
[ レポーター紹介 ]
猪狩 史江(いがり ふみえ )

2007年 3月 獨協医科大学医学部医学科卒業
2007年 4月 順天堂大学医学部附属浦安病院 臨床研修医
2009年 4月 順天堂大学医学部附属順天堂医院 乳腺科 助手
2017年 3月 順天堂大学大学院医学研究科 博士(医学)課程 修了
2018年 1月 順天堂大学順天堂医院 乳腺科 助教
2019年 4月 順天堂大学順天堂医院 乳腺科 非常勤助教
Cedars Sinai Medical Center Los Angeles U.S.
Visiting Postdoctoral Scientist
2021年 6月 順天堂大学順天堂医院 乳腺科 助教
2021年10月 順天堂大学附属浦安病院 乳腺・内分泌外科 助教
2022年10月 順天堂大学附属浦安病院 乳腺・内分泌外科 准教授
専門医取得後の新たな目標として
私の場合は、キャリアアップのために留学をしたわけではなかったので、皆様のご参考になるかわかりません。ですが、専門医を取得して、次の目標を見失いつつあった時期に留学ができたことで、留学前には思い浮かばなかった新たな道が開けたことが、帰国後のキャリアに繋がったことは間違いないです。duty workプラスαで、それらを今の仕事に生かせるようになりました。
また、留学前は型にはまった乳腺外科医のイメージしかなかったですが、これからは自分の色を付けていく働き方をしたいと思うようになりました。
コロナに大統領選、治安の悪化…経験から得られたこと
留学前よりも、目標が明確になりました。海外の方が、自分の意見を主張する場が多いからだと思います。目的が明確に言えるようになるには、理由があるからでもあります。目標設定後、達成に必要なことの優先順位も考える。他の人に伝えてディスカッションをすることで、新たな意見に気づく。簡単なことだけど、なかなかできていなかったなと気づきました。
そして、何事にもチャレンジする。留学自体、自分にとっては大きな挑戦でしたが、この留学経験で得られたものは、本当に価値のあるものばかりでした。失敗もたくさんしましたが、すべて糧になり、大きな経験値となっています。
私の留学中は、新型コロナウイルスの世界的流行、大統領選挙など、大きく国内外が動く出来事が多く、激動の情勢の中、その時米国で生活していたからこそ感じられたことも、経験としての財産となっています。コロナの影響で、治安が徐々に悪くなっていくのも肌で感じました。そんな中、全米に渡る人権問題が勃発し、さらに治安が悪化。いつも通っていた通勤路に州の軍隊が現れたり、夜間外出禁止令のアラートが出たりと、現実ではないような時期も経験しました。
“Curfew”なんて単語、滅多に使わない。こんな状況、ロス暴動以来だとネイティブに言われたこともあります。そんな中で生活できたのも、周りの方々のサポートがあったからだと思います。日本人の留学同期をはじめ、留学先で出会った各国の友人達、職場の同僚達に本当に助けられました。自分だけでは本当に何もできない、支え合って日々の生活が出来ているのだと、1日1日を噛み締めて生活した日々でした。人と人との繋がりを日々大切にしていきたいと思うようになるきっかけになりました。
身をもって感じた“チャレンジはいつでも遅くはない”
臨床の現場を経験させていただいたり、自分自身が病院を受診した経験から、日本における外国人への医療の提供について、医師の立場でできることや診療体制の整備など行っていきたいと思います。
最後となりますが、少しでも留学を考えている方は、ぜひ現実的に動いて欲しいと思います。そして、その時期はいつでも遅くはないと思います。チャンスとチャレンジに年齢制限はありません。もし留学生活が色々な原因で失敗してしまったとしても、それはそれで他の誰も経験できなかった経験です。でも、踏み出さないと、何も変わりません。もちろんいいことばかりでなく、辛い経験もありました。ハンバーガーのデリバリーが届かなくて、私はこの国では、ハンバーガーさえきちんと注文できないのか、と悲しくなった日もありました笑。でもすべていい経験です。
人生のアナザースカイを探してみてはいかがですか?
その先には、きっと輝かしい世界が待っています。

実験が上手くいった日もいかなかった日も、変わらず美しい景色。
あと何回この美しい空の色を見れるのだろうと思いながら見惚れていました。
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