵ月 vs.プラセボ群16.1ヵ月(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.55~0.95、p=0.0093)と有意な改善がみられた。OS率は18ヵ月時点でペムブロリズマブ群58.3% vs.プラセボ群44.7%、24ヵ月時点で48.2% vs.34.0%だった。
・CPS≧10の患者におけるOSのサブグループ解析では、化学療法の種類や治療歴などによらずペムブロリズマブ群におけるベネフィットがみられたが、無再発期間<12ヵ月の患者ではみられなかった。ただし、サンプルサイズが小さいことには留意が必要となる。
・CPS≧1の患者におけるOS中央値は、ペムブロリズマブ群17.6ヵ月 vs.プラセボ群16.0ヵ月(HR:0.86、95%CI:0.72~1.04、p=0.0563)と事前に設定された有意性水準(p<0.0172)を満たさなかった。OS率は18ヵ月時点でペムブロリズマブ群48.4% vs.プラセボ群41.4%、24ヵ月時点で37.7% vs.29.5%だった。
・ITT集団におけるOS中央値は、ペムブロリズマブ群17.2ヵ月 vs.プラセボ群15.5ヵ月(HR:0.89、95%CI:0.76~1.05)。OS率は18ヵ月時点でペムブロリズマブ群47.8% vs.プラセボ群41.8%、24ヵ月時点で35.5% vs.30.4%だった。
・Grade3以上の治療関連有害事象は、ペムブロリズマブ群68.1%(死亡2例) vs.プラセボ群66.9%(死亡例なし)で報告された。
・Grade3以上の免疫関連有害事象は、ペムブロリズマブ群5.3% vs.プラセボ群0.0%で報告された。死亡例は報告されていない。多く報告されたのは甲状腺機能低下症・亢進症だった。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


【 参考文献・参考サイトはこちら 】

KEYNOTE-355試験(Clinical Trials.gov)

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。
(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

閉経後乳がん術後療法、タモキシフェン後のレトロゾール延長の効果は?(GIM4)/ESMO2021

提供元:CareNet.com

 閉経後のホルモン受容体(HR)陽性乳がんの術後補助療法において、タモキシフェン2〜3年間投与後のレトロゾールの投与期間について、標準の2〜3年間に比べて5年間のほうが無浸潤疾患生存期間(DFS)と全生存期間(OS)を有意に改善したことが、イタリア・Gruppo Italiano Mammella(GIM)によるGIM4試験で示された。IRCCS Ospedale Policlinico San MartinoのLucia Del Mastro氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表した。なお、この結果はLancet Oncology誌オンライン版2021年9月17日号に同時掲載された。

 本試験は、イタリアの64施設で実施された多施設非盲検無作為化第III相試験で、2005~10年に2,056例が登録され、対照群と延長群に1:1に割り付けられた。

・対象:タモキシフェンを2~3年間投与され、再発していないStage I〜IIIの乳がん患者
・試験群(延長群): レトロゾール5年投与(内分泌療法7~8年まで)1,026例
・対照群:レトロゾール2~3年投与(内分泌療法5年まで)1,030例
・評価項目:
[主要評価項目]DFS
[副次評価項目]OS、安全性

 主な結果は以下のとおり。

・追跡期間中央値11.7年(四分位範囲:9.5~13.1)において、DFSイベントは、対照群で262例(25%)、延長群で212例(21%)に発生した。
・12年推定DFS率は、対照群が62%(95%CI:57.5~66.5)、延長群が67%(95%CI:62.2~71.2)だった(ハザード比[HR]:0.78、95%CI:0.65~0.93、p=0.006)。
・サブグループ解析では、全体として延長群が有意に(p=0.014)良好だったが、リンパ節転移の有無で有意差がみられた。
・死亡は、対照群で147例、延長群で116例だった。
・12年推定OS率は、対照群が84%(95%CI:81.8~86.9)、延長群で88%(95CI:85.7~90.5)だった(HR:0.77、95%CI:0.60~0.98、p=0.036)。
・主な有害事象は関節痛(対照群29%、延長群35%)筋肉痛(対照群7%、延長群11%)だった。骨折(p=0.28)、高コレステロール血症(p=0.17)、心血管イベント(p=0.069)について、両群で有意な差はみられなかった。

 Mastro氏は「タモキシフェン2~3年間投与後レトロゾール5年間投与は、閉経後HR陽性乳がん患者における標準内分泌治療の1つとして考慮されるべき」と結論した。

(ケアネット 金沢 浩子)


【 参考文献・参考サイトはこちら 】

GIM4試験(Clinical Trials.gov)

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。
(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

HR0.28、T-DXdがHER2+乳がん2次治療でT-DM1に対しPFS改善(DESTINY-Breast03)/ESMO2021

提供元:CareNet.com

 トラスツズマブとタキサンによる治療歴のあるHER2陽性の切除不能または転移を有する乳がん(mBC)患者に対し、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)がトラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)と比較し無増悪生存期間(PFS)を有意に延長した。スペイン・International Breast Cancer CenterのJavier Cortes氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)でDESTINY-Breast03試験の中間解析結果を発表した。

 DESTINY-Breast03試験は、トラスツズマブとタキサンで以前に治療されたHER2+mBC患者におけるT-DXdとT-DM1の有効性と安全性を比較した多施設共同非盲検無作為化第III相試験。

・対象:トラスツズマブとタキサンによる治療歴のあるHER2+mBC患者
・試験群:以下の2群に1対1の割合で無作為に割り付け
T-DXd群:3週間間隔で5.4mg/kg投与 261例
T-DM1群:3週間間隔で3.6mg/kg投与 263例
・層別化因子:ホルモン受容体の状態、ペルツズマブ治療歴、内臓転移の有無
・評価項目:
[主要評価項目]盲検化独立中央評価委員会(BICR)による無増悪生存期間(PFS)
[副次評価項目]OS、BICRおよび治験実施医師評価による客観的奏効率(ORR)、BICR評価による奏効期間(DOR)、治験実施医師評価によるPFS、安全性

 主な結果は以下のとおり。

・2021年5月21日までに15ヵ国から524例が無作為化された。
・年齢中央値はT-Dxd群54.3歳、T-DM1群54.2歳。両群ともアジア人が約6割を占め、HER2 Statusは3+が約9割、ホルモン受容体陽性の患者は約5割を占めていた。脳転移を有する患者はT-Dxd群23.8%、T-DM1群19.8%。内臓転移を有する患者はT-Dxd群70.5%、T-DM1群70.3%だった。
・治療歴については、1ラインがT-Dxd群49.8%、T-DM1群46.8%、2ラインがT-Dxd群21.5%、T-DM1群24.7%。トラスツズマブ治療歴を有する患者が両群とも99.6%、ペルツズマブ治療歴を有する患者がT-Dxd群62.1%、T-DM1群60.1%だった。
・観察期間中央値は、T-Dxd群が16.2ヵ月、T-DM1群が15.3ヵ月だった。
・主要評価項目のBICR評価によるPFS中央値は、T-Dxd群NR(95%信頼区間[CI]:18.5~NE) vs.T-DM1群6.8ヵ月(95%CI:5.6~8.2)、ハザード比(HR):0.28(95%CI:0.22~0.37、p=7.8×10-22)でT-Dxd群の有意な延長がみられた。12ヵ月時点でのPFS率はT-DM1群34.1%(95%CI:27.7~40.5)に対しT-Dxd群75.8%(95%CI:69.8~80.7)だった。
・PFSのサブグループ解析の結果、ホルモン受容体の状態、ペルツズマブ治療歴、治療ラインの数、内臓および脳転移の有無によらず、すべてのグループでT-Dxd群における有意な延長がみられた。
・副次評価項目の治験実施医師評価によるPFS中央値は、T-Dxd群25.1ヵ月(95%CI:22.1~NE)vs.T-DM1群7.2ヵ月(95%CI:6.8~8.3)、HR:0.26(95%CI:0.20~0.35、p=6.5×10-24)でT-Dxd群の有意な延長がみられた。
・OSデータは未成熟であり、中央値は両群でともにNE、HR:0.56(95%CI:0.36~0.86、p=0.007172)となり事前に設定された有意性水準(p<0.000265)を満たさなかった。
・ORRは、T-Dxd群79.7% vs.T-DM1群34.2%でT-Dxd群で有意に高かった(p<0.0001)。CRは16.1% vs.8.7%、PRは63.6% vs.25.5%だった。
・治療期間中央値はT-Dxd群14.3ヵ月 vs.T-DM1群6.9ヵ月。Grade3以上の治療関連有害事象はT-Dxd群45.1% vs.T-DM1群39.8%で発現した。T-Dxd群のGrade3以上の治療関連有害事象として多かったのは好中球減少症(19.1%)、血小板減少症(7.0%)、白血球減少症(6.6%)、吐き気(6.6%)だった。
・治療中止に関連した有害事象としてT-Dxd群で最も多かったのはILD/肺炎(8.2%)、T-DM1群では血小板減少症(2.7%)だった。ただし、T-Dxd群でGrade4あるいは5のILD/肺炎はみられなかった。Grade2の左室駆出率低下がT-Dxd群で2.3%、T-DM1群で0.4%みられたが、Grade3以上の報告はない。

 Cortes氏は、本結果はT-DxdがHER2陽性mBC患者の2次治療における標準治療となることを支持するものと結論付けている。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


【 参考文献・参考サイトはこちら 】

DESTINY-Breast03試験(Clinical Trials.gov)

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。
(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

がん薬物療法時の制吐目的のデキサメタゾン使用に関する合同声明/日本癌治療学会・日本臨床腫瘍学会

提供元:CareNet.com

 新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、デキサメタゾン製剤の供給が不足している。2021年8月27日に厚生労働省から発出された「デキサメタゾン製剤の安定供給について」の通知を受け、新型コロナウイルス感染症患者およびがん患者の薬物療法に関して、9月9日、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会、日本感染症学会、日本呼吸器学会が合同声明文を発出した。

 そのうち、がん患者の薬物療法に関する合同声明文では、がん患者の薬物療法に携わる医療関係者に対して、薬物療法によって発現する悪心・嘔吐(CINV)を制御するために使用されるデキサメタゾン製剤の適正使用およびデキサメタゾン内服薬の代替使用について、以下のように協力を呼びかけている。

1. 制吐薬適正使用ガイドライン等、関連ガイドラインに従い、個々の症例の催吐リスクに応じて適切な制吐療法の提供を継続ください。

2. 以下の例のように、経口デキサメタゾン等のステロイド製剤を減量できる、あるいは代替療法がある場合は、経口ステロイド製剤の使用量を可能な範囲で低減ください。
例1)高度催吐性リスクの抗がん薬を使用する場合に、第 2 日目、第 3 日目の経口デキサメタゾンを省略する。
例2)中等度催吐性リスクの抗がん薬を使用する場合に、5-HT3受容体拮抗薬、NK1受容体拮抗薬、多元受容体作用抗精神病薬を積極的に使用し、経口デキサメタゾンの使用を省略する。
例3)中等度催吐性リスクの抗がん薬を使用する場合の、遅発性の悪心・嘔吐の予防には、5-HT3受容体拮抗薬を優先する。
例4)軽度催吐性リスクの抗がん薬を投与する場合で制吐療法を行う場合は、経口デキサメタゾンの使用を避け、メトクロプラミドあるいはプロクロルペラジンを使用する。
例5)多元受容体作用抗精神病薬であるオランザピンは、糖尿病性昏睡/糖尿病性ケトアシドーシスによる害よりもCINV対策が優先されると考えられる場合は、コントロール可能な糖尿病患者に限り、患者より同意を得た上で主治医が注意深く使用する場合には考慮してよい。

3. 前サイクルのがん薬物療法で、CINVが認められなかった場合、経口デキサメタゾンの減量や省略を検討ください。

4. 患者が経口デキサメタゾンを保有している場合、新たな処方を行わず、持参の経口デキサメタゾンの有効活用にご協力ください。

(ケアネット 金沢 浩子)


【 参考文献・参考サイトはこちら 】

日本癌治療学会ホームページ:デキサメタゾン内服薬の供給不足下における新型コロナウイルス感染症患者およびがん患者の薬物療法に関する関連学会からの合同声明文 (2021.9.9)

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。
(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

40代日本人女性、乳房構成ごとのマンモグラフィ+超音波の上乗せ効果

提供元:CareNet.com

 現在、わが国における乳がん検診は、40歳以上に対する2年に1度の乳房X線検査(マンモグラフィ)が推奨されているが、高濃度乳房ではマンモグラフィによる精度低下が指摘されている。一方、超音波検査は乳房濃度に依存せず安価であり、乳がん検診への導入が期待されるが、有効性評価に関する研究は報告されていない。今回、40代の日本人女性を対象に、乳房構成ごとのマンモグラフィ+超音波検査併用による発見率・感度・特異度等を調べた大規模無作為化試験(J-START)の二次解析結果が報告された。東北大学の原田 成美氏らによるJAMA Network Open誌8月18日号への報告より。

 J-START試験は、40代日本人女性を対象に、マンモグラフィ受診群を対照群、マンモグラフィ検診に超音波検査を加えた群を介入群として、両群に無作為に割り付け、初回とその2年後に同じ検診を受診する無作為化比較試験。第1報として初回検診における感度、特異度、がん発見率についてLancet誌に2016年1月に報告され1)、今回の第2報では「乳房濃度別の感度、特異度解析による超音波検査の評価」が報告された。

 主な結果は以下のとおり。

・2007~20年に宮城県のスクリーニングセンターから登録された1万9,213人の女性(平均年齢:44.5 [SD:2.8]歳)のデータが分析された。
・9,705人が介入群、9,508人が対照群に無作為に割り付けられた。
・1万1,390人(59.3%)が、不均一高濃度または極めて高濃度の乳房を有していた。
・全体で130のがんが発見され、感度は介入群の方が対照群よりも有意に高かった(93.2%[95%CI:87.4~99.0%] vs.66.7%[54.4~78.9%]、p<0.001)。
・乳房構成ごとに感度をみると、高濃度乳房(介入群93.2%[85.7~100.0%] vs.対照群70.6%[55.3~85.9%]、p<0.001) および非高濃度乳房(介入群93.1%[83.9~102.3%] vs.対照群60.9%[40.9~80.8%]、p<0.001)で同様の傾向が観察された。
・1,000回のスクリーニング当たりの中間期がん発生率は、対照群と比較して介入群で低かった(0.5 cancers [0.1~1.0] vs. 2.0 cancers [1.1~2.9]、p=0.004)。
・介入群において、超音波検査のみで検出された浸潤がんの割合は、高濃度乳房(82.4%[56.6~96.2%] vs.41.7%[15.2~72.3%]、p=0.02)および非高濃度乳房(85.7%[42.1~99.6%] vs. 25.0%[5.5~57.2%]、p=0.02)でマンモグラフィ単独の場合よりも有意に高かった。
・ただし、マンモグラフィまたは超音波検査のみの感度は、両群のすべての乳房密度で80%を超えなかった。
・対照群と比較して、特異度は介入群で有意に低かった(91.8%[91.2~92.3%] vs.86.8%[86.2~87.5%]、p<0.001)。
・対照群と比較して、要精検率(13.8%[13.1~14.5%] vs.8.6%[8.0~9.1%]、p<0.001)および生検率(5.5%[5.1~6.0%] vs.2.1%[1.8~2.4%]、p<0.001)は、介入群で有意に高かった。

 研究者らは、この結果は超音波検査の併用が、高濃度乳房と非高濃度乳房どちらにおいても初期段階および浸潤性のがんの検出を改善する可能性を示唆しているとし、乳腺濃度によらず、40〜49歳の女性の乳がんスクリーニング手法として考慮されるべきではないかとまとめている。

(ケアネット 遊佐 なつみ)


【原著論文はこちら】
(ご覧いただくには [ CareNet.com ]の会員登録が必要です)

Harada-Shoji N,et al. JAMA Netw Open. 2021;4:e2121505.

【 参考文献・参考サイトはこちら 】

1)Ohuchi N,et al. Lancet. 2016 Jan 23;387:341-348.

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。
(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

日本人のがん患者の新型コロナウイルス抗体レベルは低いのか/JAMA Oncol

提供元:CareNet.com

 がん患者における新型コロナ抗体レベルは健康成人と比べて低いのか。わが国のがん患者と、非がん罹患者としての医療者のあいだで、血清SARS-CoV-2抗体の状態を比較した国立がんセンター中央病院 矢崎 秀氏らの前向き研究が発表された。

 対象は2020年8月3日~10月30日に、東京周辺の2つのがんセンターから、16歳以上のがん患者と医療者で前向きに登録された。

 評価項目は、がん患者と医療者の血清有病率と抗体レベル。血清陽性の定義は、ヌクレオカプシドIgG(N-IgG)および/またはスパイクIgG(S-IgG)の陽性であった。がん患者は、薬物療法、外科手術、放射線療法などのがん治療を受けている。

 主な結果は以下のとおり。

・がん患者500例(年齢中央値62.5歳、男性55.4%)と医療者1,190例(年齢中央値40歳、男性25.4%)が登録された。
・がん患者の97.8%は固形腫瘍で、1ヵ月以内に抗がん治療を受けていた患者は71.0%であった。
・血清有病率は、がん患者1.0%、医療者0.67%と同等であった(p=0.48)。
・抗体レベルは2種とも、医療者に比べがん患者で有意に低かった(N-IgG抗体:p<0.001、S-IgG抗体:p<0.0001)。
[がん患者における薬物療法と躯体レベルの関係]
・化学療法を受けた患者のN-IgGレベルは、化学療法を受けなかった患者より有意に低かった(p=0.04)。
・免疫チェックポイント阻害薬(ICI)投与を受けた患者の抗体レベルは2種ともICI投与を受けなかった患者より有意に高かった(N-IgGレベル:p=0.02、 S-IgGレベル:p=0.02)。

 この前向き研究では、SARS-CoV-2の血清有病率はがん患者と医療者で差はなかったが、抗体レベルはがん患者で有意に低かった。また、がん患者においては治療薬剤によって抗体レベルに差があった。

 筆者は、がんの合併は、SARS-CoV-2への免疫応答に影響を与える可能性があることを示唆している、と述べている。

(ケアネット)


【原著論文はこちら】
(ご覧いただくには [ CareNet.com ]の会員登録が必要です)

Yazaki S,et.al. JAMA Oncol.2021;7:1141-1148.

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。
(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

アントラサイクリンベース化療中の乳がん、心保護薬の併用でLVEF低下を予防

提供元:CareNet.com

 イタリア・フィレンツェ大学Lorenzo Livi氏らがアントラサイクリンベースの化学療法で治療を受けている乳がん患者の無症候性の心臓損傷を軽減できるかどうかを調査した結果、β遮断薬のビソプロロールやACE阻害薬のラミプリル(日本未承認)を投与することで、がん治療に関連するLVEF低下や心臓リモデリングから保護する可能性を示唆した。JAMA Oncology誌2021年8月26日号オンライン版ブリーフレポートでの報告。

 本研究であるSAFE試験は、イタリアの8施設の腫瘍科で実施された多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験で、12ヵ月で心臓評価を完了した最初の174例に関する中間分析。対象者の募集は2015年7月~2020年6月の期間で、中間分析は2020年に実施された。対象者はアントラサイクリンベースのレジメンを使用し、一次または術後の全身療法を受ける兆候があった患者で、事前に心血管疾患の診断を有していた患者は除外された。心臓保護薬としてビソプロロール、ラミプリル、ラミプリルとビソプロロール併用に割り付け、プラセボ群と比較。化学療法の開始から1年間、またはERBB2陽性者はトラスツズマブ療法の終了まで投与を行った。全グループの用量について、ビソプロロール(1日1回5mg)、ラミプリル(1日1回5mg)、プラセボを可能な範囲で体系的に漸増した。

 主要評価項目は、無症状(10%以上悪化)の心筋機能(左心室駆出率[LVEF])と歪み(長軸方向の歪み[GLS:global longitudinal strain])で、2Dおよび3Dの心エコー法で検出した。

 主な結果は以下のとおり。

・対象者は174例の女性(年齢中央値48歳、範囲24〜75歳)だった。
・12ヵ月間の3D心エコーでLVEFの低下状況を確認したところ、プラセボ群で4.4%、ラミプリル群、ビソプロロール群、併用群でそれぞれ3.0%、1.9%、1.3%の低下だった(p=0.01)。
・全体的な長軸方向の歪みは、プラセボ群で6.0%、ラミプリル群とビソプロロール群でそれぞれ1.5%と0.6%悪化したが、併用群では変化しなかった(0.1%の改善、p<0.001)。
・3D心エコーでLVEFが10%以上低下した患者数は、プラセボ群で8例(19%)、ラミプリル群で5例(11.5%)、ビソプロロール群で5例(11.4%)、併用群で3例(6.8%)だった。
・プラセボ群15例(35.7%)は、ラミプリル群(7例:15.9%)、ビソプロロール(6例:13.6%)、および併用群(6例:13.6%)と比較して、GLSが10%以上も悪化を示した(p=0.03)。

(ケアネット 土井 舞子)


【原著論文はこちら】
(ご覧いただくには [ CareNet.com ]の会員登録が必要です)

Livi L, et al. JAMA Oncol. 2021 Aug 26.[Epub ahead of print]

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。
(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

ペグフィルグラスチムの自動投与デバイスを国内申請/協和キリン

提供元:CareNet.com

 協和キリンは、2021年8月30日、テルモと共同開発中の持続型G-CSF製剤ペグフィルグラスチム(製品名:ジーラスタ)の自動投与デバイスについて、がん化学療法による発熱性好中球減少症注の発症抑制を適応症とした製造販売承認申請を厚生労働省に行った。

 今回の申請は、協和キリンが実施した、安全性の評価を目的とする第I相臨床試験の結果に基づくもの。

 ペグフィルグラスチムは、がん化学療法剤投与終了後の翌日以降に投与されるのが通常である。

 同デバイスは、ペグフィルグラスチムが一定時間後に自動で投与される機能を搭載している。そのため、がん化学療法と同日に使用することが可能となり、投与のための通院が不要となる。

 患者の通院負担と医療従事者の業務負担の軽減につながることが期待されている。

(ケアネット 細田 雅之)


掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。
(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー UpToDateの活用 その2【「実践的」臨床研究入門】第11回

提供元:CareNet.com

本連載は、臨床研究のノウハウを身につけたいけれど、メンター不在の臨床現場で悩める医療者のための、「実践的」臨床研究入門講座です。臨床研究の実践や論文執筆に必要な臨床疫学や生物統計の基本について、架空の臨床シナリオに基づいた仮想データ・セットや、実際に英語論文化した臨床研究の実例を用いて、解説していきます。

 

UpToDate®―該当トピックの本文を読み込んでみる

CQ:食事療法を遵守すると慢性腎臓病患者の腎予後は改善するのだろうか

P:慢性腎臓病(CKD)患者
E:食事療法(低たんぱく食 0.5g/kg標準体重/日)の遵守
C:食事療法(低たんぱく食 0.5g/kg標準体重/日)の非遵守
O:腎予後

 前回、これまでブラッシュアップしてきた、上記のCQとRQ(PECO)に関連するUpToDate®のトピックを検索したところ、

人工透析を受けていない慢性腎臓病患者に推奨する食事療法
Dietary recommendations for patients with nondialysis chronic kidney disease

  がヒットしました。このトピックには、”PROTEIN INTAKE(たんぱく質摂取量)”という項があり、われわれのRQに関連する先行研究について概説されていそうです。 該当トピックの解説を読み込む前に、このトピックの更新日付を確認してみましょう。トピックの標題の直下に、担当著者・編集者の氏名が明記されており、

“All topics are updated as new evidence becomes available and our peer review process is complete.”
「すべてのトピックは新しいエビデンスが入手可能になりわれわれのピア・レビューが完了すると更新されます(筆者による意訳)。」

 とのコメントとともに、

Literature review current through:May 2021. |This topic last updated:Feb 21, 2020.

 との記載があります。本稿執筆時点(2021年7月)では、このトピックの関連文献レビューは2021年5月まで行っているが、このトピック本文の最終更新日は2020年2月21日である(筆者による意訳)、ということです。UpToDate®では、その分野の信頼できる専門家が年3回は関連研究レビューを行って都度改訂し、まさに”up-to-date”な2次情報を提供してくれているのです。

  今回は、このトピックの”PROTEIN INTAKE(たんぱく質摂取量)”の項を読み込んで、RQのさらなるブラッシュアップに活かしたいと思います。その概要を以下のようにまとめてみました(筆者による抜粋、意訳)。

・対象(P)をネフローゼ症候群患者*と非ネフローゼ症候群患者に分けて記述されている。

*成人ネフローゼ症候群の診断基準1)

1.尿たんぱく3.5g/日以上が持続する
2.低アルブミン血症:血清アルブミン値3.0g/dL以下
3.浮腫
4.脂質異常症(高LDLコレステロール血症)

1、2は診断必須条件、3、4は参考所見

 ネフローゼ症候群患者ではたんぱく質摂取量制限は有効性、安全性、双方の観点から推奨しない、との記述があり、われわれのRQの対象(P)からも除外した方が良さそうです。したがって、下記のまとめは非ネフローゼ症候群患者を対象(P)にしぼった関連研究のレビューに基づいたものです。

・推定糸球体濾過量(eGFR)<60mL/分/1.73m2未満の保存期CKD患者ではたんぱく質摂取量は0.8g/kg標準体重/日以下に制限することが推奨される。

・ たんぱく質摂取制限はCKDの進行を遅延させる可能性があるが、その有益性は軽度であることが、ランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)の結果から示唆されている2-7)

・ たんぱく質摂取量は0.6g/kg標準体重/日までは安全性も保たれていることが示されているが8-10)、より厳格な低たんぱく質食事療法は長期的には死亡リスクの増加の懸念を示唆する研究報告3)もある。

・ これらのRCTの結果を統合(メタ解析)した、システマティック・レビュー11)でも、たんぱく質摂取制限が有益である可能性が示唆されている。

 UpToDate®の記述からも、われわれが曝露要因(E)に設定している「厳格な」たんぱく質制限食(0.5g/kg標準体重/日)の臨床的有用性については、明確なエビデンスはないようです。また、UpToDate® が根拠とするエビデンスもRCTからの知見に基づいたものがほとんどであり、外的妥当性(連載第6回参照)の観点からも、われわれが行う観察研究にある程度の価値はありそうだと考えられます。また、上述したとおり、ネフローゼ症候群は対象(P)から除外するのが適切と判断し、冒頭のCQと RQ(PECO)を下記のように改訂しました。

CQ:食事療法を遵守すると非ネフローゼ症候群の慢性腎臓病患者の腎予後は改善するのだろうか

P:非ネフローゼ症候群の慢性腎臓病(CKD)患者
E:食事療法(低たんぱく食 0.5g/kg標準体重/日)の遵守
C:食事療法(低たんぱく食 0.5g/kg標準体重/日)の非遵守
O:腎予後

 次回からは、もうひとつの質の高い2次情報源である、コクラン・ライブラリーの活用方法について解説したいと思います。

 


【 引用文献 】

講師紹介

harasense

長谷川 毅 ( はせがわ たけし ) 氏
昭和大学統括研究推進センター研究推進部門 教授
昭和大学医学部内科学講座腎臓内科学部門/衛生学公衆衛生学講座 兼担教授
福島県立医科大学臨床研究イノベーションセンター 特任教授

[略歴]
1996年昭和大学医学部卒業。
2007年京都大学大学院医学研究科臨床情報疫学分野(臨床研究者養成コース)修了。
都市型および地方型の地域中核病院で一般内科から腎臓内科専門診療、三次救急から亜急性期リハビリテーション診療まで臨床経験を積む。その臨床経験の中で生じた「臨床上の疑問」を科学的に可視化したいという思いが募り、京都の公衆衛生大学院で臨床疫学を学び、米国留学を経て現在に至る。

バックナンバー

10 リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー UpToDateの活用 その1
【「実践的」臨床研究入門】第10回

9 リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 文献管理 その3
【「実践的」臨床研究入門】第9回

8 リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 文献管理 その2
【「実践的」臨床研究入門】第8回

7 リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 文献管理 その1
【「実践的」臨床研究入門】第7回

6 リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 診療ガイドラインの活用 その3
【「実践的」臨床研究入門】第6回

5 リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 診療ガイドラインの活用 その2
【「実践的」臨床研究入門】第5回

4 リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 診療ガイドラインの活用 その1
【「実践的」臨床研究入門】第4回

3 リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー その2
【「実践的」臨床研究入門】第3回

2 リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー その1
【「実践的」臨床研究入門】第2回

1 臨床上の疑問とリサーチ・クエスチョン
【「実践的」臨床研究入門】第1回


 

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。
(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

閉経前の進行乳がん1次治療、エベロリムス併用でPFS延長(MIRACLE)/JAMA Oncol

提供元:CareNet.com

 選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)投与中に病勢進行したホルモン受容体(HR)陽性/HER2陰性の進行乳がんの閉経前女性を対象とした第II相無作為化試験(MIRACLE)で、レトロゾール単独に対して、エベロリムス併用で無増悪生存期間(PFS)延長が認められた。中国・Chinese Academy of Medical Sciences & Peking Union Medical CollegeのYing Fan氏らがJAMA Oncology誌オンライン版で報告。

 本試験は、2014年12月8日~2018年9月26日に1次治療を実施した対象患者において、レトロゾールとエベロリムス併用をレトロゾール単独と比較した多施設非盲検第II相無作為化試験。2015年1月5日~2019年12月30日にITT解析を実施した。

対象:SERM投与中に病勢進行したHR陽性/HER2陰性の進行乳がんの閉経前女性 199例
試験群:レトロゾール(2.5 mg1日1回経口)+エベロリムス(10 mg1日1回経口)101例
対照群:レトロゾール(2.5 mg1日1回経口)98例
両群とも28日サイクルの1日目にゴセレリン(3.6mg)を皮下投与。レトロゾール単独群の患者は、病勢進行時にエベロリムス併用群へのクロスオーバーが認められた。
主要評価項目:無増悪生存期間(PFS)

 主な結果は以下のとおり。

・対象患者の平均年齢(SD)は44.3歳(6.3歳)だった。
・エベロリムス併用群はレトロゾール単独群に比べ、PFS中央値が有意に延長した(19.4ヵ月[95%CI:16.3~22.0ヵ月]vs.12.9ヵ月[同:7.6~15.7ヵ月]、ハザード比:0.64[同:0.46~0.89]、p=0.008)。
・レトロゾール単独群98例中56例(57.1%)がエベロリムス併用群にクロスオーバーされ、クロスオーバー後のPFS中央値は5.5ヵ月(95%CI:3.8〜8.2ヵ月)だった。

(ケアネット 金沢 浩子)


【原著論文はこちら】
(ご覧いただくには [ CareNet.com ]の会員登録が必要です)

Fan Y, et al. JAMA Oncol. 2021 Aug 26.[Epub ahead of print]

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。
(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)